とある指揮官と戦術人形達   作:Siranui

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ドウシテコウナッタ karは静かに壊れそうだと思ったらこうなりました。 推しの人ごめんなさい……
イベントですが、そろそろランキングに突入しようと思ってますが……よし、とりあえず突撃しようか!(強行偵察 威力偵察部隊)
Twitterでネタを呟いてはまとめ切れていないという……全部仕事が悪いんです


Kar98k 静かな湖畔の森の陰で

 貴方は目が覚めると同時に心地よい風を感じた。 昨日の夜は空調を付けたまま就寝したのだろうかと些か不安になるが、瞼の裏から優しい光が注がれている事に気づいた。 おかしい、自分の部屋はカーテンに仕切られ日光は届かない筈……意を決し、目を開くとそこは見なれた基地の私室では無く、ログハウスの様な木製の家具が多く設置された個室であった。

 

 見慣れない部屋に困惑する貴方、涼しい風は開け放たれた窓から入り込んでいるらしく揺られた薄手のカーテンがゆっくりと揺らいでいた。 ここまで来ると多少は落ち着く物で、先ずは自身の確認をしてみようと思った。 少なくとも衣服に乱れはなく、昨日就寝時に着ていた服装のままだ。

 

 クローゼットの中になにかあるだろうかと確認してみると、ピシッとアイロンをかけられたであろう白いYシャツに黒のズボン、靴下を発見した。 驚く事にサイズはピッタリである……怪しい事この上ないが、寝間着のまま動き回るよりは良いだろう。 着替えて脱いだ物は折りたたみ、寝ていたベットの上にとりあえず置いておく……何故か視線を感じたが、その方向には誰も居ない……

 

 さて、これで歩き回れる服装にはなっただろう。 武装が何も無いのが心許ないが……とりあえず先程からたなびいているカーテンの着いた窓から外に出てみよう。 カーテンを端へ寄せ、開いたままの窓からベランダへと抜ける……どうやら、ログハウスらしいというのは正解のようだ。

 

 木製の丸太を組み合わせて作られた物の用であるが、経年劣化などは見られない……よく手入れされているものだと思える。 欄干に手をかけ、体重を預けてみても木材独特の軋み音は出るが、それは緩みやガタから来ているのではなく膨張や縮小を計算して作られた遊びなのだと理解が出来る。

 

 さて……現実逃避はここまでとしよう。 周囲を見渡してみたが森、森、湖……自分が所属していた基地にも庭園や中庭はあったのだが、こんなにも大自然に囲まれた場所では無かった。 映像でしか見た事の無い景色に、一瞬心を奪われるが同時に恐怖を感じた。 そう、何故このような場所に連れてこられたのか と言うのと、自分以外にも誰か居るのか という点だ。

 

 カタン と硬い何かが木を打つ音がした。 ここは目測だが3階の様で下の階にログデッキのような物が見える。 もしかしたら誰かが下の階に居るのかもしれない……人である保証は無いが。

 

 ……だがここでずっと外を眺めている訳にも行かない。 貴方は1度室内に戻り、反対側にあったドアを慎重に開け様子を伺う。 蝶番が僅かに金属音を上げたが、それ以外は鳥の囀りしか聞こえない中、自分の足音と心音が耳朶を打った。

 

 廊下は薄暗いが、キャンドルを模した照明が点っており足元に特別注意を払わなければならない程では無かった。 人2人は通れる横幅の壁向かい側にもうひとつ扉があり、左右どちらにもそれ以外の扉は無さそうである。 壁を目で追いかけていくと、下へ続く階段があるであろうスペースを確認できた。

 

 ギシッギシッ と木独特の軋みを上げながら貴方は階段があるであろうスペースまで進み、予想通りあった階段を降りていく……2階だと思われる場所は広いリビングの様であった。 正面にダイニングキッチンがあり、清潔感が感じられる……恐らく、手入れはきちんとされている様だ。

 

 物音がしたログデッキが見えた方向を振り向くと、こちらに背を向け誰かが湖畔の方を見ながら椅子に座っているようであった。 物音がしたのはあの人物が何かしら動いたからであろうと想像に容易い。

 

 貴方は覚悟を決めて、背を向けている相手にゆっくりと近づいていく……遠目にでも見える流れる様な銀髪が、座っている人物は女性の様に思える。

 

 Kar……? 呟くように問うた声が目の前の人物に聞こえたかどうかは知らないが、その声に反応する様に振り返る。

 

「おはようございます、指揮官さん」

 

 戸惑う貴方に、彼女は何でもない様に微笑みながら朝の挨拶を告げる。 返事をすれば良いのか、迷いながらも挨拶を反射的に返す貴方は育ちが良いのかもしれない。

 

「はい、おはようございます……それにしても、随分と長い時間寝ていらしましたわね……やはり疲れていらしたのかしら?」

 

 クスクスと笑う彼女に、情けない部分を見られたと謝罪するが、彼女はむしろそういった弱みを見せられる相手にして欲しいと言う。 と和みそうになるがそうは言って居られない、ここが何処なのかkarは知っているのだろうか?

