魔法少女まどか☆マギカ Over the evolution   作:ACレイズバックル

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それでは13話どうぞ!


第13話 絶望と希望の差し引き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…ウワァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

 

そして、使い魔の鋭いスケート履が振り下ろされ─────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────ることは無かった。

 

 

 

 

 

 

「はああぁぁぁぁっ!!」

 

「*%〆¥k@s!?」

 

もうダメかと思われたその時、天堂にトドメを刺そうと足を振り下ろした使い魔は猛烈な勢いで突っ込んできた赤い槍によって貫かれ消滅した。

 

使い魔を一瞬にして貫いたのは、赤い髪をポニーテールに纏め、長い槍を持った少女…佐倉杏子だ

 

「雄介!!大丈夫か!?」

 

杏子はすぐ様天堂の元に駆け寄る

 

「………」

 

が、天堂は気を失っているのか、返事を返すことは無かった。

 

「っ…!テメェらよくも…!絶対に許さねぇ!」

 

そう言うと、杏子は赤い鎖状の結界を天堂の周りに張り巡らせた後、使い魔に飛びかかっていった

 

だが…

 

「………(さて、状況をまとめよう )」

 

この男、気など失っておらず、気絶している振りをしていたのである。

 

「(使い魔に殺されかけたところに魔法少女姿の杏子が駆けつけた…ここまでは良い、助かったし、けどなんで俺が使い魔に襲われているって事が分かったんだ…?ソウルジェムを出していなければ魔女は探知できないはず…キュウべえにでも唆されたのか?それとも偶然か?後者だったら本当に運が良いな…)」

 

そう考える天堂、因みに杏子が使い魔に気づいた理由は後者の偶然であった。

 

時は少し遡り…

 

 

 

 

 

〜ゲームセンター〜

 

 

 

「雄介のやつ、遅いな…」

 

天堂が飲み物を買いに行ってから数分間経っていた、ゲームセンターから外の自販機は歩いても数十秒で着く距離で普通ならば数分どころかすぐに戻ってこられる筈なのである。

 

ふと、杏子は思い出したように自分の指にはまっている指輪…ソウルジェムを見る。

そして、周りの人達に見られないように指輪の状態から卵型の状態にした。

 

杏子のソウルジェムは綺麗で深い赤い色の光を発している…が、少しだけ濁っていた。

 

「(そういえば、あいつと出会ってから魔女とはずっと戦っていなかったな…)」

 

そう、この数日間は天堂にとっては濃い数日間だったように、杏子にとっても濃い数日間だったのである。

 

「(あいつは…私が魔法少女だってことを…魔法少女がどんな存在か知ったらなんて言うのかな…)」

 

杏子の脳裏には父親に自分が魔法少女だということがバレてしまった時の事が浮かび上がった。

 

問い詰められ、自分が願った内容を話して、怒りに染まった父親に連れ出され、そして……

 

「っっ!!変な事思い出しちまった…ん?」

 

ふと、再びソウルジェムを見ると光が少し強くなっていた。

つまり、魔女等の結界がすぐ近くにある事を示していた。

 

「嘘、だろ…」

 

最悪な考えが頭に浮かび杏子はすぐ様自販機の方に走った、そしてその考えは的中し

ていたのだ。

 

「ちくしょうっ!!」

 

自販機には結界が張られていた。

 

そして迷わず杏子は結界に入り込み、魔法少女の姿となり奥へ進んでいったのであった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、今その事を天堂が知る由はないのだが。

 

 

「(それにしてもこの赤い鎖…あの日の戦いでは一度も使っていなかったということは、あの戦いの後に習得したということか…この鎖、かなりの防御力がありそうだな…今後、戦闘になってしまう可能性も考えて対策を練らなきゃいけなさそうだな………ん、終わったのか…?)」

 

そんな事を考えている内にどうやら使い魔は全滅したらしくあたりの風景も青空と白い壁から、ショッピングモールの塗装された壁に戻り、少し遠くからは賑やかな声が聞こえるようになった。

 

「(結構動き回った気がしたがそうでも無いんだな…)」

 

となりに魔女の、使い魔の結界があった自販機を見上げながらそう思っていると…

 

 

「雄介っ!」

 

「うおっ!?」

 

必死な形相をしたに思いっきり肩を掴まれた。

 

「大丈夫かっ!?どこか怪我とかは…」

 

………この場で使い魔とかに言及するのは不味そうだな…一度とぼけておくか…

 

