NextDays 作:河野はるみ
ーーー春、それは出会いの季節。
新しい一年がまた、始まる。
去年は様々な出来事があった。
近所の幼馴染が後輩になったり。
別の幼馴染が転校してきたり。
クラスの委員長と仲良くなったり。
負けず嫌いな女の子と勝負したり。
ミステリ研でタマゴサンド食べたり。
宇宙人と交流を深めたり。
双子の仲を取り持ったり。
深夜の学校で密会したり。
生徒会長がアメリカに留学したり。
近所の小学生と遊んだり。
幼馴染の母親の養子になりかけたり。
幼馴染の友だちとお好み焼き食べたり。
謎の先輩に引っかき回されたり。
メイドロボ姉妹が押しかけて来たり。
委員長の妹とも知り合ったり。
最後には両腕を骨折して、幼馴染二人にかなり世話になった。
いろんな人と知り合って、笑いあって、時にはケンカして。
嫌なこともあったけど、それ以上に嬉しいことがたくさんあった。
そんな一年が過ぎ、今日から新学期。
俺もとうとう最終学年。
この学校にいるのも残り一年。
一日一日を大切にしようと思う。
「タカくーん!」
「ああ、今行く!」
家の玄関には、すぐ隣に住んでいる幼馴染、柚原このみが待っていた。
「早くしないと遅刻しちゃうよー!」
「まだ大丈夫だって」
急かすこのみに応えながら、俺はゆっくり靴を履く。
まったく、このみは忘れん坊だなぁ。
今日は始業式で、普段より余裕のあるタイムスケジュールになっている。
だからいつもより遅く家を出ても問題はないのだ。
「それは一般生徒だけでありますよ、生徒会長殿〜」
「……あ」
生徒会のメンバーは普段通りに登校しないといけないのを、今のこのみの言葉で思い出した。
思い出してしまった。
「急ぐぞこのみぃーーー!!」
「待ってよタカくーーーん!!」
今日もまた、賑やかな一日が始まる。
「はあ、はあ、なんとか間に合った…」
「まったく。ヒラの俺より遅いとは、自覚が足りないんじゃねーの生徒会長サマ?」
「うるさいな。少し俺たちより先を走ってた癖に偉そうにするなよ、雄二」
この皮肉を言ってくるヤツは、このみ同様幼馴染の向坂雄二。
俺と同学年で、クラス替えがあってもだいたい同じクラスになる腐れ縁の親友だ。
「それより早く行かないと、先生に怒られるよ〜」
「たしかに。それじゃあ荷物置いたら生徒会室に集合な」
「おう!」
「了解であります!」
「お。俺が一番乗りか」
生徒会室に入ると、俺以外に人影はなかった。
雄二はトイレに寄っていく、と途中で別れたのでいいとして、このみもまだ来ていなかった。
「まあ二人ともすぐに来るだろ」
部屋の一番奥の席、生徒会長の椅子に腰掛ける。
「………」
ここには去年の五月頃まで、別の人が座っていた。
久寿川ささら先輩。
母親と和解し、強制ではなく自らの意思でアメリカに留学していき、そのまま卒業した尊敬する先輩のひとり。
去年の秋にはある人の策略により、再び会う機会があったが、今はアメリカに戻っており、某有名大学に合格したとの手紙が最近届いた。
元気にしているようで何よりだ。
ガタガタッ!
「うぇい⁉︎」
変な声が漏れた。
突然、掃除用具を入れるロッカーが音を立てて動いたのだ。
ギィ、と軋みながら開いたロッカーの中からーーー
「……お久しぶり、河野さん」
ーーー久寿川先輩が現れた。
また今年も騒がしくなる。
そんな予感がした。