鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。   作:Red October

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今回はあくまで、戦いの準備だけです。本格的なドンパチパートは次回以降となります。



042. 新たなる戦いの序曲

 中央暦1640年2月12日、ロデニウス連合王国クワ・トイネ州 タウイタウイ島。

 タウイタウイ泊地に浮かぶ大型移動工廠艦「(くし)()」の艦長室では、艦娘の"釧路"が妖精たちからの報告を見て唸っていた。

 

「うーん……」

 

 彼女が見ていたのは、「B-29」の運用結果についての報告書。試作された「B-29」は、飛行性能については素晴らしい性能を見せたものの、ある問題点が浮上してきたのである。

 

「エンジンの過熱による発火事故のリスクが多いわね……。で、その分析は……」

 

 そう、「B-29」の飛行中もしくは飛行後の“エンジン発火事故のリスク”が多いのだ。どういう訳なのか、航空隊と工廠部が共同で調査していたが……その結果は、およそ"釧路"の予想通りとなった。

 

「“エンジン周りの部品におけるマグネシウム合金の多用”と、“エンジンカウルがぎりぎりまで絞られた構造が作用しての排熱不良”……この2つが絡み合ったのが原因ね」

 

 実は史実の「B-29」でも、この手の事故は多発していたことである。

 

「これ……どうせだし、設計を少し変更してみようかな」

 

 そう呟くと、"釧路"は関数電卓と設計用紙を前に、何やら複雑な計算を始めた。既に彼女の頭の中には、どうすればこの厄介な問題に対処できるか、というビジョンが明確に描き出されている。

 

(エンジンに使う合金については、マグネシウムはやめておいたほうが良いわね。チタン合金か、インコネル辺りの耐熱合金なら大丈夫かしら。加工が難しいけれど、できなくはないし、それに材料自体はクイラ州で産出するから、何とかなりそう。

あとは……念のためエンジンのフェアリングを5㎜ほど拡大して、ターボプロップの排気管みたいに排気をエンジンナセル後端から排出できるようにしてみましょう。これで、エンジンの過熱問題もどうにかなればいいけど)

 

 しばらくして計算を終えた"釧路"は、艦内にいる技術士官の妖精たちを呼び出すと、「B-29」の改善案についての検討会をやり始めた。

 

 

 ちなみにであるが、アメリカはどうやってこの欠点に対処していたのかというと、「大量の“予備エンジン”を用意して、出撃の度に“取り替える”」である。要するに、エンジンの使い捨てである。

 おのれリアルチート国家。米帝プレイ許すまじ。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 中央暦1640年2月25日、シオス王国。

 

「これか。広いな……。だが滑走路の荷重制限を考えると、一式陸上攻撃機ならともかく、クッソ重たいB-29を着陸させるのは難しそうだな。工期が1ヶ月しかない以上、B-29は諦めるか……」

 

 シオス王国の首都北方に築かれているムー国の空港……ムーでは「ゴーマ空港」と呼ばれているその空港の滑走路には今、ロデニウス連合王国陸軍工兵隊が、1個大隊規模で集まっていた。先ほどの台詞は、ゴーマ空港の滑走路を見た工兵大隊の隊長が発したものである。

 

 ロデニウス連合王国は今回、シオス王国及びムー国との間で、「シオス王国内にあるムーの空港を、ロデニウス連合王国軍が軍事基地として使う」という許可を得たのだ。何故そんなことをしたかというと、今後の戦争戦略を見据えてのことである。

 

 現在、ロデニウス連合王国は“第三文明圏唯一の列強”であるパーパルディア皇国と戦争をしている。しかもパーパルディア皇国は先日、ロデニウス連合王国に対して殲滅戦を通達してきた。これは何かというと、ロデニウス連合王国の全国民を虐殺する、ということである。つまりパーパルディア皇国は、本気でロデニウス連合王国を滅ぼしにかかってきたのだ。こうなれば、平和を願うロデニウス連合王国といえども手を拱くわけにはいかない。

 そこで、ロデニウス連合王国軍のリーダーである軍務卿ヤヴィンは、ロデニウス海軍第13艦隊の司令官である堺 修一を軍師に任じ、パーパルディア皇国との戦争戦略を考えさせた。その結果弾き出された戦略方針は、「シオス王国、フェン王国とアルタラス王国(アルタラスは現在パーパルディアの属領にされている)を前線基地とし(もちろんだが、アルタラスはパーパルディアから力尽くで奪い取る)、その三国を足がかりにパーパルディア皇国本土へ侵攻する」というものになったのだ。ただしシオス王国は、国土が狭いのでムーの空港を利用して“飛行場を築くだけ”とする。奪い取ったアルタラスに、陸軍の兵力や戦車部隊、海軍の艦隊、そしてムーの空港を利用しての飛行場に展開する基地航空隊を集結させて、“本命の前線基地”とするのである。

