騎士をやめたオリ主くんがどこかのMさんに誘拐されて王様の試練を無理矢理やらされたら結果的に王様は誕生したけど大誤算が生じた話。

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 M「王の新しい誕生を祝福しよう!」






「やっぱ騎士って偉そうでムカつくわ。蛮族になっちゃろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱ騎士って偉そうでムカつくわ。蛮族になっちゃろ。

 

 そんな風に思った事も、昔にはありました。正直、その発言は取り消したいのですが。と何度も言っても過去は消えない。だから今を必死に生きるしかないわけで。

 

 ―― あれ? 円卓の騎士に関するストーリーってこんなに殺伐してたっけ?

 

 こう、アーサー王伝説に関われると思って舞い上がった結果がこれだよ。流行りのセイバー顔のアーサー王の親族に憑依したりとかして聖杯戦争に参加できるとかさ。現実はそんなに甘くなかった。

 円卓の騎士なんかランスロットしか知らんし、高名な騎士の一家というわけでもなかった。才能ある孤児として拾われただけのどこにでもいる騎士見習いだと思われる。

 元々の拾われた騎士一家の実子は才能がある俺に僻んで嫌がらせはする、大して実績もないのに威張るオヤジ殿。嫌にもなるわ。

 

 ユーサー王の前であの発言なわけだ(テヘペロ

 

 サクソン人だとかピクト人の仲間入りを恐れたらしいユーサー王に仕える騎士が襲いかかってきた。玉座で抜刀とか不敬もいいところだと思う。微妙な顔をしていたのを覚えている。

 主要人物に関わった事で生まれるよくわからない特典的なの。一を聞き、十を知る的な。最短で騎士に任命された実績を持つ天才(苦笑)で期待された俺はなんとか逃げ出した。僻む馬鹿息子は殴った。偉そうなオヤジ殿も殴った。馬鹿息子の金魚の糞も蹴り飛ばした。

 大暴れした後はユーサー王が統べる都から脱走した。ぶっちゃけ騎士として特訓してた頃と比べると景色が違って見えた。こっちの方が肌に合ってる気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・27回目

 

 「生きる事が、力となる」

 

 そう書かれた言葉。見慣れた言語ではなく、懐かしい言語で書かれていた。英語の筆記体ではない日本語のかな文字や漢字の組み合わせの文字列。最初に見た時はなんて読むのかわからなかった。

 増える数字。それは死の淵に引き摺られ、引き上げられた回数。死んで蘇った回数だ。もうこんなに死んだのかとちょっと欝になっちゃう。死にすぎて人生の価値観が一気に変わって麻痺してそう。

 最初こそ喚いたりしたのに今では嗚呼、死んだのか。とどこか他人事のように感じてる自分がいるんだが。

 

 死んだら必ずいる場所。所謂、リスポーン地点でターミネーターポーズしてるんじゃが。素っ裸じゃないのが唯一の救いだ。

 心臓が刻んだ日数だけ、生き返った際に自分の身が強化されているらしい。筋力だとかあらゆる身体に関する能力が軒並みアップするっぽい。実感したのは耐性面だ。環境に適応する能力が上がっている。

 地面から噴き出る毒ガスとか大気中に漂う人体に毒の性質が体を蝕んで死んだのが初期。ありえねぇだろ。アーサー王伝説ってこんなに殺伐した環境が背景だったっけ? ゲームの鬼畜ステージでもそんな死にまくるものでもないだろうに。

 ゆっくりと生き延びられる時間は伸び、今ではほぼ普通に生きられる。呼吸も苦しくない、肌はヒリヒリしない、目眩もしない、動けないなんて事はない。こんな普通の事が嬉しいとは思わなんだ。

 

 よっこらせとリスポーン地点にいつも刺さっている錆びた剣に手を添えて立ち上がる。動き出すと同時に、「生きる事が、力になる」の言葉は消える。

 言葉が消えれば、新たな言葉が浮かび上がる。言葉の羅列ではなく、時間を刻む数字が浮かび上がった。活動し始めた時間を意味するそれは、次の蘇りの際に強化される増え幅を叩き出すもの。

 

 今回はどれくらい生きられるかなぁ(白目)

 

 

 

 

 

 

 ・28回目

 

 待って。ねえ、ちょっと待って。何あれ。何であんなファンタジーなモンスターがいるの?

