ビリビリ少女の冒険記   作:とある海賊の超電磁砲

2 / 27
2話 麦わらの一味

 海に浮かぶ船……そこに乗っているのは、1人の少女だった。

 

「………随分、流されちゃったなぁ」

 

 少女、ミサカはシャボンディ諸島から逃げた。

海軍相手に戦った後に、赤犬とか言われていた人に襲われたのだ。

うまいこと逃げられたものの、この船は1人で動かせるものではなかった。

途中で魚と船に残っていた野菜を食べながら、嵐にもあいつつ流されてきた。

 夜も更けてきたころ、ようやく島が見えてきたので、空を駆けて(・・・・・)上陸したのだが……見当たる場所に人が居ない。

 

「……」

 

 トボトボと無人の海岸を沿って歩いていくと、戦闘音が聞こえた。

正確には3人を複数人で囲い、リンチしている状況の様だ。

1人は病気だろうか、少し覇気が弱っている気がした。思わず駆け足で急ぐと、大きなサルの様な、しかし人だとわかる2人が、栗を頭に乗っけた男の人を守っていた。

 1人が刃で斬られると、栗のおじさんが名前を叫んだ。

どうやら、3人の持つ宝を狙ってやってきた海賊らしい。

 

「スプリング……」

「!」

 

 1人の男の足がバネの様に、否、バネになった。

バネになった脚の筋力で弾き跳び、攻撃しようとしているらしい。

狙われているおサルさんは声を攻撃に使っているが、生身でも耐えられる威力にバネ人間が耐えられないわけは無いだろう。

傷の具合から考えて、あれは喰らうのはマズイ。

 

「〝(スナ)――!?」

「……」

 

 だが、バネ人間ということならやりやすい(・・・・・)

此方に引き寄せ(・・・・)、その肌に触れる。

 

「バチッと」

「ウギャァ!?」

「「「「「「ベ、ベラミー!?」」」」」」

 

 電撃を流すと、男は痺れてその場に倒れた。気絶はしていないようだ、意外と頑丈らしい。

傍から見ると触られただけで倒したように見えたのだろう、ミサカ以外、全員が驚いていた。

取り合えず放っておいて、おサルさんの下へ向かう。

 

「大丈夫ですか?」

「ウ、ウォッホッホ、ありがとうよ嬢ちゃん―ガフッ」

 

 血を吐き出したが、驚かない。限界が近いのに声を上げていたからだろう。

一番軽傷の栗のおじさんを見ると、驚いた表情でこちらを見ている。

 

「お前さん、いったい……」

「私は諸事情あって、今困ってます。助けていただけるなら、この賊を蹴散らしますよ?」

「――ア"ァ!?誰が、誰を蹴散らすって!?」

 

 声を張り上げ威圧をしていくるのは、反り上がった変わった刃物を持った男。

 

「不意打ちでベラミーをやったからって調子に乗ってんじゃないか?」

「……あなた達は、海賊ですよね?」

「あぁそうさ。ベラミー海賊団っていやぁここらじゃ名の知れたもんだぜ?」

「私の聴いた海賊は、もっと楽しそうだったんですが……こんなことをして、楽しいんですか?」

「楽しいかって?あぁ楽しいね!こんな現実を見れない夢見がちなバカを甚振って、金塊まで奪えるんだ!こんな愉快なことはねぇよ!!」

「そう、ですか」

 

 レイから聞いた海賊は凄い人たちだと思った。

大冒険を楽しみながら進んできた彼らを、心底尊敬したのに……〝賊〟と付くだけあって、やっぱり基本はみんなこんなものなのだろう。

 

「取り合えず、去るなら何もしません。私は弱い者虐めは趣味じゃないですから」

「っ舐めやがって!ベラミー!何時まで寝てんだ!!不意打ち喰らったからって、お前らしくもねぇ!!」

「ぐ、わかってらぁッ」

「……」

 

 起き上がったベラミーとかいうバネ人間を見て、少し感心する。

根っからの小悪党らしいが、身体はそれなりに丈夫なようだ。

バネ……鉄には電撃がよく通っただろうに。

 

「分かりました……栗のおじさん、後でご飯下さいね?」

「あ、あぁ…――って嬢ちゃんまさか1人でやる気か?!」

「大丈夫です」

 

 こんな時、笑顔が作れない自分が少し憎らしい。

もし余裕の笑みをかけられたなら、少しはこの人を安心させられるのに。

 

「1人で十分なので」

 

