鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。   作:Red October

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とうとうマイラス、リアス、ラッサン、アイリーンの4人がムーに帰ることになりました…



079. あれから半年……

 中央暦1640年8月15日、ロデニウス連合王国 タウイタウイ島。

 タウイタウイ泊地の軍用飛行場に、見慣れぬ飛行機が停まっていた。4発のプロペラエンジンを持つレシプロ機だが、「B-29改」ほど洗練された機体形状をしていない。むしろ地球の歴史でいう「ダグラスDC-4」のような、最初期の4発レシプロ機に似た見た目をしていた。

 「ラ・カオス型旅客機」……ムー国の誇る“旅客機兼大型輸送機”である。ムー製の航空機では最大の航続距離を誇り、民間の長距離旅客機や空軍の長距離輸送機としても使われる、“ムーの運び屋”といってもいい機体である。

 今回は、ロデニウス連合王国に派遣されていた4人の観戦武官たちをムー本国に連れて帰るため、タウイタウイ島に派遣されていた。現状ロデニウス全土を見渡しても、ラ・カオス旅客機が無事に着陸できるような飛行場はタウイタウイ島以外にもあるのだが……まあ、「玄関から入ってきたお客人が玄関から出ていく」だけのことである。

 

「半年ってあっという間だったな……くそー、いろいろと調べるには時間が足りなさすぎた!

見ろよ、あのロデニウスの大型爆撃機のすっきりした形状! あんなのと比べたら、うちの『ラ・カオス』なんて()()ったいもんじゃねーか! どうやってあんなすっきりした機体形状を実現するのか、もっと調べたかったよ!」

「先輩、頼みますから我が国の誇る旅客機とロデニウスの機体を比較して、我が国の機体を酷評するのは止めてください……」

 

 滑走路脇に駐機されているロデニウス陸軍戦略航空軍の誇る大型爆撃機「B-29改」を見て、率直な感想を口にするマイラスに、リアスが苦言を呈する。

 

(そっ)(きょ)()を使った遠距離射撃術に、航空機を駆使しての弾着観測射撃術、それとレーダー照準射撃術か……。おそらくこういった射撃術が、ムー海軍の明日を左右することになるに違いない……!」

 

 ロデニウス海軍第13艦隊の戦艦が導入している射撃術に、ムー海軍の明日を見い出そうとしているラッサン。

 

(あん)(みつ)、クレープ、それに羊羮やおしるこ…どれも美味しかったな……。どうにかして、ムーでも作れないかな……?」

 

 第13艦隊の艦娘たちとの交流の中で教えてもらった甘いものとその調理法(レシピ)を思い返しながら、ムー国にある材料でそれ等を再現できないか検討するアイリーン。

 

「そろそろ時間です、搭乗してください!」

 

 「ラ・カオス」のパイロットが搭乗を促した時、やっと堺がやってきた。その側には"大和(やまと)"と"(あお)()"……とあと1人の艦娘が控えている。仕事が重なったためにギリギリになってしまったが、ともかくも彼らはムー国の観戦武官たちを見送ることができそうだった。

 

「はあ、はあ……何とか間に合ったか……。

ムーの皆様、半年間のお務め、お疲れ様でございました。この半年間は、有意義なものになりましたでしょうか?」

 

 4人に向けられた堺の質問に、マイラスが真っ先に食い付いた。

 

「有意義も何も、今までの人生より遥かに有意義でした。といいますか、半年間じゃ到底足りません! グラ・バルカス帝国の脅威がある今、ムーは()()()()()ならなければならない。しかし貴国から全てを学ぶには、半年ではあまりに短すぎました! せめてもう半年いたかった…」

「ははは、それはそれは。マイラス殿には、この半年間は濃すぎたようですな。他の皆様は如何でしょうか?」

 

 続いて感想を述べたのは、マイラスの後輩リアスである。

 

「貴国の造船技術には驚きました。我が国の『ラ・カサミ級戦艦』より遥かに巨大な艦を、あっという間に建造できてしまうのですから。

それと、“レーダー”という電子索敵装備、あれに心惹かれました。是非とも、あんな装備を我が国にも導入したいものです」

「残念なことに、貴国と我が国が“軍事同盟”を締結していない以上、貴国に装備を輸出したり、技官を派遣する訳にもいきませんからなぁ。しかしレーダーに目を付けるとは、鋭い観察眼をお持ちですな、リアス殿」

 

 リアスと言葉を交わす堺。その時、マイラスはふと気付いた。堺が他の3人に隠すようにして、手に持った小さな紙をマイラスの方に広げている。

 

『大和の後ろ』

 

 と、その紙にはたった一行だけ書かれていた。

 

(何のことだ?)

 

 疑問に思いながらも、取り敢えず堺の手紙に従うマイラス。

 そしてもちろんだが、これが“堺の罠”だったことは言うまでもない。

 

「私は、貴国の弾着観測射撃やレーダー照準射撃に驚きました。15㎞も先の目標に対して、あれほどの命中率を叩き出すとは……我が国にも、是非ともあんな戦術を導入したく思います」

 

 マイラスが堺の罠に引っかかっている頃、ラッサンが堺に感想を述べていた。

 

「ほう、どうやらラッサン殿もレーダーの(とりこ)になったようですな。

ただ、“軍事同盟を締結している”ならともかく、()()()()ではレーダー装備の輸出や技官の派遣等は難しいと思います。航空機による弾着観測射撃なら、優秀な無線通信機を備えた貴国の複葉爆撃機で可能でしょう。“制空権の確保”が必須条件になりますが、貴国には『マリン』がありますから、制空権確保に失敗することもそうそうございますまい」

 

 レーダー教の新たな入信者が2人も増えたことに、堺も満足そうな笑みを浮かべた。

 

「あと空母機動部隊から航空機を飛ばしての航空攻撃についても、我が国で考えられていた戦術と貴国のそれが似ておりましたので、我が国の理論が合っていたと感じています。

ただ、『魚雷』の存在は想定外でした。我が国を含むムー大陸においても、敵艦の喫水線下を攻撃する方法は衝角(ラム)しか知られていないのです。それがまさか、“水中自走爆弾”なんてものがあるなんて……」

「以前にマイラス殿から伺ったことがありますが、ムーにおいても魚雷という兵器はないのですね。

そういえばラッサン殿は戦術士官でしたな。“水雷戦隊による肉薄魚雷戦”は如何でしたか?」

「率直に申し上げると、……失礼を承知で申し上げますが、『頭がおかしくなった』としか思えません。数百メートルといえば、バリスタの射程距離程度です。そんな距離にまで、敵の激しい迎撃を突破して肉薄するなんて、“命知らず”という以外の表現を思い付きません」

 

 ラッサンのこの答えを聞いた堺は、思わず噴き出してしまった。

 

「ぶふっ、はっはっは! 頭がおかしくなった、ですか。ふむ、確かに仰る通りでしょう。

ですがラッサン殿、魚雷さえあれば、『ボートが戦艦を沈める』という“夢物語”が現実のものとなるのです。つまり、魚雷は()()()()()()()()かなりのコストパフォーマンスを発揮できる兵器だと言えます。そのことをゆめゆめお忘れなきようお願いします」

