SAOIFハース前日譚(仮)   作:ハース/ユウキ

4 / 7
なんかもう色々書くの疲れたwおもしろいけどw


第四話

クラインを見送ると、アルゴさんが俺たちへ声をかけてきた。

 

「キミたち、これからどうするかあてはあるのカ?」

 

「えっと…」

 

濁しながらみんなの顔を見るが、誰も何も思い当たることは無いようだった。それどころかやはり不安が顔に出ている。

 

「あては~ないですね~、今のところは」

 

いつものペースで、モモが答える。

 

「…………。」

 

少しずつでも強くなるために…いや、死なない為に強くなることを目指して行動する段階へそろそろ移行しても良い気がするのだが、この状態でいきなりみんなをフィールドへ引っ張って行っても大丈夫なのだろうか…?主に、精神的に。

 

「そうカ、これからどうすル?どうしたイ? 街に閉じこもったまま来ない助けを待つカ、脱出するために動くカ 2つに1つだヨ」

 

そんなの、聞かれるまでもない。でも………

暫くの沈黙が流れる。

 

「閉じこもってても何も解決しないよ」

 

沈黙を破ったのはリンリだった。

 

「私にはキリトさんや茅場晶彦みたいに機械のことはよくわからないけど、ここでずっとHPを保って、リアルでは栄養や水分を点滴とかで体に補給されていたとしてもそれでずっと生きられる訳じゃないでしょ…?だったら、助けを待つだけじゃなくて、この世界でも出来ることをしなきゃ…!」

 

おぉ……俺も同じようなことを考えてはいたが、俺にはリンリのように仲間を鼓舞する物言いは出来なかっただろう。

 

「それもそうだね~」

 

モモがいつもの調子で頷く。よし、良い流れだ。このままフィールドへ…

 

「…待ってくれ」

 

レオが神妙な面持ちで遮った。

 

「オレも、何か出来ることをしようという考えには賛成だ。けど……リンリとハースには悪いけど…状況が状況だけに、万が一のとき俺はモモの命を最優先に考えると思う。だから……えぇと………」

 

「何言ってんの!それはあったり前でしょ!」

 

「そうだよ。それに、そんな状況にならないためにみんなで頑張ろうって話をこれからするんだろ?」

 

「そうだよ~!私も、守られるだけじゃなくレオも、みんなのことも守るよ~!」

 

………………。 あれ?まぁ、良いや。リンリとさりげなく目配せをして話を進め…

 

「んじゃ、決まりだナ!それなら最初に必要なのはコル……金だナ“とにかく生きのこること”を目標にして装備を強化するといいヨ」

 

アルゴさんから教わった通り、俺たちは原始の草原で念入りに戦闘のやり方を確認しながらコルを貯め、装備を整えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから約2ヶ月が経とうとしている。

 

俺たちは4人で助けあいながら、なんとか“攻略組”と呼ばれるトッププレイヤーたちのすぐ後ろをつけるようにアインクラッドの攻略を進めていた。コハルさんはクリスマスの頃に“攻略組に入りたい”ということで俺たちとは別行動をとるようになっていた。

 

「もう四層まで登って来たんだね~!2ヶ月くらいでここまで来られるなんて思ってなかったよ~」

 

モモが風に長い髪をなびかせながら、第四層迷宮区付近の転移門前の草原に座りうっとりと大きな湖を眺めている。その隣に座るリンリが続ける。

 

「ほんとだねー、あれから色々あったもんね!クリスマスに、新年に…」

 

リンリの言葉を補足するように俺も言葉を続ける。

 

「その時々に期間限定のイベントなんかも開催されたし、雪が降ったりもしたし…もしかしてリアルにいた頃よりもこういう行事は満喫出来てるんじゃない?」

 

「えぇそりゃねーよハースぅ!オレはなんかもっとこう…リアルならではの何か……」

 

「私はハースに賛成だな!クリスマスのイベントの報酬だったサンタのアバター、リアルで着るのちょっと恥ずかしいしあんな雪の中で着たら寒いのなんのっ」

 

「「ぶはっ!」」

 

