気の向くままに、短編集。 作:天道詩音
予言によって英雄となることを定められた女の子が、もう一人の英雄(運命の人)を探すお話。
原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
タグ:ガールズラブ・オリ主・勘違い・女主人公
※実はダンメモのゲームで団員募集のために書きました。
「ヘスティア様! 聞いてくれますか!」
「リリーおかえりー、何か良いことでもあったのかい?」
「はい! わたしは運命の人を見つけました!」
わたしことリリーは運命の人を見つけました。あの人はとても綺麗で、優しくて、それにとっても強いお姉さんでした。わたしを囲んでいたモンスターを一瞬で倒して、危ないところを助けてくれました。
一目で運命の人だと思ったんです!
「ま、またかい……他のファミリアには迷惑を掛けないでくれよ……」
「もちろんですよ! 運命の人をヘスティア・ファミリアに入団させて、ずーっと一緒に居るために行ってきます!」
「やめてくれよー! ま、また苦情が……うっ胃が痛い……」
ヘスティア様はやめてと言っていますがすみません!この気持ちは止められないんです!お優しいヘスティア様なら、祝福してくれるはずです!それでは行ってきますね!
ヘスティア・ファミリアの拠点から出て、大通りを歩く。あの方はどこにいるんでしょうか?あ、あそこにいるちっちゃい子はリリちゃんですね!暇なら一緒に探してもらいましょうか?
とてとてと歩いてるリリちゃんの後ろをこっそりと歩く。今日は大きなバッグを背負ってないから、サポート業はお休みなんだろうね?リリちゃんとは同じファミリアなのに、あんまり仲良くないのが残念です。なので今から仲良くなってみましょう!
真後ろに行って、いきなりぎゅっと抱きつきます。えいっ!
「ひゃあ! な、なんですか!?」
「リリちゃんこんにちは! わたしですよ! リリーです!」
慌てて振り向いた、リリちゃんにわたしですよって教えてあげる。リリちゃんはジト目でわたしのことを見てきてかわいいですけど、どうしたんですか?驚かせちゃいましたよねー。ごめんなさい!
「リリーさん何するんですか……リリは忙しいんです。遊ぶならお一人で遊んでください」
「忙しかったんだ、ごめんなさい! 同じファミリアなのに、あまり話さないよね? 仲良くなりたいなーって思ったの!」
リリちゃんはわたしが近づくと直ぐに逃げちゃうんだよねー。ベルくんが居るときは話してくれるんだけど、わたしには冷たいのはなんでー?ベルくんと話してる時みたいに楽しくお話して欲しいのにー!
「リリーさんはリリの敵ですからダメです!」
「えー? なんで敵なのー? リリちゃんはわたしって名前が似てるし、敵じゃなくてお友達になろうよ! リリリリーってチームを作ろうよ!」
「名前が似てるのは関係ありませんし、変な名前のチームも作りません! それに、ベル様に呼ばれたと思ったらリリーさんに話しかけていて、聞き間違いをして悲しい思いもしたんです! やっぱり敵です!」
「そんなー……わたしはリリちゃんのことが好きなのにー」
「そ、そんな事を言っても無駄です! とにかくベル様は渡しませんからね! 失礼します!」
ベルくんを渡さない?ベルくんはリリちゃんのモノだったんだ……?わたしはリリちゃんの方がほしいよー!リリちゃんって小さくてかわいいんだもん!
それとベルくんもリリちゃんに分かりやすく名前を呼んであげないとダメだよね!ベルくんはわたしの後にヘスティア・ファミリアに入団してきた男の子で、わたしが誘ってあげたんだよねー。
他のファミリアに入れてくださいって頼んでも断られていたベルくんを見つけて、わたしはなんて言って誘ったんだっけ?
そうだ、
『あの、もしよかったらわたしのファミリアに来ませんか? えっとダメですか……?』
ベルくんを見たときに、わたしとベルくんって仲良くなれそうだなーって何となく直感で思ったんだよね?
話してみると、冒険者になる理由が出会いを求めたいって面白いことを言ってたからね、わたしも運命の人を見つけるために冒険者をしてるんだって話してあげたんだ。
それで冗談っぽく、
『もしかして、ベルくんがわたしの運命の人かも知れませんね』
って言ったら顔を赤くしていて、男の子なのにかわいかったなー。ベルくんが女の子だったらよかったのにね。
わたしの運命の人は女の子らしい。
エルフの里で最も高名な占い師に言われたんだけど、
『ーー未来の事だが、私には見える。英雄を目指す小柄なヒューマンの傍に立つお前の姿を。そのヒューマンは英雄となり、お前と共に黒龍を打倒しているその姿を。
お前の末路は英雄だ。
そのヒューマンと共に歩まなければ、死にゆく定めの比翼の英雄だ。
運命に定められた彼の者を見つけろ。その為にお前は生まれてきた。英雄になるただそれだけのためにーー』
小柄なヒューマンってことは、女の子だよね?それに、わたしは既に運命の人とはどこかで会っているみたいなんだよね。
ベルくんをファミリアに誘ったその日に、運命の人に会ったみたいで、わたしは一つのスキルを覚えた。
【比翼ノ英雄】自身の魔力を消費して、他者の強化を行う。魔力量によって効果増大。《英雄》と銘打たれたスキルを持つ者への効果は更に増大。
どこで会ったのかは分からないけど、オラリオのどこかに居るのは確かだよね。でも今日見つけたんだ、わたしの運命の人を!次こそは本物だと思うの!