 

 堺にそうは言われたものの、ラッサンは魚雷を駆使した水雷戦にはあまり心惹かれなかった。元々彼の専門は砲術だ。そのため彼としては、魚雷戦よりも砲撃術の方が魅力的に思えたのである。

 

「最後に、アイリーン殿はどうでした?」

「私としては、貴国の“食に関する文化”が特に面白い、と感じました。甘いものが軍隊発祥だなんて思いもしませんでしたし。ですが今では、貴国の甘いもの、特に餡蜜というのが好みです。できたらまた食べに来たいですね」

「なるほど。しかし、“餡蜜のためだけ”にわざわざお越しいただく、というのもいささかしんどいですね。餡蜜の製法は分かっていますか?」

「一応教えてはもらいました。しかし、クリームを上手く作るだけの自信がありません」

「ふむふむ。まあクリームくらいでしたら、牛乳と砂糖と泡立て器があれば作れるかと存じます。頑張ってください。

それと、今度はムーの甘味を教えていただきたいですな! うちの子たちは甘いものが大好きなので」

 

 そうして言葉を交わしていると、いよいよ出発時刻がやってきた。

 「ラ・カオス」旅客機の4つのレシプロエンジンが始動し、プロペラが轟音と共に回り始める。

 

「あ、そうだ。皆様、最後に記念撮影といきましょう!」

 

 堺の提案で、大急ぎで記念写真の撮影が行われることとなった。もちろん、カメラマンを務めるのは"青葉"である。

 

「横に一列に並んで……。ムーの皆様を前列にして、我々は後列へ!」

 

 堺がテキパキと指示していく。そこへマイラスが戻ってきた。……()に食い付かれたまま。

 

「あの、提督……本当に来てよかったのですか?」

「ああ、構わん!」

 

 レシプロエンジンの轟音に負けまいと堺が叫ぶ。その相手は、白い巫女服っぽい衣装を着て赤いスカートを履いた艦娘……(こん)(ごう)型戦艦娘の"(はる)()"であった。

 ……そう、「堺の罠」とは()()()()()()である。

 

「ではいきますよぉー! あ、もう少し左に……」

 

 ハンドサインを入れながら、"青葉"が一眼レフのフレームを覗いている。

 なお、“当然のように”マイラスの後ろには"榛名"が立っていた。これもまた、堺の差し金である。

 

「よし……では皆さん、笑顔で! はい、チーズ!」

 

 "青葉"の言葉の後、カメラがカシャッという音を立ててシャッターを切る。フラッシュの白い光が一瞬煌めいた。

 

「ではもう1枚撮りまーす! いきますよ……はい、チーズ!」

 

 こうして、記念撮影は終了した。

 

 

 記念写真については現像・印刷が簡単にはできないため、後日ロデニウス連合王国からムー国に郵送される、という形で交渉をまとめると、ムー国から来た4人の観戦武官たちは今度こそ「ラ・カオス」旅客機に搭乗した。

 移動式のタラップが外され、機体のドアが閉まる。管制塔からの誘導に従い、堺、"大和"、"榛名"の挙手の礼による見送り+"青葉"の写真撮影を受けながら、「ラ・カオス」旅客機はゆっくりと誘導路を走り、滑走路へと出る。そして重々しいながらもどこか軽快な動作でスピードを上げ、滑走路を走り出した。

 

「テイク・オフ!」

「離陸します!」

 

 旅客機のコクピットの中では、機長の命令を復唱しながら副操縦士が操縦桿を引く。そして「ラ・カオス」旅客機は地面を蹴り、ふわりと空へ飛び立った。

 それは、長きに亘った“ムー国観戦武官たちの任務”の()()が、ようやく終わったことを意味していた。

 

 

「この半年間は長くも短かったなぁ、本当に」

 

 水平飛行に移行した「ラ・カオス」旅客機の中で、水平線の彼方に小さくなっていくロデニウス大陸を振り返りながら、ラッサンが独りごちた。

 半年というと、時間的には決して短い流れではない。1年のうちの半分もの期間を、母国ムーから遠く離れた()()の地で過ごすことになるとは、出発する時のラッサンには予想もできていなかった。

 しかし、ラッサンにとってこの半年間は(マイラスほどではないにせよ)非常に“濃い”半年間であった。この半年があっという間に流れ去った、とラッサンが感じていることからも、どれだけ濃い半年間だったのかが容易に窺えるだろう。

 

「あっという間でしたね、本当に。私ももう少しあの地にいたかったですよ」

「アンタは、ただ単に甘いものを食いたいだけでしょうが」

「な、なっ! 失礼な!」

 

 アイリーンがラッサンの独り言に賛成した途端、リアスが身も蓋もないツッコミを入れた。頰を赤く染めながら、それに憤然とするアイリーン。

 

「まあ、あっという間だったのは俺も賛成だ。そこでだ、ロデニウスで何に驚いたか、ざっと挙げてみないか? 本国に戻って報告する前に、ちょうどいいまとめになるだろうし」

 

 そこに、これまで黙っていたマイラスが口を開いた。

 

「良いっすね、それ。じゃあ先輩からお願いしますよ、言い出しっぺですし」

「しょうがねえなぁ……それじゃ、俺から話すとしようか」

 

 リアスにツッコまれながらも、マイラスはゆっくりと話し始めた。

 

「まず俺が驚かされたのは、ロデニウスの航空機だな。正確には“()()の航空機”だけど。

覚えているか? 半年前にあの地を訪ねた時、空の旅の最終行程で護衛に当たってくれたロデニウスの戦闘機を。“プロペラが後ろに付いている”という、何とも不思議な機体だった。後で調べてみたら、アレはどうやら『(しん)(でん)』という名前の日本の戦闘機で、強力な出力を持つエンジンを以て高度1万メートルにまで飛び上がれる機体だそうだ。しかも武装は、30㎜機関砲4門という馬鹿げた火力で、おまけに時速700㎞もの速度を出せるらしい」

「え!? あの機体、そんなに凄い機体だったんすか!?」

「なんてこった……」

 

 マイラスの話に、リアスが目を見開いた。ラッサンも、信じられない様子で首を左右に振っている。アイリーン? 技術関連の話題に付いていけず、目を白黒させていた。

 

「ただ、格闘戦には向かないらしい。高速を利用しながら、爆撃を行おうとしている大型の爆撃機に“一撃離脱で30㎜の弾をぶち込む機体”なんだとさ。まあ、そんな機体があるだけでも驚きなんだが。

で、そこにどデカい爆撃機ときた。双発レシプロエンジンながら、この『ラ・カオス』以上の航続距離を飛べる『イチシキリッコー』(「一式陸上攻撃機」のこと)に『(ギン)()』。どれも無駄のないすっきりした機体形状で、日本の航空力学のレベルの高さが窺える代物だ。

トドメに『B-29』なんてバケモノまでいやがる。こいつは、『ラ・カオス』と同じ四発レシプロエンジンなのに高度1万メートル以上の高空を飛び、航続距離も爆弾搭載量も恐ろしいものを誇り、『マリン』の7.92㎜機銃では損傷を負わせるのも難しいほどの重装甲で守りを固め、挙句にとんでもない威力の防空火器まで持ってるんだ。()()()()次元が違いすぎる。反則も良いところだよ」

