機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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PHASE-09 シン・アスカ(2/7)

「……先日、南アメリカ合衆国から要請がありまして、

近々、ヴァージン諸島に、

軍事基地を敷設する予定になっているのですが……

誰を監督に派遣するか、ラクス様も決めあぐねておいでで」

後ろから見ていても、隊長の口角が上がっていくのがわかった。

「……それでは?」

アルメイダの声は多少、上擦(うわず)っていた。

その前で、ゆっくりイスへと腰を下ろすスコルツェニー。

「ええ……あくまでも、遠征での活躍次第で、

ということにはなりますがね?」

満足げに鼻を鳴らすアルメイダの後ろで、俺が口を開いた。

「……発言してもよろしいでしょうか?」

スコルツェニーがわざわざこちらに向き直った。

「アスカ副長、失礼でしょう?」

振り向いた隊長の顔は、口元こそ緩んだままだったが、

目が笑っていなかった。

「いえ……構いませんよ?何か?」

「隊長だけ……我々だけ特別扱いされる理由が分かりません」

隊長の顔から表情が消え、ややうつ向く。

「あぁ……それは勿論、

アルメイダ隊長が手を上げてくれたからですよ」

「しかし……それは参謀長が提案されたからでしょう?

参謀長が何故、アルメイダ隊長を特別視するかが知りたいのです」

「……アスカ」

アルメイダはやや顔を伏せたまま、こちらを一瞥し、

声としては小さいがドスの効いた声でそう言う。

他方、スコルツェニー本人は穏やかに、

「いいんですよ……」

とアルメイダを宥(なだ)める。

「いえ、ね……アルメイダ隊長は、ラクス様のお父上、

故シーゲル・クライン元議長が、『もう一人の娘』と呼んで、

可愛がっておられたとか?」

「……えぇ」

「アーモリー・ワンを守ってもらった功もある。

これ程の功労者を、一介の部隊長に留めておくのは……

と、私なりに考えた結果ですよ」

スコルツェニーは微笑んでいた。

俺は、アルメイダは現場にいなかったと指摘したかったが、

流石にそれは避けた。

「アーモリー・ワンと昨日とで消耗した我々よりも、

それに相応しい部隊は他にあるのでは?

……何より、身内贔屓(みうちびいき)は、

元首の批判材料にされかねませんが?」

さしものスコルツェニーの表情も、

ここまで言えば流石に硬いものになる。更に、

「そこまでにしろ、アスカ副長。

それ以上は私を信任してくださった、参謀長への侮辱だ」

こちらには見向きもせず、

背中で答える上司に、俺は黙るしかなかった。

直後、アルメイダはスコルツェニーの手を取った。

右、左とゆっくりとした手つきで、参謀長の両手を包み込むように。

「喜んでお受け致します……同じラクス様を思う者として」

「……えぇ」

そう会釈を返したスコルツェニー。

頭を下げた一瞬に、上がった彼の口角を、俺は見逃さなかった。 

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