 この戦略の遂行のため、そしてアルタラス奪回を行うための基地航空隊の拠点として、シオス王国にあるムーの空港を軍事拠点として整備すべく、ロデニウス連合王国軍はシオス王国に工兵隊を送り込んだのである。

 

「与えられた期間は1ヶ月しかない! あまり時間はないぞ!

では諸君、到着して早々済まないが、早速作業開始だ! まずは測量や荷重試験から行い、どのようにこの空港を軍用基地として改造するか、1週間でまとめる! その後3週間かけて、この空港を改造するぞ!」

「「「「「おおおおおお!」」」」」

 

 隊長の号令一下、工兵隊は一斉に作業にかかるのだった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 一方、同様の光景はフェン王国でも展開していた。

 パーパルディア皇国の戦列艦隊の砲撃や、ロデニウス連合王国軍戦車部隊とパーパルディア皇国軍の戦闘で発生したコラテラルダメージによって、市街地のあちこちが崩壊してしまったフェン王国西部の都市・ニシノミヤコ。そこに、1個連隊規模のロデニウス連合王国陸軍工兵隊が現地入りして、復興の手伝いをしていた。その傍ら、フェン王国の「剣王」シハンから許可を得て、彼らはニシノミヤコの西方5㎞ほどの地点に、飛行場を建設していたのである。

 といっても、ここに建設する飛行場を利用するのは、戦闘機と「一式陸上攻撃機」のみであり、「B-29」の運用は諦めることで工期短縮を狙う格好になっていた。しかもこれは、あくまで副業であり、本業はニシノミヤコ復興の手伝いなのである。

 

「すみませんね、パーパルディア皇国軍を追い払ってもらったばかりか、復興の手伝いまでしていただいて」

「いえいえ、お気になさらないで下さい。これも訓練の一環ですし」

 

 ニシノミヤコの住民たちとロデニウス連合王国軍の兵士たちの間では、そんな会話が交わされている。

 「ロデニウス連合王国軍が自国の復興を手伝ってくれている」という情報は、瞬く間にフェン王国全土に広まり、フェン王国の住民たちはロデニウス連合王国に対して、更なる好感情を抱くのだった。

 ちなみに、これによって堺が立てた対パーパルディア戦略が若干変更されたことは、言うまでもない。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 その頃、パーパルディア皇国皇軍司令部では、最高司令官であるアルデが幹部たちを集め、会議を行っていた。

 

「皆、今日はよく集まってくれた。早速だが、会議に入る。過日我が皇軍はフェン王国に侵攻したが、フェン王国軍とロデニウス連合王国軍の連合部隊によって撃破され、フェン王国侵攻は失敗した。この時フェン王国に侵攻していた我が軍は、陸軍将兵4,000名のうち3,300名余りが戦死、海軍の艦隊は1隻残らず沈められ、ワイバーンロード250騎も全滅した」

 

 会議の冒頭、アルデがそう説明すると、幹部たちは一様にざわついた。

 無理もない。パーパルディア皇国の皇軍といえば、「第三文明圏で最強の軍隊」とされ、これに敵う者は“列強国の軍隊のみ”とされていたのだ。それが、これまで常勝を誇っていたパーパルディア軍が、文明圏外国の軍隊を相手に、ほぼ全滅レベルの損害を受けて大敗してしまったのである。これは、パーパルディア皇国が列強と認められて以来初めてのことだった。

 しかも、そのことがアルデ自身の口から発表された。ということは、「世界のニュース」などでの報道は"全て事実だった”ということだ。

 

「そこでだ、今回の敗戦の原因を分析し、次回の侵攻に生かしたいと思う。先日、皇帝陛下は私に次のように仰った。『フェン王国よりも先にロデニウス連合王国を攻め、最終的にロデニウス、フェン、双方とも滅せよ』と。よって、次の皇軍の侵攻先はフェン王国ではなく、ロデニウス連合王国となる。

皇軍を破った国家が相手だ、何が起きるか分からん。そこで、諸君にも意見を聞きたい。本会議が有意義なものとなることを望む」

 

