鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。 作:Red October
中央暦1641年1月1日。そう、元旦。
この日を含め、1月1日から1月3日までは“基本的に”どんな仕事も休みになる……というのは、実はこの世界の諸国家においても同じである。神聖ミリシアル帝国ですら、この3日間は官公庁も民間企業も休みになるのだ。
となると、良い言い方をすれば「休日を楽しむ」ことができるが……ある人々にとっては「暇を持てあます」ことにもなりかねない。
そんな元旦のロデニウス連合王国・タウイタウイ泊地では、当直や哨戒任務のシフトが当たっている艦娘たちはともかくとして、それ以外の者には“一律で”中央暦1640年12月31日から4日間の休暇が出されていた。そして今日は、前日の大掃除のついでに提督室の内装が変更されており、完全に元旦仕様となっていた。
提督室に入ってまず目に付くのは、部屋の隅にデンと置かれた存在感抜群の
窓も、木製の可愛らしいデザインの窓に変更されており、板張りの床は曇り1つ無く磨き上げられ、そっと
壁には、床との親和性が高い雪椿モチーフの飾りが付いた、白灰色を基調とする壁紙が張られ、その一部には紅白の横断幕がかけられ、さらに
そう、泊地司令部
え、
そう、実はこの家具の配置、御利益にも絡むものなのである。
一般的に、第二次世界大戦時の旧日本海軍艦艇には「艦内神社」というものがあって、艦に乗り込んでいる水兵や士官たちは、この艦内神社に艦と自身の安全を祈ることが多かった。この艦内神社、基本的には“日本国内のどこかにある神社の分社”のような扱いになっている。分社とはいえ曲がりなりにも神社、ちゃんと神様もいると考えられている。そのため、艦内神社にはしっかり神棚が設置されていることもあった。
当然、この特性は艦娘たちにも受け継がれており、艦娘たち1人1人の“艤装のどこか”に艦内神社が存在する。そして、一般に艦娘たちは、
しかしどうせなら、1人の神様だけではなく、より多くの神様から御利益を得ておいた方が良いだろう。そう考えた堺の発案により、「全ての艦娘たちの艦内神社にいる神様たちが集まる場所」……言い換えれば「タウイタウイ泊地の出雲大社」みたいな格好で作られたのが、この元旦仕様提督室だ。なので、御利益のこともちゃんと考えられているから、問題はない。
3日間限定で設置される「提督室大社」(そんなご大層な名前付けるな、って? ご尤もだが、そういう批判は覚悟の上での堺の命名である)は、1月1日の午前8時から公開され、当直や哨戒のシフトが入っていない非番の艦娘たちや妖精たちが、連れ立ってぞろぞろと参拝していた。
提督室のドアを入った彼女たちは、まずその場で一礼し、それから手水舎(とはいうが、桶に水を入れただけ)で簡単に手を清めて、賽銭箱の前に立つ。そして、各々好きな額のお金を賽銭箱に投下し、二礼二拍手一礼を以て今年の自身の安全その他の願い事を念じる。これで、一通りの初詣が終了となる。
この初詣自体は強制ではないのだが、何だかんだ信心深いところの多い艦娘たちは、全員揃って参拝していた。シフトが入ってしまって今日詣でることができない艦娘たちや妖精たちも、明日には参拝しに来ることだろう。
なお、この時投下されたお賽銭は、決して提督の懐に仕舞われる訳ではない。例えば消灯時間の若干の遅延(電気代に融通を利かせる)だとか、食事の量の若干の増加(食費にかけられる予算の増額)だとか、新しい家具だとか、必ず何らかの形で彼女たちに還元されるものである。だから心配はしなくて良い。
そして、初詣が済んだ後は……基本的に自由時間。だって仕事が休みなのだから。
そうなると、大体は遊びになるのだが……暇になった艦娘たちや妖精たちの中には、とんでもない遊びに走る者もいた。
♪デデンデッデデンデン、デデンデッデデンデン、デデンデッデデンデン、デデンデッデデンデン……♪
タウイタウイ泊地のとある建物の一室に、何やらどこかで聞き覚えのある音楽が鳴り響く。
そこには大勢の妖精たちが複数台のTVの画面を見詰めながら、コントローラーを握っていた。総勢64人の妖精たちが一堂に会する様は、ある意味圧巻である。
彼らは現在、二つの陣営に分かれて戦っていた。戦いの舞台は、丈の短い草が生える台地。基本的には草地と小規模の林くらいしかないが、所々に人工物がある。延々と伸びる低い石垣と木製の柵・教会、小さな村、牛か何かを飼っていたらしい畜舎・サイロ。そういったものの間を多数の砲弾や銃弾が飛び交い、大量の戦車や装甲車が地を駆けていた。そして空には、何機もの単発機や双発機が飛び回り、地上の敵に爆弾を落としたり、敵機に機銃掃射を浴びせたりしている。
「ちっ、この拠点頑強だな……。仕方ない! 砲撃支援を要請する!」
「あっ、くそ敵め、戦車による遠距離火力支援か!
