今回のお話しはオリキャラとそのヒロインのお話しになります。
それでは、どうぞ。
「スバル、さっきからどうした? 黙り込んで…。」
「えっ? いや、何でもねぇよ士郎。」
「あやしいですね…僕たちに何か隠していませんかスバル君?」
「何も隠してねぇよ当麻。つーかお前ら、さっきの受け答えなんだよ! あれじゃまるで全部俺が悪いみたいじゃないか。当麻も寝れなかった一人なのに…。」
士郎、当麻にどこか様子が変だと疑われたスバルは何とか誤魔化し、話の内容をすり替えるためにさっきの谷口達に対してとっさの噓の返しについて抗議するスバル。
士郎は「まぁ、いいじゃねえか。」と言い、当麻は「ごめんなさい。」と軽く謝るのだった。スバルもこれ以上中村のことを考えても仕方がないと思い、とりあえず、この件は頭の隅に置いとくのだった。
再び三人で廊下を歩いていると
「あれ………レム?」
最初に気づいたのはスバルだった。廊下の数メートル先に寝間着を着たレムは窓から見える月を眺めていた。その姿は神秘的で見とれてしまいそうだったが、表情はどこか思いつめた表情をしていた。
「どうしたんだ?」とスバルが思っていると、士郎に肩を叩かれた。スバルはその方を振り向くと、士郎に小さな声で
(スバルお前の出番だ…行って来い。)
(えっ? いや、相談ごとなら士郎が得意だろ?)
(バカだな…俺よりお前の方がレムは喜ぶに決まっているだろ)
(そうですよ、士郎君の言うとおりです………彼女の話しを聞いてあげてください。)
(でもな、心の準備が………)
スバルがどこか渋っていると士郎が「ほら、行って来い」と言って背中を押し出され、当麻は「先に部屋に戻っていますよ。」と言って、二人は来た道を戻っていった。
「おい、お前ら「…スバル君?」あっ…………よぅ、レム。」
思わず声が出たので、その声でレムはスバルの存在に気づき、スバルはレムの方を向いて軽く手をあげて声をかけた。
「どうしてここに?」
「あ~いや、明日のことで緊張して寝れなくて…そんで気晴らしに散歩してたのさ。」
「そうですか…。」
レムの質問に素直に答えるスバル。いつものように落ち着いているように見えるが、心臓は激しく動いており、’’夜’’、’’女の子と二人っきり’’、’’レムの寝間着姿’’とこの三つのワードが重なって今でも緊張してたりするのだった。逆にレムの方はどこか元気がなかった。
「ところで、レムはどうしてここに?」
「えっ………そのさっきまで寝ていたのですが…少し嫌な夢を見たので、こうして月を見て忘れようとしていたのです。」
「嫌な夢?」
疑問に思いレムに聞き返すスバル。
「はい…それも、スバル君、いえ………ハジメさんや士郎さん、当麻さんも関わっています。」
「えっ? 俺だけじゃなく、みんなも関わっているのか!?」
思わす大きな声でスバルはそう聞き返すと「…コクッ」とレムは無言で頷いた。
正直、スバルは驚いていた。まさか、レムの見た嫌な夢が自分だけじゃなく、親友達も関わっているからだ。「まさか、レムの夢の中で俺が皆に悪ふざけしている夢じゃないだろうな…。」何てことを考えていると、
「あの……迷惑でなければ聞いて貰ってもいいですか?」
「あっ…うん、聞くよ。レムが見た嫌な夢の話し、聞かせてくれないか。」
スバルがそう答えると「ありがとうございます。」とレムは笑顔でお礼を言った、しかし、聞いていた声に元気がないことがスバルには分かった。
そして、レムはぽつぽつと話し始めた。声を少し震わせながら、泣くのをこらえながらゆっくりと…
「暗闇の中、スバル君…いえ、ハジメさん、士郎さん、当麻さんもいました。それで私は声をかけて四人の所に向かいました、けれど………全然気づいてくれなくて、走っても追いつけず、最後は…………」
そのことを口に出すことを恐れるように押し黙るレム、スバルは何も言わずレムを見続けていた。
レムはグッと唇を噛むと、泣きそうな表情を我慢しながらスバルの顔を見て…
「……四人共、消えてしまうのです。」
「……………。」
しばらく静寂が包み、まるでレムはの心情風景を表すかのように輝く月が雲に隠れて辺りを暗くした。スバルとしては「夢は夢、気にするな!」と言ってバッサリ切り捨てたい所だが…
ここは異世界、何が起こるのか自分でも分からない世界だ…現に明日は大迷宮区に入るのだ。レムが言っていたようにトラブルに巻き込まれて、消えてしまうことも十分に考えられることだった。
故にスバルは慎重になった、今、自分の言葉一つで明日のレムのモチベーションが変わると考えたからだ。何気ない一言、責任持てない言葉でレムにもしものことがあれば…その時、自分が自分を責め、許せなくなるだろうと思ったからだ。
「(とは言っても、どう声をかけたらいいんだ? 『大丈夫だ、心配するな』とかのありきたりの言葉を使ってもな~説得力ないだろうし。)」
考え込むスバル、レムを見れば俯いており少し泣いているのか鼻をすするような音も聞こえてきた。「どうしよう…」と必死に考えていた時、ある事を思い出した。
「レム…これをあげるよ。」
「…………えっ?」
スバルの言葉に顔を上げるレム、それと同時に雲に隠れていた月が二人顔を出し、月明かりが二人を包み込んだ。
スバルは首元にかけていたものをレムの前に見せた。それは無職透明で三センチ程の大きさで雫の形をした水晶のペンダントだった。
「……………プロポーズですか?」
