もし、女神官ちゃんが○○の神を信仰していたら 作:ネイムレス
注意、豪華かどうかには個人差があります。
女神官は跪いて祈りを捧げていた。焼け出された砦に奇跡によって閉じ込められ、蒸し焼きになった小鬼達とその犠牲者達の為に。彼等の魂が迷い出ない様にと、ささやかながらも天に祈りを捧げていたのだ。
「む、思ったよりも火勢が強いな……。面倒だが、周囲に燃え広がる前に消火するぞ」
一緒に燃える砦を見つめていた小鬼殺しが、淡々と次の坑道に移ろうとする。今すぐにでも泣き出しそうな曇天だと言うのに、神の悪戯か一滴も振り出す事は無かったので仕方のない事だろう。
そこで、女神官の脳裏に電流走る。
「ゴブリンスレイヤーさん。消火なら私に心得があります、少し任せてはもらえませんか?」
「……好きにしろ」
何だかここの所女神官の発言で碌な目に遭っていない様な気がするが、此処は別の卓上なのでそれは全くの気のせいだった。なにより、小鬼殺しの頭の中には小鬼を殺す事しか入っていないので、迷わず女神官に任せる事にした。
少しだけ燃える砦から距離を取って、女神官は祈り始める。自身の信仰する、武術の神とまで言われたあの人物を心の中に思い浮かべて。
「はああああああ……、ぬぅんっ!」
深く息を吐いて、気合と共に力を籠める。それと共に華奢だった少女の体は上半身だけがボコンと膨れ上がり、筋骨隆々を通り越した筋肉の塊へと変貌した。MAXパワー全開で、全身にはちきれんばかりの『気』が充実している。
もちろん、可愛らしい顔はそのままである。これが奇跡。
「か……、め……、○……、め……」
独特な詠唱と共に、両手の手首を合わせて掌を突き出して行き、全身に漲る『気』を掌に集めて高めて行く。そして、それが限界を迎えると同時に、裂ぱくの気合と共に解き放った。
「波ーーーーーーーっ!!!!!」
迸る気のエネルギーが波となって撃ち出され、青白い閃光を周囲に放ちながら一直線に砦へと向かう。膨れ上がる光の波は取りで全てを覆い尽くして、そしてその砦自体を炎と共に跡形も無く吹き飛ばしてしまった。
後に残るのは、耳が痛い程の静寂と、気まずい二人の間の空気のみだ。
「……少し、やり過ぎてしまいました。砦まで吹き飛ばしてしまいましたね」
「…………、そうか」
武骨な兜の格子状の面頬の奥で、いったい小鬼殺しは何を思っているのだろうか。外れ者の思考など、常人には理解できぬと言う物だろう。
「えっと……、この姿だとパフパフとかも得意ですよ?」
「いらん。そんな事よりゴブリンだ」
小鬼殺しの頭の中には小鬼の事しかないので、魅惑の肉体から繰り出されるパフパフになど興味はない。このあと滅茶苦茶、ゴブリンの残党狩りをした。
【真実】「武術の神って呼ばれてたのは確かだし、信仰の対象になってもおかしくないよって事で一つ……」
【幻想】「また筋肉じゃないですか、ヤダー!! 泣いてる地母神だっているんですよ!?」
【地母神】「・゚・(ノД`;)・゚・」
【真実】「そこで今回は二本立てです。次、行ってみよう」
それは、ある日の冒険者ギルドの片隅で起こった悲劇であった。
ギルドの片隅にあるソファー席を陣取って、他の冒険者達が依頼争奪戦を繰り広げている眺める小鬼殺し。そんな彼に女神官が近づき、ぺこりと恭しく頭を下げた。
「ドーモ、ゴブリンスレイヤー=サン。実は見てもらいたい物があるんです。今はお時間よろしいですか?」
「そうか。構わん、見せてみろ」
短い返答を返した小鬼殺しの目の前に、一冊の本が差し出された。装丁などは殆ど無い真っ黒な表紙に、何やら見慣れない文字でタイトルの様な物が白く書き殴られている。酷く薄っぺらいので、本では無くメモ帖の類かも知れない。
これは何だと問う前に、女神官は晴れ晴れとした笑顔で説明を始める。
「これは私の信仰する新世界の神から賜った奇跡のアイテムです。なんとここに名前を書かれたものは、例えどんな相手でもたちどころに死に至らしめる事が――」
「ゴブリンだ」
説明の途中ですが、小鬼殺しは前のめりになって女神官に詰め寄った。
「えっ、あの、ですから――」
「ゴブリンだ」
「いえ、あの「ゴブリンだ」アッハイ……」
そう言う事になった。
やがて世界からは、小鬼の姿が一斉に消える事になる。混沌の軍勢は便利な無限沸き兵隊を失ったが、別に他にも雑魚は居るので特に変わり無く。秩序の軍勢もまた、小鬼など端から相手にしていなかったので、喜んだのは小さな農村程度であろう。
そして、全ての小鬼を殲滅する事が出来た小鬼殺しは、女神官と妖精弓手と幼馴染と受付嬢によるドロドロの修羅場に突入するのだがそれはまた別のお話である。
ゴブリンスレイヤー、完。
【真実】「イイハナシダナー」
【幻想】「終っちゃだめだから!? 終っちゃったら駄目だから! 思考放棄しちゃだめだよ!」
【地母神】「( ゚д゚)ポカーン」
【真実】「次、いってみよう」
最近これのネタばかり思い付いてオリジナルが全然進まない。
続きはもちろん書いて居ません。