機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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軍服のデザイン自体、もう7年前とは大きく違うのだが……
その辺りの話を語り尽くす程の時間はあるまい。
ただ、参謀長およびORDERのものが独特であるのは間違いない。
特徴は大きく2つ。
1つはベスト。ナポレオンベストとかって言うんだったか。
首回りの幅がやや狭く、そこから緩やかにであるが、
下にいくほどに幅が広がっていき、
腹回りともなれば、下のシャツを完全に覆い隠している。
西洋の鎧の胸や腹を守る部分──胸甲(きょうこう)というらしいが、
丁度あれと同じシルエットになる。
それに左右2列にわたり、ボタンが各列5つずつ並んでいる。
この2列の間には線が入っている。
そういうデザインなのか、本当に紐で結んでいるのかは知らないが。
またボタンの並びも均等ではなく、
ベストの形状とは裏腹に、これも若干なのだが、
上にいくほど左右の間隔が広く、下ほど狭いのである。
なお、ベスト自体の色は黒、ボタンと線は銀色をしている。
次いでもう1つ。襷だ。これが特に大きい。
襷のカラーリンクが個々違い、互いの立場を象徴しているのだ。
例えば、オルランド・マッツィーニならばスカイブルー。
これは彼が派遣されたヨーロッパ方面、
旧フランス国旗が象徴する「自由」に由来するらしい。
一部ではバイアグラの青と揶揄されているが。
ともかく、色には意味がある。
例えば、参謀長ヨーゼフ・スコルツェニーなら……


PHASE-07 交錯する正義(4/7)

参謀長はすぐには喋り出さなかった。

ライトグリーンをした自身の襷を左手で触り、右手で襟を弄る。

襟の『Evidence 01』なる文字がある辺りが、

弄られた拍子に見え隠れする。ブランド名だろうか?

続いて伏し目がちに周囲の様子を窺(うかが)うと、

両手をテーブルにつき、

次いでゆっくりとした口調で語り出した……

「今しがた、

私の部下がアーモリー・ワンでの戦闘の映像を届けてくれました」

スコルツェニーの背後、

真っ白なスクリーンに映像が流し出され始める。

プロジェクターは、室内中央。自然、

スコルツェニー自身の体にもスクリーン同様の投影がされる。

そこから流されたのは、アーモリー・ワン市街地での戦闘風景。

スコルツェニーは黙っていた。自らの上にさえ映像を流しながら。

炎上する街、武器を振るうリックドム、

コロニーを離脱する戦艦『フレイヤ』に続いて、

宇宙での戦闘風景、ジズが落とされ、ガイアが踏み倒され、

アビスも傷付けられた。

アナウンスも入っている。

『敵戦艦ロスト!プラントの領域を離脱したものと思われます!』

『追撃……されますか?』

『……勿論だ!』

『ギドー大隊長……公海での戦闘は条約違反ですが?』

そして俺のIm/A-Pの首がドミンゴにより落とされた。

……そんなところで、映像は終了となった。

「……以上が、アーモリー・ワンより送られてきた記録映像だ」

スコルツェニーはそこまで言うと、一度顔を下げ、深く息を吐いた。

右隣にいた男は、その様に呆れ顔だが、

スコルツェニーは数秒後、

その袖を振り上げて、顔も上げ、話を再開する。

「……『更なる議論を』との意見もなされたが、

今回の件を踏まえるに、予断を許さない状況にあると、私は考える。

……どうだろう?皆さん。

ひとまず、明確な意見のある方から発言いただきたい。

脱走兵を討つか、あるいは別の方法を模索(もさく)するか。

……忌憚(きたん)なき意見を求める」

周囲が一度静まり返り、彼が腰を下ろすのは、それからすぐのこと。

「私からは、まずはそれだけ……

皆さんの意見が聞きたい」

とのスコルツェニーの言葉の後、しばらくは誰も発言をしなかった。

司会のツァンカルすら静観(せいかん)を決め込む。

ようやく、手を挙げたのは……ある男だった。

少し顔を傾ければ目が完全に隠れてしまう程に前髪の長い、

黒髪のロングヘアーに、釘を思わせる銀のピアスが耳に刺さり、

そのピアスから、左は「Ⅳ」、右は「H」という、

青いアクセサリーがそれぞれ垂らされている。

「『ダグ・バーテルソン』『アジア方面軍司令官』」

呼ばれて立ち上がったバーテルソン。

その拍子にオレンジの襷が揺れ、また前髪も捲(めく)れて、

両目が顕(あらわ)になった。

そんな彼の左隣にて、言い出しっぺのスコルツェニーは座り、

手を挙げた彼を、苦虫を噛み潰したような表情で見つめていた。 

スコルツェニーがその苦々しい表情を隠すように、

左手を眉間の辺りに添えたところで、バーテルソンの話は始まる。

「私は……ここに脱走兵との講和を提案する」

まずは、その一言を以て、話を止めた。 

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