機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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PHASE-08 カウントダウン(2/7)

半ば睨むようにルカーニアを見つめるフェイを、例の混血美女が、

「フェイちゃん、恐いィ~」

などと茶化(ちゃか)すが、

フェイ本人は少し目で彼女の方を確認した程度で、

特段返答することなどはしない。

「非情な決断……ねぇ」

当のルカーニアは尚も冷蔵庫と向き合う構図で、

フェイを見てもおらず、今度はビーフジャーキーを引っ張り出し、

袋を縦に裂いて冷蔵庫の上に置くと、

犬のように奥歯にあててジャーキーを噛み始めた。

唸(うな)り声にも似た咀嚼音(そしゃくおん)の合間に、

「誰がいるってんだ……俺を裁けるヤツなんざ」

と笑うルカーニア。

「……ラクス様にお叱りを受けたこと、お忘れではありませんよね?」

フェイの詰問に、

ルカーニア以上のリアクションを上げたのは、混血の彼女。

「違うじゃない、フェイちゃん。

ラクス様は叱るしかなかっただけよ。閣下にはね」

笑いながらそう言う彼女に、ついにフェイは、

「口を挟まないでいただけますか?……ミズ・フィロパトル」 

と静かに言い放った。

「フフッ……これは失礼」

フィロパトルと呼ばれたこの混血美女は、なおも表情を変えない。

それどころか、隣にいた東洋人の女性に、

「私怒られちゃったわ、コマチ」

などと囁く始末。

コマチはフェイに遠慮してか、ぎこちない笑顔でこれに応じた。

「俺もよぉ……別に何も考えちゃいない訳じゃねぇよ」

ルカーニアがこう言った直後に、それは起こった。

傍らでビリビリと鳴り出すスマホ。

「おっと、これは……昨日の玩具(おもちゃ)じゃねぇな」

ルカーニアは笑いながら、近くで音を立てるスマホを探す。

手探りで。

「……どこだぁ~」

などと笑っているうちに、それは横の棚から姿を現す。

画面は光っており、

そこに『Amilcare Visconti(アミルカレ・ヴィスコンティ)』と、

名前が表示されていた。

「さぁ……穴兄弟のお出ましだ」

ルカーニアはスッと画面を軽くなぞる。

「あぁ、俺だ。ルカーニアだ……大丈夫だぞ。用件を言え」

バドリオはわざわざフェイらに見えるよう、

首の後ろにスマホを回した上、メガホンのマークを押した。

『指示通り、主力部隊はクトゥーゾフ・スリーに』

「……クトゥーゾフ?」

フェイが真っ先に反応した。

『カイパー補佐官もご一緒でしたか』

などと語るアミルカレ・ヴィスコンティは、

その嗄(しわが)れた声からして、それなりに高齢と思われる。

「ルカーニア司令!ご説明を!」

フェイの張り上げる声に、

『……必要でしたから、私(わたくし)から説明致しますが?』

とヴィスコンティは告げるが、

「いや、いい。ご苦労だった大隊長。

しばらくは旨いものでも食いながら、ゆっくりしてな」

ルカーニアがこう制止する。

『それでは、お言葉に甘えて……失礼致します』

電話はそれで終わり。

ルカーニアはようやく振り向いて、フェイの方へ歩を進める。

踏み出して2、3歩目にして、

バドリオの頭に乗った黒いタオルが頭部を滑り落ちた。

「何故……クトゥーゾフ・スリーに?

グナイセナウからは確かに近いですが、

それなら、直接、ここに戦力を集中させるべきでは?」

熱弁するフェイの前へ、ルカーニアの影は確実に近付いていく。

それはルカーニアの髪が、光に照らされ、顕となる。

遠目からうっすら灰色に見える程度に刈り上げられ、

そこに魚の鰭(ひれ)のように一部が残されたモヒカン刈り。

更に剃り込みが入っていて、

特に耳回りなど、山羊の角を模したデザインが窺えよう。

「よく聞けよ、フェイ。最後まで、きっちりとな」

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