 このアルデの開会の辞の後、会議はスタートした。

 まず初めに行われたことは、フェン王国での戦いで発生した損害が、フェン王国軍とロデニウス連合王国軍の“どちら”によってもたらされたものか想定する、ということだった。

 これについては、幹部たちの意見はほとんど一致した。ロデニウス連合王国軍こそ、今回の“皇軍の被害の原因”であり、“大敗の元凶”だと考えたのである。

 その決定的証拠となったのは、“国家監察軍からの報告”だった。軍祭に合わせて実施された国家監察軍によるフェン王国懲罰攻撃では、国家監察軍東洋艦隊はフェン王国の水軍を一方的に破ったものの、ロデニウス連合王国海軍の前に全滅させられていたのだ。形は違えど、この国家監察軍の大敗は今回の皇軍の敗北に似ている。これが、最大級の証拠だった。

 

 しかし、「ロデニウス連合王国がどれほどの力を持っているのか」という推測についての話題になると、会議は紛糾した。幹部たちの意見はまちまちで、「ロデニウス連合王国の武器のレベルは、パーパルディアのそれに劣るものの、古の魔法帝国の遺跡に絡む物を使ってきた」というものやら「アルタラス王国にやや及ばない程度ながら、第二文明圏外のどこかの王国のように、炸裂式砲弾を撃てる魔導砲を装備した戦列艦隊を保有している」などというものまで、様々な意見が噴出したからだ。

 

(なお皮肉なことだが、ロデニウス連合王国の軍事技術がパーパルディア皇国のそれを遥かに凌駕している、という可能性を上げた者は、誰一人いなかった)

 

 そんな中、“最も最悪の想定”として出された意見は、以下のものである。

 

『ロデニウス連合王国は、第二文明圏の列強国であるムー国から軍事支援を受けている。具体的には、ムー国が行っている支援は自国の科学によって開発された武器の輸出と、軍人を派遣してのロデニウス連合王国軍の訓練である。それを使って、彼らは皇軍と戦ったのだ』

 

 その根拠として、「第1外務局が手に入れた情報では、ロデニウス連合王国はムー国と国交を結んでいるらしい」というものが挙げられた。かつてパーパルディア皇国国家戦略局が、ロウリア王国に対して行ったように、ロデニウス連合王国はムー国から軍事支援を受け、それを以てパーパルディア皇国皇軍と戦ったのではないか、ということである。

 これならば、パーパルディア皇国皇軍が大敗した訳も頷ける。ムー国といえば、パーパルディア皇国も認める上位列強国だ。その国力・技術力・軍事力はパーパルディア皇国を凌ぎ、世界でも2位に食い込むレベルである(言うまでもないが、1位は神聖ミリシアル帝国である)。

 この仮説が正しければ、“ロデニウス連合王国は決して侮れない”ということになる。

 

 しかし、一部の幹部がこれに待ったをかけた。ロデニウス連合王国軍がムー国の兵器を使用して戦ったのだとしても、フェン王国での戦いで受けた損害が大きすぎやしないか、というのである。

 そして彼らは別の可能性を挙げた。それは、ロデニウス大陸には古の魔法帝国と戦ったエルフ族の遺跡が存在し、彼らはそこで発掘したものを解析して使用してきたのではないか、というものである。

 

 だがこれにも、反対意見が相次いだ。それは、「例えば古の魔法帝国の遺跡は、神聖ミリシアル帝国すら解析に四苦八苦する代物である。エルフ族のそれも、古の魔法帝国のものに負けず劣らず、解析に難儀する代物であろう。そんなものを、ロデニウス大陸の蛮族が解読できるはずがない」というものである。神聖ミリシアル帝国の成り立ち等を考慮すれば、この理由にも一定以上の信憑性があった。

 

 ……まあ、実際のところはどっちの意見も的外れなのだが。

 

 結局のところ、「ムー国の軍事支援」説と「古の魔法帝国絡みの遺物の解析」説で、幹部たちの意見は真っ二つに分かれ、それぞれが納得のいく理由であるだけにどっちとも決められない、という状態に陥った。

 そこでアルデは、その場を取り成し、双方の意見をまとめて「ロデニウス連合王国は決して侮れない」という“共通認識”を強調した。そして、意見を以下のようにまとめた。

 

