もし、女神官ちゃんが○○の神を信仰していたら   作:ネイムレス

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ギャグに大切なのはその場の勢いと存じ上げます。
口調にちょっと自信がありませんがぶっこみます。


聖☆神

 これは、小鬼殺しが女神官を伴い、妖精弓手や鉱人道士、蜥蜴僧侶等と共に小鬼退治に初めて向かった時の話。

 平野での野営の為に焚火を囲い、各々が持ち寄った食材を出し合ってささやかな酒宴を催す。そんな折に巻き起こった、一晩だけの奇跡のお話である。

 

「こりゃあ美味い! なんじゃいなこの肉は!!」

「聞きなさいよ!!」

 

 種族的に相性の悪い妖精弓手と鉱人道士がじゃれ合う中で、女神官は黙々と乾燥豆を焚火に掛けた鍋でスープに仕立てていた。その様子を武器の手入れをしながら眺めていた小鬼殺しは、ふと周囲の状況に違和感を感じる。

 何かが――否、女神官の周囲が明らかにおかしい。

 

「おや、乾燥豆のスープかい? でもお豆だけだと少し寂しいから、私の持って来たジャガイモも入れちゃおうか。それからこれ、ガラムマサラとオリーブオイル。これを少し入れると風味がとてもよくなるんだよ」

「わぁ、良い香りですね。これはアナタ様の故郷のお味なのですか?」

「私の故郷の料理はもっと良く煮込んだ物が多いかな。機会があれば、そっちの方もご馳走したいね」

 

 女神官の隣になんか居る。

 頭をパンチパーマに見える螺髪で覆い、豊かな福耳をモチモチさせる一人の御仁。額には思わず押したくなるようなポッチが付いていた。とんでもなく徳の高そうなご尊顔である。旅の空だと言うのにとってもラフなTシャツ姿です。

 だが、小鬼殺しはその存在をスルーした。だってどう見ても小鬼じゃなかったので。

 

「ちょっと!? 何時の間にか一人増えてるわよ!? アンタいつの間に――って言うか馴染んでんじゃないわよ!!」

 

 妖精弓手が状況に気が付いて騒ぎ始めた。小鬼殺しは密かに兜の奥で安堵する。

 そんな騒ぎ立てる妖精弓手に対して、女神官は落ち着き払ってにっこりと笑顔まで浮かべながら状況を説明し始めた。

 

「すみませんご紹介が遅れてしまいましたね。このお方は私の信仰する宗教の――」

「おおっと、今の私はただの通りすがりのパンチパーマの人だから。パンチとでも呼んでほしいな。短い間だけど、どうかよろしくお願いします」

「私の奇跡に応えて、こちらにいらしてくれたのですよ」

 

 また女神官の奇跡か。いや、正確には別卓の出来事なので小鬼殺しは何も知らない筈なのだが、何故だか最近妙に女神官がらみで碌な事が起こっていない様な気がするのだ。

 でも、何も言わなかった。だって小鬼じゃないから。

 

「なに、貴女の知り合いだったの? それならそうと先に言っときなさいよね、びっくりしちゃったじゃない」

「ははは、ごめんなさい。驚かせてしまったのなら申し訳ない」

 

 妖精弓手は今の説明ですっかり納得してしまった様だ。チョロすぎやしないだろうか、流石二千歳児。

 

「おおーい、耳長の!! こっち来てみい、面白い物が見られるぞ!」

 

 そして今度は、今まで放置されていた鉱人道士が大声を上げ始める。なんだなんだと視線を向けてみれば、鉱人道士と蜥蜴僧侶に挟まれてもう一人。

 それはもう見事なロン毛のお兄さんが一人、居た。

 

「見ろ! ワシの水袋の中身が全部、ぶどう酒に代わっておる! しかも美味いと来た、ガハハハハハ!!」

「いやぁ、皆会えたのが嬉しくてつい。あと、そっちのエルフの子のツッコミが鋭くて、妙にツボに入っちゃって。フフッ……。あ、思い出し笑いで小石がパンに……」

 

 すらっとした痩躯に背中まで届く長い髪の男性が、水袋一杯のぶどう酒にご機嫌の鉱人道士の隣でにこやかに佇んでいる。額に巻かれたいばらの冠が、Tシャツ姿に実にミスマッチだった。

 

「ふむ、お見受けした所、かなりの術の持ち主ですな。身に纏われる気配からして、ただ者とは思えませぬ」

「いやいや、ごらんの通りぜんぜん奇跡、制御出来てませんから。いやぁ、お恥ずかしいなぁ。あ、パン食べます? 柔らかくてチーズに合いますよ」

 