「星1つ! これで撃墜4機、あとちょっとでエースパイロットだな!」
「グワーッ! やられた!」
「あっ、てめえらズルいぞ! ティーガー分隊とか、どうやって対処しろってんだ!?」
「うるせぇ! ヴァレンタインやらチャーチルやら、カッチカチの戦車ばっか繰り出してくる奴らに言われたくねーよ!」
何だかんだと言い合いながらも、妖精たちはゲームを楽しんでいる。そんな中、
「………」
無言でコントローラーを握る妖精が1人。その妖精の前にある画面には、非常に特徴的な逆ガル翼を持つ単発機が映っている。これが、今この妖精が操っている機体なのだ。
急降下していくその機体から、サイレンじみた甲高い音が響く。そして、
ドオン!
画面の中で爆発音。それと同時に、その妖精……“ハンス・ウルリッヒ・ルーデル”の画面の中に、ドクロマークが2つと赤い歯車のマークが出る。そして、「敵戦車破壊」の文字とキルによるポイント追加が入った。
その一方、
「ぐわっ、やられた! おい誰か、マジであのシュトゥーカどうにかしてくれ! 突撃兵はフリーガーファウスト持ってこい!」
“妖精ルーデルの操るシュトゥーカの爆撃”でキルされた妖精が、泣きを入れていた。
ゲームでもリアルでも、ルーデル閣下はシュトゥーカの扱いが上手かったのだ。次々と敵の装甲車輌を発見しては、まるで“それらの針路が読めている”かのように正確に爆弾を投下し、キル数を稼ぎまくっている。
その後も、妖精たちは何だかんだとゲームを続けていた。なお、一連の戦いの中で、妖精ルーデルはなんと1人で累計5万ポイントもの点数を稼ぎ、破壊した装甲車輌の数は300輌にも達している。しかも、歩兵の持つ対空火器やマップ内の固定対空機銃で撃墜されたことはあるが、戦闘機に落とされた回数は
結論。ゲームでもリアルでも、ルーデル閣下はガチだった。
そして、その隣の部屋でも複数人数が集まってゲームを楽しんでいた。但し、こちらは妖精たちではなく、艦娘たちである。
床の上に大きなボードが広げられ、カリカリカリ……と音を立て、その上でルーレットが回っている。そして、回転が止まった時、その針は「7」という数字を示していた。
「ええと、何々……? 『テキサス州で竜巻に遭う。火災保険に入っていなければ全財産を失う』!? ひええええー!」
7つ分進んだ後、車型のコマが止まったマスの説明文を見て悲鳴を上げているのは、
「ハーイ、比叡の全財産没収デース!」
プレイヤーの1人にして銀行係を兼ねる"金剛"が、有無を言わさず"比叡"の手元にあった札束を、1枚残さず取り上げていく。
「ひええーー!!!」
「比叡お姉様、一文無しですか……。次は私の番ですね。ええっと……」
呟きながら、今度は"
「強制ストップマスですね。結婚イベントですか」
そう。ここまでの会話で既に察していた人もいるかもしれないが、彼女たちがやっているのは「人生ゲーム」だった。
「皆様からのご祝儀は……あら、この数字だと『無し』ですね。まあ、仕方ないか」
これで、"霧島"のターンは終了。続いては……
「ではお次は、
ゲームマスターを兼任している"金剛"が、"榛名"の様子を見て首を傾げる。彼女は、どこかぼうっとしているような状態だったのだ。
「……あ、ごめんなさい! 榛名のターンですね」
一瞬の沈黙の後、"榛名"が慌てて現実に戻ってくる。そこへ、
「榛名、なーにぼうっとしてんの? あ、もしかして……」
"比叡"が絡んだ。
「……? 何ですか、もしかして、って?」
「いや、榛名が男のこととか考えてやしないかな、と思って」
「いえいえ、そんなことはありませんよ」
「そーぉ?」
