機動戦士ガンダムSEED C.E.81 LEFTOVERS   作:申業

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若干、時系列が前後するが、あの爆発があったときは、丁度、
ホルローギンの刃がダイの喉元に迫ったときで。
心臓が止まるかと思った程の爆音轟(とどろ)き、
ダイも遅れて耳を覆い、目を閉じるばかりであったが、
一点だけ、幸運であったというべきであろう。
本来なら、けして狂うことのないホルローギンの手元が、
爆発の余震で体ごと揺れ、そして狂った。
その隙。見逃す程、ダイも馬鹿じゃない。
「……貰った!」
ここぞとばかりに、ビームガンを撃ちかける。
ホルローギンも理解が速く、ビームシールドを展開したが、
無傷とはいかなかった模様。
上半身にいくらか小さな穴がポツリポツリと。
『これは……驚きましたね』
後退すること数歩、もう体勢を整え終えたホルローギン。
構え方は同じ。
シールドを前に突き出し、片腕を膝の裏に隠す、あの構え。
『……思わぬ邪魔が入りましたが』
その向かいで、ダイもゆっくりと立ち上がる。
片膝をついて、体の面積を小さくしつつ、
こちらはこちらでビームシールドを構えて。
『……流石に、私も2対1は骨が折れます』
ホルローギンが相手の上に覆い被さる体勢であったとき、
如何にビームガンを撃ち込まれたとはいえ、
そのまま、上から押し潰しにかかる手もあったろう。
しかし、ホルローギンはそうしなかった。
理由は……
『……大丈夫?ダイ』
そう言いながら、ビルの裏から顔を出すのは、
ジョーンのガイア。人形で、その手にビームライフルを抱いて。
『いえ……3対1でしたか』
ホルローギンが更に1歩下がり、傍らのビルの影に隠れる。
彼がいたところに降りかかったのは、一筋のビーム。
それも、サムのカオスがポッドにより、攻撃したものだ。
『はてさて……物量戦とはね』


FINAL-PHASE 希望と絶望と(2/7)

全く以て不本意だが、ルカーニアの判断は正しかった。半分は。

『お互い……無事らしいな?アスカ』

クールカの声が聞こえて、俺は、

「えぇ……お陰さまで」

皮肉たっぷりにそう答えた。少し見上げてみれば、

あの爆発で青い空は消え果てて、代わりに暗い星空が広がっていた。

より正確に言えば、コロニーの外壁のほとんどが消し飛んだのだ。

大きな口のように開いた天井から、

まるで息を吸うみたいに空気が漏れていく。

萎(しぼ)んでいく風船の内側にいるよう気分だった。

モビルスーツに乗っている俺たちはまだしも、

生身の人間には耐えられまい。

疎開(そかい)でいくらか住民は減っているとはいえ……

『酷(むご)いことをする』

「……『酷い』?」

腰のピックにゆっくりと手を伸ばす。

「なぁ、クールカさん……

アンタ、自分が何を言っているか、わかってるのか?

何をやってきたか……わかってるのか?」

距離を見積もる。どのぐらいだろうか。

クールカのアダガは随分小さく、随分遠くに見えるが。

『可笑(おか)しいか?

街を焼き払ったテロリスト風情(ふぜい)が、酷いなどとは……』

確信はない。しかし、何となくだが、

クールカの笑っている顔が脳裏を過(よぎ)った。

『分かっているのだよ……

君が言おうとしていることぐらいは、私にも』

「じゃあどうしてって聞けば……

どうせ世のため、人のためってんだろ?」

残りのピックは背中側にあった。

だから見えないだろうと、もう少し刃を抜いていた。

『いや……私のためだ』

クールカの思わぬ答えに、ついつい俺は手を止めた。

『好きなだけ軽蔑すればいい。

私に、自分を擁護(ようご)する気はない。

……ただ仕方がなかったのだ。私には。こうするしかなかった。

この道を選ぶしかなかった。ただのそれだけ。

それ以外に意味はなく、また悪びれるほど、人間も出来てはいない。

何なら……殺して欲しいぐらいだ』

フフッとクールカは笑った。

顔は見えないのに。何故だか俺には分かった。

それがつくり笑いだって、すぐに。

「他に選択肢はなかったと?」

『あぁ……』

「……そうか」

ピックを抜いた。隠しもせずに堂々と。

「……何があったのかは聞かないし、聞く気もない。

俺からはひとつだけ」

ピックを胸の前に持ってくる。そして……

「逃げろ……逃げられるならな」

まず殺られたのは、俺の背後にいたヤツだった。

俺がピックを抜いたのを見て、マシンガンを構えた。

結論から言えば、それが間違い。

上にはもうロイヤル・イタリアン大隊が迫っていたから。

例の黒に赤と緑というジズが上から撃ちかければ、

コイツは3発で落ちた。

『……オスマン!』

そのパイロットの名前だろう。クールカがその名を呼んだ。

「これで、もう俺を止めるものはなくなった訳だ」

『……クッ』

一瞬、歯痒(はがゆ)さからクールカがその声を出したかと思った。

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