とある指揮官と戦術人形達   作:Siranui

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こちらの診断メーカーさん https://shindanmaker.com/890944 での結果を元に、頭空っぽにしてとりあえずキスさせたいからと細かい所なにも考えずに書き上げました。
UMP9の分が無いぞ? 二人分描いたら4000文字行ったから次の分に回してしまいましたごめんなさい!

 まだまだ残暑厳しい中、体調にだけはお気をつけて……


内緒でキスをしよう

UMP45 本部から帰還中のヘリ内部でキスをしよう

 

「はあ……ようやく終わったか……」

 

 バタバタとヘリがエンジンを温めながら駐機場で私の搭乗を待っている。 半日以上に及ぶ会議で既に歩く事すら億劫であるが歩かなければ帰れない、そう自分自身に言い聞かせ鉛の様に重い足を見た目だけは何とか保たせヘリの発着を誘導する係員に一言二言の労いの言葉をかけて搭乗する。

 

 どうやら一緒に物資も輸送するらしく……いや、物資のついでに私を乗せていく と言う方が正しいだろうか。 折りたたみ式の椅子に身を預けシートベルトを締めるとパイロットから離陸しますので揺れますよ との通信が入る。

 

フワッと地面から浮く感触と同時に力強く前に進む力を感じ、折りたたみ椅子がキシキシと音を立て真後ろの荷物からガタガタゴソゴソと何かが擦れたりする音が聞こえる……荷崩れ等の心配はない筈だがどうにも不安になり後ろを振り返ると、月と目が合った。

 

「……はぁい、指揮官」

 

「なっ、えっ!?」

 

 しいっ と人差し指を口にあてウインクを送ってくる相手……戦術人形 UMP45は悪戯が成功した子供の様に微笑みながら積まれた荷物からスルリとその身を私の膝と移動させた。

 

「来ちゃった♪」

 

「来ちゃったって……一体何処から?」

 

「ん~? その辺りの荷物の情報改ざんしてちゃちゃっとね」

 

 膝上に座り考え込むように人差し指を口に当ててどうやったかを教えてくれる45。 いや違う、確かに私は何処からと聞いたがそうじゃない、何で此処に居るのか と言う事が聞きたかったのだ。 わざわざハッキングをして積み荷の情報を改ざんしてまで乗り込んできた意味を。

 

「そんな事よりさ指揮官……折角二人っきりなんだよ?」

 

「そんな事って……」

 

「そんな事だよ」

 

 グイッ と彼女がネクタイを引きコツン と額と額を当てられる。 至近距離から彼女の月の様な瞳が視界一杯に広がると洗浄液か、疑似涙液かは分からないがその瞳が小さく揺れている事が分かる程の至近距離に、彼女の吐息を感じる。

 

「わざわざ二人っきりになれる様にしたのに、指揮官は何もしてくれないの?」

 

 その言葉で彼女は何故ここに来たのかという意味は分かった。少なくとも彼女は私に会う為だけに密航まがいの事をしたのだろう。

 

 偶にある事であるが彼女はこうして密かに会いに来る事がある。 それは夜の私室であったり、こうして基地から他の場所へ移動している時であったりと神出鬼没である。 大抵そういう場合は二人きりになれる密室、又は他人が干渉できない場所で密着し、普段見せない様な表情で私に甘えてくる。

 

「……瞳は閉じないのかい?」

 

 片手で彼女を抱き寄せ、もう片方の手を頬に添える。 横向きで私の膝に座る彼女が嬉しそうに頬を緩め、身体を預ける様に胸元へしなだれかかり口元をわずかに上げ瞳を閉じた。

 

 ここまで期待されたらそれを裏切る訳には行かないだろう と45の柔らかい唇に自身の唇を触れさせた。 普段であれば軽い口付けくらいで良いのだが……どうやら今日はそうでは無い様だ。 数秒の軽い接触で離れようとする私に、大人しく抱き締められていた45が腕を回し頭を抱える様に引き寄せ強く求める様に唇を押し付けてくる。

 

 ちゅっ……ちゅっ……

 

 唇から吸う様に少し強めに口付けを交わし、息が苦しくならない程度で一旦彼女が離れる……微笑みながらその頬を朱色に染めて。

 