『ロデニウス連合王国の攻略に当たっては、何よりもまず戦力の拡充が必須と考える。そこで、フェン王国での戦いによって全滅状態に陥った第4・第5艦隊を再建し、この2個艦隊に配備する戦列艦を全て“フィシャヌス級100門級戦列艦以上の艦艇”で統一し、竜母もできる限りコリーダ級竜母(対魔弾鉄鋼式装甲を舷側に張った竜母。フェンの戦いで真っ先に沈められた『ミール』も本級である)を揃えた上で、再建した第4・第5艦隊に第6・第7艦隊を加えて、総勢500隻の艦隊でロデニウス連合王国を攻略する。従って、今は2個艦隊の再建が最優先事項となる』

 

 アルデがこう意見をまとめたことで、幹部たちもそれに納得した。そこでアルデは、この方針を皇帝ルディアスに上申することとなる。そしてルディアスの裁可を得たことで、アルデは本方針を正式なものとし、再建した第4・第5艦隊をアルタラス島の東部に順次集結させて、訓練に当たらせていた。

 

 

 だが、読者諸賢の皆様はもう分かっているだろう。

 パーパルディア皇国の技術レベルでは、どれほどの大艦隊を揃えようと、例えパーパルディア皇国皇軍の全兵士・全艦艇・全ワイバーンロードを総動員したとしても、ロデニウス連合王国相手に勝ち目がないということを。

 パーパルディア皇国の技術レベルが、地球でいう西暦1800年代レベルなのに対して、ロデニウス連合王国のそれは、地球基準で少なくとも西暦1940年代レベルなのである。当然のように、ロデニウス連合王国海軍はどの艦艇も回転砲塔を有し、最低でも速力16ノットは出せる上に小さい砲でも口径75㎜、大きいものだと口径400㎜を超える巨砲を搭載しているのだ。

 しかも、パーパルディア皇国軍には全く対抗手段がない艦艇……潜水艦まで装備している。パーパルディア軍の前に潜水艦が姿を現せば、“真の意味”において「敵の潜水艦を発見!」→「駄目だ!」となるだろう。

 海軍だけでこの始末である。陸軍に目を向けると、パーパルディア皇国陸軍の歩兵の主力兵器が魔導マスケット銃なのに対して、ロデニウス連合王国陸軍はボルトアクション式ライフル銃どころか機関銃に装甲車、戦車まで装備している。

 航空隊は、パーパルディア皇国のワイバーンロードが最高時速350㎞なのに対して、ロデニウス連合王国のワイバーンは最高時速235㎞だが、これ以外にロデニウス連合王国軍は、時速500㎞を余裕で出せる戦闘機を陸海軍ともにバンバン繰り出せる。あまつさえ極秘戦力でUFOまで持っているのだ。

 

結論:パーパルディア皇国に勝ち目なし

 

 果たして、パーパルディア皇国がこのことに気付くのはいつになるやら……

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

♪推奨脳内BGM:「宇宙戦艦ヤマト2199」から「艦隊集結」♪

 

 さて、時が進んで中央暦1640年4月1日、ロデニウス連合王国ロウリア州西部沿岸 港湾都市ピカイア。

 嘗てのロウリア王国海軍の一大拠点であり、今やロデニウス連合王国海軍第4艦隊の拠点となっているその港の沖合には、第4艦隊現有戦力の数倍の戦闘力を有する艦隊が集まっていた。まだ全艦が集結したわけではないのだが、それでも現時点で集合している戦力だけでも凄まじい。

 

「これは……!」

 

 第3・第4艦隊の「タスフラワー作戦」参加部隊司令として、第3艦隊から派遣された艦隊を率い、ピカイア港にやってきた第3艦隊司令コンテ・パンカーレは、ピカイアに集結中の艦隊を見て絶句した。

 ロデニウス連合王国の国旗を掲げた軍艦が何隻も集まり、既にピカイア港の外にまで溢れ出ている。港内には輸送船が何隻も展開しており、小舟がそれらの間を行ったり来たりして、歩兵や物資を輸送船に積み込んでいる。それを守るように、武装を施されたウインク型砲艦やオウギョク型防空駆逐艦、赤い太陽の旗を掲げた小型艦(パンカーレは知る由もなかったが、これは陽炎型駆逐艦であった)が展開していた。

 また、ピカイア市街地北方の砂浜を借り切って、ロデニウス連合王国陸軍が上陸演習を繰り返していた。ウインク型砲艦による模擬砲弾がペイントを撒き散らす中、ラ・フランス型戦車輸送艦が次々と接岸し、前部ハッチを開放して戦車を揚陸している。揚陸艦「あきつ丸」と「(しん)(しゅう)(まる)」も、歩兵を乗せた大発を吐き出して素早い揚陸を行っていた。

