気の向くままに、短編集。   作:天道詩音

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原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
タグ:性転換・オリジナルキャラ・TS・女主人公

※Evernoteから黒歴史を発掘してしまいましたので投稿します。
 ちょろっと訂正して投稿です。


ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
ベルちゃんかわいい


 

・ベルちゃんかわいい1

 

 

「わぁ~!ここがオラリオ………すっごく大きい!!」

『迷宮都市オラリオ』ダンジョンと通称される壮大な地下迷宮を保有する巨大都市。

 多くの者がダンジョンに向かい、財宝や栄光など各々が求める何かを手に入れるため今日もダンジョンに潜っていく。

 そしてオラリオにまた一人、ダンジョンに夢を見る子供がそのオラリオに降り立った。

 

 その子の名はベル・クラネル。

 オラリオからすこし離れた田舎で育ち、世間知らずな所もあるがベル・クラネルには夢がある。

 その夢のために、住み慣れた田舎町から一人で飛び出して来た。

 

 様々な種族達が行き交う大通りを歩く。

 エルフ、ドワーフ、パルゥム、獣人……ベルが住んでいた町はほとんどの人がベルと同じヒューマンばかりだったので、物珍しくて、行き交う人を見るだけでも時間を忘れて眺めていられそうだ。

 きょろきょろしながら歩いてるせいか、色々な人から視線を浴びて、恥ずかしくなり顔が赤くなってくる。

 煩わしい視線から逃れるように早足で目的地へ進む。

 

「えーと…まずはギルドに行って、それから今日泊まるところを見つけないと!」

 『ギルド』ダンジョンや都市全体を管理してる施設で、冒険者の登録なども行っている。

 ベルも冒険者になるためにギルドに向かっているところだ。

 オラリオの入り口付近からギルドにつく頃にはベルは衣服が張り付くほど汗をかき、疲れ果てていた。

 オラリオが広大なのもあるが、ベルが小柄で筋力も体力もないのがここまで疲れる原因だろう。

 

「はぁ……疲れた……なんでこんな広いの……」

 ベルはギルドの入り口近くにある噴水に座り込んでいた。

 噴水から来る涼しい空気を浴びて息を整えていると、冒険者らしき風貌で強面の男がすぐ隣に腰掛けて来た。

 すぐ隣に冒険者がいる状況に緊張してしまい、ギルドに向かおうと立ち上がろうとすると、何かに足を引っ掛けて転んでしまう。

 

「いたた……」

「おいガキ、なにオレ様の足を踏んづけてくれんだよ」

「えっ……」

 後ろを向くと機嫌の悪い男が少し踏まれた後のある靴を前に出している。

 

「足があるって気づきませんでした! ごめんなさい!」

「あ? 足を伸ばしていたオレ様が悪いって言うのかよ」

 靴を踏んで転んだと気づいて、慌てながらもすぐに謝るが、それが余計に男をいらだたせてしまう。

 

「そ……そんなつもりじゃ……」

「どうだかな? まあクリーニング代を出したら許してやるよ」

「クリーニング代ですか!?えっと……いくらですか……?」

「この靴は金持ちなオレ様に似合う高級品なんだよ。クリーニングに10万ヴァリスすんだよ。ほら早く渡せ」

 

 と言われて手を差し出されるが、ベルはもちろんそんな大金は持ち合わせていない。

 一般的な冒険者5人パーティーで1日に稼げるのが2万5千ヴァリスほどで10万ヴァリスとなるとかなりの大金である。

 ベルも田舎町を出るときに全財産を持ってきたが、10万ヴァリスには程遠い。

 

「あの……ごめんなさい……そんなにお金もってないです」

「ふざけんなよ!!」

「ひっ! ご……ごめんなさい!」

 男に大声で怒鳴られた事など無いベルは恐怖に涙が出てくる。

 

「泣いたら許されるとか思ってんのかガキ!」

「グスッ……許してください」

「許すわけ無いだろ。金が無いならこっちに来い、稼がせてやるよ」

「やっ……離してください!!」

「いいから来い!!」

「いやです!」

 強面の男に手を掴まれた恐怖で必死に逃げようとするがベルの力では到底振りほどけない。

 

「暴れんじゃねえよガキが!」

 男がベルの手を掴んでない方の腕を振り上げて殴ろうとする。

 殴られる恐怖にベルは思わず目をつぶってしまう。

 目をつぶり来るであろう痛みに怯えていたがなかなか来ない。

 

「がああああ」

「えっ」

 

 目を開けるとベルの前には黒い髪で黒い服を着た男が居た。さっきの強面の男の足を踏みながら。

 

