機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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PHASE-04 波の間に(3/7)

男がドアの開く音にゆっくり目を開ければ、そこは書斎。

タイミングとしては、俺たちが話していたのと、そう変わるまい。

ただ、時差がある。アーモリー・ワンが騒動の翌朝を迎えた頃、

部屋の中央、年代ものらしき木製のイスに腰を下ろす男の背中を、

窓の閉ざされたブラインドの隙間から、夕焼けが照らす。

バーテンダー風のスリーピース・スーツを着込む男の胸には、

金色のバッジがついており、夕陽に反射して光っている。

なおバッジには、『Noel De Keg』(ノエル・ド・ケグ)の文字。

……耳にもかかる金色の前髪をかき上げ、

机上に置かれた左手を見れば、そこには小さな文庫本がある。

手をどけ、確認する。タイトルは『信仰と孤独』。すぐに彼は、

「……どうぞ」

顔も上げずに、そう告げた。

「……失礼します」

音もない室内に、力強く踏み出す彼の足音だけが響く。

やがて、その足音は止み、彼の視線に相手の両足が映る。

「オートクレール殿下(でんか)はどちらへ?」

「……お出かけになっております」

この返答の後、彼──ノエル・ド・ケグはゆっくり顔を上げた。

「ご用時でしたら……私の方でお伝えしますが?」

「いえ……それほどのことではないのですが」

相手は後頭部を軽くかいた。

対するノエルは顔を下げ、机上に置いていた左の手首を返し、

掌を上にし、指先で向かいのイスを指差した。

「……どうぞ」

座れ、というのである。

相手は特に何も言わず、ゆっくりと向かいに腰を下ろした。

「丁度よかった……と、言わせてもらいましょう。

アナタとは、話しておきたいことがありましたから。

ホルローギン・バータルさん」

……当のホルローギンは数秒の沈黙を経て、ただ一言。

「ケグさんは、反対でしたか……今回の襲撃は」

「……クールカ隊長は?」

と問うノエル・ド・ケグに、

ホルローギン・バータルは淡々とした口調で、

「あの方なら、もうお帰りになった。

今頃は、娘さんと親子水入らずの時間を過ごしておいででしょう」

そう答える。

「指揮官が私事を優先するとは……」

「優先などと……とんでもない。

状況報告は私の仕事と一任されておりますが故のこと。

私が向かえない状態なら、

ここに座っていたのはクールカ隊長でしたでしょう」

ノエルは溜め息混じりに首を振り、

シャツの首元にある一番上のボタンを荒っぽく外した。

「それでは……

貴方が、クールカ隊長の代理として弁解していただけるのですね?」

「えぇ……何なりと」

「お疲れ様でしたなどと……

本来は労(ねぎら)うべきなのでしょうが」

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