シード異能力専門学校での学校生活初日。チームO女子部に参加することになった柊 青空とスズカ アンリは、チームメイトの自己紹介を聞き、このチームの戦礼を受けることになる。
チームO専用訓練施設。
成績の良いチームのみが使うことを許された学校にある訓練施設の一つ。中では戦闘訓練を行うことのできるジャングルを模した訓練場から、身体を鍛えるためのトレーニングルーム、シャワー室から更衣室、ちょっとした食事を取るための食堂まで存在する。
「おいおい、聞いたか?チームOの女子部に新入生来たらしいぜぇ」
「本当か。人数も足りず、4月はまともに戦闘訓練に参加できなかったから、これで訓練に出れるな」
訓練を終え、制服に着替えた男二人は新入生の話をしている。
この二人はチームO男子部のなかでも最強として名高い生徒だ。
チームO男子部副リーダー、ナルカミ・ブルーロード。
真面目で硬い性格。入学してから彼の参加した戦闘は一度も負けたことのないと有名。落ちこぼれだったチームOを成績上位まで引っ張りあげた。
そしてチームのムードメーカーにしてゲームメーカー、
「でよぉ、ナルカミ。洗礼が訓練場であるらしいぜ。行くか?」
「チームメイトの能力を知ることも授業の一環だ。」
「そんじゃ、行こうぜ」
★
「うぉー!なんだこの部屋!」
私たちの目の前に現れたのはジャングルのような植物の生い茂った空間。建物の中にこんなものがあるなんて・・・。これって現実だよね?
「おい、見ろよ!こんなでかい花見たことねぇよ!」
「ここは戦闘訓練場。名前の通り、普段の授業や、試験などのイベントで他のチームと戦うことを想定した模擬戦闘を行う場所。」
「ここの植物は全て本物。そしてここには本物のジャングルを模した川や湖もある」
白銀さんは私たちにこのジャングルの地図を見せる。
「今日は君たちのために特別で借りた。今からここでフラッグ紅白戦を始める。」
「フラッグ・・・紅白戦?」
「赤と白の2チームに分かれて行う模擬戦闘だ。今回はこのフラッグを多く取った方の勝ちだ。」
オルガさんはOと書かれた旗を棚から取り出すと、ジャングルの中へ消えていく。
「5本あって相手より多く取れば勝ち。能力を使って戦闘に持ち込むのも、静かに取っていくのもOK。まぁやってみればわかるかな?」
「チームはどうする?」
「3人ずつに分かれましょう。新入生は私が面倒見ます。」
「了解!」
赤 : 二階堂・青空・スズカ
白 : 白銀・ミラ・立葉
「それでは、白チームは向こう側に回ってください。準備ができたら立葉さんいつものお願いします。」
「了解ッス!」
白チームの三人は部屋から出ていく。
私たちは『Red』と書かれた腕章を着けた。
「いつもは始める前に作戦会議をしますけど、今回はあなたたちの力を見るためなので、殺さない程度に能力を使ってください。あと無理はしないようにお願いします」
「はい!」「了解!」
「そろそろ三人あっちに回るだろうし、準備してくださいね」
私は休憩時に飲む用の水が入った500mlのペットボトル を持つ。
二階堂さんはペットボトルを見て納得したように見えた。
「そろそろですね・・・」
二階堂さんの言葉通り、開始の合図なのか花火の打ち上がるような音が訓練場に響く。
「それじゃフラッグ紅白戦開始です。なるべく二人とも離れないように」
私たちはそれに返事をする。二階堂さんはジョギングくらいの速さでジャングルを進む。
「走るんですか?」
「フラッグ戦は先に取った方が有利。それにこれからの戦闘で走ることはよくありますので」
「へー。」
私は船内でも思ったが、もっと体力をつけないといけないかな。
「もうここまで来てましたか。立葉さん、本気ですね」
二階堂は目の前で腕を広げ、私たちを止める。
「な、なんですか!?」
「前を見てください」
植物の影に赤い魔法陣が見える。あんなの現実にあるんだ・・・。
「あの魔法陣、私たちが近づいたら爆発します。立葉さんの能力の一つですね。」
二階堂さんは足元の石を拾うと、植物目掛けて投げる。
ビーッ!