「ヒエッ……イチシキリッコーは知ってましたけど、あの4発レシプロエンジンの爆撃機ってそんなヤバい代物だったんすか!?」

 

 マイラスの説明に、リアスが真っ青になった。

 

「そりゃあ、パーパルディア皇国が()()()()する訳だ。お前の話を聞くに、その『B-29』とやらには『マリン』ですら勝てん。武器も通じない、下手に近寄れば返り討ち、そもそも相手が高度1万なんて馬鹿げた高度を飛んでいるんじゃ、『マリン』のエンジンが悲鳴を上げちまって、そこまで上がれないんじゃないか? そんな奴相手にワイバーンロードで勝つなんて、不可能も不可能、絶対に無理だ」

 

 艦砲の砲術を専門にしている戦術士官ではあるものの、航空戦術もある程度理解しているラッサンが、一言でぶった切った。

 

「ああ、お前の言う通りだよ、ラッサン。独自に計算してみたら、『マリン』のエンジンは理論的には高度5,000までは大丈夫だ。だが、高度5,500を超えると空気が薄くなってきて、エンジンに送られる酸素が足りなくなるから、満足に飛べなくなってしまうんだ。高度6,000にもなると、もう飛んでいるだけで精一杯、戦うなんてとてもできやしない。まして“『マリン』で高度1万”なんて、夢物語だよ。つまり、今の我が国の空軍には、『B-29』を食い止めるなんてできないのさ」

「まずいじゃねえか、それ。グラ・バルカス帝国がそんな機体を持ってたらどうすんだよ?」

「マジでヤバい」

 

 マイラスも青くなりながら、話を続ける。

 

「ムーがロデニウスと同盟でもしてればなぁ……。ロデニウスには、さっき挙げた『震電』を始めとして“『B-29』を攻撃できる機体”が幾つかあるんだそうだ。あと、大仰角を取って強力な砲弾を発射する、“野戦用高射砲”なんかもあるんだとか。そういった機体やら砲やらを購入するか、我が国の技術で生産できるようにしなきゃまずい。『B-29』みたいなバケモノを投入されたら、我が国は首都オタハイトだろうとマイカルだろうと、どこでも平気で爆撃されて、戦争を支えるのに必要な工業力や経済力を根こそぎ破壊されちまう。そうなりゃ破滅だ」

「「「………」」」

 

 マイラスの言う状況がどれほど不味い事態なのか理解し、3人とも顔から完全に血の気が失われていた。

 

「話が大きく逸れちまったな。つまり、我が国も早く航空機の技術を進歩させ、()()()を作れるようにしないといけないと思う。

それも“布張りの機体”じゃダメだ。“()()()()の、強力なエンジンを搭載した奴”でなきゃダメだ」

 

 「ダメだ」と言うタイミングで、マイラスは首を振った。

 

「幸いにして、ロデニウス連合王国にいる間に航空機関係の本はどっさり見てきた。その中には単葉機を作る技術や機体を全て金属で作る術のことも書かれていた。ムーに帰ったら、それを元手に全金属製の単葉機を飛ばしたいな。今我が国はロデニウスから供与された全金属製単葉機を作ろうとしてるらしいが、全く作ったこともない代物だからかなり難航しているそうだ。それを支援し、ムー初の全金属製単葉機を空に飛ばしたい」

 

 実際、マイラスの荷物は行きの時よりも帰りの時の方が圧倒的に増えていた。ロデニウス連合王国で取った各種データを、矢鱈とノートに書き込んで全部持ち帰ろうとしたせいである。

 話しているうちに、マイラスの目は熱を帯びて輝き始めている。

 

「先輩、それじゃ『マリン』はどうなるんです? あれの開発には相当苦労したでしょう?」

 

 リアスが尋ねると、マイラスはあっけらかんと答えた。

 

「『マリン』はもう無理だ。確かに『マリン』も優れた機体だけど、これからぐんぐん進化していく航空戦には付いていけない。

タウイタウイ島で読んだ日本の資料によれば、日本は最後の艦上複葉戦闘機を開発して1()()()には、もう初の全金属製単葉艦上戦闘機を実用化している。そしてその4年後には、脚を引き込むことのできる新型艦上戦闘機を開発、戦争で大活躍させたそうだ。その新型機は、あまりの性能の恐ろしさから、敵からは畏怖の念を込めて『ゼロ』って呼ばれてたらしい。

航空機ってのは、そんな風に急激に進化していくものらしいんだ。なら、開発にあれほど苦労した『マリン』が、一瞬で時代遅れになっても、何も不思議じゃない」

「もったいないっすねー」

 

 リアスは悔しそうな顔をした。それほど、「マリン」が一瞬で旧式化して使われなくなるだろうことが残念なのだろう。

 

「それはそうとリアス、お前はどうだったんだ?」

「どうも何も、ロデニウス連合王国の造船能力は大したものがありますよ。何せ、我が国の『ラ・カサミ級』よりデカい戦艦を何隻も建造し、維持しているんですから」

「何隻くらい保有してるんだ?」

 

 リアスが話し始めると、すぐにラッサンが疑問を呈した。

 

「ええと、戦艦()()で17隻。なお、その戦艦の全てが“『ラ・カサミ級』よりデカい艦”です。しかも、砲口径は最小で35.6㎝、砲身長はだいたい45口径だとか」

「は?」

 

 リアスの説明に、ラッサンの目が点になった。

 

「嘘だろオイ……。あの観艦式の時に見た奴らより、まだ多いのかよ……」

 

 確かに、あの観艦式の時には“相当数の”戦艦が参加していた。だが、治安維持のためにアルタラス方面に残っていたりして、“参加していない艦”も多い。

 ざっと名を挙げると、参加していたのは「金剛」「()(えい)」「榛名」「(きり)(しま)」「(なが)()」「()()」「ビスマルク」「アイオワ」、そして()(めし)(かん)に選ばれた「(やま)(しろ)」。「()(そう)」は参加していないし、「()()」と「日向(ひゅうが)」は、アルタラス島やフェン島方面の治安維持のため不参加。イタリア戦艦の「イタリア」「ローマ」と、英国の戦艦「ウォースパイト」も不参加である。

 え、大和型? あんな切り札を、そうそう衆目に晒せるもんですか。

 

「しかも……その中には、あのグラ・バルカス帝国の戦艦『グレードアトラスター』に()()戦艦がいる、と分かっています」

「エストシラントに砲弾叩き込んでいたな」

 

 だんだん顔色が悪くなるリアスに、ラッサンが半ば苦い顔をしながら答える。

 「グレードアトラスター」。それはムー国の人間のみならず、“全世界で注目されている名前”であった。

 

 現在、第二文明圏外西側を中心に大暴れしている「グラ・バルカス帝国」。突如として表舞台に姿を現したこの国は、第二文明圏外国を幾つも武力で併合した後、第二文明圏に接触してきた。しかし“文明圏外国”という立地のため、パルス王国・レイフォル国といった国家に散々軽くあしらわれた。その挙げ句、ムー大陸西方に国土を持ち、文明圏と文明圏外の境界にあるとされる島国パガンダ王国にも同様に侮蔑され……そして事件は起こった。

