とある指揮官と戦術人形達   作:Siranui

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 Kar好きな方に注意として性格が変更されています、ご注意下さい。




Kar98k 本心は……

「お疲れ様、各員良く帰って来てくれた」

 

 バタバタとヘリのローター音が響く中、作戦から帰還してきた彼女達を出迎える。

作戦は担当区画の外郭に現れた鉄血の偵察部隊を迎撃し、その足跡を捜索し敵の集結地点を叩こうという事だ。

その為に編成はある程度何事にも対応できる様、UMP45、UMP9、M4SOPMODⅡ、マカロフ、Kar98kの五人。

作戦自体は成功し敵はほぼ壊滅させたと言って過言は無いだろう……僻地における小さな勝利ではあるが。

 

「UMP45、以下4名ただいま帰還致しました……って、真面目に報告した方が良いかしら? 指揮官」

「ははっ、気を引き締める時引き締めてくれれば良いよ。 兎にも角にもお疲れ様」

 

 砕けた敬礼をするUMP45に、何時もの様に肩を叩き労う。

人前ではあまり触れられる事を好まない彼女だが、だからと言って全く触れないのも嫌ならしい。

妥協案として肩に手をくように叩き、

 

「指揮官、ちゃんと任務終わらせてきたよ! で、ご褒美には何かくれる?」

「勿論だよ、食堂に君達様にショートケーキを用意して貰っている。 修復が完了したら食べに行きなさい」

「やった! でも今出来るご褒美もあるよね?」

 

 UMP9がキラキラした目でこちらを見上げてくるので、その期待に応えるべく頭を撫でてあげる。

姉とは違い、彼女は逆に頭を撫でたりしてあげないと後々拗ねられてしまう。

まあ、拗ねた姿も可愛い物なのだが……45姉からの凍てつく視線と殺気に耐えながら見た所で嬉しいとは思わない。

 

「ふふっ、指揮官も無理しなくて良いのに」

「迎えに来る時間くらいなら作れるさ……最も君が手伝ってくれたら更に楽になるんだけどね」

「あら、永久副官にでも任命してみる?」

「……負けました」

「まだ勝てると思わない事ね?」

 

 クスクスと笑っているマカロフの白く長い髪の毛に手を乗せそれをなぞる様に撫でる

彼女もまた部隊長の人形らしく、人前で撫で回されるのは好まない。

なので撫でるというよりは髪を愛でる 様な撫で方をする。

あくまで人前での場合は、私がマカロフの髪に触りたいから触っている と言う事になる。

 

「指揮官! ただいま~!」

「お帰りSOPMODⅡ……っとと、あまり勢いよく抱き着かれると支えられないよ」

「ん~? これでもちゃんと手加減してるよ??」

 

 この中で一番触れられる事を好むのはSOPMODⅡだ。

彼女は私に抱き着いてくる、更に言えばAIが幼いのか人の目をあまり気にしない。

最初の頃などは受け止めきれず、良く彼女の下敷きとなって転んでいたものだ。

ワシャワシャと少し乱暴に頭を撫でると、髪が乱れるよ なんて言うが離れようとはしない。

 

「もう、指揮官さんもSOPMODⅡさんもあまりはしたない真似はよしなさいな」

「ん? お姉ちゃん……どこが?」

「周囲の目がある所で、殿方に抱き着く事が ですわ」

 

 はあ、とため息を吐きながらこちらに近づいてくるKar98k。

何時も被っている軍帽を脇に抱え、SOPMODⅡに離れる様に伝えている。

渋々とSOPMODⅡは腰に回していた手を離し、元居た隊列へと戻っていく。

 

「すまない、Kar」

「お気になさらず……しかしあまり時間が無いのでしょう?」

「ま、まあそこまで切羽詰まっては……無いよ」

 

 世話のかかる事ですわ と少し憂いているような、優しい様な表情で彼女は微笑む。

 

「んっ、Karもお疲れ様。 報告では特に頑張っていたと聞いて居るよ」

「そうそう、私達の支援もしっかりしてくれたし、痕跡を探すのも服が汚れるのも気にしない程度には頑張ってたよ」

「よ、余計な事は言わないで下さいませ。 当たり前の事を当たり前にやっただけですわ」

 

