「俺たちももう高校生かー」
妖夢と二人で帰り道を歩いている時、ふと俺が呟く。そういえばずっと行き帰りが一緒だったなあ。そんなことを思い出しながら。
「早かったですよねー、この9年間、楽しかったですよ」
柔らかい笑みを浮かべ、そう言ってから立ち止まり、天を仰いで目を閉じる。
「……妖夢?」
「こうしているとみんなとの思い出が蘇ってくるんですよ。でももちろん」
そこで体勢を戻し、俺の方に顔を向ける。
「もちろん?」
「もちろん、龍真くんとの思い出が一番多いですけどねっ」
「!……うん、そうだったね。妖夢は一番の友人であり、幼なじみだ。当たり前でしょ?」
すると妖夢が少し赤くなり、不機嫌になる。俺は自然と発した違和感のない言葉だと思うんだけどなあ……なんかまずかったかな。
「全く龍真くんは鈍感ですねえ……」
ぼそっと言われたので何を言ったのかははっきりと聞こえていなかった。
「……え?何か言った?」
「何でもないっ」
ポカーン。なんでしょう、俺が何したっていうんだい!?誰か教えてよもう!っと妖夢行っちゃう!早く追いかけないと……
そして俺達の帰り道の最後、スクランブル交差点。ここを渡ればすぐ家だが……何せ車が通らないものだから交差点なんかいらないんじゃないかと思ってたりする。市は全く何のために作ったのだか。
~現在の龍真くんside~
…懐かしいな、このやりとり。いつもやってて当たり前になったけど今になってようやく楽しかったんだなって思う。人生なんてそんなものだろう。中学に上がって小学校は楽しかったなー。高校に上がって中学は楽しかったなー。この連鎖で人間成り立ってるんじゃないかって思うくらい。
これもそうだ。高校生になって妖夢の存在価値ってものが分かった気がする。
え、妖夢と一緒の高校に行ったんじゃないのかって?それは……これから分かる。
~再び過去龍真くんside~
「おーい、妖夢待ってくれよ~」
「許してほしいなら追いついて下さいっ」
「お、おい!走るなよ危ないだろ!」
それでも妖夢は走っていく。顔だけはしっかりこっちを向いて子供のように笑って。
「全く……」
軽く走りながら苦笑いを浮かべる。────がしかしその時だった。
「妖夢!前!!!」
俺はとっさに全力で走り、両手をメガホンのようにしながら叫ぶ。
「車なんかいないですよーちゃんと確認しましたっ───────!!!!!」
ガシャーーーン!!!!!
「妖夢!!!!!」
急いで妖夢の元に駆け寄り、抱え込む。なんで、今まで見えなかったはずのトラックがいきなり現れ、激突したのだ。
「妖夢!大丈夫か!?しっかり!!!」
「………龍……真、くん………」
トラックとの接触で妖夢は衝撃と出血多量で意識が朦朧としていた。
「う、運転手は!?」
トラックの窓から中を覗いてみると、誰もいない。
「はあ!?なんでいないんだよ!?」
「うっ……」
「……ちっ!そうだ!早く救急車を!」
急いで携帯を取り出し、電話をしようとするが……。
「くそっ!……なんで圏外なんだよ!?今までそんなことなかったはずだ!!!」
電源を入れ直しても、機内モードにして解除しても圏外。エンジニアでもない俺はもういじりようがなかった。
「こうなったら病院まで俺が担いでいくしか……」
そう思い、妖夢を抱えながら立つ。時間はない、全力で行って間に合うかどうかだ。よし!
決心し、走りだすが妖夢の状態は悪化するばかりだった。
「はあっ……はあっ……耐えてくれよ妖夢……」
近い総合病院まであと3キロほど。間に合えよ……!
「龍、真くん……」
「妖夢、しゃべるな!!!じっとしてろ!!!」
「もう、私は間に合わない、です。走るのを止めて下さ……い」
「いいから、いいから話さないでくれ………」
自然と抱える手の力が強くなる。そうでもしないと泣きそうだったから。妖夢がいなくなるなんて絶対嫌だから。
「けほっ!……私の話、聞いて……下さい」
「…………」
「龍真くん、覚えて、ますか?私の家の裏庭のあの綺麗で巨大な……桜の木……」
「あそこは……私の家の先祖が代々大事に残していったものなん、ですよ……」
「……あの桜は、春でも咲かないんだよね」
「あの桜は……なぜか私達の家系の人間が死んだ時にだけ、咲くそう、です」
「……そう」
「ええ……けほっ!げほっ!」
「お、おい!しっかりして!!」
「最後に……一つだけ聞いてほしいこと、あります」
「そんなこと言わないでよ……」
「私は…」
「………」
「私、魂魄妖夢は─────」
と言いかけ、手を俺の頬に当てた時、妖夢の身体がふわっと軽くなった……。
「……嘘でしょ」
揺さぶっても反応はない。軽く叩いても反応はない。
「嘘って言ってくれよ────!!!」
その場に倒れ込み、妖夢を抱きしめる。なんで?なんで妖夢が死ななければいけないんだ。
「なんで……!」
キラッ!
「!!!」
俺は、見た。妖夢のすぐ上の白銀の蝶が舞っていたのを。まるで、死んだことを待ちわびていたようにひらひらと2、3羽が舞っている。
すると。
ビリビリッ!!!
「っ痛!!!」
腕全体に静電気が走り、妖夢を放してしまう。そしてさっきまで上を舞っていた蝶が妖夢を取り囲む。
「おいおい……」
そして次の瞬間。妖夢からカッ!!!と光が放たれる。
「み、見えない!!!なんだこれは────!!!」
ようやく眩しい光が消えたと思い、前を向く。
「えっ………!!?」
驚くことに妖夢が、消えていた………。
妖夢……死んじゃいましたね……。これにて東方信々章は終わりに……って終わらないよ!
夏休みだからキャスやりつつ更新増やす!これ目標!どうぞこれからもよろしくですみなさん!
では感想お待ちしてます!