 目玉とか触手まみれの変な生き物とかスフィンクスみたいなのとか。あんなのアーサー王伝説にいなかっただろ絶対に。エジプト関連の神話の生物だって。

 どちらかと言うとドラゴンとかは出るけど基本的には人間が相手だったりするんじゃなかったっけ? スフィンクスはありえねぇって。

 武器もないし。剣もないし。防御力を上げる鎧もない。蛮族よりも蛮族らしいスタイルでどうやって幻獣と戦えってんだ。

 

 前世が闇に消えた殺しの流派の継承者(爆笑)だとか暗殺者の家系だとか。そんな意味深な経歴はない。喧嘩も得意じゃない、変な特技も変な力もないヲタクだ。

 知識だけは山程ある。イメージ通りに動かせる体があればあんな技やこんな技とかそんな技とか。ホニャララ流派とかも使えたりする――斬撃を飛ばすとか空間を斬るとかは無理だけど。あくまでも生身。生身でないと使えんのだ。

 いの一番に浮かんだのはバカボンドとか飛天御剣流とか。後者は流派だけど前者が作品なのは何でだ。

 今が素手だからフタエノキワミを使えってか。オイ貴様、錆びた剣。なんか言えバカヤロー。ウンともスンとも言わんし、文字を浮かばせるだけで抜けないし。切れ味はないけど鈍器としては使えるのに。

 

 ダークソウルの篝火でももう少しマシな活躍をs――

 

 

 

 

 

 

 ・31回目

 

 錆びてる剣は多分呪われてる。馬鹿にしたら報復される。乱暴にしたらしっぺ返しされるじゃが。ありえなくね?

 砥石で研いだら機嫌を直してくれるんじゃないかと考えたんだが、武器どころか砥石すらもない状況なんですがそれは。相も変わらず素手で相手をしろとかクソゲーか。また変な幻獣も出たし。

 あれ、絶対にキメラだろ。ライオンにヘビの尻尾とかまんまじゃねーか。そして素手が唯一の攻撃手段。泣きたい。

 

 そしてようやく自分以外の人間に会った。顔を合わせた瞬間にぶっ殺されたけど。多分、あれは粛清厨だ。粛清しか言わんかったし。

 何か妙に強かった。普通の騎士よりは元が強い俺に加え、この地獄の環境に適応を続ける肉体は強化されているはずなのに何もかもが負けていた。膂力も競り負けた。おかしくね?

 おかしくね? おかしくね? 人の皮を被った幻獣じゃないのあの騎士。シェイプシフターと言われても納得するぞ。

 

 ウロウロと錆びた剣の周りを回りながら考え事をしてるわけだが。やはり何度考えてもおかしい。この世界も、今自分の身に起きている事も。

 都の外を歩いて綺麗な湖で水浴びをしてたらここにいつの間にか立っていた。うん、この時点でもうおかしい。何か、と表現するよりは何もかもが、が正しい表現だ。誰がこんな事を引き起こしたのだろうか? 誰が、というよりは何が、とした方がいいかもしれん。

 アーサー王伝説でそんなたいそれた事ができるのなんていたっけ?

 ああ、そういえば魔術師がいたな。確か名前はマーr――

 

 

 

 

 

 

 ・32回目

 

 何で俺は死んだんだ。死んでないのに死んだんだが。

 

 ……あれ? 何を考えていたんだ? 死ぬ前に何かを考えていたはずなんだが。何を考えていたっけ?

