気の向くままに、短編集。   作:天道詩音

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だんまち
TS
パルムゥ


信じて送り出したTSロリ姉幼馴染みがロキファミリアの冒険者になって団長の調教(曲解)にドハマリしてエへ顔ダブルピースで日常を送っているなんて

「ベルくんかわいい。大好きだよ」

 柔らかな雪のような白髪の男の子、幼馴染みのベルくんが顔を赤らめた後、下を向いて恥ずかしがっている。

 

 かわいいなぁ〜ベルくん。

 

 白髪に赤目でしかも小柄でウサギみたいなところも、何処に行くにしても、ちょこちょこと後ろを付いてくるひな鳥みたいなところも、僕は英雄になりたいですって張り切って剣を振り回してる男の子っぽいところも全部好きかな。

 

 うん。ギリいけると思う。

 

 私、もとい元『俺』は地球じゃない異世界に記憶を持って転生したみたいで、小さな村の小さな神社の一人娘として生まれて、年を一つ後に生まれたベルくんと一緒に成長していった。

 

 生まれてからずっと女として暮らしてきたので、話し方も趣味嗜好も女の子っぽくなってきたけど、一つだけ変えられなかったものがある。

 

 男は好きになれないって!

 

 異世界らしく私の種族はパルゥムって言うらしくて、成長しても身長も小さく人間の子供くらいまでしか成長しない小人のような種族みたいで、お父さんもお母さんも、少年少女のような見た目のままだ。

 

 そして私の家はパルゥムの信奉している女神フィアナを奉る神社で、数百年前に他の神様が地上に降りてきた中でフィアナ様は降りてこなかった事から廃れてしまったフィアナ様の信仰だけど、家は地上でも数少ないフィアナ様信仰を続けている神社だった。

 神様と会えるこの世界で、会えないフィアナ様を何百年も信仰し続けていくなんて、本当に大変なことだったと思う。

 

 そんな歴史深い神社の跡取りな私にお父さんとお母さんからも、神社の跡継ぎを残すために結婚しなさいと言われているけど、村のおじさんやお兄さんを見て、好きになれるかと言われると……うん、無理!

 

 男を好きになれる気がしないよね。絶対に男を好きになるとかないでしょ!

 女の子の方が可愛くて、柔らかくて、いい匂いで……とにかく好きになるなら女の子でしょう!

 

 今では14才になった私に対して、もう結婚相手を見つけてくると息巻いてオラリオって街に出かけたお父さんの事は記憶から消して、下を向いていたベルくんのほっぺに両手を添えて顔を上げさせる。

 

 もっと顔を赤くして目を瞑ったベルくんを正面に見据えて思う、やっぱりベルくんならギリギリいけると思う。

 13才になって身長は私と同じくらいになったけど、女の子っぽい顔つきで、これから成長しても小動物チックなところは変わらないと思うから、ベルくんの事なら男としても好きになれるかもしれない……たぶん。

 当然、友人としても弟分としては好きだけど男として……となるとどうなんだろう?

 正直、男の子としては見たことが無いけど、もし誰かと結婚して子供を作らないといけないんだとしたら、ベルくんならたぶん、きっと、セーフだと思う。

 

 からかうついでにベルくんにこの思いを伝えてみちゃおうかな。ふふ、どんなかわいい反応をしてくれるのかな?

 

「ねえ、ベルくん……?」

「なっ、なに? アスナお姉ちゃん……?」

 

 ベルくんから見たら天使のような美少女に頬に手を添えられて微笑まれている状況になっている。

 

 私の容姿は端的に言うとアスナかな〜やっぱw

 みんなにアスナって言われてるw

 

 そんな感じで前世で見ていたアニメに出てきたソードアート・オンラインに出てくるアスナが小学生くらいに小さく幼くなった感じの容姿で、客観的に見ても主観的に見てもまごうことない美少女だね!

 なんでこの容姿になったのかは全くわからないけど、鏡を見るだけで、幸せになれる容姿に生まれたのは最高だよね!

