機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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異変にまず気付いたのは、アントンだったのだろう。
ブリッジへと報告する。
『敵陣形に動きが……』
などと。
前屈みになるフィロパトル。動じないルカーニア。
とにかく、アントンは話を続ける。
『何やら2手に分かれる戦術のようです』
「……ふーん」
ルカーニアの体勢が気持ち前屈みになる。
「オマエなら、どうする?」
続けて、こうルカーニアが問う。
『右か左に戦力を集中させて、各個撃破されるのがよろしいかと』
このアントンの意見に、
フィロパトルがスッと背筋を伸ばして、
「でも、それだと……
攻撃しなかった方に側面を突かれるんじゃない?」
こう言葉を返した。
アントンは一瞬、目も丸くして唇の端を口の中に入れてしまったが、
それでも続けて、
『数は恐らくこちらの方が上。一気に叩き潰してしまえる筈です。
側面を攻撃されるより先に、片方を殲滅(せんめつ)すれば……』
などと。しかし、
「却下だな」
ルカーニアはアントンの言葉を遮る形でそう言うと、
徐(おもむろ)にその場に立ち上がり、
「いいか?俺の判断はこうだ」
と語り始める……


PHASE-10 強行突破(3/7)

同じ頃合い、高度を下げていく脱走兵の一団へ、

10あまりのジズが接近、道を塞(ふさ)がんとした。

しかしすぐに、1機のジズがビーム攻撃に被弾。撃墜されてしまった。

残る9機は、それぞれが表面にビームシールドを張りつつ、

7機が密集、残りの2機が分散した。

『本当に……第一陣を置いて進むつもりですか?クールカ隊長』

その声に答えるは、ホルローギン。

『オスマンさん、いいかね?指揮官の指示というのは、

何度も変えるようでは味方が混乱しますからね。

朝令暮改なんて言葉もありますが』

そう言いつつ、接近してきた1機のジズを、

彼のドミンゴが一太刀にて叩き斬った。

『……でしょう?クールカ隊長』

「あぁ……」

クールカが答える。

彼はやはりアダガに乗っており、ビームライフルを構えている。

1機目のジズを仕留めたのも彼だし、

今は自身の傍らにいた1機のリック・ドムを斬り、

更に自分へも接近してきていたジズを、至近距離で撃って仕留めた。

「我々は」

クールカの視線の先は下を向いている。

「早急に市街地に入り、敵の主力を叩く」

そう言って間もなく、

闇に紛れる意味で、全身を黒一色に染め上げていた彼のアダガが、

アーモリー・ワンのときと同じ赤い色味に変わった。

「……私に、続け!」

ライフルを幼児のように抱き抱え、

地上へと急降下していくクールカのアダガ。

『ご随意に……』

ホルローギンのドミンゴがこれに続くと、

他にも数機あまり、ザクだのリック・ドムだのが引き続いた。

当然、ジズの数機が横槍を入れんと近付くが、

あるジズはよそ見をした隙に正面にいたザクに撃ち殺され、

また別のジズは居合い斬りの要領で、ドミンゴに斬り殺された。

勿論、あるジズの攻撃は通り、

クールカらに付き従う1機のザクを撃墜。

『……ジョット!』

とその名を叫ぶ声が上がり、

クールカでさえ表情を歪(ゆが)ませるものがあったが、

それでも、

「怯むな!前に出ろ!」

との檄を飛ばし、クールカは進み行く。

「……我々は、ここまでにも多くの同胞を失ってきた。

誰も死にたくなどはなかったろう。

死者の為に出来ることなど、あるかは知れぬが……

少なくとも、今立ち止まれば全てが水の泡だ」

クールカの決意とも、言い訳とも取れぬ言葉に、

誰も返す言葉はなかったが、

ただその後に続く。その行為でもって彼に応えた。

目前には星明かりを反射して輝く黒いパネル。

それはグナイゼナウというコロニーの天井であった。

クールカはライフルを手に取り、

かなりの近距離から、パネルを撃ち抜いた。

衝撃で穴が開き、地上へと落ちていくパネル。

「……うおおおお!」

雄叫びを上げながら、飛び降り、

パネルの上に降り立ったクールカ。

ビームシールドを張るなりして、後から続々とその部下たちも現れる。

そんな中、一撃の太く赤いビームがパネルの側を通過し、

その軌道を確認したクールカのアダガが飛び退いた。

後方に飛び退いたクールカ。その画面の端に確かに捉えていた。

攻撃を仕掛けた張本人であろう、アビスの姿が。

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