 そして港外には、それらの輸送艦よりさらに巨大なニジッセイキ型軽巡洋艦やアイカ型重巡洋艦、そしてそれをも凌ぐ巨体を持つ艦が2隻いた。その他に平べったい構造の、「何に使うかよく分からない艦」も複数いた。平べったい艦や巨大な艦は、いずれも赤い太陽の旗を海風に靡かせている。またそうした巨艦の一部は、沖合を航行しながら洋上補給の訓練を行っていた。それらの艦には寄り添うようにして、サトウニシキ型補給艦が並航している。

 現在、このピカイアの港とその付近に集まっている艦艇は、アルタラス島奪回作戦「タスフラワー作戦」に参加する艦艇ばかりである。その内訳は以下の通り。

 

 

第1艦隊派遣部隊

アイカ型重巡洋艦(ロデニウス製(たか)()型重巡)「アイカ」「アカネ」

ニジッセイキ型軽巡洋艦(ロデニウス製(せん)(だい)型軽巡)「ニジッセイキ」「サンセーキ」

カイジ型駆逐艦(ロデニウス製(ゆう)(ぐも)型駆逐艦)「カイジ」「キングデラ」

オウギョク型防空駆逐艦(ロデニウス製(あき)(づき)型駆逐艦)「オウギョク」「カイミレイ」

 

第3艦隊派遣部隊

ニジッセイキ型軽巡洋艦「シュウギョク」(パンカーレはこの艦に乗り込んでいる)

カイジ型駆逐艦「ゴルビー」

ウインク型砲艦「オーロラブラック」「オリエンタルスター」「キョホウ」

 

第4艦隊派遣部隊

ニジッセイキ型軽巡洋艦「エチゴ」

カイジ型駆逐艦「サニールージュ」「シエン」

ウインク型砲艦「シギョク」「スチューベン」「タカスミ」「ナガノ」

 

第13艦隊派遣部隊

戦艦「(なが)()」「()()」(パンカーレの見た巨大な艦はこれである)

航空母艦「(そう)(りゅう)」「()(りゅう)」「(たい)(ほう)」「サラトガ」(これが、パンカーレの見た平べったい艦。確かに()()()()()艦ばかりである)

重巡洋艦「(ふる)(たか)」「()()」「(あお)()」「(きぬ)(がさ)」「(みょう)(こう)」「()()」「(あし)(がら)」「()(ぐろ)

軽巡洋艦「川内」「(じん)(つう)」「()()

駆逐艦「(あさ)(しお)」「(おお)(しお)」「(みち)(しお)」「(あら)(しお)」「(あられ)」「(かすみ)」「(かげ)(ろう)」「不知火(しらぬい)」「(はつ)(かぜ)」「(ゆき)(かぜ)」「(あま)()(かぜ)」「(とき)()(かぜ)」「(あき)(ぐも)」「夕雲」「(まき)(ぐも)」「(かざ)(ぐも)」「秋月」「(てる)(づき)」「(はつ)(づき)

揚陸艦「あきつ丸」「神州丸」

潜水艦「伊8」「伊13」「伊14」「伊19」「伊26」「伊58」「伊168」「伊401」「呂500」

潜水母艦「(たい)(げい)

 

その他

ラ・フランス型戦車輸送艦「ラ・フランス」「バートレッド」「マックス・レッド」「ル・レクチェ」「マルゲリット」「ブランデーワイン」「ゼネラル・レクラーク」「シルバーベル」「デュセス・ダングレーム」「ゴーラム」

旧ロデニウス大陸各国の帆船を改造して『風神の涙』を装備した兵士輸送帆船50隻

ウインク型砲艦を改設計した歩兵輸送艦30隻

サトウニシキ型補給艦(改(はや)(すい)型補給艦。簡単にいえば、26ノットの速度を出せるようにした速吸)「サトウニシキ」「タカサゴ」「ユタカニシキ」「ベニシュウホウ」「ガッサン」「ナンヨウ」「ナポレオン」「コウカニシキ」「ヤマガタ」「ベニテマリ」

 

 