 うーん。まあ、どうせどうやって生き延びる時間を伸ばそうとかそんなのだろ。ぶっ殺しやがった騎士をどう料理するか考えよう。一人でもぶっ殺せば甲冑とか盾とか剣は手に入るはずだ。粛清厨の騎士は剣やら槍に弓を持っていたはずだ。

 特に槍は欲しい。剣よりも槍が得意な俺には垂涎モノである。数本奪って槍投げすればキメラとか簡単にぶっ殺せるはずだ。

 幻獣に分類される生き物の肉を食べればパワーアップするはず。そしてキメラの毒に耐性を作って憂さを晴らすんだ。殺された分だけ殺す。毒で殺されれば蛇をちぎって食わせる。噛まれたら食いちぎる勢いで肉を削げ落としまくる。

 兎に角殺しまくる。殺して殺して幻獣キラーの称号を手に入れるんだ。対幻獣ダメージ+15%のボーナスが付加されるはずだ。

 いい加減に武器をはよ。騎士はよ。

 

 

 

 

 

 

 ・40回目

 

 騎士に殺されること、2。キメラとか幻獣に殺されること、6。現実はそんなに甘くない。数を揃えてボコるのは反則やろ。

 人間の騎士ならわかるんだけどさ。キメラが三体でジェットストリームアタックはアカンやろ。スターシップ・トゥルーパーズみたいに上半身と下半身が泣き別れしたよ。

 

 キメラならまだしも、騎士に殺されるのは流石に堪える。二回目に殺される時には槍とか剣は奪えたけど数で串刺しにするのはもっと駄目だろうが。愉快なオブジェになっちまったじゃねーか。

 そういえば、二回目の時に騎士が凄い慌てていたが何だったのだろうか。ニュアンス的に何で生きてるんだとか騒いでいた気がするけど。

 って事は何か? 生き返っても時間はリセットされないわけかい? 本当にまんまダークソウルじゃないか。裸素手プレイとかマゾプレイでもせんぞ。せめて武器と盾を寄越せ。

 

 さあ、三度目の正直だ。今度こそ武器を奪って生還するんだ。何人来ようが返り討ちにしてやらぁ!

 

 

 

 

 

 ・41回目

 

 三度目の正直という言葉があれば、二度ある事は三度あるということわざもある。

 

 そうだよ。笑えよ。またぶっ殺されたよ。おかしいだろ。段々と遭遇する度に数が増えてないかアイツ等。何時から騎士はあんなに数が増えてるんだ。

 19は殺した。それだけ槍と剣も取った。ジリ貧になったところで後ろからザックリ。騎士の誇りもクソもあったもんじゃねえ。後ろから突き刺した後に横からも前からもザクザク刺しやがる。俺は黒ひげ危機一発じゃねーんだぞアホったれめ。

 もう許さんぞ(激おこ この恨みは忘れんからな。殺された手段は忘れんぞ。

 串刺し串刺し串刺し――串刺しばっかじゃねーかクソッ! 俺は串刺し(される)公かよ!

 

 剣よ剣よ錆びた剣さん。今、何回死んだのかね? ……ふむ。40回くらい。死にすぎだと思うんだ。だが、これだけ死ねばパワーアップの上がり幅は結構なものだろう。

 その上がり幅に勝つあの騎士は何なのかと小一時間問いつめたいが。集団戦で負けてるだけだからノーカン。個人だけなら俺が勝つもんね、絶対(子供並の虚栄心

 どちらにしても集団で囲んで叩くのは卑怯だと思うんだ。それなら集団を相手にぶつからなければいいのか?

 

 ちょっと考えればわかる事じゃないか。

 

 俺は死体。決して動かない死んだ人間……からの騙し討ちィ! 騎士の矜持? んなもん蛮族にでも食わせちまえ! 生き残る為ならどんな汚い事もするのが人間なんだよォ!

 我がハイパー膂力により、兜に隠された首を簡単に捻じ曲げられるのだ。後ろからこっそりと忍び寄ってコキャリ、だとか首を捻じ曲げた騎士から武器を奪って心臓を一刺しだとか。やってる事が騎士じゃなくて暗殺者じゃないか。

 そんなこんなで武器をある程度奪え、まだ生きている状態で生還できたのは初である。前のように凄まじい数の騎士の集団ではなかったのが不幸中の幸いだったか。もうちょっと多かったら死んでた。

 それにしても……なんというか……。

 

 騎士の中身、妙に大きくないか? 明らかに二メートルは優に超えているぞ。騎士連中にそんなに背が高いの、いたっけか?

