機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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PHASE-11 少年たちの戦い(1/7)

時差数時間、グナイゼナウの街の空に太陽が輝いていたとき、

その街の空には月が光っていた。

黒い丸に塗り潰されたように、ほんの僅かに残る三日月が。

「綺麗な月ですね……ノエルさん」

リョウがぎこちない笑顔でそう話しかけると、

「どこが美しいものか……あんなまやかしの月など……」

そうぼやきながら、カクテルの入ったグラスを軽く揺する。

彼らのいる場所は、バーというべきか、パブというべきか。

大西洋連邦(アメリカ)じゃバーと呼ばれるが、

イギリス生まれの大西洋連邦大統領に言わせればパブであろうし。

ともかく、酒を飲む場所と考えてくれれば間違いはない。

木製の椅子と机が並ぶ昔ながらのこの酒場で、

隅に腰をかけた彼ら2人。

背後で騒ぐ団体客を、

椅子の上に胡座(あぐら)をかいたノエルが度々睨んでは、

リョウがまぁまぁとたしなめる。

そんなことを、小一時間ばかりも繰り返していた。

「ここいらの連中は、地球育ちがほとんどだ。

そんな連中の為にわざわざ人工の月なんか作っちまうんだから、

ラクス・クライン様ってのは気前がいい」

そう皮肉り、酒に口をつけ、

傍らの皿に乗ったポテトチップスを摘まむ。

淡い黄色をした、このカクテルの名前はハイ・ライフ。

ウォッカとホワイト・キュラソー、パイナップル・ジュースを、

およそ4:1:1の比率で混ぜ、これに卵白を加えてよくシェイクする。

そんな一品。カクテル言葉は……

「オマエは飲まないのか?ええと……」

そう話すノエルはリョウの方を見ていない。

「リョウです……遠慮しますよ。未成年ですし。アハハ」

ノエルは返答しない。

ただ無造作にチップスを3枚も4枚も口に運ぶだけ。

愛想笑いしていたリョウもそのうちに止めて、

机上の欧風のカレーをモサモサ口へと運び始めた。

そんな中で、

「……ガキどもは仲良く引っ込んでろってことか、まったく。

オマエの上司は気が利くんだな」

「……え?」

「誰だか忘れたのか?……俺の子守りをオマエに命じたのが」

スプーンを皿の上に置き、手を離すリョウ。

「先日も……言い争いをされているのをお見かけしました」

リョウの言葉に、舌打ちを返すノエル。

対してリョウはわざわざ彼の方へと向き直った。

「……お嫌いなのですか?ホルローギン・バータルさんが」

流石にこれにはノエルも視線を移す。

「嫌いだとか、好きだとか……そんな次元じゃないんだよ。

あの人と俺の因縁は。

まぁ……オートクレール殿下も知らないことだが」

「因縁、ですか?」

ノエルは今日もバーテン服。

ネクタイを緩め、第一ボタンを千切らんばかりに荒っぽく開ける。

「……あぁ」

リョウの方を向いていたノエルの顔が離れ、

横顔から青い瞳が金色の前髪の奥へと隠れていって、

リョウには見えなくなってしまった。




『いやはや……これは』
苦笑するホルローギンの声が聞こえてくる。
対し、正面を向いて見つめるダイの横顔は、
奇しくもノエル同様、前髪に隠れて、目が見えない。
『ダイ……ノーマルスーツぐらい着ろよ』
そう話しかけるアレハンドロの顔が映るのは、画面の右側。
一瞬振り返り、その緑色の目を向け、
「うるさい」
と一蹴すると、また正面に向き直るダイ。
「そのモビルスーツ……『氷原の狼』だな」
ダイの声は広域に飛ばされており、
当然、ホルローギン本人の耳にも届けられていた。
『……よく御存知で』
シールドをサッと後ろに引き、
体勢を崩しにかかるホルローギン。
逆の手にはシールドの隙間に隠れて見えないが、
ビームサーベルが握られている。
当然、相手がバランスを崩したところで突き刺すつもりだったろう。
ただ、少しの手の動きから、ダイはそれを読んでいた。
「知らない方がおかしいだろ?」
咄嗟に機体を後退させようと動く。
けれど、タイミングがあまりよくなかった。
突き立てられたサーベルの先が彼の首を捉えていた。
右側から首が半分以上も削られてしまい、
その後、Im/A-Pが引き下がる際に、左へ曲がってしまった。
『なるほど。太刀筋はいいと見えますね』
奥歯を噛み締めるダイ。
『まぁ……』
スッとサーベルを下げるホルローギン。
『……この前のインパルスほどではなさそうですが』
サーベルを握る腕は後ろに回され、足の裏へ隠された。
その後、半身に構えてシールドを突き出す姿勢となり、
刃の形はダイからは完全に見えなくなってしまった。
「……言ってろ!」
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