剣に風を纏って、一瞬で七体のモンスターを切り裂いたあの人はまさに英雄で、わたしの運命の人だよね。あの人はどこに居るんだろう?
ダンジョンの前で張り込んでみようかな?あの人は冒険者だからダンジョンには絶対に行くと思うから。大通りから、ダンジョンの入り口まで歩いていく。
あっ、ダンジョンから出てきたベルくん発見!ベルくんにも挨拶しないとね!わたしには気付かなかったみたいだし、通り過ぎていったベルくんの後ろからリリちゃんの時みたいに抱きつく。えいっ!
「うわっ! リ、リリーさん! なんで抱きつくんですか!? は、恥ずかしいですって!」
「ベルくんへの挨拶だよ! 同じファミリアの家族なんだから、抱きついてあげないとね! リリちゃんにもさっきやったんだよーえいって」
ベルくんの頬が赤くなっているのが横顔を見るだけで分かる。かわいいねー。ベルくんはリリちゃんを置いてダンジョンに潜ったんだ?いくらレベル2になっても、一人だと危ないよねー。注意してあげないと!
「ベルくん、一人でダンジョンへ行くのは危ないよ。これからは誰かと一緒に行こう? わたしも誘われたら付いていくから、いつでも言ってね」
「あ……ありがとうございます! そ、それより近いですよ!」
ベルくんが身をよじって離れちゃった。ベルくんに抱きついていると、反応がかわいいしちょっと残念かなー?まあいっか。
「そうだ! ベルくんに聞きたいんだけど、わたしね運命の人を見つけたの!」
「ま、またですか……命さんの次は誰ですか?」
命ちゃんは、この前ヘスティア・ファミリアに入ってくれた女の子で、わたしの運命の人だと思って、二週間くらい一緒に居たら入団してくれたんだよね!わたしの想いが通じたんだね!結局、わたしの運命の人では無かったんだけど、すごく仲良くなれてうれしいなー。
「名前は分からないけど、特徴を教えるから、ベルくんが知っていたら教えてくれる?」
「はい。知ってる人ならいいんですけど」
「その人はね、金色の長い髪をなびかせた金色の瞳の女の人が、剣に風を纏って、一瞬でモンスターを切り裂いたの」
「へ? それってアイズさんじゃないんですか? ま、またライバルが増える……」
ライバルが増える?なんのライバルだろうね?じゃなくて、ベルくんが知ってる人なんだ!
「アイズさんって言うの? どこのファミリアなのかな?」
「リリーさんも会ったことありますよ……あの時はマインドダウンで気絶していましたね。僕がリリーさんのスキルで強化してもらってミノタウロスを倒した時に、気絶していたリリーさんを地上まで運んでくれたんですよ」
「やっぱり運命の人なんだね! もう会っていたんだ!」
あの時は危なかったよね。五層でベルくんとモンスターを倒そうとしてたら、まさかのミノタウロスが出てきたんだよねー。見つかった瞬間に逃げたんだけど、逃げた先は行き止まりで、倒さないと死んじゃうって思ったから、全ての魔力を使ってベルくんを強化して、わたしは気絶しちゃったんだけど、ベルくんはミノタウロスを倒してくれて、わたしもベルくんも助かったんだよね。
その時にベルくんはレベルアップしたけど、冒険者になって二週間でレベルが上がるなんてすごいよね!
その時にアイズさんは私を運んでくれてたんだー。また助けて貰っちゃったし、会えたらうれしいな。よし、アイズさんのファミリアを聞いて会いに行こう!
「アイズさんのファミリアってどこ? 早速会いに行かないと!」
「ちょ、ちょっと待ってください! アイズさんはロキ・ファミリアなので、会いに行っても通してもらえませんよ!」
「諦めなければ何とかなるよ! 諦めないことが英雄への第一歩なの!」
「た、確かに……じゃなくて、またこの前みたいに戦争遊戯一歩手前になっちゃったらどうするんですか!? そのせいで神様は胃薬を手放せなくなっちゃいましたし、今日は止めておきましょう!」
「えー……まあベルくんがそう言うなら仕方ないかー。代わりにオラリオを一緒に歩いて、アイズさんを探してもらうからね!」
「は、はい!」
「ふふっ、二人で歩くなんてデートみたいだよね。手を繋いであげるよ。はいっじゃあ行こうか?」
「ででで、デート!? は、はひ!?」
ベルくんの手を握って、二人で北の方へ向かって歩く。こっちは服とか装飾品が売ってるんだよねー。何か買っちゃおうかな?
