機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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PHASE-07 交錯する正義(3/7)

テレビを点けると、8つの席が並んでいて、

そこに5人の男が腰を下ろしていた。そして立っているのは2人。

「……アーモリー・ワン襲撃の件は、自分も耳にしましたが、

脱走兵を討つも、また討たないのも、現状で決断を出すには、

情報が少な過ぎます。もうしばらく……議論が必要かと」

それが彼の発言だった。

その芝居がかった物言いは、発言というより、台詞というべきか。

胸の水色の襷(たすき)を団扇(うちわ)のように軽く揺らし、

発言し終えて腰かけるに辺り、

彼は、そのコートの臀部(でんぶ)に両手を当てて、

シワができないようソロリと座った。

「以上、

『オルランド・マッツィーニ』『ヨーロッパ方面軍総司令官』より、

ご意見をいただきました……ありがとうございました」

そう言ったのは、もう一人の起立者。

ミイラのように血色の悪い肌で、

烏賊を思わせるひし形状の帽子を被っている男だ。

男の席の前に置かれたネームプレートに、

小さい字で書かれた『北米方面軍司令官』との肩書きと共に、

その名である『ヤコブス・ツァンカル』の文字が確認できる。 

「……適当に話をはぐらしかだけか」

と小声で漏らす男。

彼は司会の右隣に居り、襟越しに首の辺りを掻(か)いている。

板には『月面方面軍司令官』『セルゲイ・ガムザトハノフ』とある。

この後、この男より更に右へ3席行ったところへ、 

1人の女性が駆け寄り、跪(ひざまず)く。

水色の髪を登頂部に残し、あとは刈り上げたという白人女性で、

血気迫る表情であった。

「……どうした?マルビナス」

女は膝を立てて、口をその席の男の耳に寄せた。

「スコルツェニー参謀長……アーモリー・ワンの、ことなんですが」

「……そうか」

スコルツェニーと呼ばれたこの男は、ゆっくりとそう応じた。

直後、その左隣に座っていた紳士が手を挙げた。

といっても、肘を曲げたまま、顔の横に置く程度に。

すぐに、ほぼ真向かいにいるツァンカルが彼の方に向き直って、

「……『カロル・ヴァレフスキ』『アフリカ方面軍総司令官』」

とその名を呼んだ。しかし、ヴァレフスキは立ち上がらない。

そのままで、襟のピンマイクに口を寄せる。

「いえ……私の意見という訳ではないのですが……」

ヴァレフスキの視線は、スコルツェニーの方に向けられていた。

「……参謀長に、情報の開示を求めます」

ツァンカルが再度向き直る。視線の先は、勿論……

「……ヨーゼフ・スコルツェニー参謀長、お応えください」

「……ここは、私から」

参謀長の傍ら、マルビナスはそう囁く。しかし、

「いや……私から言おう」

と左手を出し、それを制した。




ザフトの組織体系について、ここで一度話しておきたい。
C.E.75年、統一連盟の成立に前後して、
プラントは各国に対して平和条約を締結した。
ここで結ばなかったのは大西洋連邦のみで、
またユーラシア連邦は締結したものの、C.E.77年に東西分裂、
西側は以後も条約を維持すると表明したが、
東はその建国と同時に条約を無効として事実上破棄した。
その際に各国に対してプラントは、一部領土の租借(そしゃく)と、
租借地域への軍隊の設置を明記させる。
これに際して、ザフトは義勇軍との建前を完全に放棄した上、
戦後の軍人職の大幅な失業に対する対策であり、
また他国からの侵略やテロ行為に対しては、
ザフトがその国の防衛を手助けするとの考えの下、
本政策は許諾されたが、あくまでもそれは表向きの理由。
実際は条約の締結相手に防衛費の名目で一定額の徴収を要求し、
国庫から支出される軍事費の削減を行い、
また仮にその国がプラントに反逆した場合、
その報復として即座に本土攻撃が行えるとの脅しであった。
こうして南アフリカ統一機構のセントヘレナ基地、
大洋州連合のピトケアン基地、
南アメリカ合衆国のケイマン基地(後にザフトが放棄)など、
各地に基地が設けられ、また軍の約50%が派遣された。
これに国土のL4領域を合わせ、
計7つの大まかな地域に分類し、各地域に方面軍を結成。
ここにそれぞれの方面軍を統括する総司令官『ORDER』を配置した。
彼ら『ORDER』に、
軍最高位の武官たる参謀総長を加えて行われる定例会は、
その5文字の名が意味するところの「騎士団」の意にかけて、
なぞらえるように、あるいは皮肉るようにして、
そう、『円卓会議』と呼ばれるのである……
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