「おお、おおう大丈夫だ、俺は大丈夫だぞ!?というかどうして杏子がここに?俺は確か自販機に飲み物を買いに行ってそれから……ダメだな、靄がかかってる感じがして思い出せないな…もしかして俺に何かあったのか?杏子?」

 

記憶がボヤけていたと嘘を言い、杏子に話を振る

 

「え!?ええ、と、あたしは…その、雄介が中々戻ってこないから様子を見に来て…そしたら雄介がずっと自販機の前でぼーっとしたまま突っ立ってたんだよ!だから、その…」

 

俺はあたふたする杏子を見て、クスリと笑いこう言った

 

「なんでそう慌て気味なんだよ…まぁ、しかしそうだったのか…うーむ、怪我はないが体調が悪いのかも知れないな…すまん杏子、今日は家にもう帰らないか?また別の日に埋め合わせはするからさ」

 

「あ、ああ…そうだな…」

 

 

そうして、今日のところは帰ることにした。

…杏子に今日の事を聞くことも大事だが変身アイテム無しの状態でも自衛できる手段も考えなきゃな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夜になり…

 

 

〜家〜

 

 

「へぇ〜、そんな事があったんだな、良い友達じゃないか」

 

「うん!だからまた遊ぼうって約束したんだー!」

 

あれから家に戻り、夜ご飯を食べた後、モモちゃんの話を聞いていた。

喧嘩とかしなかったようで何よりだよ…

そう思っていると「ふぁ〜」とモモちゃんがあくびをした。

 

「ん…眠くなってきちゃった」

 

「いっぱい遊んだだろうからねぇ…明日は学校があるから寝たほうが良いよ?」

 

「うん…そうする…おやすみ、お兄ちゃん、お姉ちゃん」

 

モモちゃんはそういうと自分の部屋に向かって行った。

 

「おやすみ、モモ」

 

「おやすみ〜、モモちゃん」

 

 

そしてモモちゃんが寝てから数十分後、天堂はテレビを見ながら考えていた。

 

「(さて…いつ話すか、なかなかタイミングが掴めないな…杏子はモモちゃんが寝てから全然喋らないし…どうしたものか)」

 

その時、ガタッと後ろで椅子が動く音がしたので、振り向く

 

「あたしも寝ようかな…」

 

と、杏子が椅子から立ち上がり、自分の部屋へと向かおうとする。

 

「ん、そうか…じゃあまた明日…(いや、待て、言うなら今このタイミングしかない!)あ、いや杏子、ちょっと待ってくれないか?」

 

「…なんだよ?」

 

「少し話したいことがあるんだ…俺の部屋に来てくれないか?」

 

「ん…わかった」

 

〜天堂の部屋〜

 

 

「それで?なんだよ話したいことって」

 

ベットに腰掛けながら杏子はそう聞いてくる。

 

「ああ…実はな今日の昼の事なんだが…」

 

そう言った瞬間、杏子はビクッと震えた。

 

「すまんな杏子、俺は…嘘をついていた、本当は

覚えていたんだよ。自販機に飲み物を買いに行ったら、変な怪物に襲われたって事を、そしてお前が槍を持って怪物達と戦っているところを…」

 

「ぁ……」

 

杏子は小さく声を漏らす

 

「杏子…教えてくれないか?」

 

「あの時のお前の服装と、あの変な怪物達の事を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、それでお前はそのキュウべえ?とか言う変な生き物に願いを叶えてもらう代わりに魔法少女になったってわけか…」

 

「ああ…」

 

杏子は普通に…いや、普通とは言えないか…諦めたような表情をして、魔法少女になったことと、使い魔の事について話した。

 

……だが何故だ?どうして魔法少女だと知られてここまで暗く、諦めたような顔になる?……………ああ、そうか、成る程…そういえば魔法少女になった理由と願いはまだ杏子は言っていない。さっき話したのは魔法少女とは何かみたいなものだしな…となると理由はそれか。

 

佐倉杏子が魔法少女になった理由、そしてその願いは神父である父親の話を皆が聞くようになってほしいというものだった。

 

普通に良い願いだと思う、家族を思ってそう願う気持ちはとても分かる。しかしその願いは杏子に一家に悲劇をもたらすことになった。

 

そう、願いは叶ったのだ、しかしそれは信者達自身の意思では無く、願いの効果によってほぼ強制的なものだった、最早洗脳に近い形である。何故なら杏子が魔法少女だと父親にバレて、杏子が願った内容に激怒した父親は周りの人間に今まで言っていた説法と真逆の事を言い出したのである。