 SOPMODⅡの言葉に、Karがはずかしい様で手をワタワタさせている。

そんな彼女が何時もの凛とした表情や姿かたかけ離れていて、くすくすと笑ってしまう。

 

「もう、指揮官さんも!」

「あはは、ごめんごめん」

 

 そう謝りながらも、頭を撫でようと手を……

 

「指揮官様~!! 申し訳ありませんが急ぎ執務室へ戻って来て頂けませんか~!!」

 

 ヘリのローター音に負けない声で後方幕僚のカリーナが叫んでいる。

手に持った書類の多さに顔が引きつるのを感じる、しかしKarが……

そう迷う私に、軍帽を被り直したKarが手を下げさせる。

 

「指揮官さん、早く行った方が宜しいのではなくて?」

「……すまない、それじゃあ各員は修復後自由行動で」

 

 クルリ と回れ右をKarに促されながら背を押され、私は慌ただしくヘリポートから去っていく。

カリーナと合流し、歩きながら報告を受けていたが……事務処理だけでも夜中になりそうだ。

 

 

 

 指揮官さんがヘリポートから建物の中へと帰っていく……振り返る事は決してせずに。

致し方のない事だ、あの人は多忙である中で私達を迎えに出向いてくれたのだ。

あまり多くを求めてはいけない、私が我慢すれば良い事で……

 

「あ~あ、指揮官ももう少し気を使ってあげればね~?」

「仕方ありませんわ、多忙な方ですもの」

 

 隊長であったUMP45が傍に寄って来て、私を慰めてくれている……のかしら?

微笑を浮かべながら見上げてくる彼女の本心は私には分からない、ただ気遣ってくれている事は良く分かる。

 

「聞き分けの良い女は好かれるけど、自分が傷付いてたら長くは続かないわよ~?」

「そんな事……」

「じゃあさ、何でそんな寂しそうな顔してるのよ」

 

 微笑を消した彼女に言われ、咄嗟にポケットから手鏡を取り出す。

そこには自分だけど、自分の表情とは思えない……何時もの凛々しい自分は居らず、目尻を下げ迷子になった子供の様な自分が……

 

「別に貴女が壊れようが何だろうが私は気にしないんだけど、指揮官を傷つける事は許さないから」

「私は……」

「何の為に言葉があるのよ、あの人が多忙だって分かっているなら猶更、伝えなければ貴女がどう思ってるかなんて通じないんだからね」

 

 言いたい事は言った、そう言わんばかりにUMP45は歩き始める。

私は……どうすれば良かったのでしょうか?

 

 

 

「ふぁあ……ようやく終わったか」

 

 既に時計の針は天頂を示し、日付は変わろうとしている。

机に積まれた書類は全て確認、サインを終え朝カリーナに引き渡せば完了という所までは持って行けた。

気が抜けた事により、あくびが出てくると同時に気怠さが自身の身に襲い掛かり、このまま椅子に座って寝てしまいたい……

が、流石にそう言う訳にもいかないので怠い体を動かし、執務室のドアを開けるのだが……

 

「あっ……」

「うん? ……Kar?」

 

 ぼんやりとした視界に、驚いた様な深紅の瞳が映る。

普段の彼女であれば、次の日に備えて宿舎でスリープモードに入っている時間帯なのだが……

 

「こ、こんばんは?」

「ああ……こんばんは」

「少し、お話を宜しいでしょうか?」

 

 珍しい事だが、彼は即座に思考を切り替えた。

深夜にわざわざ話したい事がある と言う事は人目を避けたいという事なのだろう。

とすれば何かしらの異常があったのか、それとも指揮官である自分にしか言えない事なのか……

どちらにしろ、聞かないという選択肢はないだろう。

 

「ああ、構わないよ。 温かい物を淹れるから先に座っていて」

「ありがとうございます……申し訳ありません、この様な時間で……」

「気にする事じゃないよ、それに少し休憩しようと思っていた所なんだ」

 