リンリが膝を抱えて凍える真似をする。

動きはともかく、顔が真剣(マジ)過ぎて笑える。

 

「私もあんまり寒いのは得意じゃないなぁ~、新年の振り袖もかわいかった~」

 

真剣な顔でガタガタ震えている人とほんわか思い出に浸っている人がならんで座っている光景は中々カオスだった。そのとき、

 

「おぉっ!?5層だ!!5層に転移出来るようになってるぞ!!攻略組がまたフロアボスを突破したんだ!!」

 

俺たちの真後ろ、転移門前に立っている男が叫んだ。

 

「えっマジ?今日だったのか攻略…俺らがここに来たときもう攻略組の人は見かけなかったよね…?」

 

「すごいすごい!行ってみようよ!」

 

「ん~いきなり?突破されたばかりの最前線に…?大丈夫かなぁ~…」

 

俺たちがこうしている間にも、何人ものプレイヤーが転移門へと消えていった。

 

「オレたちももう4層では十分戦えるんだし、大丈夫じゃないか?」

 

デスゲームに巻き込まれたと知ってから初めてはじまりの街を出るとき、一番危惧していたレオも今ではここまで自信を持てるようになっていた。

 

「だいじょーぶだって!まずは様子見!」

 

リンリは完全にやる気になっていた。俺も新しい層がどんなところかは興味を惹かれるがそうも言ってはいられない。

 

「そうだね、自信をもって!でも誰か1人でもこわいとか危ないと思ったら一旦撤退しよう」

 

一応釘を指しておいてから、俺たちは転移門で第5層へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~数分後~~

 

「なんっっっじゃありゃーーーーー!!!!」

 

リンリが悔しさを全身で表現しながら叫ぶ。俺たちは意気揚々と5層のモンスターに挑んだものの、敵モンスターの予想外に高い攻撃力と確率の高い毒攻撃に慌ててトールバーナの街へと転移で逃げてきたのだった。そのまま転移門前の芝生に四人とも床に座り込んでしまっている。

 

「ビビったぁぁぁモモ、大丈夫か?二人も。圏内って解毒もされるのか?」

 

レオが過保護になってきている。俺は最近、レオがモモに彼氏じゃなくパパ認定されないか少々心配だ。

 

「やっぱり、大丈夫じゃなかったね~」

 

本人は相変わらずのんびりとしているが、俺たちの中で一番安定して戦っていたのはモモだと思う。初めて槍を回したときにみせたセンスが更に磨かれているのもさることながら、5層のモンスターの攻撃力が今までとはケタ違いだということを即座に見極め、一度に複数のモンスターを相手にしないで済むように槍の特性である広範囲の攻撃を一切使わなかった。

 

「あはは……にしてもまさか、5層がさながらお化け屋敷とはね…」

 

俺は早朝や日中の休憩などの空いた時間に一人で狩りをしたり、そのおかげでさっき話に出た期間限定のイベントの報酬も少し多めに獲得していたため5層のモンスターもリンリやレオほどはキツいとは感じなかったが、モモのセンスと判断力の前では有って無いような差なのだろう。

逃げ帰る直前、俺はバランスを崩し偶然ミイラ型のゾンビの胴に手を突っ込んでしまったのだが、案外グチョッとかヌメッとかの気持ち悪い感覚も無く、腕はきれいにゾンビの体を貫通していた。ということはたぶん、モンスターの攻撃パターンを見た限り“ソードスキル→モンスターへ体当たりするように向こう側へ抜ける→ソードスキル→…”というように繰り返せば一人でも5層のモンスターを倒せるのではないか。お化け屋敷に出てきそうな怪物の体内に何度も全身で突っ込むという行為に躊躇が無ければ、であるが。

 

「あれ?(しゅん)?」

 

不意に後ろから声をかけられた。いや待て、今なんと言った…?ハースじゃなく、(リアルネーム)だとっ…!?驚いて即振り向くと…

 

「えっ……!?(れい)!?」

 

「は?なんだ、知り合い?」

 

レオが興味津々に聞いてくる。

 

