機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

40 / 91
PHASE-06 その手に剣を(5/7)

周囲ではまだ悲鳴が上がっている。

『……イヤ。死にたくない。死にたくない……』

首を引っ込め、コクピットでジョーンはガタガタと震えている。

「……クソッ」

俺は高度を上げて、戦場を俯瞰(ふかん)する。

2機のイージスと、ザク数機が高度を上げて、接近している。

距離を取りつつ、機首のビームガンとビームライフルとで迎撃。

まず、1機のイージスに数発を撃ち込まれて爆死。

残る1機には接近を許したが、あえて相手の懐に入り、

背中の大剣「クラレント」を抜いた。

正に目と鼻の先まで近付いた以上、

かえって4本の足が折り畳まれるまでに時間がかかっている。

その間に剣を降り下ろせば、イージスの体を両断するだけでなく、

その勢いでイージスの体は叩き落とされ、高度を下げていく。 

ビリビリと電気が体のあちこちが出て、動きが止まるイージス。

まもなく、そのイージスは爆裂し、周囲にいたザクが巻き込まれた。

「連中は真っ直ぐ進むのは速いみたいだが……

方向転換なんかは苦手らしい」

相手に聞こえるリスクは覚悟で、広域の電波でそう喋った。

「『フレイヤ』!高度を上げて、斜めに進め!

モビルスーツをそれに追従させれば、敵を凌(しの)げる」

数秒の沈黙を経て、ハビエルが、

『了解よ、副長。アンタの判断は正しい』

と返答。戦艦が上昇を始めた。

「……なぁ、ハビエル?何で弾幕を張り、

一気に敵を掃討するという作戦を取らない?」

これは広域の回線ではなく、戦艦と機体の個人回線にて尋ねたが、

『モビルスーツが不規則に点在している状況である以上、

味方を巻き添えにする弾幕攻撃は取れないでしょ?』

との返答が返ってきた。

「だとしても、アッシュの登場からもう数分が経過している。

その間で……例えば、イージスの接近を許すまでの時間にでも、

反撃していればよかったんじゃないか?」

『アンタは「フレイヤ」の性能を過大評価してんのよ……

手数の話をしたのは誰?

第一、今更そんなことを言っても始まらないじゃん。

無敵の副長らしく、さっさと敵を駆逐(くさく)なさいな』

返す言葉がなく、苦笑した。

「あぁ……回答に感謝する」

とだけ言って、回線を切った。

理屈で分かったからって、人間そう簡単に変われるものじゃない。

敵を見上げるイージスたちの動きが、

方向転換の瞬間に一度止まるか、止まらないまでも隙ができる。

それは俺が確認し、通達した事実だ。ただ、ことはほんの何秒かの話。

方向転換さえ済ませてしまえば、敵のイージスは、

また予想以上のスピードで接近し、接触すれば自爆する。

『副長!ジョーンが!』

とサム。確かにジョーンのことは心配だが、敵のことも無視できない。

レーダー上に接近するイージスの反応が出ている。

「そりゃ……そうだよな」

そんな言葉しか言ってやれなかった。

ひとまずは身を翻し、反撃とばかりにビームライフルを撃ち込む。

今度はザクを撃ち抜けた。

「だが……もう少しだ。もう少し」

『副長!……上が心配なんで、向かっていいっすか?』

それはアレハンドロの声。

「あぁ……頼む」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。