Creatures.E 2   作:駿駕

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あらすじ
前物語の主人公、柊 海都の娘、柊 青空は能力の発現によって生きる意味を失う。そこへシード異能力者専門学校からオルガ・アーガイルがやってきた。

オルガは青空にシードへの入学を推薦する。そして青空はシードへ入学することを決めた。


船での出会い、スズカ登場

例外が出てから20年が経つ。

 

シード異能力専門学校。

名前の変わったこの学校はチームもあの頃と比べ、減るところもあれば、人数が多いためにチーム内で男女に分けるところ、成績で分けるところもある。

 

私のいたチームOは今、校内で二番目に強いチームと言われている。

 

私は彼らに話しかけることも、触れることもできない。できるのは活躍を見ることと応援することだけ・・・

 

「おはようございます、Mother.C 。今日もよろしくお願いします。」

ここ20年、私は彼女の顔しか見ていない。

彼女は死んだはずなのに・・・。

「チームOはこの前の大会で準優勝。人数の都合上、男しか出れていませんが」

この前、一人死んでしまった。そのせいでチームO女子部は人数が合わず戦場に出れていない。

「まぁ、彼女らは強いので戦場の成績に男子部の稼いだ加点は入れてますよ。まぁ最低限ですが」

私の前で私に話しかける彼女は乗っている車イスを回転させ、出入口の方へ向かう。

「そうだ、あなたには秘密で行っていたのですが、あなたの尊愛している柊 海都君、彼の娘さんがここに入学するかも知れません」

彼だけではなく、彼の娘さんもここに・・・。

「彼女の意思を変える・・・なんてことはあなたにできませんよね?」

そういい、彼女は部屋から消えた。

 

「Mother.C Lia・・・。お願いしますよ、この学校はあなたの能力で動いているのですから」

 

 

この町から離れる今日。私はここから旅立つ。

「着替えはちゃんと持った?携帯と財布と、あと、あと・・・」

「心配しないで、ママ。ちゃんと帰ってくるから」

重たいスーツケースを引っ張り外を出る。

「わかってる。だって、パパとママの子供なんだから」

涙ぐむママの表情を見て、私ももらい泣きしそうになる。でも、ここで私が泣いたら、ママだって不安になってしまうだろう。

「いってきます!」

私は涙を堪えて、家の敷地から出た。もう戻ることはできない。

「・・・いってらっしゃい!頑張って!」

私は船の待つ港へと向かった。

いつもスマホの画面を見ながら、周りをあまり見ずに登下校していたため、全ての景色が新しく感じる。

「この町とは当分お別れか・・・」

 

港には豪華客船のような大きな船があった。私一人のためにここまでするの?・・・てことでも無さそうだ。

「お待たせしました、柊様。さぁお乗りください。」

私が船を見ていると、二人の男がやってきた。

一人は巨体で2mは余裕で超えているだろう。もう一人は私と同じかそれより少し大きいくらいだった。

「私はこの船の案内人のアイスでございます。で、こちらはバニラ、荷物持ちです」

「ドウモ。」

私の持っていたスーツケースは巨体の男によって持っていかれる。男は片手でバッグでも持ち上げるかのように重たいスーツケースを軽軽と持ち上げた。

「では、こちらへどうぞ」

船から伸びる階段は私たちが通ると共に消える。

これが能力・・・。

「どうかしました?」

「いえ・・・。」

船の中に入ると、予想していたような豪華な内装が広がる。

「一階には店舗と食事スペース。服から食品まで、あらゆるものを取り揃えております。食事スペースでは朝昼夕の三食出ますよ。二階にはジムなどの運動スペースと大浴場など温泉スペース。日本人はオフロというものが好きと聞いたのでこちらをご用意しました。三階はあなたらが泊まる客室スペースです。もちろんですが、あなた以外の入学者もいるので、くれぐれも問題にならないように、大人のご対応を。以上で、私の案内は終了とさせていただきます。このあと午後1時からランチタイムとなっておりますので。準備ができしだい、放送でお呼びします。ではでは・・・」

案内役の男は巨体の男の肩に乗ると、三階から一気に一階へ落ちた。

「これが能力者かー。・・・さて、休憩するかな、まだ12時ちょうどだし」

私は部屋の扉を開け、スーツケースを壁に立て掛けると大きなベッドに倒れる。

 

化け物・・・化け物だー!