 

 サクサクサク。一定のリズムで奏でられるのは戦利品の突き刺さる音。剣に槍に弓。偶にゴトゴトと甲冑や兜が地面と衝突する音も混ざっていたりするが。多すぎて煩い気もする。

 泥とか埃、血で汚れている。まだまだ殺しの手際が荒いという事か……。ちょっと水でも飲んで落ち着きたいな。ちょっと遠くに見えるスフィンクスが闊歩する砂漠のどこかにオアシスくらいはあるはずだから探してみるか。武器のある今の俺ならそれは容易いはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ・42回目

 

 安易にフラグは建てるものじゃない(戒め)

 

 スフィンクスって数体じゃなかったのね。数百体はいそうな絶望は心が折れそうであった。その後ろに変なのもいたし。人間っぽかった。

 三体が限界だって。自爆覚悟の特攻でようやくそれなんだよ。どんだけスフィンクス強いのさ。やはりエジプトは真の地獄であったか。砂漠は禁じられた土地だな。

 

 毎度の事のように死んだわけだが。普段と少しだけ様子が違っていた。

 いつもなら見渡す限りの枯れた大地、荒れ果てた荒野のど真ん中でポツンと突き刺さっている錆びた剣。その前にターミネーターポーズでリスポーンするわけなんだが。

 これって前に略奪した武器とか防具じゃね? 汚れ具合もそんな感じだし。

 ま、まさか。ここに置いてあったから誰にも取られずに放置されたまま? これは良い事を知ったぞ。生存時間も伸びるし、活動範囲も拡大できるというもの。まだ行っていない場所や、脱出した都を本格的に調べられる。ここがどんな場所なのかも。

 動きやすいように最低限の防具を装着して、武器も対応できるように一式揃えて。さあ、冒険の旅に出よう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・61回目

 

 ありえねえ。なんだよこの世紀末。ごちゃまぜってレベルじゃないくらいカオスすぎるぞこの世界。

 パッと見、エジプトのスフィンクスがいる砂漠。今まで殺されてきた騎士。騎士には少なくとも、二種類の騎士がいるようだ。どちらも十字の旗っぽいが。

 後はなんか暗殺者が暗躍してるらしい。アサシンでもいるのか? 伝説のアサシンとか。アルタ……やめておこう。気付いたら死んでるなんて事になりかねん。

 世界観おかしくね?

 

 目立つ事が何も、活動する事じゃない。最近はこっそりと活動する事を覚えました。こっそり殺すのと順番が間違っている気がするがまあ、いいや。

 きっかけは騎士の集団を返り討ちにしたら一人の騎士が命乞いしたこと。情報を教えるから殺さないでくれ、と言われた。その時から情報が大事な事を()()気付いた。

 戦争をしているらしく、それによって生まれる難民に紛れながら旅をした。情報をくれる代わりに護衛したりどこかの村に送り届けたり。有意義な情報を集められた事は今後の活動に大いに役に立つ。どこかの陣営に付く、潜り込んで生きる時間を伸ばす。そして強くなる。

 そんな計画を立てて実行はしてみたんだが。

 

 ふっざけんな! ありえねえだろ! 剣がビームを出してたまるか! 空から光の柱が降ってくるもんか! いつから剣と魔法のファンタジーはハイファンタジーになったんだ!

 

 獅子王が二人いるのはどういう事なんだ!? リチャード一世は知ってるけどもう一人は誰なんだよ! リチャード一世もだけどあの白い鎧、気配がヤバ過ぎる!

