ウサギの巣作戦ですが、損傷した娘をどうしても放置できず修理したい病が発病している為、最初でも13万5千点で30%以内に入れれば良いんじゃないかと思い始めました。
次回のときは目指せ14万点 という事で。
気付きましたらUA10000を越えておりました。 あとゲージに色ついて嬉しい限りです。
見てくださった方、評価してくださった方 ありがとうございます。
「んじゃ、今日も作戦成功を祝して乾杯!!」
「「「乾杯!!!」」」
ガラスとガラスがぶつかる甲高い音が聞こえ、最初の一杯と各員がグラスに口を付けていく。
一息に飲む者、とりあえず口を湿らせる者……酒とは飲む人、雰囲気によって味わい方は様々だ。
因みに、私が所属するAR小隊でも飲み方もそうだし飲む種類も違う。
M4は弱めのサワーを自分のペースで飲んでいくタイプだし、SOPⅡはビール、AR-15は果実酒……私はブランデーかな。
グラスもバラバラ、ペースもバラバラだが話は弾むしリラックス出来る。
それもこれも、司令官殿のおかげだな。
『多数の戦術人形達からの要望を受け、下記箇所を昼はカフェとして 夜はバーとして運営する事とする。
各部隊員の懇親場所として利用されたし。 掲載許可番号 0000-0012 』
指揮所近くの掲示板にこの様な張り紙がされている時は目を……いや、私達の場合はセンサーか?
まあどっちでも良いか、大切なのはそこじゃないしな。
とりあえず機能をチェックしてみるが問題なし、全技能オールグリーンという奴だな。
宿舎をとりあえず整える指揮官は多いが、こうして専用の場所を作る指揮官は少ない……と言うか聞いた事がない。
試しに と書いてあった場所に向かうと笑顔のカリーナが居た。
彼女曰く「指揮官様からのご厚意です」としか教えてはくれなかった。
問いただそうか とも思ったが折角厚意だと言ってくれているのだ、
渋るM4の背中を押して、早速バーへと乗り込んだのは間違いでは無かっただろう。
私達が通うようになり、指揮官も偶に様子を見に来る事から噂は広まり……
今ではお堅いファーマスの部隊や、任務ばかり気にしていた404小隊の連中もほぼ固定のテーブルを囲むようになっている。
「M16A1!! 今日こそ私はお前を超えて見せる!!」
「416、どうせ結果は同じだぜ?」
ガンッ! と机に酒の瓶を叩きつけながらHK416が啖呵を切ってくる。
カラコロ とグラスに残った氷を揺らしながら相手を見てみるが、すでに向こうの席でも飲んでいたのだろう。
顔は紅潮しているし、目線も私を見ている様で少し外れている……
チラッ と404小隊が何時も使っているテーブル席を見てみると、UMP姉妹がカラカラと笑っている。
面倒だが……まあ、銃口突き付けられて勝負仕掛けられるよりはマシか。
「まあ、良いぜ。 かかってきな!」
「上等よ!!」
カラン カラン と扉の開く音が聞こえる。
頭がぼんやりとしているが、いつの間に机に突っ伏していたのだろうか?
確か……416と飲み比べをして、あいつが机に突っ伏したのを見て……
うん、そこから覚えてないわ。 良い時間が過ぎているだろうが……
呆れた様なAR-15の声、謝罪するM4の声、かすかに聞こえてくるSOPⅡの寝息……
全く、こんな人形達の世話を見るなんて大変だろうな。
さって起きて宿舎に戻るか
そう思っていた時、体が宙に浮いた。
……はっ?
一瞬体が硬直するが、膝裏と背中に回される温かい感触に全てがどうでも良くなった。
少し顔を動かすだけで、頬に触れる感触が心地よい……
AR-15の息を飲む音が聞こえ、M4が何かを呟き、SOPⅡの寝息が瞬時途絶えた気がする。
ははっ、残念だが今夜は私の勝ち……と言う事かな?