 

「ここは何処……ですか? そうですね……森林地帯ですわね」

 

 冗談を聞きたい訳じゃないんだけど……と困った様な表情をすると、彼女はあら、冗談ではありませんでしたのにとキョトン とした顔で返事をした。

 

「まあまあ、そこにお座りなさいな」

 

 対面の座席を指さし、彼女は座る事を勧める……カフェテーブルには湯気を立てる珈琲が置かれていた。 彼女の目の前にも同じ物が置いてあり、それを時たま口に運び少しずつ飲んでいる様子であった。

 

 致し方ない、はやる気持ちはあるが座らないと話してくれそうに無さそうだと判断した貴方は椅子に座る事にする。

 

「ここは何処 という質問でしたわね。 ここはS〇〇区域、ポイントX2501 Y1108ですわ」

 

 脳内で告げられた座標を展開してみると、基地から遠い事に気付く……先ほどの室内にも時計らしきものは見当たらなかったが、日差しからもう10時は回っているだろう事が容易に想像できた。 兎に角基地に連絡を取らなければ……

 

「連絡方法ですか? 何故その様な事を気にするのかは分かりませんが……連絡も何も出来ませんわ? 私に搭載されている通信機器も全て妨害されておりますもの。 何をしても無駄ですわね」

 

 ……では待って欲しい、つまり今ここには私と君しかいないのか……? 何故……

 

「何故こんな事を? だって指揮官さん、私に指輪を渡しておきながら私以外に目移りするんですもの……」

 

 そう彼女は左手、薬指に付けられた指輪を愛おし気に撫でる……確かに彼女とは誓約を交わした仲であり、他の戦術人形とは交わしていない、それ故に特別な存在である。 だからこそ彼女以外を副官に据える事は無かったのだが……

 

「お気になさらず、貴方にとって指揮官という業務上仕方のない事だとは分かっておりますので。 前線で盾となっているMP40の頭をご褒美に撫でる事も、確実に相手を削っていくStG44が貴方の傍に近づこうとも、それは仕方のない事……そう我慢しておりましたのよ?」

 

 磁器の合わさる音がする……彼女がカップを置いた様だ。 俯いたままで彼女の表情は分からない……

 

「指揮官、私ずっと我慢しておりましたの。 他の人形に貴方が笑う事も、貴方が手を繋ぐ事も、話す事も食事をとる事すら……ですが、これ以上我慢していては自分が自壊しかねないという判断が出ましたの。 だとしたら、もう我慢せず行動するしかないと判断致しました」

 

 二コリ と彼女が笑いながら顔を上げる……赤い瞳が自分を捕えるが、その目が澄んだ色では無く……血の様な紅であった……

 

「だから、私以外誰も居なければ…ね? 貴方は私を頼らざるを得なくなる、私以外に気を配らなくて済む」

 

 ゴトリ と彼女が拳銃をテーブルの上に置く。 グリフィンから支給されている銃ではない、貴方が個人的に持って居た護身用の物だ。

 

「基地に向かいますか? 生真面目な貴方の事です、それも選択肢にありますでしょう……ですが、ここからでは汚染区域を通らなければならない上に、湖面から発生する霧が視界を遮り、凶暴化した野生動物、鉄血の部隊……それらを越えなければなりません。 貴方一人で出来ますか?」

 

 クスクスと笑う彼女……答えは出ている。 不可能だ、拳銃一丁に装填できる弾薬ではどうにもならない。 だが、それなら彼女に向けると言うのはどうだろうかっ!

 

「ああ、それで私を脅すと言うのも選択肢にはなりませんわ。 だって……貴方になら、私は殺されても満足ですもの。 あらあら、何故かと聞きますの? だって私が居なければ貴方は何処にも行けません、食料は愚か、水だって……湖畔の水が使えるだろう? おやめなさいな、化学兵器と細菌で汚染された物を飲めるとでも? 私が浄化しなければ水分補給だって出来ませんもの。 つまり私が先に逝くか、貴方が後から追いかけてくるかの違いだけですから……」

 

 ねえ、指揮官さん。 だからもう諦めなさいな……もうここから出る事もしなくて良いのですから。 私を頼り、私の事だけを考えて過ごして下さいませ。 私は貴方を見捨てませんわ、従者を養いそれに恵みを施すのも主人の責務ですもの。 だから……ねえ、今まで他の人形にしていた事……それ以上の事を私にして下さいませ。 もう、我慢する事は出来ませんから

 

 茫然とする貴方を、Karは優しく抱きしめ口付けを交わす。 もう二度と手に入れた貴方を離さないと言わんばかりに

 




ネタは多いのですが、纏めきれないという……申し訳ないです、気楽にお待ちいただければと思います。
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