 

 おかしいだろ。絶対におかしいって。円卓の騎士、アーサー王物語はこんな混沌としたものじゃなかったはずなのに。スフィンクスとか。キメラとか。スフィンクスとかスフィンクスとかスフィンクスとか。

 どうすんのよ。気が遠くなるくらい死んだんだけど。それに伴ってパワーアップしているはずなのに獅子王には絶対に勝てないんだけど。単騎で戦うよりもスフィンクス集団と戦う方がマシなんだけど。

 頭痛が痛い(誤用

 

 後は。錆びた剣の周りに所狭しと置かれた武器防具の山か。

 使えば消える、摩耗する。錆びた剣の周りに置いた物を持ち出して死ねばそれはもう使えなくなる。普通の事だわな。セーブされてずっと使えると期待した俺が馬鹿だったよ。

 無くなって数が少なくなっている事に気付いた時から情報と一緒に武器を集めた。なんかこう……改めて見ると無限の剣製の心象世界みたいだな。宝剣類はないけど。全部量産の剣だけど。

 死んだ時に持ち込めるのは記憶だけ、なのだろうか? 結構な回数死んだけど経験だとか記憶はリスポーンした肉体に宿るのだけはわかってるんだが。他にも何か持ち込めるようにしろよ。便利のようで不便じゃないか馬鹿野郎。

 そんな感じで近くにある物に八つ当たりした――錆びた剣に。あっ。

 

 

 

 

 

 

 

 ・62回目

 

 どっちにしても、何にしても最強はこの錆びた剣だろう。運命をねじ曲げて“死ぬ”事象を呼び寄せているらしい。

 八つ当たりするように錆びた剣に害を及ぼすと必ずそれが起きる。今回は刺さった剣が()()()風に煽られて、()()飛んだ先にいた俺に向かって周り、()()()()心臓に突き刺さって絶命。ワロエナイ。

 捩じ切られたり刺されたりは経験した。だけどピンポイントに心臓に突き刺さるのは初めての経験だ。心臓に激痛が走り、悶えた。まさか死ぬまで時間が必要で激痛に苦しむとは思わなかった。普通は即死するんじゃないかと思うんだが、運が悪かったのか。

 ……ああ、運が悪かった、ね。錆びた剣の呪いが苦しむように事象が操作されたのか。ありえるな。

 

 む。何だ? なんか変な感じがする? 胸の辺りにいつもとは違う感覚があるような……。

 具体的には心臓の上の辺り。心臓の鼓動を確かめるように手を置いてみる。特に変わらない一定のリズムで刻まれる心音が掌から感じるだけだ。

 うっわ。血が飛び散ってるじゃないか。心臓に刺さった時に飛び出た血痕か? 綺麗に錆びた剣を避けて地面が赤い色で彩られてる。目を凝らして見れば小さな肉片みたいなのもあるじゃん。怖ッ。

 ――? あれ。なんか違和感が――。

 そうだ。心臓を突き抜けた剣がないんだ。俺が死ぬ時は粒子のように空気に溶けて消えるはず。なら、消えた俺に刺さった剣は一回宙に浮いてから地面に落ちるはずなんだが……?

 

 ま。考えても俺の頭じゃ答えは導き出せんか。考えるよりも動け、だ。 ヒャッハー! 騎士狩りじゃー! 剣とか槍を山程寄越せー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・71回目

 

 凄い事実に気付いた。死にまくってようやく気付けた的な。

 

 こう、胸に手を押し当てて念じると心臓の辺りからにゅっと生えるんだよ。にゅっと。剣とか槍とかが。

 

 ビックリしたね。それ以上にそれを見ていた奴等も更にビックリしていたね。また死ぬんだなって思いながら心臓の鼓動を感じる位置に手を乗せたらにゅって出てきたんだよ。

 ザシュ、って音よりもありえないガキン、なんて音が響くもんだから。唖然とするのもしょうがない。隙だらけだったから刃を返すように胸から生えた剣で反撃した。初の騎士の集団の数を更新できた。まさか生還できるとは思いもしなかったぞ。

 その後に更に大きな規模の騎士にぶっ殺されたがな!

