機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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PHASE-03 閉ざされし門(4/7)

──忘れもしない。あれはC.E.71年6月15日のことだった。

旧・オーブ連合首長国(現・オーブ共和国)のオノゴロ島へ、

当時の地球連合軍が攻め寄せた。

後に『オーブ解放作戦』と呼ばれたこれは、

主権返上などの要求を拒否したオーブの敗戦に終わる。

開戦の翌日のことだった。

……この日、俺たち家族はオーブにいた。戦うオーブ軍を尻目に、

一介の民間人だった俺たち家族は、

「大丈夫だ。目標は軍の施設だろ?……急げ!シン」

との父の言葉を信じ、山道を進んでいた。

途中、俺たちのほんの数メートル上空を、

モビルスーツが通り過ぎたかと思えば、比較的近場に着地、

妹マユの悲鳴を他所(よそ)に、銃撃戦を行ったりもした。

そんな中でも着実に前に進んではいたんだ。

まだ子供だったマユは母さんに手を引かれて、

「マユ!頑張って!」

などと声をかけられていた。そのうち、

揺れるカバンの中からピンク色をしたケータイが落ちる。

「ああっ!マユのケータイ!」

と立ち止まり、手を振りほどこうとするマユを、母さんは、

「そんなのいいから!」

とひき止める。ケータイは山道を転がり落ちていった。

一番後ろを歩いていた俺が、その場にバックを置いて、

数メートル下にあった木の根元の辺りまで取りに行った。

次の瞬間、傍らの木さえ吹き飛ばす強風が俺の体を襲った。

「大丈夫か?」

という男性の声に気が付き、振り返れば、

斜面に抉られたような大きな傷が出来ており、

その端に見えた岩陰の下に、妹の左腕が出ていた。

「マユ!」

駆け寄ってみて分かった。妹は死んでいた。

そこにあったのは、妹の左手だけ。

体はそれより数メートル先で捻れたように倒れていて、

その側には母さん、少し離れたところには父さんの遺体もあった。

俺は妹の左腕の傍ら、泣き叫ぶことしかできなかった。

幸か、不幸か。生き残った俺は避難船に。

俺を助けてくれたのは、とあるオーブの将校さんだった。

避難船に案内してもらった上、船の隅で膝を抱えていた俺に、

「君だけでも助かってよかった……

きっとご家族はそう思ってらっしゃるよ」 

そんな優しい言葉をかけてもらった。ただ当の俺は、

唯一の形見となってしまった妹のケータイを握り絞め、

泣きじゃくることしか出来なかったが。

この将校さんの薦(すす)めで、

コーディネイターだった俺は単身プラントへ。

そして、そこで悩み抜いた末に、軍に入る道を選び、今に至る。

あの日、頭上には、オーブ軍に《フリーダム》という機体と、

連合に《カラミティ》という機体の姿があり、

少なくとみ一度ずつは、俺たちの側をも通り過ぎていった。

どちらが俺の家族を奪ったのか、それはもう分からない。

2機のパイロットとも、多分だが、もう生きてはいないだろうし。

ただ、道行く蟻のように容易に踏みにじられる己の弱さと、

青い空を恨むことしか出来なかった。

どうすれば強くなれる?

どうすれば大切な者を何も失わずに済む?どうすれば……




《カオス》は頭部のビームガンを乱射した。相手は例の下手物の方。
しかし、アイツは回避も速かった。
サムが数秒間撃ち続けて、一発たりとも命中しなかった。
嫌な汗が彼女の頬を伝(つた)う。ひとまず距離を取る。
敵は煙を吐き、視界を遮る。例によって、敵の位置が表示されない。
増幅する煙の動きから推測して、
サムは試しに右下辺りにビームライフルを撃ち込んでみたが、
逆に、弾道からこちらの位置を把握されたのだろう。
敵の反撃が始まる。煙が相手側から払われ、
指先からビームを放つ片手だけが現れた。敵に位置を悟られない為か。
サムはこれを避け、
一応、瞬間見的に見える、分離した腕と体を繋ぐ細いケーブルから、
大体の位置を確認し、サムも発砲するがまるで手応えがない。
ただ煙の中に小さな風穴が出来ただけだった。
機動性の差もある。こうして手を警戒していた隙に、
ほぼ同じタイミングで左から現れた本体・顔状の下半身から、
放たれたビームを捌(さば)き切れず、サムは左足をやられた。
「……サム!」
俺だって、まるっきり動けない訳ではない。
ヤツが放ったビームは、出力は高く、射程も長いようだが、
ビームを放っている時間もそれなりにあり、隙もできる。
さっき吹き飛ばしたシルエットを慌てて起動させ、
ガルムで砲撃中のアイツを撃てば避けられなかったようで、
分離していなかった右肘を撃ち抜くことが出来た。
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