 現在集結済みのこの戦力だけでも、パーパルディア皇国の艦隊なぞ比較にもならないほどの大戦力である。

 しかも、これだけに留まらない。まだ第1艦隊派遣部隊と同等の戦力を有する、第2艦隊派遣部隊が到着していない。第3艦隊も駆逐艦「サニードルチェ」と砲艦「キャンベル・アーリー」が、訓練のため遅れている。第13艦隊はフェン王国で戦った艦艇の()(そう)の最終チェックがまだなので、航空巡洋艦「()()」「(ちく)()」、航空母艦「(しょう)(かく)」「(ずい)(かく)」をはじめとする艦艇がここにおらず、それ以外にも戦艦「(こん)(ごう)」「()(えい)」「(はる)()」「(きり)(しま)」「アイオワ」、航空母艦「(うん)(りゅう)」「(あま)()」「(かつら)()」といった戦力が集結していない。なので、実はまだ増えるのである。

 港に集結したアルタラス奪回艦隊を見て、パンカーレは呟いた。

 

「今ここに集まっている戦力だけでも凄まじいのに、この上更に増えるのか……。いくらパーパルディア皇国から殲滅戦を宣言され、本気で戦わなければならない相手だとはいえ、パーパルディア皇国の艦艇は戦列艦であったはず。しかしここにいる艦隊は、堺殿の言によればラ・カサミ級戦艦を含むムーの主力艦隊どころか、神聖ミリシアル帝国の主力艦隊が相手でも戦えるだろう艦隊だ。これでは、パーパルディア艦隊には勝ち目がないのではあるまいか……?」

 

 もし自分がパーパルディア軍艦隊の司令だったら、とパンカーレは考えてみた。その結果は、「とてもではないが、この艦隊に勝つビジョンが見えない」。

 そもそも、技術の次元が違いすぎるのだ。その上各艦隊の艦艇は、どれも第13艦隊の過酷な訓練を受けて心身共に鍛え上げられ、非常に高い練度を有している。

 パンカーレ自身もそうだった。1年前、パンカーレが率いていた艦隊は、50隻のバリスタを装備した木造帆船(しかも『風神の涙』がないので、オールまで装備していた)だった。戦術としては、バリスタや火矢を撃ち込みながら突進し、接舷しての白兵戦が当たり前。

 しかし、今や彼が率いている艦隊の総数は、軽巡洋艦2隻、駆逐艦5隻、防空駆逐艦2隻、砲艦6隻からなる立派な近代艦隊(詳しくいうと水雷戦隊に近い)であり、艦艇の数こそ減ったものの戦闘力は大幅にパワーアップしている。加えて、パンカーレも日本軍によって徹底的な教育を受け、近代海戦を強く意識するようになっていた(どちらかというと、パンカーレの好みの戦法は肉薄戦闘であり、そういう意味において水雷戦闘は、彼にはお似合いの戦法だった)。ちなみに、パンカーレの水雷戦スキルは「()のニ水戦」こと第二水雷戦隊直伝である。

 パンカーレは改めて、アルタラス奪回作戦を強く意識するとともに、この艦隊を相手取ることになるパーパルディア皇国皇軍を、敵ながら哀れに思うのだった。

 

 

 その頃、タウイタウイ泊地では。

 

「……上々ね」

 

 どこかの正規空母艦娘のようなセリフを発しながら、"釧路"が試作「B-29改」のデータを見て満足そうに頷いていた。

 あの後、エンジンの素材をチタン合金に変更し、フェアリングを拡張してみたところ、欠点を改善しながら十分な性能を発揮することが確認されたのだ。上記のセリフは、そのことを確認した"釧路"の呟きであった。

 

「よし、これなら量産のOK貰えそうね。ちょっと上申してこなきゃ」

 

 そう言うや、"釧路"は軍上層部に提出する仕様書を纏め始めた。

 

 

 同時刻、ロデニウス連合王国軍司令部では、

 

「反パーパルディアの地下組織? アルタラスのですか?」

 

 いきなりヤヴィンに呼び出され、司令部に出頭してきた堺が、素っ頓狂な声を上げていた。

 

「そうだ。アルタラスの地下組織のメンバーが、商人に扮して我が国を訪ねてきたのだ。我が国なら、“アルタラスをパーパルディアの手から救いだしてくれる”と期待してな」

「なるほど……」

 

 ヤヴィンの話を聞きながら、堺は瞬時に考えた。

 まさかアルタラス人が接触してきて、しかも自国の解放を願っているとなると、これは好都合な話だ。今からでは現地義勇軍の武力強化は不可能だが、ある程度現地の反パーパルディア組織と接点を持っておいたほうが良いだろう。