「こんな可愛らしい女の子をいじめるなんて同じ冒険者として許せないな」

 

『ベル・クラネル』性別女性。

 

白髪赤目の小柄な美少女である。

 

 

・ベルちゃんかわいい2

 

 

「くそっ! 足をどけろ!!」

「おっとすまない。気が付かなかったよ」

 黒い服の男がベルの隣に来ると、踏んでいた白い靴はさらに汚れていた。それはもう真っ黒な跡が付いている。

 

「怪我は無いかな?」

「は、はい!」

「それはよかった。俺はクロノ・クロニエルだ。よかったら君の名前を教えてくれないかな?」

「あ、ベル・クラネルって言います!」

「ベルちゃんって呼んでもいいかな?」

「はい!」

 激怒している男が目の前にいるのに、何故か自己紹介を始めるクロノにつられて、ベルも自己紹介をする。

 

「かわいい名前だね。俺のことも好きに呼んでくれて構わないよ」

「では……クロさんと呼んでもいいですか?」

「君もクロって呼ぶんだね……俺のことをクロってみんな呼ぶんだけどなんでだろうね?」

「あはは……全身真っ黒だからじゃないですか?」

 

 ベルは目の前の全身黒尽くめの男を上から下までじっくり見る。

 髪と目は黒く、笑顔の似合うやさしい顔立ちをしていて、肌は健康的な白。

 服装は黒のコート、黒のシャツ、黒のズボン、黒い靴……これはクロと呼ばれてもしかたないんじゃないかなとベルは思った。

 

「黒ってかっこいいよね」

「は、はい……?」

「ベルちゃんは逆に真っ白だね」

「白っていいですよね!」

 

 次はクロノがベルの容姿をチェックする。

 ウサギみたいな赤い瞳、肩まで伸びた白髪に、真っ白な肌。見られている事が恥ずかしいのか、真っ白だった肌は少し赤く染まっている。

 服装は白の袖なしロングのワンピースで、スカート部分は膝先まで、そこからスラリと美しい脚が伸びている。

 身長140センチも満たない小さいベルは身長170センチほどのクロノと話すと上目づかいになり、いっそう愛らしく見える。

 

「ベルちゃんの種族って天使だったりする?」

「ヒューマンですよぅ……」

 

 顔をさらに真っ赤に染めたベルを見て、 まるで天使のようだとクロノは思った。

 ベルは容姿を褒められた事なんて家族からしか無かったので、他人に褒められる耐性が無くすぐに真っ赤になってしまうみたいだった。

 

「オレ様を無視して話してんじゃねえ!!!」

 

 目の前のゆるふわな空気にさらに怒りを増した男は大声で怒鳴る。

 目の前でラブコメが始まったら誰でも怒るだろう。

 

「お前ら調子に乗ってんじゃねえぞ!オレ様はLv.2だ!スペシャルなんだよ!てめえらみてえな雑魚とはちげーんだよ!!」

 ほとんどの冒険者はLv.1で一生を終えるのを考えれば、ベルたちの前で叫んでいる男はスペシャルと言えなくも無いだろう。

 

「すまない、君が居たのを忘れていたよ」

「ご……ごめんなさい!!」

 ただベル達はこの存在を忘れていた。一方は黒ずくめの男に褒められて頭がいっぱいになり、もう一方は天使に出会った衝撃で。

 

「ざけんな!! お前らオレ様に殴られたらどうなるのか分かってんの?Lv.2だぞ! てめえらみたいな雑魚なんて殴ったら一発で死ぬぜ! レベル差ってのがわかんねえーのか?」

 端的に言うとレベルが上がるとめちゃめちゃ強くなる。

 

「レベル差は分かってるよ」

「なら分かってるだろ雑魚。お前が何してもオレ様には効かねーし、オレ様が殴れば一発昇天って訳よ。クリーニング代と慰謝料で30万ヴァリス払えば許してやるよ。オレ様のスペシャルな優しさだぜ、最終通告だ。ほら出せよ」

「すまないけど君に払う手持ちは持ち合わせてないんだ。ベルちゃんにならともかく」

 

「おーけーおーけー……じゃあ死ね!!」

 

 そう言って男は拳を握り締めてクロノに向かって殴りかかってくる。

 クロノは拳を振り上げてクロノの顔を目掛けて殴ろうとする男の足を踏み抜く。

「がああああああ!」

 ゴキリと大きな音が鳴り、男は足を押さえて蹲る。

 

「痛てぇ……なんでお前みたいな雑魚が……」

「分かるだろ? レベル差だよ」

「レベル差だと……」

 

「俺のレベルは6だよ」

「はああああああ!?」

「えぇー!?」

 