 出来ないのは仕方がない。

だからミサカは、瞬時にケリをつけることにした。

難しいことではない。見聞色で何となく敵の強さは察せられる。

レイやあそこの猛獣たちに比べれば、容易い。

 

「……じゃぁ、おやすみなさい」

 

 特に技名なんてない。ただ、背後の栗のおじさんたちに当たらないように、前方に雷撃を放つだけ。

たったそれだけで……ベラミー海賊団は半壊した。

残ったのは手下と思われる者たちのみ。

 

「船は残しました(・・・・・)。まだやるなら、船ごと落としますが」

「じょ、冗談じゃねぇ!?」

 

 1人が逃げ出すと、他の連中も船へと逃げ込む。

ベラミー達を引きずっていく辺り、意外と仲間想いな部分があるらしい。

いや、後でベラミー達にボコられるのが嫌なだけかもしれないが。

 

「怪我は大丈夫ですか?」

「は、ははは……嬢ちゃん強ぇなぁ」

「まぁ鍛えてますから」

 

 座り込んだおじさんは笑う。

 

「助かったよありがとう。ちょうど宴をしてたんだ。食べ残しだが、まだある」

「ありがとうございます……それより、治療が先ですね。包帯はどこですか?」

「ありがたい。あの家の中だ。ちいせぇが、確か机のどっかにあったと思う」

 

 半分の家にハリボテが張ってある家を指さした。

家に上がり込み、包帯を探していると外から声が聞こえた。

 

「ひし形のおっさん!!マシラ、ショウジョウ!!」

「? 知り合いかな?」

 

 包帯を持って外に出ると、7人の人が傷ついた彼らを見て驚いていた。

おじさんやおサルさんはは落ち着け、と彼らを宥めている。

取り合えず救急箱を見つけたので持っていく。

 

「船、わりぃな。まだ時間はある、修理してちゃんと強化してやるよ」

「おっさん、それより何があったか話せよ!」

「あぁちょっとな……そこの嬢ちゃんが助けてくれたんだ」

 

 丁度よく出てきた、とこちらを指さしたおじさんをみて、驚く彼ら。

はて、一体何なんだろうか?

 

「あの子が……?」

「あぁ。ベラミーの奴らを、瞬殺しやがった」

「殺してませんよ……それより、傷の手当てが先です」

「あ、それならオレに任せてくれ!」

「は……たぬきさんが喋った?」

「ト・ナ・カ・イだ!」

 

 小さな小動物が喋ったことには驚いた。

海には不思議なことがあるとレイは言っていたが、なるほどこれは不可思議だ。

ともかく彼は医者らしい。自分の手当てしかしたことが無いため、素直に救急箱を渡した。

 

「ベラミーって、あのハイエナのベラミーよね?賞金5千5百万の」

「賞金は知りませんけど、確かにベラミーと呼ばれていました」

「おやっさんの金塊を狙ってきたんだ。多勢に無勢で、いてて」

「おサルさん、怪我してるのに無理しちゃダメですよ」

 

 とりあえず、ミサカは知っていることを話す。

当てもなく彷徨っていたところ、彼らを見つけたことと、相手が胸糞悪かったので蹴散らしたことくらいしか話すことが無いが。

 

「そっかぁ。お前強いんだなぁ」

「まぁ鍛えているので……そういえば、自己紹介が遅れました。私、エレクトロ・D・ミサカと言います」

「おう!俺モンキー・D・ルフィ!海賊だ!」

「助けられたのに自己紹介してなかったな。モンブラン・クリケットだ。今治療されてんのはショウジョウと、気絶してる方がマシラ」

「私はナミ。航海士よ。あっちで治療してるのはチョッパー、ヒトヒトの実を食べたトナカイなの」

「あぁそれで」

 

 不思議動物に理解を深めたことを頷いていると、クルクルと回りながらポーズを決めた黒服の人が出てきた。

 

「――私、コックのサンジと申します。お嬢さんとの出会いを祝して、出来合いのモノではありますが」

「あ、ありがとうございます。……美味しいです」

「――天使だ」

 

 美味しそうな匂いのお肉を受け取り、感想を述べると感動した様子で傅いた。

この人、変わっているけど面白い。

次に前に出てきた人は、何やら鼻の長い人。

 

「俺はウソップ!勇敢なる海の戦士だ!」

「戦士って、海賊じゃないんですか?」

「いや、海賊であってるぞ……俺はロロノア・ゾロ、見ての通り剣士だ」

 

 三本の刀を持った緑の髪の人は、ツッコミを入れつつ自己紹介をしてくれた。

最後の黒髪の女性は……何やら手に紙の束を持っている。

 