 

(こりゃ、ちょっと作戦の見直しが必要かもな)

 

 そんなことを堺が考えていると、

 

「そこで堺殿、卿に頼みがある。アルタラスまで行ってきてくれんか?」

 

 全く唐突に、ヤヴィンがとんでもないことを言い出した。

 

「勘弁してくださいよ、ヤヴィン卿」

 

 半分呆れながら堺が言うと、

 

「いや冗談だ、堺殿。卿には“パーパルディア皇国の手から、アルタラスを奪回する”という使命があるであろう? そこで、こんなものを用意した」

 

 そう言って、ヤヴィンはパチンと指を鳴らした。

 すると、司令室の扉が開けられる。姿を現したのは、もう1人の堺だった。体格も服装もそっくりである。

 

「影武者ですか、ヤヴィン卿? しかし、非常に良くできておりますな」

 

 堺は、影武者の出来映えに素直に感心する。

 

「流石に、卿に直接アルタラスに行って貰うわけにはいかぬのでな。我が軍の兵士の中から、卿に似た体格の者を1人選抜して、『釧路殿謹製』のマスクを着けてもらった。どうだ、そっくりであろう?」

 

 茶目っ気たっぷりの様子で、ヤヴィンがウインクした。

 

「全くですな。私も一瞬、自分が影分身でもしたのかと思いましたよ」

(アイツ、「B-29」試作の傍らでこんなものまで用意してやがったのか。やるじゃないか、GJ。後で"大和(やまと)"のアイスでも持ってってやろう)

 

 そこまで考えておいて、堺は“自分がしなければならないこと”に気付いた。

 

「つまり、“この者を実際にアルタラスに送る”ので、私に“反パーパルディア組織の面々に渡す資料を用意しろ”というわけですか?」

「察しが良くて助かるよ、堺殿。1時間ほどで考えてきてくれんか?」

(やっぱ苦手だわこのジジイ。体良く俺に仕事を押し付けやがった)

 

 そう考えながらも、暗号資料作成の方策を考え始める堺であった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 ここで、舞台は第三文明圏を遠く離れる。

 中央暦1640年4月1日、ところは第二文明圏列強ムー国北部の港湾都市スカパ・ブロー。

 その港に複数設けられたムー海軍のドックのうち、最も巨大なドックでは“ある艦”が建造されようとしていた。ドック内を見下ろすと、既に船台がしっかりと用意されており、その上にはこれから建造される艦の竜骨(キール)の一部が乗っている。しかしその竜骨は、これまでムー海軍が建造してきたどの軍艦よりもーーそれこそ、ラ・カサミ級戦艦の竜骨よりも大きい。

 

「それではこれより、建造を開始する。本艦を無事建造し就役させることができれば、それはムー海軍の歴史に大きく記される新たな一歩となるだろう。これは、これまでムーが建造してきたどの艦よりも大きい、“全く新しい軍艦”となる。諸君、気を引き締めてかかれ!」

 

 造船所所長の一言の後、ついに作業は開始された。何人もの工員が動き回る中、ドックの巨大なクレーンが動き、鋼材をいくつもドックに降ろしていく。

 

 ちなみに何をしているのかというと、彼らは“金剛型戦艦を自国の力で建造しようとしている”のだ。

 なぜこのようなことになったか。それは、去年の年末に遡る。

 

 

 中央暦1639年12月24日、ムー統括軍本部の情報通信部・情報分析課で働いているマイラスの元に、ロデニウス連合王国からある贈り物が届けられた。それは、「九六式艦上戦闘機」と「金剛型戦艦」の設計図だった。

 この2つの贈り物に大変喜んだマイラスは、早速この2枚の図面を技術部に持ち込み、この2つの兵器が実際に作れないか、尋ねてみた。すると3日ほど経って、「戦闘機はともかくとして、軍艦の方は“機関がなんとかなれば”作れそうだ」という結論が出た。

 この艦を放置する理由はなく、ムー軍部は即座にロデニウス連合王国に機関を一式発注。ロデニウス連合王国はこれに応え、金剛型戦艦に使われているボイラーとタービンを一式セットで、技術者まで付けてムー国に輸出した。この輸送には、ラ・フランス型輸送艦の6番艦「オーロラ」が充てられた。

 中央暦1640年の1月10日に「オーロラ」は出港、それを知ったムー軍部は、ロデニウス連合王国から機関を輸入することさえできればこの戦艦を量産できそうだ、と喜んだ。

