機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS 作:申業
『……敵艦接近』
のアナウンスが響けば、次はギドーの声で、
『進路を微調整して時間を稼ぐが……どうなる?』
との問いが投げ掛けられる。
『5分、5分後には接触するものと』
『……了解。敵のレーダーもこちらを確認しているハズだ。
モビルスーツだけで襲ってくる可能性もある。
至急、モビルスーツ隊に出撃を!』
ゆっくりと息を吐いた。俺は今、モビルスーツのコクピットにいる。
『……副長』
と声と共に、画面が切り替わる。
そこに映ったのは、黒いモップ……ではなく、人間の髪の毛だ。
縮(ちぢ)れた毛の、多少ボリューミーなボブカットが、
一見すると、モップのようであるというだけで。
しかも、当の本人が顔を下げて、表情を見えなくしていたもので。
「どうした?ジョーン」
『いえ……何かある訳じゃないんですが……
前の戦闘のことが、あるからというか……その……』
言われてハッとした。
いや、言われたからという訳では厳密にはないのだが。
確かにそう、
ほんの半日程前の戦闘で彼女は多くの仲間の死を見ている。
そりゃ……
「……緊張するか?」
無言のまま、ジョーンが小さく頷(うなづ)く。
ついでに、俺はゾッとした。
そうか。仲間が死ぬってのは、そうだよな。怖いよな、と。
それは忘れてはいけないことであり、また忘れられる筈のないこと。
だのに、忘れていた。念頭になった。
どこかでそれを当然だと割りきっている自分がいて、それで……
『副長は、こういうとき……その……どう、してますか?』
「どう……か」
そういう訳で、返しに困った。
『いちいち……考えないですよね』
「まあ……そうだな。慣れとしか言えないな」
相手の表情を窺(うかが)うも、やはり髪の毛でほとんど見えず。
だから、俺の方から意識的に表情を和らげた。
胡散臭(うさんくさ)かったかもしれないが。
「俺から言えるのは、そうだな。無理はするなよ。
くれぐれも無理は……大丈夫なんて無責任なことは言えないが、
俺もいるし、他の奴等だっている。
出来る限りでいい。厳しそうならフォローする。だから…………」
言葉に詰まる。
「……安心しろってのも、勝手か」
苦笑した。
『いえ……ありがとうございます。少し、落ち着きました』
ジョーンは微笑んでくれた。
「……よかったよ、それなら」
直後、正面のハッチがゆっくりと開いた。
『……カタパルト、オンライン。射出推力正常』
機体が前に動かされ、その両足が固定される。
『進路クリア……《2号機》、発進どうぞ』
「……シン・アスカ、《インパルス》、行きます」
今度の俺は、大きな剣を背負う姿で。宇宙に放り出された機体。
後ろや横でも、似たような行程を辿り、
味方のモビルスーツが次々と現れていく。
そこにはワイリーの《セイバー》、サムの《カオス》、アレハンドロの《アビス》、
そして、ジョーンの《ガイア》の姿も。
『……副長!』
とジョーンが呼ぶのは先程と同じだが、声のトーンが違う。
「あぁ……行くぞ」