重桜指揮官「亡命してぇ」   作:三途リバー

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紅染、三笠大先輩のストーリーを見て
「うわ…重桜内ゲバかよ…こんなとこで働くのは嫌だわ…」
とか考えながら高雄を愛でてたら思い付いたお話。



翔鶴ってあれ絶対腹にイチモツ抱えてるよね

「滅びろ一航戦!!!あとついでに翔鶴!!!」

 

悲痛な叫びと共に、男は布団に倒れ込んだ。

自国を率いる巨頭、並びにその後輩を痛罵するとは聞く者が聞けば軍法会議物の発言であるが、彼の口は一向に止まる気配はない。

 

「なんであいつら他の反感考えねぇで決定事項だけ通達すんだよ強者の言葉を聞くは当然って脳筋かバーカバーカ大体翔鶴も反対ならその場で声挙げろやわざわざ酒宴を開いて反対派閥作ろうとすんなそして俺に声をかけるんじゃねぇ赤賀に睨まれるだろうが何が私達話があうと思いません?だテメェみたいな腹黒と話あってたまるか俺は睦月型に飴さんあげて喜ぶ顔見れりゃそれで良いんだよあぁでも祥鳳とかの反応もかわいいんだよなあの素直なおおきにの一言に救われるいやあれのためならむしろ世界救えるそういう観点で言や確かにそれが出来なくなりかねない紅白狐の政策にゃ反対だだがだからと言って背中刺そうとまでは思ってねぇまぁグレイゴースト辺りに軽くボコられねぇかなってほんの少しだけ思ってるけどあぁ畜生酒飲まされ過ぎて頭痛ぇ!!!!!!!」

 

「それだけ喚く力があれば大丈夫だろう、児童性愛者。ほら水だ」

 

枕に向かって捲し立てていた男に、コップが差し出された。気だるそうに受け取る男を支えるのは、白い軍服を纏った女性…高雄型重巡洋艦一番艦、高雄。

 

「うっぷ……気持ち悪ィ…。あぁいや、そんな怒るな。俺はロリコンじゃねぇ、ただちっちゃい子を眺めてると和むだけだ。鉄血のキュンネちゃんとかもう死ぬほど可愛い…可愛くない?てかそう言えばアーちゃん元気かな?Yes駆逐艦Noタッチを互いに誓いあったんだが…」

 

支離滅裂な事を言い出す男の様を目の当たりにし、高雄は溜息をつくしかない。こんなんでも彼は、東方随一と評される鬼才の軍人であった。

 

「重桜、いや、レッドアクシズの英雄が敵の安否を心配してどうするのだ。翔鶴殿もそなたの発言力が絶大だと分かっておるからこそ、誘ったのであろう。三笠様が御隠居なされ、鳳翔殿が一線を退かれた今、一航戦の2人に面と向かって反対意見を唱えられるのはそなただけだぞ。あまり大きな声では言えんが、この戦の方針に反対の者にとってそなたは希望だ」

 

高雄の真面目な雰囲気に引っ張られたか、べろんべろんに酔っ払っていた男の意識も徐々に覚醒してきたらしい。

 

「はン、なぁにが希望だ、翔鶴の女郎(めろう)俺を旗頭にして一航戦を打倒してぇだけさ。その後の事なんざ考えちゃいねぇ。よしんば考えていたとしても、どーせ赤賀の首を手土産にアズールレーン再加盟程度のお粗末なモンだ」

 

アズールレーン時代はあまり着ていなかった和服の羽織を、乱雑に脱ぎ捨てる。

 

「そんなんでユニオンロイヤルが首を縦に振るか。俺の知り合い(戦友)にそんな頭の目出度い奴はいない」

 

布団から起き上がった男の顔は、既にもののふの物。

かつて指揮官と呼ばれた彼は、重桜の戦奉行(いくさぶぎょう)であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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戦奉行とはなにか。いや、そもそも彼は何者か。

一言で言い表すならば、建前上重桜一の指揮官だ。

かつてセイレーンに対抗すべく結成された海洋国家同盟、アズールレーンにて一大戦果を挙げ、諸国からも賞賛を浴びた鬼才。

まだタダの指揮官であった頃の彼は、民間からの叩き上げという事もあって「重桜の指揮官」と言うより「アズールレーンの指揮官」と世間に受けとめられていた。出身国は重桜でありながらあまり国の束縛を受けず、セイレーンの侵攻がある度混合艦隊を率いて敵を捻り潰してきた。自然、彼から艦隊運営能力を学ぼうと招いたロイヤル、ユニオン等の国々との親交もそれなりにあった。

しかし、鉄血と重桜の2大国家がアズールレーンを離反、レッドアクシズを名乗ってからは状況が変わった。

重桜人たる彼は当然の如くレッドアクシズの象徴に祭り上げられ、後はもうお察しの通りである。重桜にとっては絶大な人気を誇る国の英雄に。アズールレーンから早急に殺すべき、もしくは捕らえるべき対象に早変わり。

 