「誰も見ていないのだから、他の人なんて気にしなくて良いよね?」

 

 そう問う45であったが、残念だが所属の基地まであとちょっと……そう思い肩を少し押して彼女を遠ざけると、露骨に不満げな表情を浮かべる。

 

「……まだ5分はあるよ?」

 

「もう5分しかない だよ……ここに君が居るのがバレるのは不味いでしょう」

 

「もう一回だけ」

 

 そうせがむ45に心がグラグラと揺れる思いだが……それでも駄目だ。 手をさし伸ばし触れたいという彼女を手で制する。

 

「ダメだよ、そう言って止まらないんだから……2回目はおあずけ」

 

「…………」

 

 ぷくっ と頬を膨らませ、捨てられた子犬の様な瞳を向けてくる45。 私が言った言葉の意味を考えればすぐわかると思うのだけどな……どうやら今日の45はもっと甘えたい様だ。

 

「今はおあずけ というだけだよ。 基地に帰還して、仕事を終えたら私室で続きをしよう ね?」

 

「……約束だからね?」

 

 そう言いつつ、小指を出してくるので自分の小指を絡め指切りげんまんをする。 ポンポン と頭を撫でると名残惜しそうにしながらも現れた時同様にスルリと背後の荷物へとまたその身を隠していった。

 

 さて……なるべく早く仕事を終わらせるようにしないと、睡眠時間が足りなくなりそうだ。 窓の外を見るとヘリは降下態勢に入っている様で、グングンと地面が近づいていた。

 

 

 

UMP40 台所で料理中の君とキスをしよう

 

「~♪ ~~♪」

 

 宿舎の台所から彼女の歌声が聞こえる……それに合わせる様に、包丁がまな板を叩く音がリズムよく相手の手を告げている。 ソファーに座ってその音楽を聞いて居る私には心地の良い子守歌の様でウツラウツラと船を漕ぎたくなる。

 

「疲れてるね、指揮官」

 

「んっ……ああ、ごめん。 なんだっけ?」

 

「あははっ、40姉のご飯楽しみだねって話だよ」

 

 テーブルを挟んで同じ様なソファーに座っているUMP9が嬉しそうに笑っている。 UMO45も口元を僅かに緩めリラックスしている様だ。

 

 何故二人と共に居るかというと、彼女達の同じ宿舎の住人……UMP40に食事に誘われたからだ。 先日記録媒体の増設を行い、容量が増えたUMP40が前からやってみたかったという調理用のプログラムをインストールしたので試しに食べて欲しいとお願いされたので宿舎に招かれお邪魔したと言う事だ。

 

「インストールしてから試しはしてるんだろうけど、40の味覚が指揮官と合っていると良いね~」

 

「45、変な事を言わないで欲しいな……」

 

「あはは、40姉の味覚がエンフィールドみたいだったら……あれ、そうなると今ここに居る私達も道連れになるんじゃ……?」

 

 不意に放たれたUMP9の一言に、部屋の空気が静かに凍る……いや、まさかそんな事が……と言いたい所ではあるが、誰もUMP40の腕前は知らないし面倒見の良い彼女だが偶に悪戯をする事もある。 初めて他人にふるまう料理だから多少はふざけて……なんて事が無いとは言い切れない。

 

「……少しだけ様子を見てくるよ」

 

「い、いってらっしゃ~い」

 

「私達の昼食は指揮官に委ねられたわ……」

 

 嫌な予感がした為、少しだけ様子を見てくると伝えソファーから立ち上がる。 額に汗を浮かべた姉妹から見送られ台所へと向かう……UMP40は私の足音に気付かず台所に向かったまま、フライパンを振り鍋の様子を見てと忙しなく動いている。

 

 さてここで問題だ、UMP40は無防備な背中を晒している。 何時も着用しているジャケットは脱いでいるが、その代わりにエプロンを付けている……その背中は無防備であるし、何時もは降ろしている髪を衛生面からかポニーテイルへと結びあげ普段なら見えない首筋が晒されている。

 

 後ろから奇襲的に抱きしめたい衝動に駆られるが、包丁を持って居た場合やフライパンを握っている時に驚かせてはいらぬ怪我をする場合があるかもしれない……まあ、ここは無難に声をかけておこう。

 

「40、何か手伝う事はあるかい?」

 