 しかし折り悪しく、1月下旬にロデニウス連合王国はパーパルディア皇国に宣戦を布告し、戦争状態に突入。結果、ロデニウス連合王国の各工場や造船部は軒並み戦時体制に突入し、ムー国への機関の輸出は後回しとなってしまったのである。

 あてが外れてしまったムー軍部は、「戦争が始まったものは仕方ない」として、せめて到着した機関の構造だけでも把握しようとしたのだが、こちらにもつまずいてしまった。どうやら蒸気機関らしいということは分かったものの、どうやったらここまで高出力の蒸気機関が作れるのかが分からず、ムー国の蒸気機関の発展の遅れもあって構造把握も不可能。ロデニウス連合王国は戦争で忙しいから、機関の構造を尋ねるのも困難である。

 そこでムー軍部は、“こうなれば届けられた機関を使ってでも、ムーの技術でコンゴウ型戦艦を作ってしまおう”と画策し、まず技術部にシミュレーション計算を行わせた。そしてその結果を元に、造船部にムー国産のコンゴウ型戦艦を作れと命じた。その結果が、今に至るというわけである。

 

 まだ海のものとも山のものとも着かないものの、何とか建造がスタートしたムー国産の金剛型戦艦。それに対し、九六式艦上戦闘機を手掛けた航空部は、悪戦苦闘の日々を送っていた。エンジンはともかくとして、機体製造に必要な“純粋なアルミニウムの精練”が難しすぎたのである。ムーでも期待の技術士官であるマイラスが不在の中、これまで作ったことのない機体を作るのは難しすぎたのだった。

 結局、ムー国産の九六式艦上戦闘機の実用化は当分お預け、ということになってしまった。そしてムー軍部はムー大使館を通じて、ロデニウス連合王国に出張中のマイラスに対し、軍艦の機関と航空機とアルミの()(きん)に関連するデータを、“できるだけ多く集めてこい”と指示することになるのだった。

 このため、マイラスは終日「タウイ図書館」に入り浸る日々が続き、彼が持って行った10冊ほどのノートはすぐさま底を尽いてしまった。結果、彼はノートとデータを手に入れるために、クワ・タウイとタウイタウイ泊地を、何度も往復することとなる。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 少しだけ時が進み、中央暦1640年4月12日。

 アルタラス奪回作戦「タスフラワー作戦」の準備が全て整ったと堺から報告を受け、ヤヴィンはルミエスに“いよいよアルタラス奪回作戦が開始される”ことを告げた。それを受けルミエスは、ある魔信をロデニウス大陸からアルタラス島に向けて発信する。それは、作戦名にも挙げられた「タスの花」の、ある習性を利用した暗号魔信であった。




ルミエスが発した暗号魔信がどんなものだったかは、次回をお待ちくださいませ。

ちなみにサトウニシキ型補給艦の艦名は、日本で食されているサクランボの銘柄に因んでいます。こちらは「艦隊随伴型の高速給油艦が欲しい」との要望が海軍から上がったため、"釧路"の力を借りる形で補給艦「速吸」を改設計して開発されました。


次回予告。

「タスフラワー作戦」のため、戦力を集結させたロデニウス連合王国軍。そしていよいよ、タスフラワー作戦は発動し、ロデニウス連合王国軍の大艦隊がアルタラス島へ向かう…
次回「アルタラス島を奪回せよ(前編)」

(アルタラス)島がドンパチにぎやかになるぜぇ…!

p.s. 実はうp主は、対パーパルディア戦争の行く末について、非常に迷っています。最終的には2つのうちどちらかに行き着くのですが、どちらの結末にするか、非常に悩んでおります。
その結末とはずばり、「この戦争が終わった時、パーパルディア皇国は原作と同様存続しているか?それとも滅亡しているか?」。
これに関して、決めきれなくなっていますので、勝手ながら皆様のご意見を伺いたいと思います。
活動報告のほうにアンケートをご用意しておりますので、できればそちらに理由付きで意見を送って頂けると、たいへん有難いです。
もし意見を述べたくない、しかしどっちの結末が良いか決めている、という方がいらっしゃれば、この下のアンケートフォームをタップしていただくだけでも結構でございます。
どうかご意見よろしくお願いいたします。

戦争が終わった時、パーパルディア皇国は存続?滅亡?

  • 原作同様、存続するほうが良い
  • 滅亡しているほうが良い
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