カラン カラン と扉の開く音がする。
指揮官に続いて慌てているM4達の足音が続いていく。
「なあんだ、やっぱりあいつも拒まなかったじゃない」
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PPK 嫉妬
「指揮官が自分に対して余所余所しい?」
コクン と頷く彼女に、何でそんな事を私に相談しに来たんだ…… としか思えなかった。
時を少し戻そう、私は何時もの喫茶店兼バーで一人のんびりと飲んでいた時の事であった。
「すこし良いかしら?」
「ん? ……なんだ、PPKか」
声をかけられた方を見ると、ハンドガンの戦術人形 ワルサーPPKが微笑みながら立っていた。
話しかけて来る理由は分からないが、無下にしなくても良いだろう と隣の席を指さす。
最も、現状を見るに過去の私をぶん殴りたくなっているのだが……
まあ過ぎた事はどうでも良い、次に生かす事にしよう。
話を聞くに、以前より指揮官が自分に接して来なくなった との事らしい。
良い事じゃない、触られたくなかったのでしょう? と冗談で言ってみたのだが、何故か彼女の顔は沈みこむ。
「やっぱり……嫌われたかしら?」
「今のは冗談だから落ち着きなさいよ……」
温くなりつつある黒ビールを口に含む。
普段であれば深い味とコクが自分を迎え入れるのだが、どうも今日はその苦みが強い気がする。
PPKを横目に見てみると何時もの不敵な笑みは鳴りを潜め、目尻にうっすらと涙すら浮かべているようにも見える。
手に持つワインも普段の持ち方で無く、抱える様にして俯いている。
全く持ってらしくない としか言いようがない。
はあ……全く、こういう事は9の方が得意だろうに。
「で、あんたは正直どう思っているのよ」
「どう……とは?」
「それだけ落ち込む癖に、何とも思ってない 何て言う陳腐な答えが返ってくるとは思わないのよね」
「…………」
「好きなんでしょ?」
ボソッ と耳元で囁くと、ポンッ と音が出る様に耳まで朱色に染まる。
酒のせいだけではあるまい、自覚しているのにウジウジ悩まないで欲しいものだ。
「ふん、ならさっさと覚悟を決める事ね。 第一待っていたら相手から告白してくれる、なんて甘い期待はしない方が良いわよ。
AR小隊も、私達404小隊の中にも指揮官を慕っている娘は多いのだから」
さっきまでの沈んだ空気が嘘のように霧散し、勢いよく置き上がったPPKの瞳がこちらを睨みつける。
顔を赤くして、涙目な彼女に睨まれた所でなんとも思わないし、むしろこの事を基地内にばら撒いてやろうかとも思う。
「……がと」
「ん?」
「ありがとうって言いましたの!」
バンッ! と机を叩き、その上に酒の料金と思われる硬貨を数枚置いてヅカヅカと歩き始める。
全く、相手が精神的に無防備となった瞬間に付け込め との教えを下さった教本には感謝してもし足り無いな。
どちらにしろ、明日が楽しみだ……いや、楽しむ為にはもう一押し か?
ううっ……頭が痛いですの、最悪とも言えますわね。
あの後、宿舎に戻ってベッドに倒れ込んだ後も、416に言われた事を延々と考えて反復してましたが……
仕方ないじゃないですの、あんなに純粋な好意なんて向けられた事なんて無かったんですもの。
また顔の辺りにが熱くなるのを感じ、枕へ顔を埋めては消化するように押し付けて見るものの、全く収まらない。
バタバタと無意味に足を動かしても、ただ単に埃を舞い上げるだけだ。
「どちらにしろ……もう、覚悟は決めましたの」
そう、もう逃げてはいけませんの。
逃げずに、向き合って、自分なりに考えをぶつけなければこのモヤモヤは消えない……
枕から目を上げた彼女の瞳に、もう迷いは無かった。
「と、気合を入れましたのに……」
時刻は既に夕方、カラスも家路に帰る時間帯である。
任務もあったり、出撃があったりと忙しかったのもあるがどうにもこうにも二人きりになれない。
出撃時にも、帰還時にも基本的に部隊員が居てしまうし、休憩時も副官が傍にいる。
こうして廊下を移動するのを見極めて、ストーカー紛いの事をしているのが何だかとても情けないにも程があるのだが……
「では指揮官、私は資料室に寄って行きますので」
今日の副官、FAMASが指揮官から離れた様ね。これならチャンス……
「指揮官、少し良いですか?」
この声は416?
廊下の角から少し顔を覗かせると、指揮官と416が話し込んでいるのが見える。
何のつもりかしら……? と静観していたのだが、昨日の話を思い出す。
AR小隊も、私達404小隊の中にも指揮官を慕っている娘は多いのだから
そう、あいつは404小隊とぼかしていたが自分が例外だとは一言も言っていない……
あれ、いや そんな まさか?
視界が狭くなる、なぜかぼやけても来る。
416の肩に指揮官の手が伸びる……ああ、駄目、駄目よ。
駄目ダメだめ……
「ダメェェ!!」
真後ろから駆け寄り、咄嗟に抱き着いてしまう。
指揮官の驚いた声が聞こえるが、もう構わない。
獲られるくらいなら、恥も外聞も投げ捨てた方が良い……!!
「……と、まあこういう訳です。 指揮官」
笑いを堪える声 とは今の416が出す声がそうなんだろう。
いや、クスクスと笑う声が聞こえる事から隠してはいない。
「恐らく、気づいて居ないのは本人同士だけですので。
すれ違い続けるのを見ているのも面白いでしょうが……巻き込まれるのはごめんです。
では、良き物も見れましたので私はこれで」
すれ違い様、ニコニコとした416が肩を叩いてくる。
あの人、絶対に確信して……!! 後で絶対に仕返ししますわ!
「指揮官」
頬をかいて、どうしたら良いのか分かっていない指揮官に顔を向ける。
「貴方は私の心を奪ったの、その責任は取りなさいよ」
そう一方的に告げ、彼に唇を捧げる。
もう、貴方の心は返しませんからね? わたくしの指揮官様……
短編を書き上げてたいのですが、仕事終わりが23時という状況で文字を打つのは中々厳しい今日この頃・・・・・・
次回作は色々な人形達が出てくる予定です。