「いや、今は平気だよ~……ってあれ、指揮官……どうかしたの? あ、もしかして心配してくれたのかい?」

 

 小皿で何かの味を見ていたらしい40が振り向きながら答える。 私だと気付くとニカッ と笑みを浮かる。

 

「ん~……まあ、それもあるんだけど……ちょっと味見できないかなってね」

 

 ワザとらしく腹を押さえ、お腹空いてますというアピールをする。 流石に面と向かって君の味覚が信用できないから味見させて 何て言う指揮官は居ないと思う。 居たとしたら相当空気が読めないか、正直な人なんだろう。

 

「ふふっ、仕方ないな~……ちょっと待っててね」

 

 また台所へと振り向き、小皿に茹でている物を取ろうとする40。 どうかな~……と様子を見ているのだが……うん、だめ 我慢の限界。

 

「あ、ちょっと待って40」

 

 ん? と疑いも無く振り返る40に手を回して捕まえ少し強引に唇を奪う。 目を見開き茫然としている間に彼女の口内へスルリと舌を侵入させ、彼女の舌を捕え味わう様に絡ませる……再起動した40からくぐもった抗議の声があがっている様だが、暫く抱き締め続けていると諦めたのか私に身を預ける様にしてくれた。

 

「んっ……ソースの味は問題なさそうかな」

 

「……馬鹿っ、いきなりなにするのさっ!」

 

「あはは……ごめん、我慢できなかった」

 

 むうっ と睨みつけてくる彼女だが、真っ赤な顔でそう言われても全然怖くない。 むしろ可愛いとすら思える。 ポカポカと胸を叩いて来るが、力が全く入っておらずあまり痛くは無かった。

 

「隣の部屋に45や9が居るんだからね? それは分かってる筈なんだけどなあ……」

 

「ごめんって、後で埋め合わせはするよ……それよりも自分でやっておいて何だけど、鍋大丈夫かな?」

 

「鍋って……うわわっ!! ああもう全部指揮官のせいだからね!」

 

 慌てて鍋の方へと向かう40、それを追いかけ隣へと進み何か手伝う事はあるかな? と再度聞いてみる。

 

「…………」

 

 返答はジト目であり、どうやらここは40に任せるしかない様だ。 ごめん と再度謝り両手を胸の前で振り苦笑いを浮かべる。

 

「指揮官」

 

 流石にこれ以上邪魔をする訳には行かないだろう、と台所から出て行こうとすると40から呼び止められる。 何だろうか と振り返るとネクタイを掴まれグイッ と引き寄せられると、唇に柔らかい感触と視界一杯に彼女が映し出される。

 

「んっ……それじゃ、隣でちゃんと待っててよね」

 

「……ああ、待ってるよ」

 

 頬を染めた40が私から離れ料理の続きへと戻っていく。 ほんのりと香るミートソースが印象に良く残った……

 

 

 

「ねえ、なんだか麺が水っぽくない?」

 

「あ~45姉もそう思う? 何て言うか柔らかいと言うか、茹ですぎてるような?」

 

「あ、あはははっ……まあ、初めてだから多少は……ね?」

 

 そう苦しい言い訳をする40に、何とか援護をしたい所ではあるが……45が相手では迂闊な事は言えない。 そう思い黙々と40が作ってくれたスパゲティを口に運ぶ……うん、確かに少し水気が多いが私的には問題無いと思う。 と逃げの一手を打っていると胸元のタブレットからコール音が鳴る。 何であろうか と見て見ると相手先は45で、URLが張り付けられている。

 

 嫌な予感がするものの、放置する事は更に不味い事になりそうだ と先を見て見ると……台所でキスをしている私と40の姿が、監視カメラ越しであろう位置から映し出されていた。

 

 口の物を吹き出しそうになりつつも堪えゴホゴホを咳き込む。 続いてきた文章が≪止めはしないけど時と場所はちゃんとわきまえよ~ね~?≫と……次からは気を付ける事にしよう。




 書きたいSSが多すぎてまとめ切れない……子供9の話もあるし、AUGの話もなんか思い浮かんだのですが纏める力が……?

 うーん……連休(土日休み)が欲しいなあ……
評価やコメント ありがとうございます。 誤字脱字があったらすみません……

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