 

寝そうになっていた私は昔のことを思い出して飛び起きた。

「またこれだ・・・」

 

『ピンポンパンポーン!ランチタイムでーす!準備ができましたー!皆様、集まってくださーい!』

 

放送がなる。私はベッドの下に投げ捨てられた靴を履くと外へ出た。

「確か一階だよね」

私は階段を下りて、食事スペースと書かれた部屋へ入っていく。見る限り、私が一番乗りか。いや、その前に他の客はいるのか・・・?

「お前、アタシと同じ、能力者か?」

誰かが私の背中に何かを突きつける。それが何なのかはわからないが、この殺意は本物だ。

「私も能力者だ。あなたの能力がどんな能力だかは知らないけど」

「・・・なら仲間だな!」

彼女はさっきまでの恐々とした表情を解くと私の手を掴んだ。

「アタシはスズカ アンリ。よろしくな!」

「よ、よろしく・・・」

私は拍子抜けになる。

スズカ。髪はボサボサの茶髪で後ろで纏められており、服は紺に近い濃いめの青いパーカーに、下は

「アンタ、名前は?」

「柊 青空だ。」

「ソラかー、よろしく!さっそくだが一緒に飯食べようぜ、飯!」

「う、うん・・・」

 

スズカはトレーにカロリーの高そうな油ものを山盛りに取って席に戻ってくると、貪るように食べ始める。

「うまいなぁ、これ!なんだ?ソラはそれしか食べないのか?」

スズカは私のトレーに並べられたバランスのいい料理の並びを見て、そんなことを言う。

「あなたが食べ過ぎなだけ。・・・そんなにとって食べきれるの?」

「食べるに決まってるだろ?ほらほら、腹が減っては戦はできぬだぜ!」

私はそんなスズカの姿を見ながら食べ始める。

「さ、もう一度行ってくるぜ」

「もう食べたの!?」

 

「はぁー、食った食った!」

トレー山盛り2つ分の油ものを食べ終えたスズカはエントランスのソファーに横になる。

「なぁ、ソラ。ソラの能力ってどんなの?」

「私の能力・・・ね」

青空はウォーターサーバーから水を取ってくると、一度指を入れてから、スズカにかける。

「わわっ!何するんだ・・・よ?」

青空は水をスズカの目の前で動きを止め、自分の足元へと移動させる。

そして水は蛇みたく、とぐろを巻き始めた。

「これ、水を操る能力」

青空は足元の水でできた蛇を指差した。

「おお!水か!・・・てことはアタシと相性バッチリかな?」

スズカはそういい、青空の水に手のひらを向ける。

「そぉれ!」

水は一瞬で氷へと変化する。

「これがアタシの能力。氷を作る能力。水を凍らせることも、氷を生み出すこともできる!氷を剣や槍、弓矢のような武器にすることもできるぜ!」

「相性バッチリ・・・かな?」

 

『はいはい、皆さーん!』

 

二人の間に入り込むように放送が入る。

『これから、試験を行いたいと思いまーす!その名も、

4月成績試験!王冠を手にするのは誰ー!いえーい!』

 

『この船内には1つの王冠が置かれています!そしてそれを守るために、監視員兼試験官が一人います!試験官を倒すなり、試験官の目を欺くなりして王冠を盗んでくれば、4月の成績満点が貰えます!この船内にいる生徒は二人!チームを組んでもオーケー!さぁ、制限時間はこの船が到着する明日の午前8時!いきますよ!よーい!スタート!』

 

私はエントランスの時計を見る。今は14時、まだ余裕な時間はあるけど・・・。

「どうする?・・・スズカ・・・!?」

スズカはソファーに横になって寝ていた。

「なに寝てるの!試験よ!し・け・ん!」

私はスズカの胸ぐらを掴むとスズカの頭を揺らす。

「あー、まだ時間あるだろ?今は食後の休憩だ、休憩」

「・・・一時間後、始めましょう。」

 

一時間が経った。スズカはスマホのアラームが鳴ったのに目を覚まさず、いびきをかいて寝ている。

「・・・起きなさい!」

私はスズカに水をかける。

「ひゃっ!・・・何するんだ!」

「時間よ。一時間経った」

「もう時間か・・・よっと」

スズカはソファーから起き上がると、首を回し、身体をほぐし始めた。

「よし!行くか!」

 

ようやく試験が始まった。こんな調子で大丈夫なのだろうか。青空は心配だった。

 

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