 

するとどうだろうか、周りの人間達はすぐ様疑問などを持たずにその説法に従い、崇め始めたのだ。

 

結果的に杏子の父親は杏子を人を惑わす魔女と呼び叫んだ、そこから杏子の父親は酒に溺れ、家族に暴力を振るい、そして……杏子を除いて一家と心中した。

いや、正確に言えば俺がモモちゃんを助けた事によって完全な一家心中では無くなった…が

今思えばあの時、ビビらずに教会に飛び込めば杏子の父親の自殺だって止められたかもしれなかった。だが俺は結局…………いや、それを考えるのはよそう…いつか、必ず償う、そう決めよう。

 

だいぶ考えが逸れたが、杏子は恐らく自分が何を願ったか聞かれるのが怖いんだろう…だが、行ってもらわなければ先へは進めない…もし自棄になりそうなら止めるまでだ。

 

俺は口を開く

 

「なあ、杏子…お前は何を願って魔法少女になったんだ?」

 

俺は杏子に向かってそう問いかけた。

 

 

 

「…………」

 

「…………」

 

しばらく沈黙が続いた、が

 

「………あたしの願いは…親父の話を皆んなが真剣に聞いてくれますようにって願ったんだ」

 

「…そうか、杏子とモモちゃんが住んでいたのは教会…つまり父親は神父だったってことか…しかし、願いが必要になってくるほどに信者の数が少なかったのか?」

 

「いや…最初のうちは皆、親父の話を聞いてくれていたんだ…だけど親父は本当は今自分が語っている経典では人々は救うことはできない、新しい信仰が必要なんだって」

 

「それで今までの経典から自分の宗教を皆に布教し始めたってわけか…だが…」

 

「そう、受け入れられなかったんだよ、だから信者の数も減っちゃってさ…信者のお布施で生活していたあたし達は一気に貧しくなっちまった。」

 

「成る程な…だからお前は願ったんだな?」

 

「ああ、あの時のあたしは誰も親父の話を聞いてくれないことが我慢できなかった、なんで誰も聞いてくれないんだって、だからあたしはキュウべえに願ったのさ、皆が親父の話を真剣に聞いてくれますようにって」

 

「そうか、それでお前は魔法少女になったってわけか…だがどうしてだ?皆が話を聞いてくれようになったのならお前の父親はあんな事をするとは到底思えないんだが…」

 

「…もちろん、あたしが願った通り皆はまた親父の話を真剣に聞くようになったさ、だけどそれはずっと続かなかったんだよ。ある日、あたし達の住む教会に魔女の結界が作られたのさ、当然あたしは魔女を倒しただけどその時にとうとうバレちまったのさ、親父にあたしが魔法少女だってことが…そして親父は今のあんたと同じような事を質問してきたのさ」

 

「…………ああ、そうか…そういうこと、か…お前の願いは父親にとっては最悪な願いになってしまったというわけか」

 

ふっ…と杏子は自分の事を嘲笑う。

 

「そう、あたしは親父に自分が何を願ったか話した、そしてそれを知った親父は自分の話を聞いていたのは信仰心じゃなくて、願いの力だってことに絶望してさ、それであたしを外に連れて行って周りの人達に今まで言っていた話とは真逆の事を言い始めたんだよ。そしたら周りの人達は願いの通りに話を聞いて親父の話を鵜呑みにした…それであたしの願いの力を自覚した親父は恐怖して絶望して…あたしの事を人心を惑わす魔女だと言い始めたんだ…周りの人達も親父の言葉を聞いて一緒にな」

 

「…なんだって?」

 

「そこからは親父は布教もやめて酒びたりになって、しまいには母さんやモモにまで手を上げるようになったんだ」

 

「……………」

 

「そして最後には…あんたが知ってる通りさ」

 

そういうとまた杏子は俯いた、しかしぽつりぽつりとまた語り始めた

 

「ああ…そうだ、あたしの願いが…祈りが家族を壊しちまったんだ…他人の都合を知りもせず、勝手な願い事をしたせいで結局誰もが不幸になった…」

 

「……………」

 

「希望を祈ればそれと同じ分だけの絶望が撒き散らされる…そうやって差し引きゼロにして世の中は成り立っているんだ…」

 

ばっ、と杏子は顔を上げ俺を真っ直ぐと見る。

その顔は少し笑っていた

 