そこで、愛する男を奪われないたm…もとい、国の象徴を失うのを防ぐために一航戦の愛が重い方(ヤンデレ狐)が考え出したのが、

 

戦の全てを統括する軍事最高職(戦奉行)(ただし前線に出るとは言っていない)。

 

しかもこれにはおまけがあり、彼は奉行ではあるが並んで奉行並という名の一航戦の傀儡が3人置かれている。

奉行の方が力は上ではあり、入れ札によって是非を決定する際も奉行並2人分の投票権を持つが、奉行並が固まれば票数は2対3と及ばない。

とどのつまり、戦奉行たる彼は安全地帯に置かれている体のいいお飾りであった。

 

 

 

 

「くそ、マジでしこたま飲ませやがって…酔わせてでもなんでも、事が起これば協力すると言質を取りたかったらしい。妹が赤城に疎まれ始めたのを気取って焦ってるな、腹黒シスコン鶴め…。こんなに長引くなら高雄か摩耶を連れてくんだった。お前らの無愛想には定評があるからな、宴なんざすぐにお開きになったろう」

 

高雄がいれたお茶を一息に飲み干し、そんなお飾りがなおもボヤく。

今更であるが高雄は彼が指揮官適正に目覚めた時に初めて指揮した艦船だ。姉妹共々彼に全幅の信頼を寄せており、公言してはいないものの私的な秘書艦のようなものだった。指揮官が彼女を傍に置くのは、要らぬ火種を持ち込ませない為にこれ以上なく適任だったかからだ。………まぁ1番の理由は別にあるのだが。

 

「残念ながら拙者達はもう既に一度誘いを断っていてな。おかげで翔鶴殿には露骨に警戒されてしまった。拙者達とそなたの間に亀裂を生じさせるためにも、わざわざ一人でいる所に声を掛けたのでは?そして女に弱い戦奉行殿の1本釣りに成功した、と。ふん、口説くのに熱も入るわけであろう」

 

「いや釣られてねぇから。…で、どうやって断ったんだ?最近のあいつは大分強引なのに」

 

「『恥ずかしながら酒癖が悪い故、何を仕出かすか分からぬ』とだけ」

 

「あぁもう分かった、刀の鯉口切りながらね」

 

「ふふっ、流石拙者の事を分かっておられるな」

 

ぴくり、と高雄の犬耳が震える。長い付き合いではあるが、軍規、士道に人一倍厳しい事で有名な堅物女の心の琴線が、指揮官には未だに分からない。

 

「いやそこ照れるところじゃないから。そりゃお前一航戦派だと思われんのも当たり前だろ。」

 

しかし分からないからこそ、知りたい、触れたいと思うのが男の性。

 

「人の腰を抱き寄せる場面でもないがな、奉行殿」

 

「奉行殿はやめろって。てかさっきからなんで機嫌悪いんだ、俺ァ本当にロリコンじゃ…あ?もしかして俺があいつらと呑んだから妬いてるのか?今更?部屋の合鍵渡してるのに?」

 

「口に出すなばかものっ!……どうせ、拙者は無骨で華がない用心棒だ。指揮官もその程度にしかっ…!?!?」

 

口を塞ぐ事で胸糞悪い言葉を封じ込め、指揮官は先程の様子が嘘であったかのように手早く高雄を抱き上げた。

が、なおも口吸いをやめない。

 

「ーーーっ!!ん、ちゅ、…しきかん、どの…」

 

あっという間に顔が蕩けさせ、うわ言のように自分を呼ぶ高雄を布団の上に優しく横たえ、芸術品を愛でるかのようにそっと横顔に触れる。

 

「誰が何と言おうと…()()()()()()()()()()()()()()

 

 

普段は抑えられている地言葉が思わず漏れた。戦場であれほど凛とした女性が、今我が目の前で頬を上気させている。潤んだ目を己にだけ向けている。

 

―俺のために、妬いている。

 

「高雄。名前ば、呼んでくれ」

 

 

 

 

 

 

「っ、あ……――――どの…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、()()()に比べて大分事が長引いたのは酒のせいではない、と一人言い訳する指揮官がいたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指揮官様?あの鶴の所でお酒を召し上がられたの?どうして?赤城に申し付けて下さればいくらでも気持ち良く酔わせて差し上げられるのに、どうして態々あんな小娘の所に行かれるの?赤城のお酌ではご不満?いえ、決して指揮官様の御心を疑っているわけでは無いのよ、そう、あの女が指揮官様を誑かしたんでしょうねぇそうでしょう指揮官様?

 

「亡命してぇ」




開 幕 野 郎 の 怪 文 書

誰得ぶっちぎりスタートはごめんなさい反省してます。
指揮官の地言葉は大好きなキャラクターから、高雄の乙女プラグインは拙者の願望から取りました。
他に比べて死ぬほど空気が重いシリアス重桜良い…良くない?

流石に半端過ぎるしもっと仲悪い重桜が書きたいので続きを書く気「だけ」はあります。執筆能力が追いつくとは言っていない。
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