2000文字という制限に何とか間に合わせられるのがこれだけだったので、順次つなぎ合わせたり加筆したりで2000字以上にして投稿していきたいですね。
ヤンデレ……? というか9A-91が病んでいるのでファンの方は許してください、某生放送で呷ってきた視聴者が悪いんです!!
初投稿と言う事で、色々と不手際あるかもしれませんが、宜しくお願いします。
「幽霊……ねえ」
自分の姉、UMP45から任務の内容を思い出していた時、UMP9は呆れたという風にため息を吐きながら呟いた。
雪が降る中出撃だと伝えられるから、どれだけ重要な任務化と思いきや……まさか現代兵器で幽霊退治とは誰だって思わないだろう。
「そういう噂なだけで、正体不明の何かというのが実際の所よ……第一、幽霊なんて居る訳ないじゃない」
呟いた声が不満に聞こえたのだろう、生真面目に周囲を警戒しながら歩いている416から補足が入る。
鉄血の部隊がある区域を中心に数を減らしているらしい。
実際に偵察部隊からの報告だと、バラバラにされた機械人形や機械の残骸が散乱していた と言うのだ。
グリフィンでは部隊を出して居ない事から、その惨状が何故起こったのか、また何が起こしているのかを調べろ という指示だ。
404小隊に依頼する仕事なのだろうか……とも思ったが、指揮官からは
何かあった時でも君達なら対処できると思うから と言う事だ。
まあ、評価されていて悪い気はしない。
それに今回はハンドガンの増員もされている……別に必要では無いが、指揮官の心遣いを無下にする訳にもいかない。
きたきたきたきた~! と明るい娘だし、基本的には真面目そうだから問題無いとは思う。
さて……とりあえず何事もなく接近できれば良いのだけれども。
「ねえ……やっぱダメだって、帰ろうよ……」
しばらく何事も無く歩いていたが、また何時ものが始まった様だ。
G11が416に帰ろうと訴えている、しかも今回は夜間任務な為余計眠いのだろう。
「何がダメなのよ、任務だからよほどの事でもなければ帰れる訳無いじゃない」
「その任務がダメなんだって……ほら、嫌な予感ってあるじゃん。 あれ」
「はあ……あのねえ、嫌な予感がしましたので帰還しました、偵察任務失敗です。 なんてガキの遣いよ」
「うう~~」
と、忘年会シーズンなら良い漫才として出せるだろう……よし、今年はこの線で行こう。
ただ、G11の表情を伺って見るに本気で嫌がっているようにも思う。
それに……大体416に一回怒られれば観念するのだが何故今日はこうも何回も言い続けるのだろうか?
「しっかしまあ……何て言うか、パーツ墓場ね ここ」
月明りに照らされた雪原に、ばら撒かれた鉄の塊が静かに存在感をアピールしている。
目の前に聳え立つ工場の跡地らしいものが冥界の門にすら思えてくるほどだ。
45姉が呟いた通り、墓標が乱立しているようにすら見えてくる。
「ただ全て鉄血製の様に見えますね、私達グリフィンのI.O.P製のパーツらしきものは見当たりません」
「だとすれば本当に同士討ちか……果てまた、あの工場跡地に鉄血を敵とする何かが居るか だね」
監察してみると、残骸は工場跡を囲むように散乱している。
これで間違いなく工場跡地に何かが潜んでいるのは間違いはないだろう。
逆に言えばあそこに侵入し調査しなければならない と言う事だ。
「工場へはあそこから侵入できそうね、2階に続いているから……G11、ちゃんと聞いて居るの?」
「ううっ……ヤバいって、絶対ヤヴァイって……」
「ヤバいヤバいさっきからそればっかりじゃない! もうしっかりしなさいよ!!」
バンバン と416が背中を叩いて活を入れている。
私ももう一度工場の方へ向き直るが、なぜG11がそこまで怯えているのかが分からない。
周りに散らばっているのは鉄血製の機械ばかりなのだ、I.O.P製の物は一つ足りとて無いのに……
「ほら、さっさと上がる!!」
「うええぇ……お、押さないで、手摺が壊れちゃう……」
渋るG11を416が強引に錆び付いた外部階段へ押し上げていく。
45姉とC96は先に工場内の索敵をしているので、G11を引っ張り上げるのは私の役目だ。
ギイギイと金属製の階段が悲鳴を上げ、ノタノタと登ってくるG11と、片手で引くだけで軽い着地音を立てて登ってくる416.