 執務室の隅に備えられている簡易式のキッチンへ赴き、ココアを淹れて応接スペースのKarの基に向かう。

机にカップを置くと、お礼を言って彼女は口をカップに付ける。

 

「落ち着いたかい? 廊下は寒かったんじゃないかな?」

「……申し訳ありません、お気遣いさせてしまいました」

「重ねて言うけど気にしないで良いよ……さて、どうしたんだい?」

 

 じっ と彼女の瞳を正面から見つめる。

ユラリユラリ、と彼女の瞳は揺れていたが、一度目を閉じると私に向き直る。

 

「指揮官さんは、私の事がお嫌いでしょうか?」

「……はい?」

 

 突然そんな事を言われたら目が点になる。

何故彼女がそう思ったのかすら分からないが……

しかし、彼女の表情は本気であったし、声は震え瞳は揺れている。

 

「そんな事は無い、私は君の事が嫌いだと思った事は無いよ」

「でしたら、何故、私に触れて下さらないのですか……?」

 

 遂に限界を超えたのか、Karの瞳から頬にかけて筋が伸びていく。

触れてくれない……? もしかして昼の事なのだろうか?

グスッ、グスッ と嗚咽が混ざる彼女に、私は考える事を即座に放棄した。

慌てて立ち上がり、彼女の隣へと座りゆっくりと抱きしめる……壊れ物を取り扱うように。

ビクッ と彼女の体が強張るが、慣れさせる様にそのまま触れ続ける。

 

「ごめん、不安にさせたね」

 

 胸元の制服が彼女に強く握られる。

拒絶されている様では無いので、幼子をあやす様に頭を撫でる。

 

「Karはさ、真面目で頑張ってくれているのは分かっているよ。 忙しいって理由で無理させちゃったね」

 

 あの時だってそうだ、彼女は帽子を外していたではないか。

それに気付いておきながら、早く行った方が良いと言う言葉に甘えて仕事を優先してしまった。

他の娘達に触れておきながら、Karだけ触れなかったら嫌われていると感じても仕方のない事かもしれない。

 

「一生懸命、頑張りましたのよ?」

「うん」

「お洋服が汚れても、怪我をしても、指揮官さんの為なら戦えます」

「ありがとう、と言うべきかな」

 

 ボソボソ、と私の胸中でKarが話し始める。

 

「私は我儘ですわ」

「そんな事は無いよ、逆にこうして思い悩むよりも、もっと言って欲しいくらいさ」

「嫌いになりませんか?」

「大丈夫、そんな事で嫌いになんてならないよ」

 

 モゾモゾ と腕の中でKarが動く。

下を向くと、泣きはらした顔で彼女が私を見上げてくる。

 

「……本当に?」

「うん、本当に」

 

 ようやく安心してくれたのか、彼女も腕を私の体に回し抱き返してくる。

温かく、細い腕だがギュッ と、離れたくない様に抱きしめている。

 

「我慢しなくても宜しかったのですね……」

 

 そう呟くと同時に、Karが私に寄りかかる。

どうしたのだろう と思ったが、どうやらスリープモードに入ってしまったようだ……昼の時から不安で気が張り詰めていたのだろう。 

立ち上がろうとしたが、思いの外Karの拘束が強く動きたくても動けない。

また、彼女の温かい体に疲れていた体は正直に睡眠を要求する。

 

「……風邪、引かないと良いんだけど……お休み、Kar」

 

 致し方ない、とその場で寝る覚悟を決めKarに回した腕を気持ち強く引き寄せる。

戦術人形は夢を見ない と言うが、少しだけKarの表情が和らいだ気がした。

 

 

 最も、翌日そんな恰好で寝ている所を見られ、ひと悶着ある事を彼はまだ知らない……




 Kar可愛いんだけど、書く人や見る人によって性格が変わるのは面白いですよね。
凛々しい女性だったり、ポンコツ残念だったり……

 そう、だからこういった性格のKarが居ても問題ないはずなんです。
お助け下さい! 私は電波を受け取っただけでただいまその発信源を一生懸命調査しております!!
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