ゴブリンもいいけどオークもね!   作:misuta

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師は敬う。それだけだ

「いやーどうにか許してもらえた。受付さんは優しいなぁ」

 

全力で謝り倒してようやく受付嬢の角(幻影)が消えて説教から解放され、荷物も全部納品した。

次に血塗れで来たらオーク討伐の依頼1か月禁止という誓約書にサインを書かされていたが気にしていない。

いや、気にしないと駄目だろオークハンター。

呑気に果実水飲んでいる場合ではない筈なのだが。

 

「いや、お前はいい加減懲りろよ。オークハンター」

「あ、どうも。兄貴」

「相変わらず、仕事、以外は、ぼんやりさん、ね?」

「どうも、それ言われたら否定も出来ないよ。姐さん」

 

そんな呑気なオークハンターに声をかけに来たのは辺境最強の異名をとる槍使いと魔女のコンビだった。

槍使いは受付嬢に怒られてもマイペースなオークハンターに呆れ、魔女はくすっと笑っていた。

そこらの冒険者であれば銀等級(第3位)の二人に声掛けられたら緊張するが、彼は気軽に「兄貴」「姐さん」と呼んでいる。

これはオークハンターなりにギルド最高位を敬っているのだ。

 

「お前なら無駄に血塗れにならずに仕留められるだろ?」

「豚共相手するとやり過ぎちゃうのはつい癖で」

「因みに今回はどう仕留めた?」

「え、ロープで首絞めて、そのまま一回包丁刺して血抜きしながら頭を数十回包丁でぶっ叩いたくらい?」

「やっぱりえげつねぇな!?」

「やんちゃ、ね」

 

オークの仕留め方を聞いた二人は大げさにツッコミをいれたり、ふふっと笑いながら煙草を吸ったりと反応が違う。

ふと、ある人物にそっくりだと槍使いは頭に過ぎったが忘れる事にした。

気取ったようなあの態度がないだけこいつはマシだと考えた…というより受付嬢にあれだけ怒られている時点でライバルとしては見ていない。

そう言う所である、槍使い。

 

「じゃあ俺らは行くけど受付嬢さんに迷惑かけるなよ?」

「また、会いましょう」

「あ、いってらっしゃい」

 

これから依頼に行くであろう二人を手を振って見送ると再び果実水を飲む。

このまま帰ってもいいのだが、あの人に挨拶だけはしておかないとなーと思っていると違う人達が近づいてきた。

一人は両手持ちの大剣と黒い鎧を着た男と、白銀の騎士鎧を着た女性。

今度は辺境最高と言われているパーティの面子だ。

 

「お、帰ってきたのかオークハンター」

「どうも、帰ってきたよ。旦那」

「相変わらず汚いな…少しは綺麗にしてこい」

「どうも、それさっき怒られたばかりだから勘弁してよ。姐御」

 

今度は重戦士を「旦那」、女騎士を「姐御」と呼ぶ豚頭を新人の冒険者達は驚いて見ている。

先程の槍使い達と言い、彼らと言い、有名な銀等級に対して軽く接するあの豚頭は何なんだ?

彼らに憧れを強く持っている者ほどそう考えてしまうのは無理もない。

血塗れた革鎧、血で汚れすぎた腰エプロンにオークの頭を使った兜と面。

武器は剣とかではなく包丁…異様すぎるのだ。

 

「元気があるなら手合せでもどうだ?」

「えー銀等級の旦那と戦ったら俺すぐ死んじゃうよ」

「何を言ってる。貴様だって銅等級だろ」

 

女騎士の言葉に周囲の新人たちは驚愕した。

銅等級…銀の一つ下の等級で第4位、しかも銀に近いとまで言われている実力者。

ついさっきまで受付嬢に怒られてひたすら頭を下げていた奴が。

因みにオークハンターの首元をよく見ると面に隠れているが確かにある。銅のプレートが。

 

「そうだな、お前もそろそろ銀等級になれるだろう?」

「うーん、俺如きがあの人と同じ等級なんておこがましくない? もしあの人が金等級になれば俺も銀等級になるけど」

「何を言っているんだ貴様は」

 

いや、本当に何言っているんだこの豚頭。

あぁ見えて社会の貢献、報酬総額、人格査定はクリアして積み上げているのだ。

オーク関連が殆んどではあるが、活動しているし住民たちの助けなどもしている。

それでも銀等級にならないのは何故なのか?

 

するとギルドに誰かが来た。また新人達が入ってきた人物を見て騒ついた。

オークハンターもその人物を見た瞬間、「ごめん、ちょっと待ってて」と二人にそう言って移動する。

薄汚れた鉄兜に革鎧、鎖帷子を身に付けた男をみすぼらしいと知らない人達は嗤うだろう。

最底辺のモンスターしか狙わなくて楽して儲けて有名になりたいんだろうとそこらの冒険者は嗤う。

しかし、この男は…。

 

「お疲れ様です、ゴブリンスレイヤーさん! いや、【師匠】!!」

 

ゴブリンスレイヤー。

常にゴブリン退治を請け負い、戦い続ける戦士。

新人達が憧れる槍使い達と同じ銀等級であり、辺境最優とギルドで評価されている。

そして、オークハンターに戦い方を教えた師でもある。

 

「あぁ、お前か」

「師匠、相変わらずクールですね!」

「そうか」

 

因みに寡黙でぶっきらぼうで淡々としている口調が特徴である。

それをこの豚頭はかっこいいと思って勝手にリスペクトしているのであった。




閲覧ありがとうございます。


という訳でゴブスレさんはオークハンターの師匠ポジとなりました。
因みにこの時は女神官ちゃんがまだ来る前の話なのでいません。
無論、彼女とも絡みますのでお楽しみに。


それでは、また。
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