機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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PHASE-01 星屑に潜む陰(3/7)

「あー……もしもし、俺だ。ハサンだ」

スマートフォンを耳にあて、彼はそう話しかける。

明るい茶色をした彼の髪だが、

丁度スマートフォンと接している、もみあげの部分だけ、

何故か赤い毛となっている。

『あぁー、ハサン先輩っすか!……お疲れっす!』

電話の相手も男性のようで、そのキーが高く、また大きな声の背後、

何やら人の話し声やら音楽やらが漏(も)れている。

「あー、お疲れ……今どこだ?アレハンドロ」

そうハサンがやや顔を下げがちに告げる。

『はい、はい……そのうち帰りますってぇ』

この一言の後、相手の方からは、声が小さくて聞き取りにくいが、

『ねぇ?誰と話してるのぉ?』

と女性の声が聞こえてくる。

『……先輩だよ。軍のね』

ハサンの口からフッと小さく漏れる息。左手を口にあて、小声で、

「今日も風俗か?」

とハサンが問えば、

『おっパブですよぉ……おっパブ』

アレハンドロはこの調子で、これにはハサンも苦笑い。

「……早めに帰ってこいよ」

『はーい』

そんなところで通話は終わり、スマホの画面も真っ暗となる。

「……アイツはいつも楽しいそうだな」

苦笑いそのままに、ハサンが振り返った。

ハサンのトルコ石のような鮮やかな青い眼には今、その背後に立つ、

ギャル風のメイクをした若い女性の姿が映っている。

「……ドン引きなんですけど」

そう言うと、彼女はその後ろにあった白いベンチに腰を下ろした。

さて、この二人が今いるここは、廊下(ろうか)の一角で、

頭上には白いライトが光っており、青白い壁や人を照らしている。

壁も床も天井も、金属製の空間に、

ただ唯一非人工的なものがあるとすれば、それは四角い窓より、

その明かりを射し込ませる、満月を置いて他にはない。

「アレハンドロは……まぁ、何というか……」

後頭部を右手でかきながら、ハサンがゆっくりと口調でそう話す。

「……聞こえてましたよ。目的地がどこかは」

ハサンの手が止まる。目線も自然と女性から離れていく。

「まあ……アレハンドロも、軍規を破ってるとかじゃないからなぁ……」

「キモいです」

即答する女性に、ハサンの視線は戻り、また笑いが溢(こぼ)れる。

あの苦々しい笑いが。

「風紀の乱れですよ……全く。

先輩からもガツンと言ってくださいよ!」

「……そうは言うがなぁ、パーディ」

「まだあの演説から、一週間も経ってないのに……」

この一言を受け、ハサンは視線を下げ、自身の腕時計に目を向ける。

デジタル式で、日付を3月31日、時刻を20時11分と表示している。

「アレハンドロには、アレハンドロなりの考えがあるだろう。

あまり、とやかく言うのはなぁ……」

パーディの顔を確認すると、その顔つきはなおも険しい。

ハサンが顔を逸らすのも、必然だったろう。

横を向き、まもなく右手を目の辺りにあて、顔を覆った。

「まさか……アイツと同じこと言うとはな」

小さな声で漏らすように、そう呟いた。

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