これで全員、2階部分から内部に入る事になる。
非常階段の部分には壊れかけた階段しか無い上に窓が無かったので、トラップにさえ注意すれば問題ないと判断した。
「45姉、どう?」
「ん……まあ、誰かが居るのは確実ね」
工場内部で周囲を調べていた45姉に声をかける。
空気が淀んでいるかと思いきや、外とあまり変わらない……換気がされているという事だ。
周囲に配置されてある機械群に埃が積もっておらず、通路となる部分に簡易的な照明らしきものもある。
それに沿って目線を上げてゆくと……円筒の容器を発見した。
照明で目線を誘導している所から、見つけてくれと言わんばかりの配置だ。
警戒しながら近づいてみると、中は液体で満たされている様であり……まだ電力が生きている事が分かる。
「これは……何かしら?」
「電力的には生きているみたいですけど……何でしょうか、生命維持装置?」
「それにはあまり触らないで欲しいですね」
即座に声がする方向へ銃口を向ける。
C96が照明弾を打ち上げ、赤い光に相手が映し出されるが……
「9A-91……? グリフィン所属じゃないの?」
「はい、もうあそこには所属していませんよ。 指揮官がそこには居たくないみたいですから」
戦術人形の脱走? いや、指揮官が脱走したと言う事?
ドローンからここを見ているであろう指揮官からは脱走者が出たという情報はない と通信機越しに返信がある。
「指揮官って……」
「目の前に居るじゃないですか」
スタッ と上にあった配管から飛び降り、先ほど調べようとした円筒の容器横に立つ。
目の前って……まさか?
「指揮官は今寝てしまっているんです。 戦場に立つ私達を気に掛け過ぎて……
敵をまだ掃討仕切っていないのに、心配だからって見に来て」
そっと優しい手つきで容器を撫でる9A-91、それに答える様に容器内部の照明が点灯する。
何かの溶液に満たされた中に、人が浮かんでいた。
各所にチューブが繋がれ、グリフィンの制服を纏ったまま……
ただ唯一、額付近をなぞる様に傷がついて居なければ。
「指揮官は撃たれました、私の目の前で……そこからずっと眠っているんです。
応急処置もしました、でも目を開けてくれないんです……だから、ずっとここで護ってあげるんです。
目が覚めるその時まで、ずっと……」
「いや……その人はもうs」
「寝ているだけです、指揮官が亡くなる訳がありません。 私をずっと見てくれると言ってました、指揮官は嘘をつきません」
45姉が言おうとした事は分かる、けど9A-91はその声に耳を傾けない……いや、理解しようとしていないのだろう。
額の傷は致命傷だ、あれではどう頑張っても即死に近い状態だ。 それが分からない筈も無いだろうが…
「ねえ、そのドローンからあなた達の指揮官はこちらを見ているんでしょう? 伝えて欲しいの、私達を放っておいて下さいって」
「それを伝えるメリットが見えないんだけど…?」
「ここに近づく鉄血の部隊は殲滅します、一機残らず……外を見たでしょう、私の力は分かると思います」
「……もし、嫌だ と言ったら?」
二コリ と9A-91が笑う……濃厚な殺気をその体から放出しながら。
「指揮官の意思にそぐわない人形は殲滅しますよ?」
結局、あの場所は居住地からも遠く戦略的価値が無いとされ、9A-91が鉄血を倒し続ける限り放置することが決定された。
最も、弾薬も食料も9A-91は全て自給しているらしいからコストがかからず敵を減らしてくれるのなら構わないだろう というのが上層部の意見らしい。
「骨折り損 とは言わないけど……疲れたわ」
「うう……これならまだ残敵掃討とか、区域のパトロールの方が楽だったよ」
「あんたがそう言うなんてね、次はそうしましょ」
「でもできれば寝ていたい」
帰還するヘリ内部で、416とG11は相変わらず仲良さげにじゃれ合っている。
C96は座席に身を任せて眠っている……時折うなされているのは、最後の殺気が効いたのだろうか。
指揮官がすぐさま45姉に停戦命令と相手方の意思を汲む と言わなければ……
「ねえ、45姉……9A-91だけど」
「ん、多分もう壊れてしまってるわね。 指揮官を目の前で狙撃された時には既に……」
「それだけ大切だった って事?」
「あの人形の左手を見た? 指輪がしてあったわ……それだけ愛されていたんでしょうね」
45姉が何を考えているのかは分からない。
ただ、何故こんなにも悲しそうに月を眺めているんだろうか とだけ思った。
しかし、私も何が原因か分からない燻りを感じていた。
何故……9A-91を最後に見た時、羨ましいと思ってしまったのだろうか?
指揮官、グリフィンの部隊は私達を放置してくれるみたいです。
全部貴方の指示通り、私はずっと貴方をお守りし続けます。
だから……何時か、何時の日か目が覚めたら、その手で私を撫でてくださいね?
そしてその声で、私の事を褒めてくださいね……?
約束 ですよ? そう……約束 です。
なぜ友人達は濃厚なヤンデレを好むのだろうか?
反撃のつもりで書いたSSがご褒美ですありがとうございます! と返信が来た時はどう反応すれば良いか分からなかった……