ビリビリ少女の冒険記   作:とある海賊の超電磁砲

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オリジナル展開です。


9話 方舟マクシム

 真っ暗な闇の中、自身が気絶したのだと男……エネルは悟った。

夢、白昼夢のような現実感のない夢だ。

サバイバル最終戦を戦っている過去の自身を、彼は客観的に見ていた。

 

「いい攻撃を喰らってしまったな、ヤハハ」

 

 笑おうとするが、かなり無理な笑い方になってしまった。

こうなった原因として、そもそも電撃を受けて破片を掴んだワイパーが発端だった。

意識を半分飛ばしながら破片を掴んだのは、正しく執念の成したことだ。

エネルを倒す、ただそれだけを考えていた彼の行動は、事実エネルを敗北へ追いやった。

 

「麦わらの男、ゴムも天敵だった」

 

 エネルの技の殆どは電撃だ。電熱や黄金のみで倒すには少し技に精度と練度が欠けていた。

心網を使えない青海人に、槍で掠り傷しか付けられなかった自分に憤慨する。

 

「修業不足、というわけか?神足りえたと思って、多少慢心があったのは否めんか……」

 

 自分に斬り傷を負わせたあの三刀流の剣士の様な技のキレ(・・)、あそこまでとは言わないが、せめてそれなりのモノが必要だったのだ。

自然系(ロギア)の力を手に入れてから、攻撃が大味なものばかり使っていたのも、理由の一つかもしれない。

 

「……ミサカ。貴様にもっと早く出会っていたらなぁ」

 

 慢心などせず、きっともっと修練を積んだだろうに。

彼女との出会いの時期を残念に思う。

神の船、方舟マクシムが出来上がってから自分が神足りえていないと自覚することになるなんて、何たることだろうか。

滑稽で嗤えて来る。

 

「最後、貴様はいったい()を見ていた?」

 

 エネルが立ち上がるより早く行動していなければ、あの技は放てまい。

放てたとしても、とっさでは一発か二発が限界のはずだ。

ワイパーとルフィの攻撃は見事なもので、実際エネルは一瞬意識が飛んでいた。

誰が見てもエネルの負けを予感した中、少女だけが次の技を用意していた。

 

「………ん?そろそろか」

 

 暗闇が晴れていく。意識が戻ろうとしているのだろう。

 さて、起きた自分はいったいどうなっているのだろうか?

ワイパー達に海楼石で能力を封じられ、磔にされているかもしれない。

アッパーヤードを神から奪い取り神隊を無理矢理酷使したのだ、空島の住人達から報復として拷問を受けるかもしれない。

海賊たちは死のゲームへ強制参加させたのだし、恨みくらいあるだろう。

 碌な扱いは受けないな、と自分の結末を想像して苦笑する。

しかしずっと寝てはいられない。なぜなら彼は神になる男……神になりたいだけの、人間なのだから。

 

 

―――

 

 

 ペシペシと軽い音がしていた。

軽い衝撃が頬を叩いており、叩かれているエネルがゆっくり目を開けた。

どうやら場所は大きく移動していないらしい。屋根のある遺跡の一つで、寝かされていた。

 

「お、起きた!」

「…――なにを、している?」

「あ?何って、お前を起こしてたんだよ。だってお前しか知らねぇんだろ、黄金の場所!」

 

 ニシシと軽快に笑う麦わら帽子が似合っているゴムの男――ルフィが、横になったエネルを座ったまま見下ろしていた。

身体を確認すると、治療が施されていた。少し探れば小動物がいそいそと忙しなく動いている。

 

「……あの小動物は、なんだ?」

「チョッパーのことか?うちの船医だ!」

「そうか……私は、貴様らに救われたわけか」

 

 巻くかれているのは包帯で、身体からは薬の匂いがしている。枷の一つもなく、エネルを縛るものは何もなかった。

 

「ヤハハ、青海の男よ、なぜこんなことをした?」

「?」

 

 なんのことだ、と首を傾げるルフィ。

エネルは神の島を奪い取った悪党で、自分は神なんだと高を括った愚か者で、この空島には自身を恨んでいる者が大勢いるというのに……なぜ、そんな奴を治療したのだ?