 マイラスたちが聞いているところによれば、外交交渉に当たったパガンダ王国の王族が、グラ・バルカス帝国側に“非常識な額の賄賂”を要求したらしい。そして、それにグラ・バルカス側の使節の1人が反発すると、不敬罪だか何だかでその使節を公開処刑したらしいのだ。しかし不幸なことに、その“処刑された使節”というのがグラ・バルカス帝国の皇族だったらしいのである。

 これに激怒したグラ・バルカス帝国は、パガンダ王国に対して即座に宣戦布告。パガンダ王国は列強・レイフォル国の筆頭保護国であることもあり、下手な文明圏外国より強力な海軍(具体的には魔導戦列艦である。ただし、搭載した魔導砲は射程が1㎞しかなく、また炸裂しない球形砲弾を発射する、レイフォルから見れば“型落ちのオンボロ品”である)を有していたのだが、グラ・バルカス帝国海軍はそのパガンダ海軍を一瞬で全滅させ、パガンダ島を包囲して、空からも海からも徹底的に攻撃したそうだ。聞けば、パガンダ島の形が変わってしまったとか。もしそれが事実なら、とんでもない破壊力である。

 その後、グラ・バルカス帝国は陸軍を揚陸してパガンダ島を完全占領し、結果パガンダ王国はたった7日で滅ぼされた。パガンダ王国民は地球でいう「民族浄化(ジェノサイド)」に遭い、王族から一般市民まで()()()()、1人残らず虐殺されたそうだ。

 

 筆頭保護国であったパガンダ王国を滅ぼされたことで、列強レイフォル国が激怒して、直ちにグラ・バルカス帝国に宣戦布告。竜母を含む強力な艦隊を、パガンダ島沖に派遣した。

 しかし、派遣された艦隊はグラ・バルカス帝国のたった1隻の軍艦によって全滅。そればかりか、その1隻の軍艦はレイフォル国の首都レイフォリアの沖合にまで進出し、レイフォリアに艦砲射撃を浴びせた。その結果、レイフォリアは壊滅し、皇帝を含む上層部多数が死亡したレイフォル国は政権を失って滅亡。レイフォル国の属領や属国・保護国は、一斉にグラ・バルカス帝国に降伏した。レイフォル国の宣戦布告から、僅か5日後のことである。

 そして、“レイフォル国を5日で滅ぼしたたった1隻の軍艦”というのが、他ならぬ「グレードアトラスター」であった。このため、戦艦「グレードアトラスター」はその巨大な容姿と凄まじい戦果によって、一瞬で世界にその名を轟かせたのである。

 

 いくら“列強最弱”とはいえ、れっきとした列強国であったレイフォル国が僅か5日で滅ぼされた、と聞いた時の衝撃は、今でもマイラスたちの脳裏に鮮烈に残っている。あの時は、「まさか」と思ったものだった。最弱とはいえ、“()()()列強国”であるレイフォル国が、“文明圏外国”にたった5日で滅ぼされる筈がない。そう思った。

 しかし、レイフォリアから命からがら逃げてきたという商人たちや一般市民からの話により、どうやらそれは“事実”らしいと確認された。また、レイフォリアにあったムー国大使館とも連絡が取れなくなっていた。

 これを以てムー国政府は、レイフォル滅亡を事実と認定し、グラ・バルカス帝国の調査に乗り出した。そしてそれが、マイラスたちの仕事としてムー統括軍情報通信部・情報分析課に回されたのだ。だが、グラ・バルカス帝国は徹底した鎖国をしているらしく、本国の位置すら掴めない状態が続いている。

 このため、ムー統括軍の一部はグラ・バルカス帝国について、かなり気にしているのだ。

 

「マイラス先輩は、『グレードアトラスター』に似た()()()()について、何か掴んでいますか?」

 

 リアスに質問を振られ、マイラスは口を開いた。

 

「ああ、何かどころか“()()()重要な情報”を2つも掴んだぞ」

 

ギンッ!

 

「「何っ!?」」

 

 その途端、リアスとラッサンが血相を変えた。

 

「教えてください、先輩! 何を掴んだんですか!?」

 

 凄まじい勢いで2人がマイラスに食い付く。

 

「ま、待て、話す、話すから落ち着け。

俺が掴んだのは、1つは日本やロデニウスとグラ・バルカス帝国の関係。そしてもう1つは……」

 

 マイラスはここで一旦言葉を切り、ごくりと唾を飲み込むと続きを言った。

 

「“『グレードアトラスター』のおおよその性能”だ。正確には、あの“日本の戦艦の性能”だけどな」

「「何だとっ!?」」

 

 今にもマイラスを食い殺さんばかりに、リアスとラッサンが詰め寄る。ドン引きのマイラス、それを見て驚くアイリーン。

 

「先輩、知ってる情報を今すぐ全部教えろください!」

「言わないなら、嫌でも吐かせてやる!」

 

 殺意。そう表現してもいいほど、2人は猛烈な食い付きぶりを発揮していた。

 

「分かった、分かったから少し落ち着けっての!」

 

 マイラスは、どうにか2人を引き剥がした。

 

「そんじゃ、どっちから聞きたい?」

「「性能から!」」

 

 一瞬の(ちゅう)(ちょ)さえもなく、2人は揃って同じ答えを弾き出した。

 

「分かった、そっちから話そう。だがその前に、2つ“条件”がある。アイリーンさんも聞いてくれ。

1つ目は、あまり大きな声で驚かないでくれ。そして2つ目、これはまだ()()()()で頼む。いいか?」

 

 マイラスが尋ねると、3人とも頷いた。

 

「頼むぜ。さて、気になる『グレードアトラスター』の性能……正確には、『グレードアトラスター』に酷似した日本の戦艦『ヤマト級』の性能は、まず、全長が263メートル」

「「はっ?」」

 

 初っ端からリアスとラッサンが仰天する。

 

「あのー先輩、聞き間違いじゃないですよね?」

「大丈夫だ、リアス。お前の耳は、どこもおかしくない」

「そんな……。『ラ・カサミ級』の倍の全長……!」

 

 リアスが絶望的な声を発した。ラッサンとアイリーンは言葉を失っている。

 

「最大幅は38.9メートルもある。もはや“海に浮かぶ鉄の城”だ。

んで排水量は、基準排水量が65,000トン、満載時排水量だと72,800トンにも達する」

「「「え……」」」

 

 想像を絶する大きさである。

 

「は、排水量が7万トン超……? 『ラ・カサミ級』(排水量15,140トン)の、4倍以上……?」

 

 リアスは、口から魂が出かかっている。

 

「化け物かよ……」

「す、凄い……」

 

 ラッサンとアイリーンも、揃って言葉を失いかける。

 

「凄まじいのはそれだけじゃない。それだけの巨体なのに、機関出力が15万馬力もあるおかげで、最大速力27ノットだ」

「何すかそれ!? そんだけデカいのに、『ラ・カサミ級』より脚が速い!? 反則ですよ、反則っ!」

 

 リアスが食ってかかるが、どうにもならない。

 

「……主砲は?」

 

 そこを気にするのは、砲術士官のラッサンらしいと言えるだろう。

 

