ネコが居るのなら犬だっていて良いじゃないかの精神です。
おはようございます、さて受講者諸君は初めまして。 当講義を預かる者ですが、まあ助教授という役職を頂いているので名前でなく役職で呼んで貰えればと思います。
さて、初めての講義としましては人形ネコと呼ばれるネコ型の人形……についてではありません。 そこの肩を落としている方は猫派でしたかね? 申し訳ありませんが人形ネコは別の方が講義したり解説をしていますのでそちらを受講して下さい。
ではどの講義をするのか……という事についてですが、猫に対を為す動物とは何でしょうか? そこの人正解、犬ですね。 人類の最初のパートナーが犬であると言う事は考古学的に間違いが無いと言われています。
何故そんな事を話すのか と言いますと、人形ネコが居るのに人形犬が居ないという訳がない という事ですね。 では紹介しましょう、この娘が人形犬です。
「ワンッ!」
はい、今回連れて来ました人形犬はST AR-15犬です。 少し長いのでAR-15犬と呼称しますが、この様に専用カバンに入るくらいの小さいサイズで大体二頭身の可愛い生物となっています。 個体差はありますが大きくても小型犬程度の大きさにしかなりません。
特徴としては犬の様な耳と尻尾を持ってる事が確認されており、本物と同様に喜怒哀楽を表したり聴覚を備えている事が分かっています。 それ故に人形犬という名称が付けられているのですね。
また犬と呼ばれていますが四足歩行でなく二足歩行をしています. 手足が短い為全力で走ったとしても子犬より遅い為、遠い距離を移動する際は専用のカバンに入れてあげたり抱っこしてあげる必要があります。
人形と最初に付く様に、この娘達は戦術人形に非常によく似ておりますが言葉を発する事は出来ません。 しかし私達の言葉を多少なりとも理解し学ぶ事が研究によって解明しております。 貴方方がこの娘達と共にいる時間が長ければ長い程彼女達は貴方方を理解し自分で考え行動する様になります。
個体によっては私達の生活のサポートをしてくれたり、仕事を手伝ってくれたり……少し人見知りな娘が居たりと様々な個性を持って居ます。 その個性を理解し、自分に合った人形犬を迎えるのも主人として貴方方に必要なスキルとなります。 初歩的な事ですが、相手を理解して受け入れると言う事はとても大切な事です。
さて、前置きが長くなりましたが今日はこのAR-15犬について説明していきましょう。
「……(ピスピス)」
さて、先ほどは元気に挨拶をしてくれたAR-15犬ですが、今は鼻を鳴らして周囲を探っている様な状態ですね。 これは初めての場所であり、周囲に多数見知らぬ人間が多数居る為緊張している事を示しています。 この場合飼い主である貴方は落ち着くまで慌ただしい行動をしない方が良いでしょう。 暫くすると周囲に危険が無い事を確認し一息ついて飼い主を見上げてきます。
『問題ないですね?』
そう確認する様にこちらを見上げてきますので、問題無いよ と答えながら労う様に頭を撫でてあげましょう。 そうする事によってようやく彼女も少しリラックスできるようになります。 気が真面目な為、飼い主である貴方方が気を使って安心しても良いんだよ と教えてあげてください。
因みに頭を撫でる際ですが、彼女は余り気にかけて無い様に見えますが、よく見て下さい……そう、この部分ですね。 手が頭に触れるか触れないかの距離で耳を下げています。 これは撫でやすい様に彼女がそうしているという事なので、遠慮なく撫でてあげましょう。
気にしてない様に見えて尻尾は嬉しそうに振っていますので、そのサインを見逃さない様にして下さい。
最初からそうなのか? と聞かれるとそうではありません。 貴方の家に受け入れられた彼女は最初期程精神的に不安定です。
こちらのデータからも分かる様に、自分は選ばれたが見捨てられないか、飼い主に存在価値を示し、求められている事に応えられているか……その事ばかりとは言いませんが、とにかく貴方に認めて貰いたい、見ていて欲しい という欲求が強いです。
その為、家に来た数週間は張り詰めた糸の様に貴方の一挙手一投足を見て、自分が何をすべきなのかを理解しようとします。 貴方が自分に何を求めているのか、自分はどうすれば認めてもらえるか……精神的に余裕が無いその間は非常に病気にかかりやすい期間となりますので、なるべく傍に居てあげて下さい。