「ロビン、それは?」

「手配書の更新よ……剣士さんは初めてね。船長さんは額が上がってたわ」

「本当か!おぉ!1億ベリー!」

「6千万か………ん?」

 

 ゾロが一枚の手配書を見つけると、驚いたようにミサカを見つめた後、また紙を見つめる。

それを数度繰り返した。

 

「お前……」

「はい?」

「フフッ凄いわよね。私はニコ・ロビン。ねぇこれ、貴女でしょう?」

 

 見せてくれたのは、あの時暴れていたミサカの写真だ。

撮られているのには気づいていたが、あの時は逃がしたり逃げたりで構う暇がなかったが、こんなキレイに撮られているとは。プロ意識だろうか、素晴らしい。

 

「「い、1億5千万~~!!??」」

「しかも初頭金額でこれね」

 

 ナミとウソップが揃って驚き、ロビンが微笑む。

驚きのままウソップが穴が開く様に写真を見つめていた。……恥ずかしいからやめて欲しい。

 

「何したらこんな金額になるの!?」

「気に入らない人をボコボコにして、そのあと海軍の人に襲われたので、自衛の為に暴れました……あ、でもちゃんと手加減して殺したりはしてないんですよ?」

「そういう問題じゃないわよ」

「お前強いし面白い奴だなぁ……なぁ、ミサカ」

「はい?」

「お前、仲間になれよ!」

 

 パチクリと、瞬きをした。

仲間ということは、この人たちと一緒に海賊をする、ということだろうか。

 

「……えっと、でも、私レイの所に帰らないと」

「レイ?もう仲間が居んのか?」

「いえ、私を拾ってくれた人で……暴れちゃいけないって約束破っちゃったし、謝らなきゃ」

「そいつどこにいるんだ?」

「シャボンディ諸島」

「シャボンディってあの?」

 

 ロビンという人は色々知っているようで、驚いている。

確かにあそこは少し特殊な場所だと、レイが言っていたからだろうか。ミサカにはその特殊が分からないが。

 

「ロビン、知ってんのか?」

「えぇ、偉大なる航路(グランドライン)をこのまま進んだ先……丁度半周した場所に位置しているところなんだけれど……そこから流れてきたというのは、驚きだわ」

「途中で嵐にあって、ルートぐちゃぐちゃだったから」

「まぁなんでもいいや。それより、つまり目的地は一緒なんだな?だったら一緒に行こうぜ!な!」

 

 ミサカは思い出していた……レイも似たような誘われ方をしたのを、楽しそうに話していたな、と。

 

「俺と一緒に冒険しよう!」

「……はい。いいですよ、貴方たちは楽しそうですから」

「シシシ!じゃぁ決まりだな!おっしゃー、宴だー!」

 

 治療しながら、船を直して修理しながらではあるが、彼らは飲んで食べて騒いだ。

 

「ミサカも呑めよ!」

「えっと、あまり得意ではないので」

「そっか?あ、それよりその言葉遣い、なんとかならねぇか?」

「なんとか、ですか?」

「そうね、私も丁寧過ぎて少し寂しいと思ってたわ。崩していいのよ?もう仲間なんだから」

「……うん、ありがと」

 

 夜はそうして打ち解けていく……。

 

「そういえば、次はどこの島に行くの?」

「ん?あぁ聞いて驚け!空島に行くんだ!」

「空……?」

「あぁ、えっとね信じがたいとは思うんだけど、この通りログポースが空を指してるでしょ?」

 

 ナミが見せてくれた指針は、確かに空を向いている。

 そういえば、レイが深海には魚人島が、高い場所には空島があるっていう話をしていたのを思い出した。

そういう場所があって大冒険をしたというのを少しだけ話してくれたのを覚えている。

 

「おいおいナミ、そんな説明じゃ」

「ん、わかった」

「って速攻信じてくれた!?」

 

 驚くウソップやほかの人に、レイから空島があるっていう話は聞いたことがあると説明する。

 

「どんな場所かは知らないんだけど、レイは楽しそうに話してたよ」

「そっかぁ。そりゃ楽しみだな!」

 

 シシシ、と笑うルフィは本当に楽しそうだった。

うん、さっきの海賊と違って、この人たちは冒険を楽しんでいる。

この人たちとなら、きっと楽しい旅になる。そう、ミサカは確信した。

 

「改めて、よろしくね船長」

「おう!よろしく!」

 

 乾杯し、飲み干す。

こうしてミサカは麦わらの一味として、正式に海賊になった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。