言いながら、"比叡"は"榛名"の顔を覗き込む。だが、怪しいところは何もないと判断したのか、少しすると顔を離した。
「うーん、思い違いだったかな……?」
「ええと比叡お姉様、ルーレットを回さないといけないので、少しスペースを空けていただいても……?」
「ああ、ごめんごめん」
慌てて退散する"比叡"。ルーレットを回しながら、"榛名"は少しだけほっとした。
(良かった、バレずに済んだみたいですね……)
実を言うと、"榛名"は先ほどぼうっとしていたのではない。考え事をしていたのだ。そしてその内容こそ、"比叡"が指摘したものだったのである。
何を考えていたのかというと、言うまでもなく、"榛名"のことを1人の女性として……つまり恋愛の対象として見ているらしい、あのムー国の技術士官である。誰とは言わないが。
その彼のことが、ずっと"榛名"の心に引っかかっているのだ。
その直後、彼女は"比叡"と同じマスを踏んでしまい…火災保険が効果を発揮して、間一髪で一文無しにならずに済んだ。
その一方、部屋で1人、ゲームを楽しむ者もいた。
「くそー、これ難易度
呟きながらパソコンと向かい合っているのは、
彼女が見ている画面の中では、どこか美しさを感じさせるカラフルな弾が多数、画面を埋め尽くすほどに飛び交っていた。その真ん中で、黒と白のツートンカラーの衣装を身に纏い、箒に跨った金髪の少女が1人、カラフルな弾の間を縫うようにして動いている。これが"摩耶"の操作キャラだ。
それに向かい合うのは、これまた金髪の少女。但しこちらは血のような赤いワンピースに白のモブキャップを被り、その手に捻れた時計の針のような妙な物体を持ち、そして背中には七色のクリスタルがぶら下がった枯れ木のような翼が生えていた。それだけなら良いが、この少女がなんと4人いる。全く同じ格好をした4人の相手が、そのカラフルな弾を撃ち出し続けていた。
「ボムでぶち抜きたいのは山々なんだが、もう残り数が少ないから迂闊に撃てないんだよな……。面倒だけど、ここは通常弾幕でやるか!」
ぶつぶつ言いながらも、どうにか、といった様子で激しい攻撃を避けていく"摩耶"の操作キャラ。
「ったく、こんな戦闘の代価がコイン1個とか、どう考えても割に合わねーだろ……。しかも、『あなたが、コンティニューできないのさ!』って難易度高すぎだ! お蔭で、こっちは3回もやり直しさせられてんだ、少しは手加減しやがれ……ああくそ、埒が明かねぇ! ぶち抜いてやる!」
そう言って"摩耶"がキーを押した途端、独特の効果音と共に、金髪少女は虹色の特大レーザーを自機の前方に向けてぶっ放した。
さてその頃、別の部屋でもとんでもない事態が発生していた。
「あーもー! 全然突破できないじゃない! 死んでばっかりよ!」
怒り心頭といった様子で怒鳴っているのは、フレンチクルーラーの髪型が目立つ艦娘……
「ギャハハハハハハ!」
それを尻目に、床の上で"
「満潮ちゃーん、幾ら何でも死に過ぎじゃないかしらー?」
そう言う"
「ほら、そう言わずに! こんなゲームあっさり突破できる、とか言ったの満潮ちゃんじゃないですか! だから、応援してあげるから投げ出さないでクリアしましょう!」
流石は長女、"朝潮"だけはしっかりしている。
「うー……まあ、やるけど! もう……」
いったい何をやっているのかというと、パソコンの画面の中では、どこかとても見覚えがある2Dステージの中でキャラクターが動いていた。ただ、よく見ると"満潮"が操作しているキャラクターは、しょんぼりした顔をした、二足歩行の白い猫である。その周囲には、何やら緑色の亀らしき敵キャラや、白玉に顔がついたような敵キャラも見受けられた。そして猫は、"満潮"の操作に従って左右に動いたり、「プーン」という効果音と一緒に跳び跳ねたりしている。