「こんなとこで何してんのお兄ちゃん、地面にへたり込んじゃってどんくさいなぁ。てかアインクラッド来てたの!?」

 

うわぁ……俺が大学に進学してからあまり会わなくなっていたとはいえ、どうしてこうも高圧的なのか…コイツは。今は物理的にも見下ろされている為仕方ないといえば仕方ないのだが。

 

「えっなに、ハースの妹ちゃん!?」

 

リンリが目を輝かせながらこちらへ駆け寄って来た。

 

「はい、蓮池 澪…ここでは、ファレルという名前です。えっと…皆さんは…?」

 

ひょんなことから数年ぶりに実の妹と再会することとなった俺は、なんとなく居心地の悪さを感じながらもみんなに妹を紹介した。

 

「ほー…なるほど、ご学友の皆さんでしたか!」

 

ごが……?コイツこんな言葉使いだったっけ?するとトールバーナの噴水広場の方からまた新たな声が聞こえた。

 

「お~いファレル!どうしたの?」

 

今度は誰だ……声がした方を見ると、薄紫色のショートカットの女性が歩いてきた。歳は俺たちと変わらなそうだ。

 

「あ。エマさんーちょっとヤボ用で」

 

「うぉい…実の兄との再会をヤボ用って…」

 

「またあんたはそんな言い方して~遠かったけど見てたからね!親しげに話してたでしょ!…っと、え!?兄!?」

 

そう言うと“エマさん”と呼ばれた女性はあからさまに俺を見てギョッとして後ずさる。

 

「えっ。あ、はい…そうですけど…?」

 

すると、俺の目の前でファレルとエマさんは後ろを向きコソコソと話しはじめた。

 

「ちょっとファレル、お兄さんって…いつもなにかと不幸な目や災難に出くわしてるっていう…?」

 

「そーですそーです。そりゃもう呪われてんのかってくらい…」

 

「やっぱりその人かー…」

 

「その人ですー…」

 

おい。見えてますよ、聞こえてますよ。百歩譲って妹はまぁいいとして……エマさん?貴女初対面でしたよね…? レオが俺にこっそり話しかけてきた。

 

「オイお前、妹に何したんだよ」

 

「はぁ?」

 

何したってなんだよ。なんもしてねーよ。どうやらファレル達の内緒話は終わったようで2人同時にこちらへ向き直りエマさんが言った。

 

「ここで立ち話も何ですし、よければ私のアトリエへどうですか?いつもはファレルと2人なので6人だと少々手狭に感じてしまうかもしれませんが…」

 

な………なんだその笑顔は。今さら取り繕ってもムダだぞ。ここで!!ついさっきまで!!後ろ向いて何を話してたお前らは!!

 

「アトリエ!?すごい!!見たい!!ご厄介になろうよ!!ね!?みんな!!」

 

「賛成~!私も見てみたいなぁ」

 

あっ…嬉しそうなリンリとモモ…。これは行く流れだな………うん。

 

「ふふ、トールバーナの外れなので少し歩きますがどうぞ、こちらです」

 

そう言うとエマさんとファレルは歩きだした。俺たちもその後に続く。

 

「アトリエって何作ってるんです?絵とか?」

 

正直、前を歩く2人にあまり良い印象を持ってはいないが、そこは大人の対応としてなんとか場をつなごうと試みる。

 

「絵!?いやいや何をおっしゃいますか~!彫刻ですよ!あんな虚像と一緒にされては困ります!」

 

さっきの笑顔のままサラッとハードな言葉を吐くんだな、この女。

 

「…虚像?」

 

「えぇ。実像としてあるもの、質量があるものをわざわざ平面に表現するなんて嘘も方便もいいとこですよ~」

 

…なるほど、ファレルと一緒に居られるだけあるな。これは。なんというか……一言で言うと、嫌いだ。

 

「なるほどー?でもあれっすよね、絵画も時代によって、元は現実をそのまま写すもの、写真の代用みたいな役割から現実ではあり得ないフィクションを描くように変化していった面もありますし、そこが良さでもありますよねー」

 

いつぞやの講義で聞きかじっただけだから深追いしないで貰いたい……が、だったら何故言った!?俺。

 

「あはー。……………。…………ハースさん…と言いました?お主、絵描きだな?」

 

うわーぉ………たまにいるよね、笑顔が怖い人。目が笑ってない人。つかそこまで絵を目の敵にします!?ホワイ!?