 田舎娘のベルでも驚く事実。大半の冒険者はLv.1で一生を終える。Lv.2以上など一握りしか居ない。Lv.6となると両手で数えられる数となる。ベルが驚くのも無理は無い。

 

「めっちゃスペシャルじゃねえか………がくっ」

 

 そう言って男は気絶した。

 

「さて悪は滅びたね。ベルちゃんこの人の処遇はどうする?ギルドに突き出せば監獄行きにできると思うよ」

「そっ、それよりLv.6って本当なんですか!?クロさん!」

「まあ……ね」

「すごーい! すごいです!」

「あはは……ありがとね」

 

 純粋にすごいと言われてクロノはすこし恥ずかしくなり、横を向いて頬を掻く。クロノも褒められることに慣れているタイプでは無いみたいだ。

 

「そ、それでこの人どうしようか?」

 

 まだ、すごいすごいと言っているベルの意識を逸らそうとクロノが聞く。

 

「えっと……私はちょっとこわかったですけど、クロさんが助けてくれたので許してもいいです! 足も痛そうですし……」

「ベルちゃんって本当に天使だね」

「も……もう! からかわないでくださいよー!」

 

 少し頬を膨らませて上目づかいで怒るベルを見て、クロノは思ったことが口から出る。

 

「ベルちゃんかわいい」

「えっ?」

 

 

・ベルちゃんかわいい3

 

 

「どこのファミリアに入るとか決めているの?」

「まだですね。ギルドで相談しようかなって思ってます!」

 

 現在ベルとクロノはギルド内のソファーに座りながら雑談中だ。

 ベルは冒険者になるにはどうすればいいかと相談する為にギルドに来たが順番待ちで、ギルド内のソファーでクロノと雑談中だ。

 

「ギルドなら安心して相談できるからいいと思うよ」

「ならよかったです!」

「ベルちゃんって簡単に人を信じそうで恐いからね。前居た所なら大丈夫だったかも知れないけど、オラリオでは気をつけないと行けないよ」

「私は結構疑い深いからだいじょうぶですよっ!」

 

 やけに自信たっぷりに言うベルだが、クロノには信じられなかった。

 

「なら俺の居るファミリアに来ない?」

「えっ?クロさんのギルドですか!?」

「ああ。ベルちゃんは側に居てくれないと心配だからさ……俺のファミリアに来てほしい。必ず護るから」

 

「あ、あわわ……でも、その……嬉しいですけど……私は護られるだけじゃ嫌なんです!  あっ……でもクロさんのファミリアに入りたく無い訳じゃないんですよ! ですから……うぅ……」

 

「よし! なら今からファミリアのに行こう」

 クロノは立ち上がってベルの手を取り立ち上がらせる。

 

「えぇー! いまからですか!? あの…ギルドでお話し聞くのは……?」

「恩恵貰ってからでいいよね。その後ギルドに行けばそのまま冒険者になれるよ。よし行こう!」

「はっ……はい!」

 

 ギルドを出ようとするベルは突然止まったクロノにつられて止まる。

 

「ほらね。知り合って直ぐの人をを簡単に信じちゃだめだろ?」

「あっ……」

「オラリオの治安はあまり良く無いから自分の身は自分で守らないとだめだよ」

「えっと……じゃあさっきのクロさんのファミリアに入れるって話は……?」

「ベルちゃんが入りたいなら協力するよ。君は目を離すと心配だからね」

 

「そもそもどこのファミリアかも聞いてないのに着いていったらだめじゃないか」

「あっ! クロさんのファミリアってどこなんですか?」

「それは……」

 

「ロキファミリアですよね。(漆黒)《ダークネス》様」

「その二つ名で呼ぶのは止めてくださいエイナさん」

 

 ベルとクロノの話を遮るように出てきたのは、メガネの似合う利発そうな美人のエルフで、名前はエイナ・チュールと言う。

 

「昔にそう呼べって言ったのはクロノ君だよ」

「うぐっ……」

 クロノは胸を押さえて苦悶の表情を浮かべる。

 

「《漆黒》ってなんですか?」

「君が冒険者について相談しに来た子かな?」

「はい!ベル・クラネルって言います!」

「よろしくねベルちゃん。私はギルド所属のエイナ・チュールよ。で、《漆黒》って言うのはクロノ君の二つ名だよ」

 

「《漆黒》ってかっこいいですね!」

「あ…ありがとう…」

「《漆黒》って呼んでもいいですか!」

「ヤメテクダサイオネガイシマス」

「えっ?」

 

 ベルが口を開く度にクロノの瞳から光が無くなっていく。

 