「聞いて驚くなよ? ここだけの話だが……主砲は、45口径46㎝砲だ

「よんじゅうろっ……!」

 

 リアスが今度こそ絶句した。

 

「……バケモンだ……」

 

 ラッサンはようやく、その一言だけを捻り出した。そして我に返って質問を続ける。

 

「ってことは……射程距離は30㎞くらいなのか?」

「最大射程は、30㎞どころか42㎞もある。(もっと)も、有効射程は20数㎞だけどな」

 

 それでも凄まじい射程距離である。「ラ・カサミ級戦艦」の主砲である40口径30.5㎝砲の最大射程すら凌いでいる。

 

「貫徹力は?」

「ヤマト級戦艦の主要防御装甲は、厚さ410㎜だそうだ。……つまり戦艦の定義に従えば、『グレードアトラスター』の主砲は410㎜の装甲を貫ける、ということだろう」

「嘘だろオイ……。これじゃ、うちの(ムー)海軍はどれだけ頑張ったって、勝ち目がないじゃないか……」

 

 真っ青な顔でラッサンがそう言った後、マイラスとラッサンの2人は「はぁー……」と重い溜め息を吐いた。リアスはというと、魂がどこかに飛んでいっているし、アイリーンはとっくに話に付いて来られなくなっている。

 

「そんなバケモノなのか、『グレードアトラスター』って奴は……これに勝てる軍艦と戦術を作らなきゃならんのか。荷が重いなぁ……」

「その前に、お偉いさん方(軍上層部)にこれを報告しねえと。

あと、意外に思うかもしれないが、ロデニウスと日本、及びグラ・バルカスとの間には、軍事同盟どころか国交すら存在せず、ロデニウスは八方手を尽くしてグラ・バルカス帝国の情報を集めてるところだ。つまり、『グレードアトラスター』と『ヤマト級』がそっくりなのは単なる偶然にしかすぎないんだ。

これら全部を信じてくれるかねぇ、頭の固い連中が……そっちの方が、気が重いぜ……」

「全くだ」

 

 マイラスとラッサン、つくづく苦労の絶えない2人であった。

 

「ま、船を作る分にはこいつに任せれば良いしな」

 

 言いながら、マイラスはリアスの頭に拳骨を振り下ろした。頭を一発ポカリとやられ、リアスが慌てて注意を引き戻す。

 

「はっ!? 私は何を……」

「呆けすぎだ、リアス。『グレードアトラスター』の性能にショックを受けるのは分かるが、そろそろ起きて説明の続きをしろ」

「え? ああ、はい! それで、他にも『ラ・カサミ級戦艦』より全長が長くて『ラ・カサミ級』とほぼ同レベルの排水量を持つ“大型の巡洋艦”を、少なくとも6隻は保有しています。怪物ですよ、あそこの海軍は」

「何だその巡洋艦は……」

 

 ラッサンが、呆れたような声を上げた。

 

「その他に特筆するべきは、空母です。我が国の『ラ・コスタ級空母』……あれの速力が大体17ノットですが、それを超える性能の大型空母を何隻も保有しています。

例えば『アカギ』という空母ですが、全長260メートルという“『グレードアトラスター』ばりの大きさ”を持ち、その癖30ノットもの高速を叩き出します。搭載数は62+26機。『ラ・コスタ級』じゃあ、全く勝ち目がない怪物です」

「戦艦だけじゃなく、こっちもバケモノか……」

 

 今度はマイラスが呟いた。

 

「ええ。しかも、タウイタウイの図書館で見た資料によれば、『タイホウ』という空母は飛行甲板全面に鉄板を張って、爆弾くらいじゃやられないような重防御を施しているらしいです。何でも、“500㎏爆弾による急降下爆撃”でも耐えられるとか」

「「は?」」

 

 「飛行甲板に鉄板を張る」という、聞いたこともない技術を聞いて、マイラスとラッサンが呆れた声を発した。

 

「飛行甲板に鉄板!? それじゃ、『ソードフィッシュ』の爆撃でも“撃沈”はおろか、“無力化”すらできないのか!?」

「なんて奴らなんだ、本当に……」

 

 そんな空母が出てきたら、航空攻撃での対処はほぼ不可能だ。戦艦の艦砲射撃なら勝てる可能性はあるが、会敵すること自体がほぼ不可能である。30ノットもの速力では、「ラ・カサミ級」であっても追い付けないし、そもそも追い付く前に航空機の攻撃でボコボコに叩かれるのがオチだろう。

 

「それだけじゃありません。彼等はどうやら『潜水艦』という、自発的に海に潜る艦を持ってるらしいんです」

「「潜水艦?」」

「はい。海面の下に潜み、敵の軍艦や輸送船を見つけるとこっそり忍び寄って、魚雷を発射するんだそうです。それで、敵艦を撃沈する、さもなければ無力化して逃げられないようにする、と……」

「「………」」

 

 そんな艦、全く聞いたことがない。しかも、今のムー統括海軍では対処が不可能だ。

 いくら“鉄板張りの空母”であっても、()()()()ならばやりようはある。しかし“海に潜っている相手”となると、対処できない。どうやって戦えというのだ?

 

「そ、そいつはどうやったら倒せる?」

 

 マイラスが震え声を上げる。

 

「はい。まず『ソナー』という、水中の音を聞いたり、水中に自発的に音波を発する装置を用いて、潜水艦がどこにいるのか当たりを付けます。そしてそこに向かって、“爆雷”という兵器を投げ込むんだそうです」

「爆雷?」

「水圧、つまり水の圧力を感知して信管が起動・爆発する“水中爆弾の一種”です。他にも『ヘッジホッグ』とかの、潜水艦に直接ぶち当てて破壊する兵器もあるみたいですが」

「そんな兵器があるのか……」

 

 ラッサンが感心したように言う。

 

「あと、“船の建造方法”に関して画期的な方法が見付かりました。『ブロック工法』といって、1隻の船の船体を幾つかのブロックに分けて建造した後、最後に繋ぎ合わせて船体を完成させる方法です。これを使えば、建造工期の短縮に大きな貢献ができます!」

「それ、今すぐ採用したいな」

 

 リアスの報告は、こんな感じであった。「ブロック工法」の説明にマイラスが食い付いている。

 

「次は俺か……まず俺が感心したのは、レーダーという電子装備だ。これは、電波を発して航空機や艦艇といった目標を遠距離から探知する、索敵用の装備だ。ものによっては、50㎞とか100㎞先から敵を探知できる。しかも電波を使って探知するから、目標がワイバーンだろうと、魔力を発しない『マリン』のような航空機だろうと探知できる。これがあれば、頼もしいことこの上ない。

また、そのレーダーには軍艦の主砲射撃に使えるものもある。性能が良いレーダーなら、多数立ち上った水柱の中から“自艦の砲弾による水柱”を見分けることもできる。これがあれば、軍艦の砲撃命中率がぐんと上がるだろう。

レーダーが使えない場合でも、弾着観測射撃という方法がある。これは、航空機を敵の艦上に飛ばして自分の砲撃の着弾点を通報させるものだ。これができるとできないとでは、砲撃の命中率が段違いになる。ただし、この方法を試すとなると、敵艦の艦上にこちらの航空機をへばりつかせないといけないから、“制空権の確保”が必須だ。