 

「フッ……そう言うお前は彫刻家だな?……さっき聞いたことだけど」

 

なんとなく嫌いな上に笑顔が怖い人はもっと苦手だ。頼むっ……この雰囲気を打破してくれ渾身のおふざけモード……!!

 

「あのー…いい加減にしてもらって良いですかー、年上2人。着きましたよ」

 

おまっ………まさかファレル(いもうと)にここまで感謝する日が来るとは…。

 

あとでレオに聞いたことだが、このときリンリとモモは後ろの方でアトリエへの夢の空想を繰り広げ、前の方では俺とエマさんが彫刻vs絵画でバチバチしていたので、それに挟まれたレオの心中は焦り以外の何物でもなかったらしい。

 

 

 

それから暫くアトリエ内で話をしたり、作りかけの彫刻を見せて貰ったりしながらお茶を飲んだりと比較的和やかな時間が流れた。

ちなみに2人はこのデスゲームがはじまった翌日にはじまりの街の路地裏で偶然出会い、ファレルが持っていた石ころをエマさんが欲しがったため一緒に狩りへ出かけることになり、なんとなくそのまま共同生活をするようになったらしい。

俺はどうにもエマさんのことが気に入らないが、妹の生活を助けてくれているということもあり一応お礼を伝え、頃合いを見てアトリエを出た。リンリたちはいつの間にか随分仲良くなっていたようだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファレルと会ってから1ヶ月半ほどが経った頃、俺は相変わらず早朝は一人で狩りをしていた。5層モンスターの攻撃を体当たりですり抜ける感覚ももう慣れてきた気がする。丁度10体目のゾンビを倒したときだった。

 

「ハース!?」

 

呼ばれた方を見ると、コハルが笑顔で走り寄って来た。

 

「久しぶりだね!どうしたの?一人?」

 

「久しぶり、元気そうで良かったよコハル」

 

……っ!?

 

「えっ?なにどうしたのハー…」

 

「シッ!」

 

俺たちがいる石畳のフィールドから川を挟んだ反対側の荒野のフィールドに2人、武器を構えて対峙しているのを視界の端に捉えた。そのため俺は思わずコハルを引っ張り物陰に隠れた。それに気付いたらしいコハルがこっそりと話す。

 

「何…あれ…ケンカ!?」

 

「いや、それにしては動きが無さすぎるよ…」

 

よく見ると、その二人はプレイヤーを示すグリーンカーソルで黒っぽい服と赤っぽい服を着ているようだった。それ以外は薄暗くてよく見えない。黒っぽい服の方は気を抜くと見失ってしまいそうなほどだ。

 

「でも…この世界でもしもHPが0になったら…何が何でも、止めなきゃ…!!」

 

今にも走り出しそうなコハルの腕をしっかりと掴み引き止める。

 

「待って」

 

すると赤っぽい服を着た人が武器を下ろしその場に座り込んだ。そっと黒っぽい服の人物がそれに近付く。暫くするとそのまま焚き火をはじめた。

 

「…何かの練習だったのかな?」

 

コハルが呟く。

 

「さぁ…にしても、何のだ?最前線まで上がって来られる実力者が今さら基本の構えを教わるなんてことはないだろうし…」

 

としたら、PvP(対人戦)……………いや、それこそコハルがさっき言っていたじゃないか。絶対に止めないと。この閉ざされた世界で暴力が全てを支配するようになってしまえば攻略どころではなくなってしまう。

 

その日は狩りを早めに切り上げ、コハルとも別れすぐにみんなの元へと帰った。いらぬ不安を与えてしまうのではと、5層で見かけた黒と赤の二人組のことはみんなには話していない。




プログレッシブ確認してから書いた方が良かったかなぁ…?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。