魔法陣は音を鳴らして爆発した。
近くの木が倒れ、地面が焦げている。相当な威力だ。
「物を爆発する能力。そして爆発には色々な効果がある。・・・カッコいいでしょ!爆発!破壊こそ、私の好きなことぉー!」
音に反応して現れた立葉さんは私たちに爆発の素晴らしさについて長々と話始める。
「話は後でしましょうね。」
二階堂さんは立葉さんの腕を掴むと、足を掛けて投げ技へと持ち込む。
「ぉう?」
立葉さんは空中を一回転して、
「ぐへ!」
地面に落ちた。
「さぁ、行きましょう。まだフラッグ一つも取ってないんですから」
「あのー、立葉さんは?」
「たぶん大丈夫でしょう。後輩ができたから、舞い上がっていたんでしょう」
たった今、空中に舞い上がって落ちたのですが・・・。
それにしても二階堂さんの力はいったい。あんな細い腕で軽く人を投げた。これも能力・・・?
「言ってませんでした。私の能力は、能力によって発生するエネルギーを身体の一部分に集中させたり、分散させたりすることのできること。父親の称号を受け継ぎ、
「阿修羅。カッコいい!」
「ありがとう。でも、私はこの称号嫌いですけどね。ほら、漢字が硬いじゃないですか」
「自己紹介してる場合か!美海!」
上から声が聞こえ、私たちと二階堂さんの間に割り込むように、人が降ってきた。
「この訓練は後輩とのコミュニケーションを行う場所でもある。そうですよね?白銀さん?」
白銀さんの落ちてきた場所には、アニメや漫画の世界でしか見たことないようなクレーターができていた。
クレーターを作った拳には傷一つなくきれいな手をしていた。
「それは正論だが、終わってからでもいいだろう?それに能力者というのは手の内を開けないことが常識だ。」
「・・・二人とも。」
「はい・・・」
「・・・私はフラッグを探してくるので、白銀さんとコミュニケーションを取ってください!」
二階堂さんは後ろへ向くと、逃げるようにその場から離れていく。私たちは白銀さんを前に残された。
「・・・は?」
「相変わらず、指示を出すのが苦手だな。女子部のリーダーだというのに・・・。じゃ、二人とも能力の準備はいいかい?」
白銀さんは腰に付けた刀を抜かず、私たちに拳を向ける。
「刀は使わないんですか?」
私はそんな質問をする。白銀さんは一度、刀の方を見ると、構えをといて首を横に振った。
「使わないんじゃない、使う意味がないんだ。使わせたけりゃそれなりの力を私に見せな」
「面白ぇじゃん。ソラ、見せてやろうぜ!私たちのコンビネーションを」
相性が良いってだけで、それをコンビネーションというのはどうか・・・。何てことを思いながらも、私の手はすでにペットボトルの蓋を開け、水を手にかけていた。
「休憩用の水?・・・なるほどね」
私は足元に水で竜を作る。そして白銀さん目掛けて放つ。
「GO!」
白銀さんはその場から一歩も動かない。この竜を食らえばダメージは、
「水を操る能力。そんなんじゃ、刀を抜かせることはできないよ!」
白銀さんは私の竜を当たる寸前で避け、竜が地面に当たったことで崩れて飛んだ地面の破片を踏んで、私たちの目の前まで近づく。
「凍れ!」
隣にいたはずのスズカは竜の着弾地点に先回りし、私の作った水の竜を凍らせてもう一度、白銀さんに襲いかかるように命令する。
「水と氷か、良いコンビネーションだ。しかし!」
白銀さんは私の前でバク転を披露すると、そのまま着地の勢いで氷の竜を蹴り壊す。
「私は止められないなぁ!」
この人・・・強い。船内にいた試験官なんて比にならないくらいに。
「ほらほら、その程度?」
水は凍ったから残ってないし、氷はあそこまで粉々にされてしまったから・・・。いや、スズカなら氷を生成できる!
「これなら!」
スズカは氷で剣を作ると、白銀さん目掛けて振り下ろす。
次の瞬間には、白銀さんの拳は剣を破壊し、スズカの頭に当たっていた。
「もっと薄く作らないと、指すら切れないよ」
水が無いと私は能力が出せない。何か水源が・・・
「さぁ、次は柊さん。あなただ・・・よ?」
私はスズカを見捨てて走り出した。
「ソラ・・・まさか!」
「柊さん、何か思い付いたのかな。待てー!」
白銀さんは追い掛けてくる。ここに来る途中、私は水源を見た。
「この方向には・・・まさか!」
白銀さんはわかったみたいだ。この先には・・・
白銀さんに教えてもらった湖がある!