ビリビリ少女の冒険記   作:とある海賊の超電磁砲

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空島編
3話 空島!


 宴会の最中、ミサカは空島へ行く方法を主にナミとロビンから聞いた。

難しい話は省略すると、上空へ吹き上がる巨大な海の間欠泉のようなものを使って、空へぶっ飛ぶらしい。

予定では翌日、朝には出向するとのことだった。

 だが、ミサカはその方法云々よりも気になることがあった。

 

(嘘つきノーランド、か)

 

 残念ながらミサカはその童話を聞いたことが無かった。

元々は東の海(イースト・ブルー)出身ということもあり、他の海の童話なんて知るはずもない。

ただ、最後まで嘘つきだと言われ続けて、結果死刑にされてもノーランドは「黄金郷はある」と断言した。

 幾らでも弁明の機会はあったのにもかかわらず、文字通り彼は死んでも言葉を変えなかった。

 

(黄金郷はある、そう仮定したとして海に沈んだとする……)

 

 ノーランドの祖先だというクリケットは、確かに海の底から黄金をいくつか見つけたらしい。

だが、数からして黄金郷から零れたにしては少なすぎる。

 

(情報が少ない……そもそも島が唐突に消えるなんて、どうやったら?)

 

 黄金郷に何かがあった。しかし、詳細不明すぎてどうしようもない。

理由は単純、黄金郷があったという証拠が何一つないことと、嘘つきノーランドの話を、結局彼の仲間以外だれも信じず、追及しなかったからだ。

400年前の当時にもっと詳しく調べていれば、何か残っていたかもしれないのに……。

 

(……考えても仕方ない)

 

 日が昇れば空島へ向けて出港となる。

早く寝よう、そう切り替えミサカは眠りについた。

 

 

――

 

 

 朝になるとルフィたちが乗ってきたという、羊の船首の船GM(ゴーイングメリー)号が改造されていた。

これで水柱に乗って飛べるらしい……外見のモチーフが鶏なところに、そこはかとない不安感を漂わせるが、本当に大丈夫だろうか。

 

「よし!行こう!!」

 

 改造してくれた猿山連合軍に見送られながら、ルフィは堂々と船へ乗り込んだ。

全員乗り込むと、クリケットがルフィに別れの言葉を告げる。彼は船に乗らず、島に残るらしい。傷も深いし、元々病気だったらしいから少しは体を休めて欲しい。

 

「――黄金郷も空島も、過去誰一人〝無い〟と証明できた奴ぁいねぇ!!ばかげた理屈だろうと人は笑うだろうが、結構じゃねェか!!」

 

 夢のような何かが、現実にあるかもしれない(・・・・・・)

追い求めることを他人は愚かだと嗤うだろう、しかし、その誰もが無いと証明できたわけではない。

あるかもしれない夢を追い求める。そう――。

 

 

「それでこそ!!〝ロマン〟だ!!!」

 

 

 ロマンを追い求め、船は出港した。

船は大海原へと進む。目標の場所は島も何もない、これから水柱が起こるであろう場所。

そこに辿り着くためにルフィたちは昨日一羽の鳥を捕まえてきたのだという。

この鳥は南しか向かず、この島から真っ直ぐ南に向かった場所に向かうのに、指針にする(・・・・・)のに丁度いいのだ。

 

 

 そのまま……数時間が経過した。何も起こらなかったが、午前10時になり動き始める。

『積帝雲』と呼ばれる雲が出現するのに暫くかかったが、ようやく現れたその雲。

実態があり、触れるはず(・・・・・)の雲が積み重なり出来る雲で、その分厚さは太陽光を隠し周辺を真っ暗にしてしまう。

 

「っ!?」

 

 GM号が大きく揺れた。波が急に高くなったことで、船が大きく傾いているのだ。

しかし、この先に大渦があり、しかもその大渦は『積帝雲』の真下に位置する。

しかも、ナミの持っている記録指針(ログポース)はその積帝雲を指しているという。

 

「行くぞ~~!!空島ぁ~~!!」

 

 大渦の流れに逆らわず、中心へと向かう。

気の弱いウソップやナミが少し……少し?慌てるが、ルフィは楽しそうだ。

この渦は生半可なモノではなく、ナミという優秀な航海士が居なかったらとっくに飲み込まれて沈んでいただろう。

 

「……ナミ、凄い」

「え?急に何よ?え?え??」

 

 よしよしと撫でると、ナミが困惑した様子で狼狽える。

しかし過去両親に褒めるにはこれがいいと教わっているミサカは、気にせず撫で褒めた。

暫くすると、大渦が消えた(・・・)

 

「……消えた?」

「違う、始まってるのよ!渦は海底から掻き消えただけ……つまり」

 

 ナミが起こった現象を解明していると、遠くから男の声が聞こえた。

見送ってくれた猿山連合ではない、まっすぐ髑髏を掲げた巨大な丸太船がやってきた。

 

「ゼハハハハハハ!!追いついたぞ麦わらぁ!てめぇの一億の首を貰いに来た!!観念しろやぁ!!」

 

 威勢がいいが、所で彼は今からこの船がどこにどんな風に向かうのかわかっているのだろうか?