俺が気になったのは、こんな感じの戦術だな。あ、あと“水雷戦闘”というものもあって、これは魚雷を搭載した高速の小型艦を複数、敵に向けて突撃させ、バリスタで撃ち合うような数百メートル台~数千メートル台の距離まで肉薄して魚雷を叩き込む、という戦法だ。雨霰の砲撃の中を数百メートルまで肉薄するなんて、俺からしたら“頭のネジが数本ぶっ飛んでる”としか思えないけどな」

 

 ラッサンの言い方は一見酷いが、事実であろう。

 下位列強だったパーパルディア皇国やレイフォル国の魔導戦列艦ですら、砲の射程は2㎞。かつてパガンダ王国やアルタラス王国が保有していた魔導戦列艦でも、射程1㎞の魔導砲を搭載している。距離数百メートルなんて、文明圏外国の軍艦に搭載されるバリスタくらいの射程距離だ。そんなところにまで、敵の凄まじい迎撃の中を幸運を祈りながら高速で突っ切り、肉薄して魚雷を発射、敵を攻撃するのである。文字通り“己が命を賭しての決死攻撃”だ。ラッサンには、そんな戦法は“死にたがりの自殺攻撃”にしか見えなかったのである。

 

 ……尤も、旧日本軍が太平洋戦争末期にやっていたことは、こんな水雷戦隊の突撃すら可愛く見える、“()()()()()自殺攻撃”である。有名どころは神風(しんぷう)特別攻撃隊。零戦を始めとする『航空機に爆弾を括り付け、敵艦に体当たりを仕掛ける』という“()()()()()()()を前提にした攻撃”である。この他にも人間魚雷「回天」やら自爆モーターボート「震洋」やらバカ爆弾こと「桜花」やら、数え上げれば枚挙に暇がない。これを知ったら、ラッサンは何と言うであろうか……。

 閑話休題(それはさておき)

 

「弾着観測射撃、うちの『マリン』でもできますかね?」

「通信機を搭載した複座の機体が望ましい……と堺殿は言っていたぞ。それなら、『マリン』よりむしろ『ソードフィッシュ』の出番じゃないか?」

 

 リアスの質問にラッサンが答えている。

 

「『ソードフィッシュ』っすか。『マリン』より旧式のあんな機体が、まだまだ出番があるなんて……」

「ん? もしかして、『ソードフィッシュ』は他のことにも使えるのか?」

「はい。これも堺殿の受け売りなんですが、『ソードフィッシュ』は()()()である分、低速でも発艦することができるでしょう? だから、脚の遅い空母に搭載して、“潜水艦狩り”なんかにも使えるそうです。“潜水艦の最大の敵は航空機”だそうなので」

「ふーん。『ソードフィッシュ』も、まだまだ捨てたもんじゃないんだな」

 

 実際、地球においてもイギリスの複葉爆撃機が、ドイツのUボート狩りに大きな成果を挙げている。

 

 ……ちなみに、その“イギリスの複葉爆撃機の名前”が「ソードフィッシュ」であることは、言っちゃいけないお約束。

 

「じゃあ、最後は私ですね」

 

 ちょうど会話が途切れた時を見計らって、これまで存在が空気になっていたアイリーンが口を挟んだ。

 

「ロデニウス連合王国及び、転移した日本の一部を見学して気付いたことは、大きなもので2点挙げられます。1つ目は、“甘味が美味しい”ということです。

ロデニウス連合王国では、全体的に見て甘味が大きな流行を見せているのですが、その発祥の地がタウイタウイ島、つまり日本の飛び地です。そこから多くの甘味が生まれ、ロデニウス全土に広まったのは間違いありません。

甘味の種類は様々です。よく冷えた氷のお菓子であるアイスクリームや、砂糖をまぶしたパン、この辺りは我が国にも似たようなものがありますから、理解できます。しかし、茶色い板状の甘味である『チョコレート』や、『ワガシ』として紹介されたもの……例えば紫色の柔らかいお菓子である『ヨウカン』や、紫色の汁に白いモチモチした食感のものを入れた『オシルコ』、あるいは『オハギ』『アンミツ』『モナカ』なんかは、どうやって作るのかよく分かりません。一応、製法も材料も教えてもらったのですが、ワガシについては『アズキ』という紫色の豆を擂り潰して砂糖を加え、甘く煮た『アンコ』なる食材が鍵を握っているらしい、ということくらいしか分かってないです。チョコレートにしても、『カカオ』という植物が原材料になっているらしいことは分かりましたが、その植物がどんな気候で育つのか等は不明です。こうした甘味をムーで再現するのは、どうやら少し時間がかかりそうですね。

2点目は、我が国と比較して“非常に優れた映像作品”が多い、という点です。タウイタウイ泊地の図書館に残されていた映像作品の一部を閲覧しましたが、特にアニメという作品は非常に完成度が高い。我が国では、あんなレベルの作品は到底作れません。素人の目から見ても、そう言えるレベルです」

 

 とここで、リアスがマイラスに尋ねた。

 

「そういえば先輩、以前タウイタウイ泊地に招かれた時に慰労パーティで歌われた『宇宙戦艦ヤ○ト』とやら。アレは何だったのですか?」

「ああ。あれは、かつて日本で放送されていた草創期のアニメ作品の1つだったんだ。あと、そのアニメ作品の主題歌のタイトルでもあった。

実際に視聴したんだが、素晴らしい作品だった…そして、それ以上にとんでもない兵器がバンバン出てくる作品でもあった。何しろ、ド初っ端から誘導魔光弾や音速超えの航空機、果てはコア魔法(遊星爆弾)の登場ときやがったんだからな」

「「え?」」

 

 リアスとラッサンが、見事にハモった。

 

「そんなバカな! 日本がコア魔法を知っているのか!?」

「調べたら、地球じゃ“コア魔法がある”なんて珍しくもないことだったらしい。地球にあった大概の“先進列強国”は誘導魔光弾や音速超えの戦闘機の配備は()()()()、“一部の裕福な列強国”は何百発ものコア魔法を持っていたそうだ。これもタウイタウイ図書館の情報だけどな」

「「どんだけ世紀末だったんだよ、地球ってところは……」」

 

 息がぴったりのリアスとラッサンであった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 そして5日後、中央暦1640年8月20日。

 長きに亘る旅路を経て、やっとムーに帰ってきた4人の観戦武官たちは、帰還報告もそこそこに外務省や統括軍司令部の偉いさんたちに呼び出され、報告を求められた。

 特にマイラス、リアス、ラッサンの3人は、報告内容が膨大なものであったため、報告会は数日にも亘って行われることとなった。そして、特にマイラスとリアスは、「ラ・コンゴ級戦艦」(ムー国産の金剛型戦艦に付けられた正式なクラス名。金剛の名に敬意を表して、その名の一部を拝借した)の艤装工事の指導やら「アラル艦上戦闘機」(国産の九六式艦上戦闘機にムーが付けた名前)の開発等と激務の合間を縫うようにしての報告会となったため、2人は休む暇もないほどに凄まじいハードスケジュールをこなす羽目になった。「長旅に疲れて帰ってきたら、いきなりこんな大量の仕事を押し付けられるとは思わなかった」とは、本人たちの弁である。