「そうだよ…あたしが全部勝手に壊したんだ…あたしの勝手で親父に希望を持たせて、絶望させて…母さんやモモが傷ついて!親父も母さんもあたしが殺したようなもんなのに…それなのにあたしはモモに、お前に受け入れられて…!ほっとしちゃってさ…!父さんも母さんもモモも全部全部あたしが…!!」

 

叫ぶように杏子はそう言った、全ては自分のせいだと…だが言い切る前に杏子の額が天堂のデコピンで叩かれた

 

ビシッ

 

「あいっ……!?」

 

「そこまでだ、そこから先は言わせられないな」

 

そう言ってベットに座っている杏子の隣にどかっ、と腰を下ろした

 

 

「…悪かったな、辛い事を語らせちゃって」

 

「な、なんであんたが謝るのさ…!?」

 

「いや、俺、ちょっと自惚れちゃってたよ…モモちゃんを助けて、保護して…お前を見つけて保護して姉妹二人揃って、ようやく普通で少しは幸せな生活をさせてやれてるなって思ってたんだけどさ…お前が魔法少女っていう大変で危なそうな事をやっててしかもその経緯がここまで悲しくて辛い物だってことを知らずにそんな事を思っていた自分が情けなくてな…」

 

「…そんな、こと」

 

「ほんとにごめんな…でも俺にはそうやってすることしか出来ないんだよ…それこそ俺の勝手な都合で…」

 

「違う!」

 

首を振るって杏子は俺の言葉を遮った

 

「…そうかな?」

 

「あんたは違うだろ…!確かに勝手な都合かもしれない、けどあんたは不幸どころかモモを助けて学校に行かせてくれて…こんなあたしにもまだ手を差し伸べようとしてる…!だから…だからそんなこと言うなよ…!」

 

「そ、俺もお前にそう言いたかったんだよ」

 

「…え?」

 

「確かに、確かにだお前が家族を壊してしまったのかもしれない、だが全てがお前のせいでああなった訳じゃないと俺は断言する。俺はお前からすれば部外者で好き勝手言う資格なんて無い、だけどな言わせてもらうぞ」

 

がっしりと杏子の肩を掴んで言う

 

「杏子、お前は言ったよな自分のせいで家族を壊してしまったって、自分が他人の都合も知らずに勝手な願い事したからだって…そんなのはほとんど皆んな同じだ、お前だって俺だって、お前の父親だってそうさ、勝手に祈って、勝手に絶望して、勝手に助けている。それにな…さっき俺が言った事を否定してくれたよな?それと同じさ…お前だって今日俺を魔女の使い魔ってのから守ってくれたじゃないか…お前の父親はお前の事を魔女って呼んだみたいだけど俺からすればあの時のお前はまさに正義のヒーローだったんだよ」

 

「あ…」

 

「お前が俺にそんな事を言ってほしくないように、俺もお前に自分自信の事を責めてほしくないんだよ…杏子」

 

そういって、杏子を抱きしめる…不快と思われるかもしれないが、安心させるにはこれくらいしか思い浮かばなかった。

 

「自分の事を完全に許せとは言わない…だけどさ、お前は誰かを思って頑張ってきたんだ、父親の為に祈って、願って、魔法少女になって危ないめにあってる人を助けて…今日俺を助けてくれたようにさ…だからこれ以上もう自分を責めるなよ…確かに壊れてしまったものもある。だけど壊れなかったものだってあるんだからさ、それに目を向けて進んでいけば良いんだよ」

 

そう語って杏子の顔を見る。

その赤い瞳には涙が溜まっていた

 

「ゆ、う…すけ」

 

「泣きたいなら泣いた方が良いと思うぞ?こんな奴の胸ならいくらでも貸すからさ」

 

「っ、く…うあ……うぁああぁぁあああああああぁぁぁぁぁ!!あぁぁあ…あああああ!!」

 

杏子は泣いた、色々な感情が混ざり合って涙になって流れていく

 

しかし杏子にはまた居場所ができた、父と母はいなくなってしまったが、この男とモモちゃんがいる。自分を受け止め、受け入れてくれる居場所が。

 

 

 

 

 

 




というわけで13話いかがだったでしょうか…?
ちょっと書いてる時脳みそが超デットヒートしてたんで不自然な部分があったかもしれませんが…もしもご不快になられていたりしたら申し訳ございません…これでも精一杯やってるつもりなのです…ユルシテ…ユルシテ

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