機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS 作:申業
下より放たれた拡散するビームに、俺は被弾面積を小さくし、
耐えたが、それで全くの無傷とはいかなかった。
損傷という程ではない。ただ、人間なら肉を抉る程度、
血が出る程度に機体が削られていったのである。
着地すると、眼前には《リック・ドム》が2機。
最初は2機とも正面方向に立っていたが、
当のこちらが接近してきたことで分散し、やや手前の右側に1機、
奥の左側に1機という位置関係となる。
俺は機首のビームガンで右側をけしかけると、敵は右へと後退りし、
これを避けた。逆に左のヤツは今度は前進してきて、
コイツは左手でビームバズーカを乱射しつつ、
右手は腰のビームサーベルにかけている。
こちらはバズーカを避ける為、ジャンプし、狙いにくい低空を飛行。
ビルとビルの間を抜けていく。一方、ビルに隠れながら、
右のヤツもこちらと同じ向きに動いていたらしい。
不意にビルの隙間に現れ、屈んだ姿勢からバズーカを撃ち込まれた。
下からバズーカ、上にもバズーカの乱射が続いている。
ここで機体を分離。機体は背中のシルエットの他、
上半身と下半身、そしてその境目にいた1機の小さな戦闘機へと。
これらが一列に並べば、敵の的(まと)はかなり小さくなる。
攻撃をかわされた方の《リックドム》は、すぐに立ち上がり、
通りに出、改めてバズーカを撃ち込んできた。
逆に進行方向先の《リックドム》は乱射をやめ、
前傾姿勢になって右に動いて、ビルの陰に隠れた。
対してこちらは、バックパックだけ先に進ませ、
他は再度空中で合体し、左手と両足使い、地面に三点着地。
両足は折り曲げて、左手も肘から着くように。
そこから柔道の受け身みたく、左手側に機体を前転させつつ動き、
その間に、空いた右手で背中に乗せたビームライフルを掴み、
右手側の敵に向けて発砲。
しっかりと狙えなかったが、運よくコクピットに命中。
1機は仕留めることができた。
『……カストール!』
敵のパイロットがそんな声を上げたのが、無線越しに聞こえた。
次いで、さっき直進させていたバックパックを、
適当な地点でUターンして、本体の頭上に差し向けた。
『……クソォ!』
そう勇む敵が見える位置に出てきたところで、
バックパックを近付け、ガルムで狙撃する。
そこに内蔵されたカメラの映像で、敵機が両脚部を撃ち抜かれ、
倒れる様が見えた。バックパックはその後、相手の頭上で旋回させ、
倒れてもなお武器を通ろうとした右腕を撃ち、破壊したのち、
こちらに戻ってきた。本体はバックパックの直線上に立ち、
背中を向ける。あとはドッキングさせるだけだ。
ドッキングは成功。それから、ふと足下を見れば、
逃げ遅れたのだろう、親子らしき死体があった。
血まみれとなり、惨(むご)たらしく死んでいる。
思わず目を逸らしたとき、高所からビームが撃ち込まれてきた。
後退りしてかわした後、撃ってきた機体は武器を持ち換え、
ビームサーベルで上から斬りつけてくる。
見上げれば、その姿を見つけるのに時間などかからなかった。
ヤツだ。ドミンゴだ。のし掛かってくるような重い一撃を、
ビームシールドで上手くいなして避け、後退する。
『手合わせ願うよ……ガンダム君』
《ドミンゴ》のパイロットのものらしい。音声が聞こえてきた。
その相手がホルローギン・バータルであることまでは、
このときの俺は知らない。
「……また戦争がしたいのか?アンタたちは」
遠方では、別の《リックドム》が街を破壊する様子も見えていた……
若干時間を戻して、戦艦《フレイヤ》のブリッジを確認する。
ギドーは前傾姿勢になると、左手に拳をつくり、
右の掌(てのひら)へと叩きつけた。
後ろでは、ハビエルが苦い顔をしている。
「モビルスーツは、あと何機だ?何機出せる?」
ギドーが問い、ハビエルが答える。
ハビエルは、咄嗟(とっさ)に表情を整えつつ。
「《カオス》と《ガイア》を1機ずつ《ジズ》6機……出せますが?」
「そ……う……」
言いかけたギドー。次の音は「か」であったろう。
現に、子音の「くっ」とか「けっ」とか聞こえる音が最後にした。
しかし、ギドーは最後の音を発し終わる前に振り向き、
ハビエルを一瞥(いちべつ)した。
「……《セイバー》は?」
対するハビエルは苦笑し、目線を逸らした。
「出動できません……
パイロットのワイリー・スパーズがお酒を飲んでるもので」
ギドーは不服そうに、
「……ならいい」
と応じた。
「……本艦はアーモリー・ワン上空の敵艦を叩く」