そう告げると、ルフィはポカンとした表情を浮かべた。

 

「何言ってんだ、お前?」

「なに?」

「悪いことしたって言われてもなぁ、俺らも悪党、海賊だし」

 

 やりたいことをやって、したいことをして、欲しいものを奪い取る。

それが自分たちなのだと、ルフィは語った。

 

「貴様の、やりたいこと?お前はいったい、何を求めて空島に来たというのだ」

「いやー、大冒険の匂いがしてな!」

「……は?」

 

 話がかみ合っているようなあってないような、そんな返答にエネルが理解不能なモノを見る目でルフィを見つめる。

そんな彼らに、仕方ないという様子でナミやゾロ、ロビンにミサカが口を挟んだ。

 

「そいつはそういう奴なのよ。基本な~んにも考えてないの」

「本能で生きてるからな、ルフィは」

「剣士さんがいうと説得力あるわね」

「うん、ゾロも本能強い気はする」

 

 さっきまで殺し合っていた仲だというのに、まるで親しい相手に話しかけるような一味を見て、やはり意味不明だとエネルはため息をついた。

 

「ヤハハ……不可思議、不遜、不届きだな」

「どういう意味だ?」

「訳が分からん、ということだ」

 

 エネルは考えることを放棄した。

それでも強いて言えば、きっと巡り合わせという奴なのかもしれない。

諦めたように力を抜くエネルに、ルフィはきらきらとした笑みを近づけた。

 

「それで、勝者には黄金って話だったよな!?」

「……あぁ、そんなことを言ったな。忘れてはおらん」

「ってことは、あるのね黄金!!」

 

 ナミの活力が増し、不思議と瞳に金のマークが見えた気がした。

きっと気のせいだろうと思いつつ、その言葉にエネルは頷いた。

 

「あぁくれてやる。私はまだまだ神に至らん、未熟者だ。そうなればアレは過ぎたるモノだからな」

「アレ?」

「……方舟マクシム、私は神として天上に昇る為にその船を造らせていた。黄金は雷をよく通すからな」

 

 エネルの言葉を全く理解できていない一同。

見せた方が早いし、口で言っても信じないだろう。

 付いてこい、そう言ってエネルは立ち上がった。

チョッパーはけが人を見るため残ったが、黄金を持ってくるというと目を輝かせて行きたがっていた。

 

「……怪我は、大丈夫?」

「ヤハハ、貴様がトドメだったというのに、不思議なことを言う」

「アレくらいしないと、貴方は止まらないと思った」

「そうか……貴様にとって、アレは全力だったか?」

 

 このサバイバルの中、結局傷一つ負っていない完全勝利者(パーフェクト)なミサカに問いかける。

彼女は何の表情の変化も見せず、淡々と告げた。

 

あの状況(・・・・)で出来る、私の本気で全力だった」

 

 その言葉が、やはり自分は未だ神と名乗るに程遠いのだと、自覚せざるを得ない決定的一言だった。

 

「やれやれ、世界は広いな」

「ししし、当たり前だろ?この世界にゃもっと面白い場所があって、お宝が眠ってるんだぞ?」

 

 ワクワクするよなぁ!とルフィが同意を求めてくる。

彼にとってサバイバルは本当に命を賭けた、文字通り『ゲーム』だったのだろう。

エネルは自分と同じ悪党だが、ゲームの主催者であり、こうして勝利者にきちんと報酬を与えるオーナーに思えていた。

 だからこそ、彼はエネルを治療し、こうして隣を歩いている。

 

「―ついたぞ」

 

 とある洞窟、その奥にある広間にそれは鎮座していた。

黄金を使った空飛ぶ船、方舟マクシム。

麦わらの一味がソレを見て、驚きの声を上げた。

 

「すっげぇ、なんだこれ?船か??」

「ヤハハ、そうだ。方舟マクシム。私はこれで空高い大地へと行こうと思っていた」

「この装飾の顔みたいなの、全部黄金なの……!?」

「それだけではない。動力は雷、つまり私であり、それを伝えるための黄金だ」

「つまり……この船を飛ばす機構そのものが、黄金というわけね」

 

 その通り、ロビンの言葉に頷いて見せるとナミのテンションが爆上がりした。

だが、ルフィがふと気づいたことを述べる。

 

「でもいいのか?これから黄金貰っちまうと、お前もうその大地(ヴァース)ってとこに行けねぇんじゃねぇか?」

「ちょっと、ルフィ!!」

 

 ナミが余計なことを言い出したルフィを止めようとするが、片手を振ってよいよいとエネルが止めた。

 

