機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS 作:申業
中央に胴体らしきものがあり、その上と下とにそれぞれ2本ずつ、
ビームの刃を形成する爪がついた、奇怪なモビルアーマー。
胴体?の左右には、翼なのか何なのか、
多少角張った歪(いびつ)なハート型のものが付随(ふずい)する。
それが、5、6機ばかり姿を現した。
正直、俺自身、
このモビルアーマーの子細(しさい)に心当たりはなかったが、
口を開いたのはマイクとサム。それも、ほぼ同時に。
『……《イージス》』
と。正確には《GAT-X303 イージス》というらしい。
色合いは本来のイージスが赤を貴重としていたのに対し、
目の前の敵は緑系統の機体と異なるが、
少なくとも姿、形は《イージス》の形態とほぼ合致する。
『もし……武装も同じなら、あの胴体には……』
マイクの声には焦りが窺(うかが)えた。
「……何がある?」
そう問うた直後、マイクの言わんとすることはわかった。
あの胴体の中央部、そこには小さな窪(くぼ)みがあった。
丁度、ビーム砲と同じくらいの窪みが……
「……クッ」
《イージス》らより撃ち込まれるビーム。
ジズと同じく、隙が大きい分、出力が高いビーム砲らしく、
ほぼ動かずにマシンガンを乱射してくる敵への警戒から、
自然と体勢が固まっていた我々の隙をつく形で放たれたそれらに、
アレハンドロの《アビス》は左足を吹き飛ばされ、
ジョーンの《ガイア》はメインカメラを破壊され、
マイクの《ジズ》も右肩を撃ち抜かれてしまった。
「モビルスーツ隊、後退して体勢を整えろ!距離を取れ!」
声を張り上げた俺を嘲笑うように、その音声が届けられた。
『「お兄ちゃん」も、大変だねぇ』
《ダーティ》のパイロットだ。その声だ。
咄嗟に動きを止め、周囲を確認したが、その姿は確認できない。
「どこにいる?」
『……今ねぇ、アナタたちの後ろだよ』
振り返ったが、背後にそれらしき影はない。
『いや、見えないし、見つけられないだろうけどさ。
まあ、それよりも、前の心配をしたら?』
振り返り、確認すればわかる。ヤツらは速かった。
肩のビーム砲をやたらめたら乱射しつつ接近してきて、
俺も1機はビームライフルで仕留めたが、
爆発の規模の大きさに驚かされた。いや、規模というよりかは、
破裂する瞬間にビームが体から飛び出たことだろう。
「……どうなってやがる」
直後、1機の《イージス》がマイクの《ジズ》に体当たりした。
あの4本足が《ジズ》の体に絡み付き、爆発したのだ。
それも、やはり《Im/A-P》や《アビス》にあったビームの爆弾みたいに、
周囲にビームを撒(ま)き散らしながら。
その衝撃に、パイロットの体が外へと放り出される。
そうして出てきたマイクの体に頭はついていなかった……
『また……守れなかったね?「お兄ちゃん」』
当然、サーベラス大隊の各戦艦にも、敵の反応が現れていた。
例えば、うちの1隻である《ザガリー・グレイ》では。
「……敵機接近!」
と戦艦のCICの女性が叫び、状況を伝える。その直後、
画面の端にある人物の顔が映った。それは、
「ギドー大隊長!」
そう彼だ。
彼は今、サッとその鼻を押し潰すように撫(な)でている。
『いいか?皆。これはむしろ好都合というヤツだ。
我らサーベラス艦隊の腕の見せどころじゃないか!
モビルスーツ展開!「サーベラス戦術」で敵を迎え撃つ!』
しばらく誰も何も言わなかったが、そのうち、
一人の男性クルーが半ば無理矢理、手を挙げて、
「……オー!」
ギドーに応え、不揃いながら他のクルーもそれに続く。
もっとも、当のギドー本人はそれに満足げで、
『ありがとう!皆』
と周囲に笑いかけた後で、
「それでは諸君!健闘に期待する。戦艦を頼んだ!」
そう言い残すと、相手の返答も聞かずに、回線を切った。
中央に座る女性が口を開いたのは、回線が切れた後のこと。
「ごめんね……皆。ギドー隊長、
総司令官直々の命令と聞いてえらくヤル気なのよ」
先程返答した男性も同意する。
「……だと思いましたよ。艦長」
ブリッジが笑いに包まれるのに、数秒とかからなかった。
「まあ、こちらは戦艦4隻にモビルスーツが49機……
まず、大丈夫でしょ?」
CICの女性がそう言えば、同意する者多数。
艦長と呼ばれた中央の女性は一応、
「戦闘なんだから、気を引き締めて!」
と声をかけているが、半笑いで、何だか真面目そうには見えない。