隣で顔を赤くして、恥ずかしそうに下を向いているベルくんを見てたら、顔を上げたところで目が合った。目が合った瞬間に笑いかけたら、もっと顔赤くなった……ベルくんってやっぱりかわいい!
同い年で身長も同じくらいだけど、なんだかベルくんって小動物みたいで、わたしより小さく見えるよね。でも、モンスターと戦ってるときは格好いいんだよねー。本当にベルくんが女の子で、わたしの運命の人だったらよかったのにねー。
「ベルくん、これわたしに似合うかな?」
「は、はい! リリーさんの銀色の髪に、大きな赤色のリボンが凄い似合いますよ!」
「なら……買ってくれる? ダメかな……?」
ベルくんの手を両手で握って、顔を下から覗くように見上げてお願いする。買ってほしいなっ!
「買います!!」
「ふふっ冗談だよ。でもベルくんが似合うって言ってくれたから買ってくるねー」
店員さんに500ヴァリスを渡して、リボンを買ってきた。そうだ!
「ベルくん! リボンを着けてくれるかな? ベルくんの好きな髪型にしてくれていいよー」
「は、はい!? がんばります! えーっと…………これでどうですか?」
頭の後ろを触ってみると、後頭部の真ん中にポニーテールができていた。うん。上手く結べてるし、よさそうかな?
「ベルくんありがとう! 似合ってるかな?」
「はい! 最高に似合ってます!」
「ありがとねー。じゃあデートの続きをしようか?」
「はいぃ……!」
二人で服を見ながら、更に北の方へ進んでいく。するとなぜか大きなファミリアの拠点にやってきた。どこだろうねーここー。
「こ、ここってロキ・ファミリアの拠点じゃないですか!」
「あれー? おかしいね-? なんでだろうねー?」
「北に向かったのって、ここに来るためだったんですか!?」
「もちろんベルくんとデートするためだよー。さあ私たちのデートの続きを始めようか! 乗り込むよ!」
「絶対ダメです! ほら、門番の人に変な目で見られてますよ!」
「英雄になるには、自分の定めた道をどんな障害も超えてでも、突き進まないとダメだよ!」
「た、確かに……じゃなくて、乗り込むのはダメですって!」
ベルくんに後ろから抱きしめられて、止められちゃった。えー残念だよー。普通に助けてくれてありがとうって言うだけだよ?ついでにヘスティア・ファミリアはどうですかって聞くかもだけど、些細なことだよね!
「帰りましょうね! 神様が胃を痛めながら帰りを待ってるんですから!」
「むー……はーい。じゃあまた今度一緒に、わたしの運命の人を探してね」
「いくらでも付き合いますから!」
「なら今回は許してあげるよー。英雄は引き際を誤らないの!」
ベルくんと一緒にヘスティア様の元へ帰って、今日あった話をしていく。ロキ・ファミリアに突っ込もうとした話をしたら、ヘスティア様は胸の下あたりを抑えてうずくまって……胃が痛いって倒れちゃった。
急いでベルくんと一緒にミアハ様の元へ連れて行って、診て貰ったら、胃に穴が空いちゃったんだって……しばらく安静にって言われてた……。
ヘスティア様はしばらくミアハ様のところで療養するんだって、神様って大変なんだね……帰る前に起きたけど顔色の悪いヘスティア様から、
『くれぐれもリリーは大人しくしていてくれよ……』
うん。ちょっと最近は運命の人を見つけるのにがんばりすぎていたよね!ロキ・ファミリアに居るって分かったから、ヘスティア様が帰ってくるまでは大人しくしていてあげようか!
ヘスティア様が帰ってくるまではロキ・ファミリアには突撃しませんって、ベルくんに話したら本気で怒られちゃった……。はい。もうロキ・ファミリアには突撃しません。
でも運命の人を見つけるのは諦めないよ!
百合を書こうとしていたら、なんかリリーがベルくんといちゃいちゃしていた件。原作ベルくんがかわいいのがいけませんね!
ヘスティア様は胃潰瘍でぶっ倒れました。私がヘスティア様を出すと、何故か胃痛持ちになってしまいます……
原作との差異は結構いくつかありますが、だいたいリリーの仕業ですね。
リリーのもう片割れの英雄は誰でしょうねー?
短編なので続きませんが、読んでいただきありがとうございました!