機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS 作:申業
こうして機体が足を下ろした場所は、
戦艦《フレイヤ》でも後方、ブリッジは斜め前にあり、
少し後ろを見れば戦艦のスラスターが見え、
左に戦艦のビーム主砲を見上げられ、右に街並みを見下ろせる。
着地すると共に、《Im/A-P》の灰色のボディは変化した。
ボディの色はより暗いグレー、装甲はブラック、
そして肩や頭頂部に赤いラインが入ったモデルとなっている。
『……ハイパードラグーン展開!』
間もなく、戦艦《フレイヤ》から、そんな音声が聞こえてくる。
これに合わせる形で、傍(かたわ)らにあったものも含め、
計4つの主砲が《フレイヤ》から分離。丁度、暗い空にヒビが入り、
ビームシールドかスクリーミングニンバスなどを展開しつつ、
5機あまりの《リックドム》らが降下していく。そんな時だった。
分離し、横長の三角柱型の主砲たちは、
多少の距離は維持しつつも《リックドム》らに近付き、
密集陣形を取っていた彼らに、計4方向からビームを撃ち込んだ。
向こうもビームの盾に守られている。ほとんどは弾かれたが、
うちの1発は運よくコクピットに命中。1機は仕留めた。
仕留められた《リックドム》が陣形より外れ、その後降下する間に、
空いたスペースから1機のモビルスーツの姿が見えた。
空と宇宙と、《リックドム》すら黒いという頭上に現れたソイツは、
武士の兜にある錣(しころ)のような装飾をつけ、
青いボディと赤い装甲で、こちらの目を引いた。
後に分かることだが、本当は《RAMW-02 ドミンゴ》というらしい。
対してこちらは、ガルムと命名された背中のビーム砲を、
下から手繰(たぐ)り寄せる形でソイツに向けた。
当たったが、流石に相手も見ていたのだろう。
相手は直前に左肩からビームシールドを展開し、これを防いだ。
その後、《リックドム》らはこちらに脇目も振らず、
攻撃だけは避けながら、街へと降りていく。
ただ、その《ドミンゴ》だけはそうせず、
ビームシールドを貼る左側を前に出しながら、こちらへ接近する。
《ドミンゴ》の手にはビーム突撃銃。
そのビームの連弾が俺を襲うまで、そう時間はかからなかった。
例によってビームシールドで身を守りつつ、
接近してくる《ドミンゴ》とは逆に、こちらは後ずさっていく。
なお、《フレイヤ》自体はこの間ずっと、
陽電子リフレクターという専用のシールドを展開しており、
ビームライフルの衝撃にクルーがあれこれ声を漏らすことはあれど、
戦艦が損傷した様子はない。
武器をサーベルに持ち換え、接近してくる《ドミンゴ》。
対して俺が使ったのは、肩の上に乗った豆みたいな形の武器。
正式名称を拡散プラズマ滞空砲というのだが、
これが蟹(かに)のハサミのような開き方をすると、
1個につき3本(両肩にあるから計6本)の細長い砲が姿を現す。
これら6つの砲門からビームが槍みたいに真っ直ぐ延びて、
《ドミンゴ》へと反撃する。
これにドミンゴは一度高度を上げたところで、
俺は思いきって戦艦から飛び降りた。
それは丁度、俺のIm/A-Pがいたのとは逆側のカタパルトが開き、
アレハンドロを乗せた《ZGMF-X31SR アスールアビス》が、
射出されたときだった。
「アレハンドロ!……戦艦を頼んだ!」
『……頼まれました!』
アレハンドロの返事を聞いた直後のこと、
気付けば、こちらを見下ろす位置に来ていた《ドミンゴ》。
また攻撃を加えてくる。ただし、今度はライフルではない。
《ドミンゴ》の顔から小さなプラズマの火の玉がいくつも放たれた。
それは、相手の(人間でいう)耳の位置から放たれたものだ。
着弾までに意外な程の広がりを見せたそれらの前に、
シールドだけでは防衛し切れず、いくらか食らってしまった。
威力が低く、大きな損傷はないが、表面装甲をいくらか削られ、
更にうちの1発がガルムに命中。誘爆を起こしてしまう。
幸(さいわ)い、これでも大した損傷はなく、
高度を下げ、ガルムの起こした爆煙に紛れさせる形で、
ビームジャベリンを投擲(とうてき)した。
しかし煙の晴れた先に、《ドミンゴ》の姿はなかった。
そのまま落ちていく機体。俺は街並みを見下ろす暇もなく、
市街地を走る《リック・ドム》のビームバズーカに襲われた。