よりによって丸太船って……。

 

「……―来る!皆、船体にしがみつくか、船室へ!!吹っ飛ぶわよ!!!」

 

 ゴゴゴと大きな音を上げながら、渦があった場所が丸々盛り上がる。

中心にいたGM号は傾くことはなかったが、近寄ってきていた海賊たちは――次の瞬間に勢いよく吹き上がった水柱によって、船がバラバラになって吹き飛んだ。

 

「凄い、水柱の上を船が垂直に走ってる……!」

「面白ぇ~~!!」

 

 今のところは勢いに乗って水柱の上を走ってるが、それも時間の問題。

いずれは重力によって地面へと落ちていく……しかし、この船には優秀な航海士がいた。

 

「帆を張って!!今すぐ!これは海、立ち昇る〝海流〟なの!下から吹く風は、地熱と蒸気の爆発によって生まれた上昇気流!!」

 

 そう、ナミはこの化け物水柱を冷静に分析しきっていた。

周りが驚き、困惑している間に何という航海力。

 

「相手が風と海なら航海してみせる!!この船の航海士は誰!?」

 

 最高にカッコいいナミに従い、全員が動き出す。

帆を張り、翼を着けられ改造されたGM号は――浮いた。

 

「「「「「「と、飛んだァ~~~~!!!」」」」」

「ナミ、凄い」

「ありがと……」

 

 もう撫でられることは諦めたのか、大人しく撫でられるナミ。

船はそのまま空島があるという、積帝雲へと真っ直ぐに突っ込んでいった。

 

 

 そして、分厚い雲を抜けた先――そこ(・・)に船は着水した。

いや、正確には着()だろう。

 

「奇麗……」

 

 真っ白な、ふわふわとした雲の上にGM号は乗っていた。

 

「ナミ、此処が空島?」

「んー、記録指針(ログポース)はまだこの上を指してる」

「どうやら、ここは積帝雲の中層みたいね」

 

 ナミとロビンが冷静に分析を続ける中、男連中は悪ふざけを始めた。

ウソップが泳ぐといいだし、『空の海』へと泳ぎに降りたのだ。

 

「………ねぇ、ウソップ潜っていったけど、このままじゃ落ちちゃうんじゃ?」

「「「「「!!」」」」」

「ウソップ~~~!!!」

 

 ルフィが腕を伸ばし、ウソップが潜ったであろう場所へと手を伸ばす。

しかし、雲の下は見えない。澄んだ海と違い、此処は真っ白な雲の上なのだ。

 

「任せて。目抜咲き(オッホスフルール)!」

 

 ロビンが伸ばしたルフィの腕に()を出現させた。

彼女は体の一部を違う場所に咲かせる(・・・・)ことが出来るのだという。

しかも花びらの様に数は彼女の実力によって変動するらしく、つまり制限が無い。

 

(ロビンの能力、凄い)

 

 彼女一人で情報収集は百人力……いや、それ以上だろう。

考古学者だという彼女にとって、この能力程適したものは無いのかもしれない。

どうにかウソップを引き上げると、今度はウソップを追いかけて巨大な魚とタコが現れた。

 

「「ッアァアアアアア!!!」」

「そうビビる程のモンでもねェだろ」

「任せて」

 

 驚くチョッパーとナミにそう告げると、ゾロが刀を構えた。

ミサカも腕を前へ突き出し、紫電を発する。

 

「え?」

 

 ゾロの斬撃、そしてミサカの電撃を受けた生物は……破裂した。

どうやら空という空間に棲む生物たちは、抵抗の大きい海と違ってその身を軽くしているらしい。

そのため、タコはまるで風船のように破裂してしまったようだ。

 

「ここが空……」

「楽しいなぁ!」

「そうだね」

「取り合えず空魚(くうぎょ)でソテーを作ってみました……ミサカちゃん、どうぞ」

「あ、ありがと……ん?」

 

 ルフィと話しながら、サンジから料理を受け取る。

美味しいと思っていると、チョッパーが騒ぎ出した。

 

「牛が四角く雲を走ってこっちに来るから、大変だ~~!!」

 