 

 まさかと思って心当たりのある事を考察してみた。心臓から生えるってところでピンと来たね。何回か自殺をするハメになったが、実りのある結果となった。同時に何かを失った気もする。

 ゲームのアイテムショートカットの登録みたいに心臓に害を及ぼした原因を心臓に鞘として取り込むらしい。仕組みがよくわからんが、イメージ的にどこからか武器を取り出す不死人みたいな感じか。

 ちょっとわかりやすいように地面に剣先で絵を書いてみた。

 

 死 → リスポーン

 

 死 → 魂? → リスポーン

 

 死 → 肉体の消失 → 魂化 → リスポーン

 

 死 → 肉体の消失 → 魂化 → 肉体の再生 → 魂憑依 → リスポーン

 

 となるのであれば。

 

     肉体の消失 → 魂化 → 心臓を刺した原因も魂に? → 魂の融合

 

 とも考えられるのではなかろうか。推測の域は出ないけど限りなく正解に近い答えだろう。俺の体は摩訶不思議奇想天外じゃねーか。内臓のいくつかも消えてそうで怖くなってきたんだが。

 まあ、難しい事は置いておこう。これがあると、手段も大幅に増えるってわけだ。まず第一にスフィンクスのクソ野郎を三体同時に難なくぶっ殺す事ができたぜベイベー。気分も上々だぜベイベー。スフィンクスの親玉みたいな痴女まで出てきたぜベイベー……ベイベッ!

 

 やせいの かっしょく ちじょが あらわれた!

 

 何か痴女が出たー!? 褐色肌の見える範囲が広いこと広いことの健康的なエロさがあるー!

 ……え? ここはファラオの領域? 領域侵犯的な? これ以上入れば命はない? いや、でもちょっとだけええやろ? ほ、ほら! 先っちょ! 先っちょだけだから!

 

 _:(´ཀ`」∠):_

 

 

 

 

 

 

 

 ・76回目

 

 新しい殺され方が増えました。生きたまま幽霊に喰われる新しい死に方です。

 正直、発狂するレベルです。足を齧られ、手を齧られ、頭を齧られ、体の中に入られて齧られる。この世にそこまで悍ましい拷問があってたまるかァ!

 よりにもよって、心臓を食べた幽霊はお陀仏。俺の糧になってくれたよ。お陰で霊感みたいなのが備わる事になりました、と。

 

 見えなければ良かった。割とマジで。幽霊とか見えるんですけど!? 怖すぎィ!

 無念を抱えた幽霊さん達は俺が見える事に気付くと途端に体を乗っ取ろうと憑依してくるんですけどォ!? だけど憑依してきた幽霊さんモグモグすると美味しいんですけどォ!? 

 

 幽霊……魂……ソウル……あっ(察し)

 

 かぼたん! かぼたんは何処だ! 蓄積したソウルで能力を強化させてくれー! かぼt

 

 

 

 

 

 

 ・77回目

 

 何が起きた。気付いたら死んでたぞ。というか死んだ事にも気付けなかったくらい突然の死だったぞ。

 た、多分、首を撥ね飛ばされたんだと思う。意識が消える一瞬前に首なし死体が見えたもの。あれは俺の泣き別れした胴体だと思う――多分。

 

 “死に呪われた者”。はて、なんの事やら。妙に頭にこびり付いて離れないのだが。

 

 ま。いっか。それよりも騎士狩りじゃ! 蛮族たる者、偉そうな騎士をボコボコにしなきゃ気が済まん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・91回目

 

 ――俺、どうやら恋をしたようである。

 

 まさに彼女は女神だ。地上に舞い降りた救世の女神。純白の鎧を纏い、獅子を模した兜で顔を隠していてもわかる。それは女神である、と。

 騎士狩りにド嵌まりしてついに幹部やら親玉の膝下にまで迫った時にあれは不意打ちである。威厳溢れる登場の仕方に騎士達が首を垂れるその光景も相まって見惚れてしまった。隙を突かれてぶっ殺されたが悔いはない。あんな神聖なものを間近で見れたのだ。それだけで満足である。