「未熟も未熟、そう貴様らと空島の連中に気付かされた。私は未だ神ではない、ならば神がいるべき大地に足を踏み入れるわけにはいかん」

「神ってなんだよ?」

「頂点に君臨する者だ……貴様が目指す海賊王というのが青海の大いなる王ならば、神とは全人類より強く偉大な者だ」

 

 しかし、ミサカはともかく心網すら使えない者たちに後れを取ったのだ。

流石のエネルもプライドが傷つけられていた。

 

「ふーん……ん?!いや、一番偉大なのは海の王様!海賊王だからな!!」

「ヤハハ、となるならば、それ(・・)がお前にとっての神なのだろうよ」

 

 海賊王が神より下に聞こえたのが気にくわなかったのか、食って掛かるように訂正させるルフィ。

 

「いやいや、ちげーから。海賊王は、海賊王。神様じゃねーよ」

「では……貴様にとっての神とは、一体なんだ?」

「神だろ?神っつぅんならそうだなぁ。大変そうで窮屈そうなやつだな」

「大変で、窮屈そう?」

「だって奪ったり与えたり、なんかごちゃごちゃした話が多かったりしてよ」

 

 神話とか苦手なんだよ、と渋い顔をするルフィ。

長い御伽噺や頭を使うような物語は、ルフィの苦手とすることだった。

 

「俺はもっと自由にやりてぇ!で、海賊王ってのは世界で一番自由な奴なんだ!だから俺は、海賊王になる!!」

「ヤハハ……そうか、自由か。神は、大変で窮屈、か」

 

 言われてみれば、神は天上の大地に、人は青海の大地に、空は飛ぶ動物に、なんて棲み分けを一々考えて居たり、自由とは言い難いかもしれない。

 

「まぁでもいいんじゃねぇか?」

「?」

「誰より凄くて強ぇんなら、何だってできそうだしな!」

 

 神は神で楽しいかもしれねぇぞ?と笑うルフィ。

 

「何でもできる、か。大変で窮屈なのにか?」

「おう。気に入らねぇなら、自由の神様でもやりゃぁいいんじゃねぇか?」

「ヤハハ、いっていることが滅茶苦茶だな貴様は!」

 

 大変で窮屈な存在、自由とは相反するだろうにそうなればいいとは、いったい何を言いたいのだろうかこの男は。

こんなことをのたまうコイツは、一体これから何を成し、何をしでかすのだろうか。

自由を掲げる男の先を、思わずエネルは想像してしまった。

 

「……貴様は楽しそうだな」

「お前だって楽しそうだったじゃねぇか」

「私が?」

「あぁ、さっきの戦い、おめぇ笑ってたぞ?」

 

 ――子供みたいに、笑いながら倒れたんだぞ?

 

 その言葉に動揺するエネル。

ゴロゴロの実を口にしてからというもの、戦いは退屈でしかなかったというのに、笑っていたのだという。

 

「そうか、私は笑っていたか」

「おう! あ、そうだ黄金結局どうすんだ?とっちまっていいのか?」

「あぁ構わん。貴様の好きにするといい」

「そっか」

「……エネル、貴方これからどうするの?」

 

 暫く船長の会話を邪魔しないようにと下がっていたミサカが、エネルへ問いかける。

ワイパー達はエネルの存在を許容しないだろう。神隊の連中も解放したため、エネルの味方はいない。神官どもは忠実ではあったが、敗北してしまった。

 

「そうだな……やることなど、鍛錬や、世界でも見て回るくらいだな」

「一人で?」

「ヤハハ、まぁ仕方あるまい。好き勝手やったのだ、多少の不便は受け入れる」

 

 以前のエネルならば絶対に出てこないような言葉が出ていた。

こうもスラスラと自分の非を認めるなど、過去の自分にはありえなかっただろうと苦笑を浮かべる。

そんなエネルに、――ルフィが爆弾を落とした。

 

 

「だったら一緒に来りゃいいじゃねぇか」

 

 

 一瞬、間が開いた。

そして深呼吸をして、ナミが声を上げた。

ゾロは大声で笑った、ルフィのいかれ具合は知っていたつもりだったが、この問題児はそれを上回ってくる。

 

「ちょ、ルフィ本気!?っていうか正気アンタ!?」

「だってコイツ悪党だけど、そこまで悪い奴じゃねぇって。それに神になるって本気で言ってんだぞ?面白いだろ!」

 

 ニシシと笑う麦わら帽子の男に、ナミは絶句していた。

 