 まさかもう一人いるなんて。小鬼殺しは兜の奥で密やかに驚いた。だが、あえて自分からは何も行動はしない。だって、どう見てもあれは小鬼ではないからだ。

 

「どうも、『パンチとロン毛』のロン毛の方でーす。皆さんにお会いできたのが嬉しくて、もう奇跡が止まりません!」

「ガッハッハッハッ! こんな奇跡なら幾らでも起こしてもらいたいもんだわい。のう、蜥蜴の?」

「然り、然り。このパンはチーズの味わいがより深まって、実に甘露ですぞ」

 

 向こうも向こうで馴染んでいた。そんなこんなで冒険者達の夜は更けて行く。

 沼地の獣の肉の串焼きに、滅多に見れない妖精の保存食。ジャガイモと香辛料の加わった豆のスープに、トロトロチーズの乗ったパン。これに鉱人秘蔵の火酒とぶどう酒が加わって、ささやかだった筈の酒宴が、ずいぶんと豪勢になってしまった物だ。

 

 それから料理が食べ尽くされるまで、酒宴は大いに盛り上がる事になった。

 妖精弓手が酔っぱらって小鬼殺しに絡んだり。胡坐をかいたパンチが宙に浮きあがったり。小石がパンになったり。

 蜥蜴僧侶がチーズに感動して甘露甘露叫んだり。奇跡に感動した女神官が五体投地したり。小石がパンになったり。

 鉱人道士が他の連中の水袋もぶどう酒にしてもらおうと提案して、そんな事したら冒険できなくなると総突っ込み入れられたり。そして小石がパンになったり。

 とにかく、わいのわいのと騒ぎ続けた。そんな楽しい時間も、何時しか終わりの時がやって来る。

 

「それじゃあ、私達はそろそろ帰るよ。ちょっと上の方で、OHANASHIしないといけないので」

「ああうん、今回が五回目だからね。もうとっくに四回目越えちゃってるからね。仕方ないよね」

 

 パンチ、ロン毛と順に立ち上がり、二人は唐突に帰ると言い始めた。その頃にはみんな酔いが回って、うつらうつらとしていたので何処に帰るかだなんて特には気にはならない。

 全員がぼんやりと見守る中で、やおらパンチがここぞとばかりに締めの挨拶を始めた。

 

「この世界は深い悲しみと痛みに満ちている。そんな中で君たちは、深く傷つ尽き苦痛にさいなまれる事もあるだろう。でも、諦めずに乗り越えて貰いたい。苦行の先には、確かに得る物があるのだから」

 

 その言葉は、誰に対しての物だったのだろうか。しかし、薄く微笑みながら紡がれた言葉には、力強さと共にしっかりとした説得力が備わっていた。

 パンチの優しげな表情に、全員の視線が集まる。彼等にはパンチの顔が、まるで後光が差すようかのように光輝いて見えていた。見えていたというか、どう見ても輝いている。

 

「ちょっ、パンチ光ってる光ってる、ほんとに光ってるよ!! えらい後光が差してるから! だから夜中に徳の高い事言っちゃ駄目だって、前にも言ったじゃないの!!」

「ええっ!? どうしよう、これ自分じゃなかなか消せないのに!」

 

 最後の最後でそんなわちゃわちゃとしながら、現れた時と同じように二人は唐突に去っていた。

 

「…………結局、何だったのよあの二人は……」

「知らん。ゴブリンでない事は確かだ」

 

 そんな事は言われずとも解っている。妖精弓手が突っ込みの蹴りを入れたら、倒れた小鬼殺しはそのまま寝入ってしまっていた。どうやら火酒とぶどう酒のちゃんぽんは思いのほか効いたらしい。

 酒が良く進む、心地よい時間だったと言う事だろう。

 

 

 【幻想】「えー、と言う訳で今回は【真理】君は隣室でOHANASHIの真っ最中なので不在です。仏メーターの残機が切れたんだそうです。パンチさんからちょっと近寄りがたいオーラが出ていたので、尊い犠牲になってもらいました」

【地母神】「ヽ(´▽`)/ ザマア」

 【幻想】「ちょっと何時もとは毛色の違う結果になったけど、まあたまにはこう言うのも良い物だよね。【地母神】ちゃんも楽しそうだし」

【地母神】「( ゚∀゚)ティヒヒ!!」

 【幻想】「え、これも私が言わなくちゃいけないの? つ、次、いってみよう」

 




みんな、お酒を飲む時は聖人してからにするんだよ。
ちなみにこんなのお兄さんたちじゃないって思ったら、原作コミックスを買って読みましょう!(ダイマ)
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