機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS 作:申業
サムは煙と攻撃を回避しつつ、前進を続け、
逆に飛ばしたポッド2基を自身のいる方向へと向かわせている。
そんな中で、ジョーンの話を聞き、
「……アイツが、そんなことを」
などと漏らしていた。ジョーンの話は続く。
『私だって……2回とも、どうしようもなくて……
アーモリー・ワンじゃ、あの赤いのに蹴られておしまいだったし、
航路上で襲われたときなんか、
アスカ副長に励ましてもらったのに、
結局、怖くなって……ずっとビビってただけだった』
話している間に、カオスとポッドが合流。
しかし、サムはポッドらを合体させずに、そのまま直進させ、
カオスの機体自体もそのまま進ませたから、
結果的には空中ですれ違っただけだった。
『それで……サムから話聞いてたから、
アレハンドロがスパイなんじゃないかって思って……
正直、手柄が欲しかったというのかな?そういうのでさ』
「……あぁ」
サムの返事は妙に重かった。
『でも……そしたら……』
「……自分にそっくりだった、と?」
何故かジョーンから顔を逸らしたサム。
『「仲間を信じてる」って、アレハンドロが。だから……』
正面に迫っている敵。ビームライフルを構えるサムだったが、
『だから私は……応えたい!』
ゆっくり顔を上げ、力強く引き金を引いた。
肩に付随する2門のビーム砲が火を吹き、
目前に立ちはだかった1機のザクを撃墜する。
『その……気持ちに』
次の瞬間、ガイアは静かにカオスの上から飛び降りた。
「……殺(や)れよ?速く」
ゆっくりと、ヘルメットのガラス部分を下げた。
次の瞬間……
銃声が聞こえるとともに振り返り、ビームシールドで腰を守る。
確かに、そこにあった。ヤツの腕が。
「そりゃ……隠れられるよな、そのパネルなら」
この時点の俺は、このパネルがどこにあったものかは知らない。
何せ、クールカがこれを使い、侵入した時には、
俺はまだコロニーの外にいたのだから。
だが、あんな大きなものが目につかないハズはなく……
「……俺の勝ちだ」
パネルは俺の背中側にあった。
指先より放れた5本のビームの線が矢のように降り注ぐが、
騒ぐ程のことはない。
3本分はシールドが弾いてくれるし、
もう2本も両肩を貫いた程度のこと。致命傷にはなり得ない。
その間に、背中のモビィ・ディックを起動し、反撃に転じる。
モーションが速い。何せ敵の指先からビームが枯れる頃には、
モビィ・ディックの砲身がもう光を放っていたのだから。
ダーティ側に回避の余裕などなく、片や腕を撃ち抜かれ、
片や厚いパネルを貫通し、何かしらを破壊した。
『……ギィィィ』
といった音がヤツの方から聞こえてきた。多分、歯軋りだったろう。
パネルの上からダーティのあの顔だけが飛び出して、
しかし、すぐに煙を吐いた。
とはいえ、俺もそれをただ見ていた訳じゃない。
一気に間合いを詰めて、煙を吐く頃には目の前まで来ていた。
右腕を突き出せば、優に頭を掴める程に。
「流石に、もう逃げられねぇだろ?」
相手のアンテナを掴んだ。右側の長い方だ。
一応確認したが、ビームガンはついていなかった。
流石にザフトも導入して浅い技術、
ダーティには使われていないのだろう。
「ここで、殺したっていいが……それじゃ、つまらないだろ?
オマエには吐いてもらう。色々とな」
あの多弁なパイロットが、何故だかこの時は何もない答えなかった。
「しかし、まあ……勝つには勝ったが……」
左腕と頭を失っている。カーテナも失った。ピックも残り1本。
だからといって、敵が見逃してくれるハズはなく……
ビームライフルの一射が俺を襲う。
『仮にも……味方の生み出した好機。生かさせてもらう』
そんなクールカの声と共に、
隻腕の赤きアダガがこちらに銃口を向けてるのである。
「……ヤン・クールカ。
あぁ、そうだ。これは戦争だ。
分かってる……分かってんだよ。そんなことは、とっくの昔から……何を、悩むことが。
……何を悩むことが」
苦笑せずにはいられなかった。
……少し時間を巻き戻して。