さっき死んだため、彼女は中間地点からやり直していた。底抜けの床や隠しブロックに注意しながら進み、さっき死んだ原因となった雲(背景にしか見えないが、実は敵キャラであり、先ほどは「うめぇ!!」というダイアログメッセージが表示されると同時に雲の表情が変わり、猫が死んだ)も避けて進む。そして、階段状にブロックが積み上げられたところまでやって来た。
「あ、これは分かるわよ。もうすぐゴールよね! やれやれ、やっと1面クリアできるわ……」
"満潮"がそう言いながら、猫を思い切りジャンプさせて階段の中ほどに着地させた、その時だった。いきなり、画面の上方から白玉型の敵キャラが4匹も降ってきたのだ。
それに彼女が気付いた時には既に遅く、猫は敵キャラにぶつかられてしまった。
『性能の差だな……』
『遅すぎるんだよ!』
『カエレ!!』
『ぷー クスクス』
4つものメッセージが表示され、そしてどこか聞き覚えのあるSEと共に猫が死んでいく。
テレッテレテテテンテテン!
「はあぁぁぁぁぁぁ!?」
瞬間、室内に"満潮"の声が響いた。
「何それ聞いてないわよ! マ◯オじゃこんな敵降ってくる訳ないでしょ!」
「いや、これマ◯オじゃないですから!」
わめく"満潮"に、"朝潮"がどこかズレたツッコミを入れる。その横で、"大潮"と"荒潮"は笑いを抑えるのに苦労していた。特に"大潮"は、ベッドに俯せになって枕に顔を埋めている。
その間に画面が切り替わり、パソコンの画面は"満潮"が操作しているキャラの残機数を示していた。残機、−48。
繰り返すが、残機、−48。「お前は何を言っているんだ」と思うかもしれない。だが、画面にそう表示されている以上、こう表現するしかない。
中間地点のフラッグがあったところから再びゲームが開始され、ぶつくさ言いながらも"満潮"は再びキャラを操作していく。これまでに引っかかった罠にはかかることなく、さっきの「上から来るぞ! 気を付けろ!」な地点も、ギリギリで敵を回避した。
そして階段を上り切った先にあったのは……紛れもないゴールポール。黄色の球が先端に付属している。
「やった! やっとたどり着いたわ……って、あっぶない!」
"満潮"がキャラをゴールポールに向けてジャンプさせた時、ゴールポールの先端にある黄色の球から黄色いレーザーが水平方向に発射されたのだ。だが、"満潮"の操る猫はそれをギリギリで回避し……そして、ゴールポールの中ほどに触れた。
これまたどこかで聞き覚えのあるSEが鳴り、ポールを滑り降りた猫がゴールの建物に向かって歩き出す。
タラリラリララー……
「よかった、これでやっと1面クリア……。はー、何回死んだか……」
"満潮"が呟いた、その時だった。
いきなり、画面の上の方から魚とも幽霊ともつかない白いキャラが1体、降ってきたのだ。"満潮"はそれに見覚えがあった。これまでに2、3回目にした敵だ。
それは、ゴールの建物に向けて真っ直ぐ歩く猫に向かって落下し……見事に猫に命中。「Zzz」というメッセージを残して画面外に消えていった。その直後、ゴールした時のお約束のSEが途切れ、テレッテレテテテンテテン! という、死亡時のSEに切り替わる。そして、猫もその敵の後を追うようにして画面外へと落下していった。
「はあああああああぁぁぁ!!?」
"満潮"の絶叫が
「ゴールした後に敵襲とか、こんなのどうやって対処しろって言うのよっ!?」
「いや、これはあまりに予想外すぎました……」
「ギャハハハハハハハハハ!!」
そして"大潮"は完全に笑いのドツボに嵌り込み、苦しげに床の上を転げ回っている。