その為自分に出来る、出来ないではなくやらなければいけないと自分で自分を追い詰めてしまう時期ですので、普段なら自分で持てないと判断できるであろうマグカップも片付けようとしたり、掃除をしようとして自動掃除機に吸い込まれかかってしまったりと、危険である事も率先してやろうとしてしまします。
もし失敗してしまったり、危ないと思う行動をしようとした時にはやんわりと諫めてあげて下さい。 君にはそれをするのは危ないから、こういう事をして欲しいな と別の事をお願いするようにしましょう。
ここで注意する事は、心配だったからと怒る事だけをしてはいけません。 感情的に怒ってしまうと、自分は認められていないと感じてしまい強いショックを受けてしまいます。 彼女は賢く聞き分けが良い分、貴方の言葉を誠実に受け止めますので、その点にだけは注意してあげて下さい。
さて、ある程度貴方の家で生活し貴方に認められていると感じ始めると、少しだけ精神的に余裕が生まれる為貴方以外にも目を向ける様になり始めます。 必要最低限の事にしか興味を示さなかった彼女があらゆるものに興味を示す様になるのもこの時期です。
元々、知識を学ぶ事が嫌いでは無い彼女なので、貴方が呼んでいる本や電子書籍に興味を示すでしょう。 時間があるようでしたら膝の上に乗せ一緒に読んであげるととても喜びます。 表情にはあまり出しませんが、こちらの映像データからも分かる様に尻尾をパタパタと振っているのでとても分かりやすいですね。
小さな本を用意してあげると、時間がある時に一人でリラックスしながら読む事をし始めます。 これは家に貴方が居ない場合の寂しさを紛らわせるのにも有効ですので、仕事場に理由があって連れていけない場合などには率先して用意してあげましょう。
また体を動かす事も好きなのでケージに居れる事はなるべく避けた方が良いでしょう。 もしあまり動いて欲しく無い時はちゃんと説明してあげれば、彼女は理解し言いつけを守るようにしてくれます。
この時期になれば危険な事をする事はほぼなくなります。 貴方が何をして欲しいのか、何が危ないからやってはいけないかをしっかりと伝えてあげていれば自分が何を出来るのか、貴方がどうすれば喜んでくれるかを考えて行動する様になります。 心配する必要はありませんが、家に居る時は余り目を離さない様に引き続きしてあげて下さい。 四六時中見て居なければならない、と言う訳ではありませんが、鳴き声が聞こえたら手を一旦止めて彼女の方に向き直ってあげましょう。 その事で彼女は更に安心と信頼を覚える筈だからです。
さて、信頼して貰えたと感じたAR-15犬は貴方に対し従順で愛情や献身は深く、自身が怪我をしてでも貴方を守ろうとします。 また他の人形犬に対しても不器用ながらも優しい一面を見せる様になります。
この研究データから見て分かる様、特に『M4犬』、『M16犬』、『SOPⅡ犬』との相性が良い事が分かっています。 彼女達と共にいる場合、個性豊かで我が強い彼女達の引き締め役となります。 ワンワンと吠えている時はしっかりしなさい! と言っているようです。 やり過ぎているな と思っても余り口を出さないで上げて下さい、彼女なりに調節はしています……ただ頑張り過ぎているなと感じたのなら、膝の上に乗せ休ませてあげましょう。
信頼を覚えた彼女は貴方の膝上でゆっくりと眠る事が出来る筈です。 ウトウトしている時、赤子をあやす様にポンッ、ポンッ、とお腹を叩いてあげると、繋がっている事を確信して貴方に身を委ねるでしょう。 その信頼を裏切らない様に……難しい事ではありません、この娘達が寄せる想いに応えてあげる……ただそれだけで十分です。
さて、まだ色々と伝えたい事はありますが……時間が来てしまったみたいですね、本日はここまでとしましょう。 ST AR-15犬もお疲れ様、今日は頑張ったね。 戻っておいで。
「ワンッ!」
よしよし……ん? 私にこの娘は随分と慣れている様だ ですか? まあ、私以外にこの娘達の研究をしている人があまり居りませんから……この講義で使われているデータも全部私が取った物ですからね。
質問事項、又は他の人形犬について聞きたい事がある場合は、研究棟のナンバー12の部屋に居るのでそこまで来て下さい。 では本日はここまで、お疲れ様でした。
小型犬って可愛いですよね、家でも飼っていますが、疲れて帰って来た時足元でビョンコビョンコ飛び跳ねてくる様には癒されます