機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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PHASE-05 駆け抜ける嵐(1/7)

『……敵艦接近』

のアナウンスが響けば、次はギドーの声で、

『進路を微調整して時間を稼ぐが……どうなる?』

との問いが投げ掛けられる。

『5分、5分後には接触するものと』

『……了解。敵のレーダーもこちらを確認しているハズだ。

モビルスーツだけで襲ってくる可能性もある。

至急、モビルスーツ隊に出撃を!』

ゆっくりと息を吐いた。俺は今、モビルスーツのコクピットにいる。

『……副長』

と声と共に、画面が切り替わる。

そこに映ったのは、黒いモップ……ではなく、人間の髪の毛だ。

縮(ちぢ)れた毛の、多少ボリューミーなボブカットが、

一見すると、モップのようであるというだけで。

しかも、当の本人が顔を下げて、表情を見えなくしていたもので。

「どうした?ジョーン」

『いえ……何かある訳じゃないんですが……

前の戦闘のことが、あるからというか……その……』

言われてハッとした。

いや、言われたからという訳では厳密にはないのだが。

確かにそう、

ほんの半日程前の戦闘で彼女は多くの仲間の死を見ている。

そりゃ……

「……緊張するか?」

無言のまま、ジョーンが小さく頷(うなづ)く。 

ついでに、俺はゾッとした。

そうか。仲間が死ぬってのは、そうだよな。怖いよな、と。

それは忘れてはいけないことであり、また忘れられる筈のないこと。

だのに、忘れていた。念頭になった。

どこかでそれを当然だと割りきっている自分がいて、それで……

『副長は、こういうとき……その……どう、してますか?』

「どう……か」

そういう訳で、返しに困った。

『いちいち……考えないですよね』

「まあ……そうだな。慣れとしか言えないな」

相手の表情を窺(うかが)うも、やはり髪の毛でほとんど見えず。

だから、俺の方から意識的に表情を和らげた。

胡散臭(うさんくさ)かったかもしれないが。

「俺から言えるのは、そうだな。無理はするなよ。

くれぐれも無理は……大丈夫なんて無責任なことは言えないが、

俺もいるし、他の奴等だっている。

出来る限りでいい。厳しそうならフォローする。だから…………」

言葉に詰まる。

「……安心しろってのも、勝手か」

苦笑した。

『いえ……ありがとうございます。少し、落ち着きました』

ジョーンは微笑んでくれた。

「……よかったよ、それなら」

直後、正面のハッチがゆっくりと開いた。

『……カタパルト、オンライン。射出推力正常』

機体が前に動かされ、その両足が固定される。

『進路クリア……《2号機》、発進どうぞ』

「……シン・アスカ、《インパルス》、行きます」

今度の俺は、大きな剣を背負う姿で。宇宙に放り出された機体。

後ろや横でも、似たような行程を辿り、

味方のモビルスーツが次々と現れていく。

そこにはワイリーの《セイバー》、サムの《カオス》、アレハンドロの《アビス》、

そして、ジョーンの《ガイア》の姿も。

『……副長!』

とジョーンが呼ぶのは先程と同じだが、声のトーンが違う。

「あぁ……行くぞ」

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