「う、うっさい! 笑うの止めなさい!!」
"満潮"が怒鳴るが、"大潮"はますます床の上を転げ回る。
「いやwwちょwこれはww予想外すぎwww」
"大潮"は、笑いすぎて言語までおかしくなってしまっている。
「大潮ちゃーん、その辺にしないと満潮ちゃんが完全に怒っちゃうわよ?」
何とか笑いを飲み込んだ"荒潮"が、"大潮"を止めにかかる。
「満潮、まずは深呼吸して。少し落ち着いて、それから一緒に攻略方法を考えましょう!」
ペースを取り戻した"朝潮"の取り成しにより、"満潮"は心を落ち着かせる努力を開始した。
その後、かなり長い時間をかけて、"満潮"はこのゲームを4面まで完全クリアすることに成功した。
なお全クリアした時、彼女の残機は−1,024に達していたとか。
他にも、ゲームに興じている者たちがいた。
第11駆逐隊に割り当てられた部屋では、"
その一方で、敵チームとしてではなく、味方として協力プレイを行う者たちもいる。
「バリスタ撃つよ! 弾まだ残ってるから!」
「ぴゃぁっ! ちょっと痛いよ……」
「ヤバいヤバい! 敵は怒ってるし、大技の準備に入ってるし!」
「
とある一室で、阿賀野型軽巡洋艦の"阿賀野"、"能代"、"
「今度はよく引き付けるんだ……良し、てぇっ!」
その言葉と共に、"矢矧"は自身の端末の下画面に表示された何かのゲージらしきものをタップする。その途端、画面の中で両手に持った小型剣を振り回していた彼女の操作キャラが、身体をコマのようにぶん回しながら、青紫色の巨体めがけて刃を打ち込んでいく。
4人のゲーム機の画面に映し出されている光景は、ある意味異様なものだった。いずこともしれぬ空間……岩らしき柱が幾つも背景に見えることから、おそらくどこかの地下洞窟らしい。かなり天井が高いが。そして、洞窟の床一面にも壁にも、想像を絶する大量の骨がぶちまけられている。その量は明らかに異常であり、洞窟の床全てを覆い尽くすばかりか、洞窟の床そのものが積もった骨でできているのではないかとすら錯覚できるほどだ。それが人骨なのか動物の骨なのかは、判然としない。
そして、骨をあちこちに撒き散らしながらその洞窟の中で蠢くのは、これまた異様な怪物だった。何の生物のものかも分からない巨大な骨を背中に背負った、巨大な胴体から2本の首と2つの頭部が生えているように見えるという、訳の分からない生物である。首と頭部は大量の骨に覆われており、骨を鎧として纏ったかのようだ。
……と思いきや、よく見るとそれは胴体だと思っていた部分が顔と胴体を兼ねている、青紫色の皮膚を持つ怪物であった。2本の首と2つの頭部のように見えたのは、実は2本の触手だったのである。そして、その生物の顔と移動の方法は、何だか軟体生物、それもはっきり言えばイカに似ていた。
その巨大イカ型生物の顔面に……正確には怪物の口内に、武器を持った"阿賀野"と"矢矧"の操作キャラが突っ込んで攻撃している。"阿賀野"のキャラは身の丈ほどもある巨大な剣を大上段に構え、それに力を籠めると、渾身の一撃を怪物の口元に叩き付ける。"矢矧"の操作キャラは両手に小型の剣を持って、怪物の口内を一寸刻みに切り刻まんとばかりに、猛烈な連撃を浴びせていた。そこへ、回復を終えた"酒匂"の操作キャラが戻ってきて、巨大な斧を振り回して相手の触手を攻撃し始める。それを援護するように、後方から"能代"の操作キャラが撃った大型の矢……バリスタの弾が飛んできて、怪物の背中に背負われた骨に火花を散らせた。
さらに怒り狂う怪物、それに対する阿賀野型4姉妹の猛攻もヒートアップしていく。狩りはまだ、暫く終わりそうにない。
そして、屋外で遊ぶ者たちもいる。
タタタタタタ!