 しかし、3人が持ち帰った軍事知識の情報は、いずれもムー統括軍にとっては“値千金の大戦果”であった。その情報は、ざっと挙げただけでも以下のようになる。

 

 

・口径35.6㎝以上かつ回転砲塔を搭載した大砲の製造方法

・地球における航空機と航空母艦の発達史

電波探信儀(レーダー)の概念と基本構造、導入の勧め

・全金属製航空機の製造に大きく役立つ、アルミニウムの冶金技術

・造船における「ブロック工法」の概念と導入の勧め

・強力な高温ボイラーや高温高圧蒸気タービンの理論、概念と設計図、導入の勧め

・新型の陸戦兵器「戦車」と「自走砲」の基本構造

・測距儀や射撃指揮装置、高射装置に代表されるコンピュータの概念と基本構造、導入の勧め

・上記コンピュータに関連して、真空管やトランジスタ、ICの概念と製造方法

・潜水艦の存在と、それに対する有効な兵器となる「音波探信儀(ソナー)」、及び「爆雷」の概念、基本構造、対潜水艦戦闘術

・潜水艦や小型水上艦艇に搭載する新兵器「魚雷」の概念と基本構造、及び水雷戦隊による肉薄魚雷戦の理論と方法

・戦車を含む機甲師団を相手にする時の有効な防御陣地と対戦車戦闘術(パックフロントやパンツァーファウスト等)

・上記に伴う、成形炸薬弾(対戦車榴弾、HEAT弾とも)の概念、構造

・新たな金属加工技術「溶接」の概念と方法

・高射砲や大口径対空機銃の概念と基礎構造について

・対空・対潜戦闘の理論、方法とその重要性

・船団護衛、対水上・対空戦闘、魚雷戦、対潜哨戒、あらゆる任務に対応できる小型艦「駆逐艦」の導入の勧め

・2発以上のレシプロエンジンを持つ中型・大型の戦略爆撃機の構造と導入の勧め

・個人が携行可能な機関銃の構造。なお3人が持って帰ったのは「九六式、及び九九式軽機関銃」の構造と製造方法のデータである。

・新型の歩兵携行型陸戦兵器である手榴弾や火炎放射器、迫撃砲等の基本構造と導入の勧め

 

 

 この凄まじい大戦果に、ムー統括軍上層部が諸手を挙げて喜んだのは言うまでもない。どれもムー統括軍の強化に必須の項目であるばかりか、この先長きに亘って使えそうな技術ばかりだからだ。全てを実用化するには、かなり時間がかかりそうだが……もし実用化できれば、ムー統括軍は陸軍も海軍も空軍も、今とは比較にならないレベルで大幅強化されるだろう。

 

 

 だが……1つだけ、()()()()があった。

 

 

 8月26日、いつものようにマイラスは上層部からの呼び出しを受け、ムー統括軍司令部の会議室へと向かっていた。

 今度はいったい何だろうか。提出した報告書に、何か不備でもあったのだろうか?

 ともかくも覚悟を決め、マイラスは会議室の扉をノックすると、声を張り上げた。

 

「失礼します! ムー統括軍情報分析課課長、マイラス・ルクレール中佐、出頭しました!」

 

 すると、ドアを開けて軍幹部の1人が顔を出した。

 

「来たか、入りたまえ」

「はっ! 失礼します!」

 

 幹部に敬礼し、マイラスは会議室に入って……これは()()()と直感した。“出席者の面子”がどエライことになっていたのである。

 ムー統括軍総司令官自らお出ましになっている他、陸軍・海軍・空軍全ての最高司令官を始め“軍の高級幹部クラス”が勢揃い。他に、何故か外務省の面々の顔も見える。マイラスの友人でもあるムーゲの姿や、ムー外務省列強担当課長オーディグスの姿もあった。そしてなんと、ラ・ムー国王陛下御自らご臨席、という有様なのである。

 どう見てもたたごとではない。

 

(い、いったい何をやらかしたんだ俺は!?)

 

 マイラスは、滝のような冷や汗が背筋を伝うのを感じた。

 

「よく来てくれた、マイラス君。早速だが、本題に入りたいと思う。

君が報告してくれた内容……実に役に立つものばかりなのだが、“1点だけ気になるもの”があった」

「は、それは何でありましょうか?」

 

 統括軍総司令官の言葉に、マイラスの心臓が跳ね上がった。

 いったい何を訊かれるのか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君の報告によれば……ロデニウス連合王国は“戦艦『グレードアトラスター』に()()()()戦艦”を持っているそうだが、これは本当か?」

 

(そのことか!)

 

 マイラスは、“自分が重大なミスをやらかした”のではないと気付いた。そしてまずは、少しだけ安心する。

 だが油断はできない。何せ内容が内容なのだ。嘘を言う訳にもいかない。

 

「は、それは事実であります!」

「君の目で見たのか?」

「間違いなく、()()()()目撃しました! 資料についても、持ち帰ることのできる範囲で持ち帰っております!」

「では……報告書に書かれていた、“『グレードアトラスター』のおおよその性能”についてだが、君はあの数値を()()事実だと思うか?」

「は。あの数値については、細部に相違はあると思いますが、“概ね事実である”と小官は考えます!」

 

 マイラスがはっきりとそう言い切ると、会議室は大きなざわめきに包まれた。

 

「待ちたまえマイラス君! では君は、これが…この常識外れも甚だしい数字が、()()()()()と認めるのか!?」

 

 ざわめきの中、海軍本部長が声を荒らげる。

 

「全長263メートル? 最大幅38.9メートル? 速力27ノット? 排水量72,800トン? あまつさえ、主砲は45口径46㎝砲? 冗談も大概にしたまえ!

君はグラ・バルカス帝国がこんな……我が国の誇る“最新鋭の『ラ・カサミ級戦艦』ですらも凌ぐ艦”を持っていることを、事実だと認めるのか!」

 

 マイラスは、海軍最高司令官に真っ向から言い返した。

 

「小官とて、信じ難い思いであります! “栄光ある我が海軍の最新鋭艦”が、“()()()()()の艦に負ける”なぞ……!

ですが、ロデニウス、いや、ロデニウスの一部となっている日本までもがこんな艦を持っている以上、事実であると認めざるを得ないのであります! 小官は、決して嘘は吐いておりません!