 

 ――あ、はい。すいません。真面目にやります。

 

 惚気ていたら錆びた剣から非難されるような波動を感じた。ずっと活動しないで耐性のできた環境の中、ボケッとしていたもんな。生存時間も何気に大幅に更新である。

 騎士じゃない人間が何度かここに来たような気がする。集めていた騎士の武器やら甲冑とか消えてるし。干乾びた死体がある事からも何かがあったのだろう。何もなかった、と答えるようならそいつはただのアホだ。

 

 ああ、いかん。また心臓がバクバクしてきた。この感情はまさに恋。俺は、あの女神に惚れてしまったようだ。

 ……うん。情報を集める為だ。決して、疚しいことはないのだ。もう一度、女神を見たいなどと思ってはいない。決して。

 

 喋らないはずの錆びた剣が溜め息を吐いたような気がした。

 

 女神様! 一目見た時から好きでした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・92回目

 

 女神様! まずはお友達から!

 

 

 

 

 

 

 

 ・93回目

 

 俺とトゥギャザーしませんか!

 

 

 

 

 

 

 

 ・94回目

 

 何回殺されても愛してます!

 

 

 

 

 

 

 ・95回目

 

 綺麗ですね!

 

 

 

 

 

 ・96回目

 

 鎧で隠れていてもおっぱいが大きいのがわかります!

 

 

 

 

 

 ・97回目

 

 太ももprpr!

 

 

 

 

 

 

 ・98回目

 

 チラリと見えるお臍が堪りません!

 

 

 

 

 

 

 ・99回目

 

 セッ〇スさせてください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――100回目

 

 円卓許すまじ。アイツ等全員殺しちゃる。

 騎士が何だ。円卓が何だ。円卓の騎士なんざ犬のエサも同然のクソどもなんだよ!

 

 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――その日、キャメロットは業火に焼かれる。

 

 巷に噂されていた不死の怪物が本格的に攻めてきた事が事の発端である。これまでと様子が違うのは、明らかに強くなり過ぎている怪物が本腰を入れて侵略しているのがキャメロットが燃える要因となっていた。

 一撃が凄まじい。一振りすれば、大地が抉れる。その表現がピッタリであった。

 

 無論、キャメロットも黙ってやられているわけではない。最大戦力である円卓の騎士も出張り、食い止めようとはしている。

 だが、円卓の騎士ですら圧倒する怪物。その辺にいる粛清騎士の武器を奪っては使い潰すように振るうため、動きが読めない。剣を使ったかと思えば、槍を扱う。斧を扱う。変幻自在だ。

 太陽の騎士、ガウェインが最も力を発揮できる時間帯である太陽が昇る時であっても、ガウェインは圧されている。遠距離で仕掛けているトリスタンの攻撃も意に介さず。

 

 

「コハァァァァァァ」

 

 

 見た目は薄汚い浮浪者らしく、布切れだけを纏う怪物。黒髪の怪物は黒い煙を口から吐きながら先駆けをした動かないモードレッドの首を掴みながら彼女の得物をもう片手に構えている。

 王位継承を意味するその剣、クラレントはモードレッドが握っていた時よりも輝きを放っている。それが意味するのは――。

 

 

「オッパイィィィィィィィ!!」

 

 

 が、握っている奴はクソであった。

 

 

 

 

 

 

 

 神聖円卓領域 キャメロット

      覚醒(めざ)める次代の王

 

 

 

 

 

 

 

 

 『報告。候補は王に覚醒した模様。クラレントは輝きを示した』

 

 『尚、生前にて女性経験皆無の影響により欲望が顕著に出てる模様』

 

 『「これは合意の上だから!」と襲う姿は紛れもなく外道である』

 

 『報告を終える。経過は逐次、報告をする』

 

 

 

 

 『というか襲われた側もノリノリなのはマスター的に如何だろうか』

 

 

 

 

 

 






 M「あ、新しい王の話をしよう(震え声)」


 花の魔術師さん大誤算!

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