軽快な連続音と共に飛来した多数の肌色の弾が、バリケード代わりに置かれた「八九式中戦車」にぶつかり、カンカンと金属音を立てる。地面に散らばったそれは、どこからどう見てもBB弾であった。
「はわわわ!」
「
そのBB弾の嵐から逃れるように「八九式中戦車」の陰に隠れた"電"が、エアガンの拳銃「M92F」を右手に持ったまま、首を竦めている。それに対し、何とか撃ち返す機会を窺いながら"
「くぅっ、敵の攻撃が苛烈だね……! 夜戦なら負けないんだけど!」
エアガンの「StG44」を抱えたまま、"
「え……!?」
彼女は思わず目を見開いた。
移動すら難しいはずの、相手チームの銃撃。その中をたった1人、
「流石に、手慣れた様子ですね……」
その様子を見ていた"
『聞こえてんぞ、神通。バッカ野郎、俺を誰だと思ってんだ? 腐っても軍人だぜ、海軍軍人とはいえ一通りの訓練は受けてんだよ!』
そう、その人物とはなんと堺 修一その人であった。迷彩服を着用してゴーグルとヘルメットを被り、腰のホルスターにはエアガンのシン・ナンブ拳銃を収めている。そして背中にはなんと、89式
89式は5.56㎜じゃないかって? 甘い。確かに名称は同じ「89式」だが、うp主はこれが「西暦1989年」の89だなんて一言も言っていない。そう、これは西暦2189年に採用された「89式7.7㎜自動小銃」なのである。
明らかに訓練された軍人の動きそのもので自動小銃を構えた堺は、素早く周囲の状況を確認し、三点バーストで一連射を叩き込んだ。見事に撃ち抜かれた相手チームの"
「司令官さん、すごいのです!」
"電"が「八九式中戦車」の陰から顔だけ出して、堺に驚いている。
「さあ、私たちも負けて……」
負けてられないわよ、と言おうとした"
「スナイパーか、厄介だな。だが、ここを凌げば勝利はぐっと近くなる! 慌てずに、相手の数を減らすことを考えろ! あと、あんまり一ヶ所に留まるなよ!」
こういう場面には慣れている堺が指示を飛ばし、それに従って"川内"や"雷"たちが動いていく。泊地に集う空母艦娘たちの演習用弓道場を借り切って行われているこの模擬戦は、ますます白熱しつつあった。
そして堺もまた、ひと時の間だけ激務を忘れ、遊びにハマっていたのである。
はい、元旦の話かと思いきや、ゲーム事情でした。いやお前ら何やってんだ、というツッコミは甘んじてお受けします。
さて、どんなゲームが登場していたかを、五十音順に名前だけ挙げておきます。
「サバイバルゲーム(サバゲー)」
「ジェンガ」
「しょぼんのアクション」
「人生ゲーム」
「スプラトゥーン2」
「東方紅魔郷~the Embodiment of Scarlet Devil.」
「バトルフィールドV」
「モンスターハンターXX」
誰がどれをやっているかは、ご自分でご確認なさってください。
それと、提督室の内装については、「艦これ」着任済みの提督諸氏は以下のように内装を変更していただければ、お分かりいただけると思います。
「睦月の壁紙」
「睦月の床」
「鎮守府初詣セット」
「睦月の窓」
「しめ飾り」
「迎春書き初め大会二〇一八」(そこから書き初めを全部外す)
総合評価6,700ポイント突破! 本当にご愛読ありがとうございます!! 感無量です!
改めて、本年もよろしくお願い申し上げます!
評価8をくださいましたYOMUHITO様、MASASI様
評価9をくださいましたコットン・コットン様
ありがとうございます!!
また、新たにお気に入り登録してくださいました皆様、ありがとうございます!
次回予告。
海軍の指揮官を"大和"に任じる形で行われていた、魔王ノスグーラとの戦い。その時堺は何をしていたのか。彼が取り組んでいたのは、外交拡大を図るロデニウス連合王国が直面した「ある問題」であった…
次回「堺の案件 新たなる外交」