気の向くままに、短編集。 作:天道詩音
早苗の友人、親友、両親すら、この町の全ての人から、早苗がここに居た……居たはずの早苗の記憶が失われた。俺だけ<
なぜ早苗が居た記憶が失われたのか、常識的に考えると、自分以外の全ての人間が知らない存在を自分だけが知っている。そこでおかしいのは他人ではなく……自分の記憶がおかしいと考えるべきだろう。
町の全ての人から特定の記憶を失わせる技術なんて、この世界中のどこを探しても見つからないだろう。超常の存在を除いてはだがーー
超常を科学で否定し続ける、この現代社会の日本では、超常な存在なんて無いと思われているだろう。超常の存在がある事を『知っている』者はいないのではないか?俺以外にはーー
なぜ、超常が存在していると知っているのか?それは俺が経験した、記憶が残っているからだ。
異世界に転生して、魔法使いとして生きた記憶がーー
『異世界帰りの外来人ー異世界で天寿を全うした最強魔法使い、日本に転生し帰郷、幼なじみが神隠しに遭い、魔法を頼りに捜索を行い向かった先は幻想郷ー』
「お兄ちゃん、なんで……死んじゃうの……? 永遠の命くらいお兄ちゃんなら簡単だよね……?」
「もう十分生きたからな……人の一生としては100年は十分すぎるさ……」
妹の〇〇〇が泣きながら、俺の手を握りしめている。小さな手で力いっぱい握りしめているが、もう触れられている感覚も無い。
何故だろうか……この世界に産まれてからの記憶が頭の中で流れ出した。
この世界に産まれ落ちる前、日本のありふれた現代社会の中で生きていた記憶がある。
多岐に渡る趣味はあっても平凡に生きて、ごく普通の家庭を作り、そして何事も無く老いて死ぬであろう人生は唐突にーーなんの前触れもなく終わった。
通勤に向かう途中、突然視界が黒に染まり、その瞬間死を迎えたーー次に目を開けると、その目に映ったのは輝く銀色の髪の女神のような美しい女性がすぐ目の前に居て、優しく包み込むような笑顔を浮かべていた。
「ふふっ、ごめんなさいね。試作品として人形を作ってみたのだけど、魂が無くって動かなかったから、適当に引っ張ってきたの」
「……は?」
適当に引っ張ってきた?魂を……?この状況を作ったのは目の前のこいつか……?
「もう誤ったから睨まないでよー。でも感謝してもいいんだよ? 新しい人生を楽しめるんだから!」
確定ーー女神かもしれないが邪神の類だろう。魂を抜き取る死神みたいなものか?
「さて、ここからは好きに動いていいよ? 君の身体が上手く動くようなら人形作りは成功だし、まともに動いてくれるといいねー?」
手を握り締める事ができて、足もしっかりと動かせるようだ。ならやるべきことは一つだろう。
「このまま外に出ても、誰かに殺されちゃうだろうし、しばらく案内を付けてあげるよ。〇〇ちゃん来てくれるー?」
後ろで誰かの足音がするが、後ろは振り向かない。目の前の邪神だけを視界に映し、拳を握りしめて構えを取りーー
「最後に私から言う事が一つだけありますーーようこそ私の世界へ!」
女神だとしても関係ない。とにかく……一発殴ってやる!!
読んでいただきありがとうございます。
なろうのテンプレで東方を書いてみます。
平均1200文字くらいで、書かれていたなろうテンプレの小説が書籍化してました。
つまり、それくらい短くても面白い小説があるのです。
なので、それくらいの文字数で書いていきますので、短いからNGな方はご遠慮ください。
ただ、仕事が忙しくて続けられる気がしないので、こちらの短編集で供養します。