それと、提出した小官の報告書に書き忘れたことがございますので、この場でお伝えさせていただきます。日本は、この『グレードアトラスター』に酷似した戦艦『ヤマト級戦艦』を、2隻も保有していました! そればかりか、計画ではそのヤマト級を4隻も揃えるつもりでしたし、さらにその改良型すら建造を予定しておりました。

以上のことから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()! そのことを、是非とも心に刻んでいただきたく存じます!」

 

 マイラスが投下した22000ポンド爆弾(グランドスラム)、いやグラインドバスターに、会議室は凄まじい激震に見舞われた。ある者は立ち上がって、「デタラメなことを言うな!」とマイラスを激しく詰る。ある者は顔面蒼白になって、何やら戯言を呟いている。またある者は口をぽかんと開けて、茫然自失している。

 「グレードアトラスター量産の可能性」という激烈な情報に、会議室は数百個のハチの巣を一気に叩き壊したような大喧騒で大嵐となっていた。

 

 

 たっぷり20分も吹き荒れた大嵐は、やっとのことで沈静化した。この時点でマイラスの胃がボロボロになって悲鳴を上げていたことは、想像に難くない。

 

「まあ……君の懸念については分かった。

ところで、グラ・バルカス帝国とロデニウス連合王国、及び日本との間には、何か関係があるのか?」

 

 嵐が収まった一瞬を衝き、外務大臣がマイラスに質問を投げる。度重なる口撃(誤字に非ず)でフラフラになりながらも、マイラスはどうにか質問に答えた。

 

「はっ。小官の見た限りでは、グラ・バルカス帝国とロデニウス連合王国、及び日本の間には、関係は()()()()と考えます」

「全く関係ない? つまり君は、この2国がよく似た戦艦を持つのは“偶然”だと言いたいのか?」

「は、(にわか)には信じ難いことでありますが、そうであると思います」

「ふむ……理由はあるのだな?」

「はい。まず、ユウヒ大使を通してロデニウス外務省に問い合わせたのですが、『“グラ・バルカス帝国”なる国は聞いたことがない』とのことでした。また、私が直接面会した日本の方も、『そのような国家は初めて聞く』と言っておりましたし、嘘を吐いているようには見えませんでした。そればかりか、私が彼にグレードアトラスターの魔写を見せて尋ねたところ、彼は“いくつかの根拠”を示して、『グレードアトラスターはヤマト級戦艦とは異なる』と言い切ったのです。以上が判断の理由です」

 

 マイラスが説明を終えると、外務大臣は「ふむ」と頷いて言った。

 

「君の主張については分かった。だが、“あくまで君が見た範囲でのこと”なんだな?」

「は、左様でございます」

「うむ、分かった。また後日、君に何か依頼することがあるかもしれん……その時はよろしく頼む」

「ははっ!」

 

 外務大臣のこの言葉に、マイラスは、後日とんでもない仕事を押し付けられるだろうことを確信していた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 果たして、マイラスの予感は見事に的中した。

 8月28日、マイラスは軍司令部を通して外務省から呼び出しを喰らったのである。それも外務大臣直々の呼び出しであった。

 外務省に出頭したマイラスに、外務大臣が言い渡したのは次のような任務だった。

 

『ロデニウス連合王国及び日本と、グラ・バルカス帝国。ロデニウス連合王国及び日本に派遣する使節団の一員として、技術的観点から三国の関係を探れ』

 

 そう、マイラスはまたもロデニウス本土に行くことになってしまったのである。つい数日前帰ってきたばかりだというのに、思いもしないとんぼ返りであった。

 

(まさか、この間行ってきたばっかりのロデニウス連合王国にまた行かされるとはな……これは予想外だな。

それにしても使節団ってことは、誰かが同行するってことだよな。誰だろう?)

 

 外務大臣室を辞した後、打ち合わせが行われる小会議室に向かいながら考え事をするマイラス。すると小会議室の前で見知った顔と出くわした。

 

「おや、これはマイラス君じゃないか。久しぶりだな」

「ムーゲさん!? お久しぶりです! 1年くらいぶり……ですかね?」

 

 早速旧交を温めにかかる2人。

 そう。そこにいたのは、マイラスの友人にしてムー外務省でも“最も老練”との呼び声も高い、老外交官ムーゲであった。

 

「ムーゲさんは、何でここに?」

「ああ、実はキャリアを買われてロデニウス連合王国に派遣される使節団の一員に選ばれてな」

「なんと!? 実は私もその使節団に選ばれたんですよ!」

「そりゃ本当か!? それじゃ、外務大臣が仰っていた“技術の専門家”というのは、君のことだったのか!」

 

 まさかの“行き先が同じ”ことが発覚。マイラスは技術担当として、そしてムーゲは交渉担当としての抜擢であった。

 読者の皆様には以前にちらっとお話ししたが、ムーゲは現場でのキャリアが非常に長く、ムーの外交官の中では1、2を争うほどの外交力を持った“超が3つほど付くベテラン外交官”である。彼ならば、他の人間が“腹の内で何を考えているか”読み取るのも容易い。それを買われ、今回の任務を命じられたのだ。

 

「まさか、ムーゲさんと一緒に仕事ができるなんて……今回はよろしくお願いします!」

「こちらこそ、期待しておるぞ!」

「はいっ!」

 

 2人は揃って意気揚々と会議室に入っていった。

 

 

 今回、ロデニウス連合王国及び日本に派遣されることになった使節は三人だけ。マイラスとムーゲ、そしてムー外務省の列強担当課長オーディグスである。“()()担当課長”という役職の者をいきなり派遣しようとしていることから、ムー国がロデニウス連合王国をどのように捉えているかがよく分かる。

 使節団に課せられた任務は、ロデニウス連合王国及び日本と、グラ・バルカス帝国との間の関係を調べること。ムー軍部や政府は、名前こそ違うものの全く同じような見た目をした2隻の戦艦の存在から、ロデニウス連合王国(+日本)とグラ・バルカス帝国の技術交流を疑っていた。しかしその一方で、()()()()()も見付けていた。グラ・バルカス帝国は、本国の位置すら秘匿するような“徹底的な排他主義”を貫いていることから、強力な戦艦である「グレードアトラスター」の性能を“自ら明かす”とはとても思えない。しかしロデニウス連合王国は、ヤマト級戦艦の性能に関して“隠し事”を一切していない。ということは……ロデニウス連合王国とグラ・バルカス帝国の間に技術交流等の関係はなく、グレードアトラスターとヤマト型の見た目が似ていたのは、あくまで()()であった可能性がある。

 ロデニウス連合王国(+日本)とグラ・バルカス帝国の間に何か関係はあるのか。それを確かめるべく、今回の使節団は派遣されることとなったのである。そのために、ムー外務省でもほとんど“トップクラスの現場経験”を持つムーゲが選ばれたのだ。また、ロデニウス連合王国と日本の技術はムーよりも高いものがあり、専門の技術士官でなければ正確な理解が難しい。マイラスに白羽の矢が立つのは当然であった。

 

(やれやれ、まさかこんなにもすぐにロデニウスにとんぼ返りする羽目になるなんてな。ついでだから、日本の航空力学についてちょっと調べてくるかな……)

 

 「ラ・カオス」旅客機のシートに深く腰かけ、ムー国の首都オタハイトの空港を飛び立ちながら、マイラスはそんなことを考えていた。




はい、ロデニウスにとんぼ返りとなったマイラスさんでした。残り3人? ムー本土でお留守番です。というか、リアスに関しては当分休みが取れないですね。


評価8をくださいました爆裂斎様
評価10をくださいましたsum様、sato905様
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また、新たにお気に入り登録してくださいました皆様、ありがとうございます!


次回予告。

グレードアトラスターと大和型戦艦の酷似。その原因を突き止め、ロデニウスとグラ・バルカスの関係を暴くべく、3人のムー人がロデニウスに向かう…
次回「3対1の戦い」

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