「海賊王の船員(クルー)に神がいるんだぞ?すげぇし面白いだろ!」

「アンタはねぇ……もう」

「……貴様は、何を言っている?」

 

 絶句していたのはナミだけではない。エネルも同様に、驚愕を隠せないでいた。

 

「ん?いや、だから仲間に成れって!お前神になるんだろ?ゾロは世界一の大剣豪、俺は海賊王!世界一が三人もいるんだ、すげぇことになるぞ!!」

 

 世界一が三人とか訳の分からないワードをのたまう男は、しかし本気だった。

 

「はぁ。ルフィが言い出したら止まらないわ、もうしーらない」

「まぁ好きにしな。俺は船長命令にゃ従う」

「ふふふ、騒がしくなりそうね」

 

 ナミは降参と両手を上げ、ゾロは不敵に笑った。

ロビンに至っては決定事項だと悟りこれからを想像した。

そして、ミサカは……。

 

「わたしも、一人で回るくらいなら、一緒に居た方がいいと思う」

「なぜ……?」

「だって、貴方」

 

 ――最初にあったとき、寂しそうだったもの。

 

「……ヤハ、ヤハハハハハハ!!!寂しそう、私がか!?」

「うん、誰も隣り合う人が居なくて、一緒にいて欲しい人が居なくて、欲が叶ったら空っぽになっちゃいそうな、そんな人」

 

 そう、過去に全部を失って、復讐して抜け殻になって拾われた、どこかの誰かさん(・・・・・・・・)のようで、ミサカは放っておけなかった。

故に、手放さないように軽く手を握って、背の高い彼を見つめ誘う。

 

「一緒に行こ?」

「……只人に望まれては、叶えるしかあるまい。私は、神になる男だからな」

 

 空島、黄金を手に入れたその日……麦わらの一味に新たな船員が加わった。

 

「ニシシ、じゃぁ今日は宴だな!黄金に船員追加!それに――あ、そうだ鐘!?」

 

 ルフィは思い出した様に辺りを見渡す。

鐘、鐘!と探し回るが、目的のモノは無い。

 

「何だ?どうした?」

「この空島に大きな金の鐘楼があるはずなの。見ていないかしら?」

「金の鐘楼……? そんなものは……いや、まて」

 

 400年前、アッパーヤードが降ってきた際、島から奇麗な音色が鳴ったという。

島の歌声などと過去の空島の住人は揶揄したようだが、きっとそれだとエネルは指摘した。

 

「だが、空島中を探すとなると少し面倒だな……マクシムを起動させたとして、上空から見つかるかどうか」

「……いえ、そういうことね」

 

 ロビンが少し考え、一つの方向を指さした。

巨大豆蔓(ジャイアントジャック)、その頂き。

 

「大鐘楼は元々黄金郷の中心部にあった、そしてその場所にはあの巨大豆蔓(ジャイアントジャック)……あるとしたら、あの上でしょうね」

「よーし!じゃぁ登るか!」

「ちょ、ルフィ何言ってんのよ!倒れてるって言ってもゲリラの連中だっているのよ!?」

「ぬぐっじゃぁどうすんだよ」

「ウェイバーでも使って一気に抜けるしかないでしょ……」

「いや、丁度いいのがあるぞ」

 

 全員が疑問符を浮かべている。さっきのエネルの説明を忘れているようだ。

 

 

「マクシムは空飛ぶ船だ。あの蔓の頂程度、飛んで見せようじゃないか」

 

 

 そういうと、エネルは放電した。

最初で最後の飛行となるその船は、未来の海賊王とその船員を乗せて空を舞う。

 

「すっげぇええ~~~!!」

「め、滅茶苦茶よ……こんなのが浮くなんて、自然系の能力者って疲れを知らないの?!」

 

 何物にも邪魔されず空を飛ぶ船を体験し、全員が驚き、感心した。

 

「もうコイツでいいんじゃねぇか?」

「でも、飛ぶにはエネルじゃないとむりだから、船長はエネルになっちゃうよ?」

「船長は俺だ!!!」

 

 マクシムの機構を知らないミサカには、電流を流すことはできても操作は難しい。なにより、この船には帆が無く海賊旗を掲げるのも不便である。

それを聞いたゾロは「なら仕方ない」、と諦めて空中浮遊を楽しみながら昼寝を始めた。

 暫く空を探索していると、蔓の近くにそれを発見した。

 ロビンが能力で近くに『瞳』を出現させ、大鐘楼である証拠の古代文字を発見。

その文字をノートに書き写しながら、ふと別の所にも古代文字を発見して驚く。

 

(我ここに至り、この文を最果てへと導く……海賊、ゴール・D・ロジャー!?)