「ふふっ、そう言うのは卒業したんだよね」

「したので忘れてください…」

「どうしようっかなー? こんな面白い事忘れられないよね」

「許してください……」

 

 楽しそうに話しているクロノとエイナを見て、なんだかムカムカしたベルは二人の間に入り込んで会話を止めに入った。

 

「むぅ…2人で楽しそうにしてずるいです!」

「ごめんなさいねベルちゃん」

「俺は楽しくないけどね…」

 

「とりあえずベルちゃんは私とあっちの部屋に行きましょうか? クロノ君はここで待っていてね」

「わかった。ベルちゃんをよろしくね」

「行ってきます!!」

 

 ベルとエイナは受付の横にある部屋に入っていった。

 2人はテーブルの対面に座るが、ベルは緊張でカチコチになっている。

 

「そんなに緊張しなくていいのよ。別に私は面接官って訳じゃないの。ベルちゃんの話を聞いて相談に乗ってあげるだけだからね」

「はっ、はい!ありがとうございます!」

「ふふっ、それでベルちゃんは何を聞きたいのかな?」

 

 ベルは目の前の優しいお姉さんに冒険者になりたい事。どこのファミリアが私に合っているかと質問した。

 

「えっと、まずベルちゃんはなんで冒険者になりたいか教えてくれないかな? そこを知らないと、どこのファミリアがベルちゃんの目的に合うか分からないからね」

「私が冒険者になりたいのは…大切な人を護れるように、強くなりたいからです! どんな敵からも必ず護れるように私は強くなりたいんです!」

 

 昨日まで笑いあっていた家族が、突然居なくなる。そんな経験をしたベルは、もう大切な人を失わない為に強くなる。そのために住んでいた町を出てオラリオまでやってきた。

 

「そっか…ベルちゃんは護る強さが欲しいんだ」

「はい!」

「お金の為とかだったら、ショップの店員とか、それこそギルドの受付を紹介してもいいかなって思ったんだけどね。ベルちゃんって小柄で力も無さそうだし、戦えそうなイメージが全く湧かないし…」

「あはは…これでも木剣は毎日振っていたんですよ!」

「冒険者になったらもっと重い物を振るんだよ? できる?」

「できなくても、やります!」

「ベルちゃんの心意気はわかったよ。だから、私も全力で協力するから」

「あ、ありがとうございます!!」

 

「それでおすすめのファミリアだけど、やっぱりロキファミリアかな」

「クロさんの居るファミリアですよね?」

「うん。でもクロノ君が居るのが理由って訳じゃなくてね。ロキファミリアはオラリオで最大規模のファミリアで、大きいって事は人も物資も十分に揃ってるから、しっかり冒険者について教わる事が出来て、安全に強くなっていけると思う」

「でもそんな凄いギルドに私が入れるですか……?」

「大丈夫だと思うよ。クロノ君の推薦もあるし、それに……」

「それに……?」

 

「主神ロキは可愛い女の子が大好きだからね。ベルちゃんなら簡単に入れるかもね?」

「えぇー! ロキ様って女性でしたよね?」

「性別なんて些細な問題らしいよ?」

「えぇー……」

「そんな神様でもいいならロキファミリアかな?」

「神様に問題があるって……」

 

「はぁ……気にしたら負けよ」

「はい……他にはいいファミリアはありますか?」

「……ベルちゃんの実力的に他のファミリアに入れるとは思えないかな、でも1つだけ、誰でもいいから団員を募集中ってファミリアがあるんだ」

「教えて貰ってもいいですか?」

「ええ。主神の名前は神ヘスティア。出来たばかりのファミリアで団員は0。神様1人しか居ないからダンジョンに行く場合はパーティー募集しないと危ないと思う。だから私としてはおすすめは出来ないかな」

 

「なるほど……でもこんな私でも必要としてくれるなら、入ってみたいです!」

「必要としてくれるとは……思う。でも確実に強くなるならロキファミリアかな」

「そうですか……」

 

「それで、ベルちゃんはどちらのファミリアに入りたい?」

「えっと……」

「色々言ったけど、決めるのはベルちゃんだよ。私は相談に乗っただけだからね。君の選択を教えてくれないかな?」

 

「私はーーー」




※読んでいただきありがとうございます。

 この小説は昔ハーメルンに投稿していたのですが、消してしまいました。その時の感想などは残っていませんが、いくつか感想をいただいていたのに申し訳ないです。
 ベル君をTSさせて主人公にしたのに、オリ主みたいなキャラが出ているのが、許せなくて消したのだと思います。

 ともかく読んでいただきありがとうございました。
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