 

「ベルくん、私……ベルくんの事大好きだよ」

「えっ、わっ、あっ……」

 

 真っ赤なベルくんがさらに赤くなってトマトみたいになっている。

 ふふふ、やっぱりかわいい反応をしてくれるね!最高だよ!

 

「ずーーっと一緒に居ようね!」

「あうっ……う、うん!」

 

 私をおずおずと見てうなずくベルくんに、によによと笑みを浮かべている自覚はある。

 うん、本当に好きになれるかも。男の子としては見えないけど、誰か男の人を選ぶならベルくんかも!

 

「べ、ベルくんまたね!」

「あっ、うん……またね!」

 

 まだ赤い頬から手を離して、背を向けて手を振る。

 ちらちらとこちらを見てくるベルくんを見ていたらなんだか、顔が熱を持ってきた気がして、なんだか恥ずかしくなって逃げるように家に帰る。

 

「アスナ、戻ったな!」

「あ、お父さんお帰り」

 

 オラリオに言っていたお父さんが帰ってきていて満面の笑みで私を迎えてきたけど……嫌な予感しかしないよねぇ……

 

「何とか相手方と交渉してお見合いすることが決まったぞ!」

「ええー、無理! 男の人とか無理だよ!」

 

 お見合い相手を探すって言って飛び出していたけど本当に見つけてくるなんて、本当にめんどうな事になったよ!

 

「今日中にオラリオに向かうから、もう準備もしておいたから行くぞ!」

「男の人と結婚とかしないから! もし結婚するならベルくんと結婚するもん!」

 

 この際もうベルくんと結婚しよう!ベルくんと結婚すれば他の人とは結婚しなくて済むし!

 

「確かにベルくんは良い子だけど、家はパルゥムの家系だからヒューマンは認めないぞ? それよりほら馬車に乗ってくれ、相手はオラリオで有名なファミリアの方なんだ。ロキファミリアって聞いたことあるか……って逃げるな!」

「わーー! 掴まないでよ! って手錠!? なんでそんなの用意してるの!?」

 

 なんかお父さんが語り出している間に逃げだそうとしたら腕を掴まれた瞬間、右手に手錠を掛けられて、馬車に乗せられて、柱に手錠の片側を繋がれて……って娘に何をしてるのお父さん!

 

「アスナお姉ちゃん!? どうしたの!?」

「ベルくん! 」

 

 私がキャーキャー騒いでいると、声を聞いたのかベルくんが慌てて駆け寄ってきた。あわあわと手を動かしているベルくんを見てなんだか冷静になってきた。

 ようは私が婚約されなければいいって事だからね!

 嫌われるように仕向けてお見合いを失敗させればいい訳だし、すぐに戻ってこられると思う!

 

「大丈夫だよ。ちょっとオラリオに行って、すぐに帰ってくるだけだから安心して待っていてね」

「うん……」

「ほら、お姉ちゃんを信じてよ。私が嘘ついたことってないでしょ?」

「う、うん」

 

 悲しげな表情から安心した表情へと変わっていったベルくんを見て、私も元気が出てきた。よし、ベルくんの為にもすぐに戻ってくるようにしよう!

 

「ちょっと話をして断ってすぐに戻ってくるだけだから行ってくるね。それじゃあまたね!」

「うん! 僕、待ってるから!」

 

 ニコニコと手を振っているベルくんに手を振ろうとして、ガシャンと手錠が鳴る。右手は繋がれていたんだった……左手でベルくんへ手を振りながら馬車に揺られて、住み慣れた村から離れていく。

 

「絶対に……ぜーったいに結婚とかしないから!!」

 

 手錠をかけられて、オラリオに向かう馬車で叫ぶ。

 男の人と絶対に結婚なんてしないから!!




(タイトル元ネタのアスナは関係)ないです

読んでいただきありがとうございました。

7月21日19時19分に投稿していました。
あの日あの時あの時点で投稿しなくてはと思ったことで投稿。
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