 

 海賊王が空島に来たことがあり、しかも滅んだ文明の文字を扱える。

その事実に驚いていると、横でナミが鐘を鳴らす方法を考えていた。

 

「アレね。どうやって鳴らそうかしら」

「ニシシ、んなもん決まってんだろ!!ゴムゴムのぉ~~!!」

「え、ちょっとルフィ!?」

(ピストル)!!!」

 

 腕を伸ばしたルフィは、拳で鐘を思いっきり殴った。

浮島に引っかかっていただけだった鐘は、奇麗な音を鳴り響かせながら衝撃で落ちていった。

 

「アンタはホント何やってんのよ!?あんな黄金の塊を落としちゃうなんてぇぇええ!!」

「ニシシ、やべぇな!逃げよう!」

「……エネル、お願い」

「やれやれ、仕方あるまい」

 

 落ちた先ではワイパー達が何やら騒いでいた。

エネルに頼み、チョッパーを雷速で回収してきてもらう。

 

「え、エネル!?貴様一体――ハッ鐘は渡さんぞ!!」

「フン、それに用はない。……おい」

「へ、え?えぇ?!」

 

 ゲリラたちを無視してひょいっとチョッパーをつまみ上げる。

 

「では、さらばだ」

 

 エネルが去った後も、彼らは驚いたまま固まっていたという。

こうして空島から神・エネルという存在は消えることとなった。

 

「鐘鳴らしたし、黄金船奪った!撤収だ野郎ども~~~!!」

 

 ルフィの声に賛同し、GM号の所へ船を飛ばさせる。

大きさからしてマクシムの方が大きい。このまま降りるためにもGM号をマクシムの上へ乗せるため、一度雲を通過し、GM号の真下へ潜り込んだ。

 

「船に船が乗っちゃってる……」

「しかも飛んでるぜオイ」

 

 ナミが呆れ、GM号に待機していたウソップがツッコんだ。

そのまま下へ下へと降りていくと、道中でコニスとパガヤに出会う。

手を振って別れの挨拶を済ませると、麦わらの一味はそのまま空島を去っていった。

 暫く降下していると、一行は何やら違和感に気付く。

 

「ん?おい、なんか落ちる速度加速してないか……?」

「ふむ……どうやら空島では使えていた(ダイアル)がいくつか使えないようだ。マクシムの回路に異常をきたしている」

「つ、つまり?」

「堕ちる」

 

 「「「「「「ギャァァァアアアアアア!!!???」」」」」」

 

「っっ」

 

 ミサカとロビン以外の全員が叫び、落ちていく。

流石のエネルもこれは想定外だったのか、冷や汗を流して軽く叫んでいた。

 

「間に、あって!!」

 

 バジジジッッッ!!!――ミサカから強い電撃が放たれる。

それは強い磁場を生み出し、それを操るように電流を動かし――海底から砂鉄を手繰り寄せた。

 

砂鉄の膜(ブラックカーテン)反発(リフレクション)!!」

 

 船を傷つけないように、砂鉄を薄くばらまき、船へ付着させ磁力で浮かせる。

船底が真っ黒くなった船は、海底から引きあがったもう一つの砂鉄の膜と反発し合い、ゆっくり速度を落としていった。

 

「………つ、つかれた」

「アハハ、やるなぁミサカ!」

「「「命が幾つあっても足りないっっ!!!」」」

 

 大量の砂鉄を離れた場所から引っ張り上げるのは酷い労力を使うため、ぐったりするミサカ。

ミサカの頭を乱暴に撫でるルフィと、ミサカ以上に顔を青くしてぐったりさせるナミ、ウソップ、チョッパー。

ゾロは昼寝を開始し、サンジは宴の続きの為の魚を捕る準備を始めた。

 少し休憩してから、只の重しとなったマクシムから黄金を回収する作業を始める。

マクシムをバラして、黄金を乗せる小型の張りぼて船を造らなければならないほどの量を手に入れた一行は、次の島へと向かった。




空島編終了!!
エネルを仲間に引き入れた一行が次に訪れた島は、あらゆる動物がやけに長い大草原が広がる島で……。


ね、眠……zzz

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