機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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PHASE-12 狂った兵器(7/7)

ホースから吐き出された水のように、

降りかかるビームをシールドで耐えながら。

「……何を悩むことが」

クトゥルフの照準を合わせば、放つまでにそうブランクは出来ない。

相手はビームライフルを撃っている途中。

反応まで若干のタイムラグが生まれて。

ビームシールドを展開したから、ボディの方は防御が間に合ったが、

ライフル自体は被弾。爆発する。

そこからの反応は速かった。

即座にビームサーベルに持ち換えつつ、

頭部のビームガンをばら蒔き、牽制(けんせい)するのだから。

そこからは心理戦だ。

機動力でなら負けることはまずないとして、問題は武器。

ガトリングでは隙が大きすぎる。敵はクールカのアダガだけじゃない。

ヤツが誰ぞザクの1機を配置しているのは分かる。

レーダー上に出ているのだから。

装甲の色を変えて空に同化しているが、コイツはそう問題じゃない。

武器の色までは変えられないから、構えた時点で動けばいい。

それだけの話。

ただ、俺もダーティの頭を掴んでいる以上、

これを投げ捨て、ビームピックを抜くとなると、動作が多い。

動いている間に、ザクならマシンガンを抜いて撃つまで出来る。

リック・ドムならまだしも、ザクの手数は厄介だ。

距離が距離である以上、

これを攻撃するなり、防御するなりするとなると、

必然的にクールカに背を向けることになる。

その間に間合いを詰められると、悪くいけば一撃で仕留められ、

上手くいっても接近戦に持ち込まれてしまうだろう。

接近戦では、ピックとサーベルのリーチじゃ、流石に不利。

じゃあ、いっそダーティを盾に?

いや、ダーティのパイロットは貴重な人質。

むざむざ殺させる訳には……

ヴァイデフェルトとシージーは離れすぎだ。

それに、向こうも向こうで戦っている。援護は期待できない。

そんな中……

『……久(ひさ)しいな、アスカ』

クールカの声を聞いた。

「戦場で話すことかよ。クールカさん」

愛想笑いというべきか、苦笑いというべきか、

顔を合わせて言うでもないのに、ついついそんな表情になる。

『そうは言うがなぁ……今ぐらいしか、話せまい』

普通に考えれば、視線誘導の類であろうが。

後方のザクを含めて、特段の動きは見られない。

『全く……考えられんことだろうなぁ。旧時代の戦争を知る者には』

その一言に、一人の男の顔が頭を過る。

クールカも恐らく、同じ人物を意識したであろう。

『厚い鉄の壁を一枚隔てしまえば……「死」はどこか遠くに……

殺しているという自覚も、殺される恐怖も……

不思議なものだ。忘れてしまっているのだから。

だからこうして、平気な調子で話せるんだろうなぁ……』

周囲への警戒は怠らない。

しかし、やはり動きはなく、

俺の頭には、今、不意打ちを仕掛ければ、あるいは……

そんな考えも過っていたが。

『……残酷だな。人間というのは。人間の……考えることは』

絞り出すように、クールカは言った。

「何が……言いたい?」

『……やはり、何も聞かされていないのか』

沁々(しみじみ)とそう言葉を紡(つむ)ぐクールカに、

こちらを欺(あざむ)く意図があるようには思えなかった。

間もなく、

『イヒヒヒヒヒヒヒ……』

耳を覆いたくなるように大きく、そして金属を切るように甲高い、

ダーティのパイロットの笑い声が聞こえる。

『……時間、切れェェ』

瞬間、コロニーの外から爆発が……

「……ルカーニアめ」




その頃、ヴィトー・ルカーニア本人は。
「……フゥ」
最早木の幹のような太い葉巻をくわえ、
吐く息もまた霧のように濃く、周囲を覆い隠してしまう。
「流石に、これは不味かったんじゃありません?ルカーニア閣下」
煙の奥で、フィロパトルが口元を押さえ、微笑んでいる。
「……勝ちゃいいんだよ。勝てば」
葉巻を口から離し、その両の口角をクッと上げる。
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