機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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ドアが開いた。これは戦艦『フレイヤ』でのこと。
部屋から出たところで彼女は、
欠伸(あくび)を漏らし、遅れて口を被(おお)ったときには、
もう収まった後であった。
「……パーディ」
自身を呼ぶ声に、口を被ったままに向き直る。
そこにいたサムが立っている。彼女は驚いているらしい。
「おはよう」
そう笑いかけるパーディに、サムは顔を綻(ほころ)ばせ、
「おはよう」
と静かに頷いた。


PHASE-08 カウントダウン(4/7)

食堂にいると廊下から二人の声が聞こえてくる。

「ヘンなんだよ、アイツ。ホントに」

パーディの声だ。

その声は結構大きく、

思わず、食堂にいたヴァイデフェルトがその手を止めた。

「わからないが……

アレハンドロなりの優しさなんじゃないか?それは」

サムの声がそれに続く。パーディの声が大きかったせいもあるが、

サムのそれは抑揚が小さく、冷静な印象を受ける。

そうして先に入ってきたのはパーディだった。

ヴァイデフェルトと目を合わせ、

「おっはよ!」

と笑いかける。

ヴァイデフェルトは離れていたからだろう、声には出さないながら、

微笑み、顔を合わせたままに首を斜めに傾け、会釈する。

同様にサムも手を挙げて挨拶した。

「アイツがそんな気回せるタイプには見えないけど……」

パーディの元気そうな声に、

ヴァイデフェルトの顔もどこか柔らかい表情となる。

続いて彼女が何気なく周囲を見渡せば、

外の景観を映し出す窓はどこか青みを帯びた光を部屋へと運び、

テレビは『故人(こじん)を訪ねて』の表題で、

2年前に亡くなった、コスタ・デ・ベロ特集を放送している。

ケイマンブラック島のジェラルド・スミス空港の傍らに建つ、

彼の墓が映る。

「どうしてるかな……副長」

ヴァイデフェルトの口からそんな言葉がついて出る。

そんな彼女の近くにパーディとサムが腰を下ろすのは、

そう呟いてすぐのことだった。

なお座る位置は、向かいにパーディ、右横にサムというもの。

「……また副長の話してるぅ~」

振り返るヴァイデフェルトに、

パーディが意地悪そうな笑みを見せる。

「ホントに好きだよねぇ」

「……えぇ?」

仄(ほのか)かに染まるヴァイデフェルトの頬。

「何で……それを?」

伏し目がちに尋ねる彼女の横で、

サムが玉子の殻を剥(む)く音が聞こえてくる。

「何でって訳じゃないけど……見てて分かるじゃん?ねぇ?」

パーディがサムの方にそう呼びかければ、

サムも作業そのままに顔を挙げ、コクりと頷く。

「そう……なんだ」

ヴァイデフェルトは顔を下げたまま、

右耳にかかる髪を持ち上げるようにサッと撫でた。

「確か……病院に行ったって話だったな?」

そう言うのはサム。

パーディは口に小さなクロワッサンをくわえたまま、

「……ふーん」

と少し唸った後で、クロワッサンを食い千切りと共に、

「そうなんだ……何のようで?」

そう答えた。

「何がって……パーディ、聞いてないのか?」

そう言って、サムはヴァイデフェルトの方に一度向き直る。

ヴァイデフェルトが遅れ気味に答える。

「……あぁ」

また玉子を口に運びながら。

「え?……何?なぁーに?」

パーディの軽い調子の問いに、

残りの2人は顔を見合わせ、回答に困った様子を見せる。

そんな様子を見れば、パーディもボリュームを下げ、

「あれ……何か聞いちゃまずいことだった?」

2人の顔を交互に確認する。

「まぁ……その」

「……重症なんだって、ワイリーさん」

目を見張るパーディ。

「えっ?マジで?」

ついつい大きくなるパーディの声。

ヴァイデフェルトが指を口にあてて、静かにと合図する。

その頃ともなると、徐々にだが、人が入ってきていた。

「命がどうこうとかではないが……両足がな……」

サムがヴァイデフェルトに顔を向けた。

サムの言葉は重く、釣られるように、

パーディもヴァイデフェルトも、言葉を失ってしまう。

ただ、少ししてからヴァイデフェルトが、

「そう言えば……アレハンドロくん、遅いね」

と話題を変えた。

「……いつものことじゃん?」

返事したパーディの顔には、先程までと同じ笑顔が戻っている。

「そう……かな?」

「朝練(あされん)だよ……アイツが言うには」

サムの言葉に、ヴァイデフェルトだけでなく、

パーディも驚いた表情を見せる。

「朝起きたら……モビルスーツデッキで、

模擬演習をするのがアイツの日課なんだ」

「へぇ……意外」

「……いつか、アスカ副長を倒すと息巻いてるそうだ」

フッと笑うパーディ。

「……言うじゃん」 

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