 うん、分からない。

見聞色を広げ、周囲を探知してみる――なるほど、これは。

 

「敵、かも?」

 

 言いながら紫電を発する。明確に敵か分からないが、先に来ていたであろう海賊船を落としたらしいその人物は……雲の上を滑ってやってきた。

 

「排除する……」

 

 明確に敵意を持ってきた相手に対し、ルフィ、ゾロ、サンジの三人が対処しようとすると……動きがぎこちない三人が一蹴されてしまった。

 

「止めてッ」

「!?」

 

 バヂィッと電撃を敵へ発する。仮面越しで表情は見えないが、見聞色によって驚愕の意思が強く伝わってきた。

ミサカという少女に攻撃されたこと……ではなく、どうやら電撃を見て驚いているらしい。

 

「……貴様は、一体」

「これ以上するつもりなら、容赦しない」

 

 三人の動きがおかしかったのは、空気が薄く思ったように体が動かなかったせいだろう。

ミサカも同じ状態だが、能力行使にそれは関係ない。ミサカの意思で電撃がスパークする。

 

「上等、排除する」

「っ」

 

 威嚇のつもりで電撃を見せると、覚悟の決まった様子で突っ込んできた。

ミサカが迎撃するつもりで構えたその時、空から誰かがやってきた。

 

「そこまでだァ!!」

 

 突っ込んできた謎の仮面戦士を槍で弾き飛ばしたのは、鎧を身に纏った老人だった。

 

「誰?」

「吾輩、空の騎士!」

「………」

 

 弾き飛ばされた方は、流石に分が悪いと感じたらしく去っていった。

 

「……去ったか。おぬしら、青海人か?」

「せいかいじん?」

「雲下に住む者の総称だ。つまり、青い海から登ってきたのか?」

「うん」

 

 老人は親切にも現状を教えてくれた。

今ここは海より7000m上空の『白海』。さらに上の『白々海』は一万mもあるという。

つまり、今しがた昇ってきた麦わらの一味にとって、この急激な変化に慣れるのが大変だ、ということらしいが。

 

「おっし、慣れてきた!」

「そうだな、だいぶ楽になった」

「まぁレイとの特訓を思い出せば、別に」

「イヤイヤイヤ、ありえんから。というかどんな特訓したんじゃ娘さんは!」

 

 それはもう、覇気を扱えるように必死でしたとも。

 

「……まぁ、色々聞きたいこともあるじゃろうが、ビジネスの話をしようじゃないか」

 

 空の騎士は呆れたような視線を向けると、話を切り出した。

ここにはさっきの戦士……ゲリラに狙われ、空魚にも狙われ、慣れていない者たちにとっては危険極まりないらしい。

そこで、彼が(ワン)ホイッスル、500万エクストルで助けてくれる、というのだが……。

 

「「「「「「「?」」」」」」」

「えくすとるって?」

「ぬ?!お、おぬしら、ハイウェストの頂から来たんじゃないのか?島の一つや二つ通ったろう?」

「私たち、今来たの」

「……まさか、あの化け物海流に乗って来たのか!?」

 

 偉い驚きようである。

やはり普通のルートでは無かったらしく、突き上げる海流(ノックアップストリーム)は全員死ぬか全員到達するか、0か100かという賭けらしい。

その賭けに勝った一味を認めてくれた空の騎士は、ホイッスルを一つ置いて去っていった。

 

「我が名は空の騎士、ガン・フォール!そして相棒のピエール!!」

 

 ピエールとはウマウマの実を食べた鳥らしく、自称(・・)ペガサス(とても微妙)になり、空の騎士を乗せて飛び去って行った。

 

「………何も教えてくれなかったわね」

「そうだね」

 

 ロビンと頷き合いながら、とりあえず空の海を進むことにした。

空の海には盛り上がった場所があり、そこは人が乗れるほどの弾力があった。

つまり、そこに船は進めない。

それでも何とか進んでいくと……おおきな門がある場所へと辿り着いた。

門には『HEAVEN'S GATE』、天国の門と記されていた。

 

「天国か~~楽しみだ!」

 

 門番のおばあさんに10億エクストル払うように言われたが、持ってない。

進んでいいかと聞くと、進んでいいという。……あれ、門番じゃなく伝令なのでは?

そんな疑問をミサカが持ちながら、船は巨大なエビに捕まり、空へ続く雲の滝をグングンと昇っていく。

 

 神の国、スカイピアと呼ばれるその場所に辿り着く。

そう、その場所こそ空に浮かぶ島――。

 

 

「「「「「「「空島だ~~~~~!!!!」」」」」」」

 

 

 麦わらの一味、空の大冒険が始まった。

 

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