「ちゃうわい。」
レムの吹っ飛んだ第一声の声に思わず関西弁でツッコミをするスバル、レムはそれを聞いて「…プッ。」と少し吹き出しつつペンダントをまじまじと見ていた。スバルは渡したペンダントについて話し始めた。
「これは士郎と一緒に買い物した時に買った、ただのペンダントだ。俺の誕生石が水晶だからな…御守りになるかなと思って持っていたんだよ。」
「……スバル君はロマンチストだったのですね。」
「う~ん、意外とそうかもな。’’占いとかまじないとか信じない’’って思ってはいるんだけど、どこか信じている所もあるんだよな…………例えば何気なく朝の番組の占いコーナーとか見て、意識したりとかさ。」
そう言うスバルにレムは「ふふっ」と笑みを見せた、レムの心が穏やかと悟ったスバルは思い切って自分が思っていることを口にした。
「レム…聞いてくれ。レムの言う通り…もしかしたら俺たちは消えるかもしれない、レムの目の前からいなくなるかもしれない………もちろん俺も、ハジメも士郎も当麻も、好き好んで消えるつもりもないし、注意しながら迷宮区に挑むつもりだ…でも、もし消えてしまったら………。」
「……………。」
スバルの言葉に耳を傾けながら、レムは不安そうな表情で見つめる。それを見たスバルは一瞬言葉を詰まらせるが、意を決して口に出した。
「待っていてくれないか?」
「待つ……ですか?」
レムの言葉に「うん」とスバルが力強く頷くと再び口を開いた。
「俺は……例えレムの前から消えても必ず会いに行く。どんな形、姿になろうとも絶対に会いに行く…だから待って欲しいんだ。もし、消えてしまって…生きているかどうか不安になったら、このペンダントを見て欲しい。」
「このペンダントを……?」
そう言うレムに、スバルはレムの手に持っていたペンダントを手に取り、レムの首元に付けた。
「よくアニメとかであるだろ? ’’大切な人からもらった物が壊れたら、その大切な人に何か不幸が訪れていた’’ってこと、でも、逆に言えばそれが壊れない限りその人に何も起きてないてことになる。つまり、’’俺が消えてもそのペンダントが壊れないかぎり、俺は生きている’’って証拠になる。」
「……………あっ。」
スバルの言った事を理解したレムは両手でペンダントを包み込むようにギュッと持ち、顔を俯かせた。
それを見たスバルは内心、苦笑を浮かべながら「我ながら無茶苦茶理論」「まずったかな」と思いつつも再び口を開いた。
「ゴメンなレム。俺、バカだから…こういうことしか思いつかなくて……もっと頭がよかったら気の利いた言葉の一つや二つ言えたんだけどな。」
ばつが悪そうに言うスバル、レムはその言葉を聞いて、首をブルブルと横に振って否定した。
「そんなこと………ありませんよ。今のスバル君の言葉は………世界中の誰よりも…心に響きました。」
そう言ってレムは顔を上げた。少し涙目だがとびっきりで誰にも見せない、スバルだけが見るのを許された笑顔をレムは向けるのだった。
「ようやく笑ってくれた…レムは笑っている顔が一番似合っている…俺好きだぜ…レムの笑顔。」
レムの笑顔を見てホッとするスバル、それは自分の言葉が、想いが、レムに伝わったことが実感出来たからだ。
「これでもう安心」と行きたいところだが…もう少し何かをしておきたい……そう思ったスバルはある事を思いつき、レムの前に小指だけを立てた右手を出した。
「約束だ、レム。どんなことがあっても必ず俺は…レムの前に現れるから。」
「はい、約束です。私も…どんなことが起こっても、スバル君を待っています。」
レムもそう言って右手で小指を立てた。二つの小指が重なり、月の光に照らされながら二人は指切りげんまんをした。
はたから見ればそれはただの指切りげんまんかもしれない、しかし、二人の間ではそれはとても大きな、神秘的な魔法のように思えたのだった。
一体どれくらい指切りげんまんをしていただろうか、きりがよい所で指切りげんまんをを止めて、
「夜更かししすぎたかな……そろそろ寝るよ、おやすみレム。」
笑顔でそう言うとレムに背を向けて歩き出した。レムは「あっ……。」とどこか惜しむような顔をして、スバルが五歩くらい離れた時、
「スバル君。」
「ん?」
レムに声をかけられて振り向くスバル。レムは一瞬何か聞きたそうな顔をしていたが、すぐに笑顔で、
「おやすみなさい、明日は頑張りましょう。」
「おう。」
レムの言葉に元気に答えるとスバルは再び自分の部屋に戻って行った。
「……………。」
スバルが見えなくなるまで見送るとレムは窓の方を振り向いた。窓には薄っすらと自分の姿が映し出されていた。
「(聞きそびれてしまいましたね…。)」
そう言ってレムは、そっと寝間着の胸元を開いて窓に映し出した。胸はそれなりにあるのでそこにはきれいな谷間があり、鈴に「けしからん乳をしやがって」と言って揉まれるのもしばしば。健全な男子が見れば前かがみの姿勢は必然的なこの光景、しかし、レムには一般的な女子の谷間にないものがあった。
「(これは……魔法陣ですよね? それもスバル君と同じ模様の………どうして私の胸元にあるのでしょうか?)」
レムの胸元にあったもの、それは直径六センチ程の円状の魔法陣だ。
そして何故、レムがすばるの魔法陣と同じだと断定出来たかと言うと、実はこの前の檜山のイジメに助けに入った時に見てしまったのだ。包帯で巻かれていたであろう、右手の平を。檜山の火球で燃えてしまい露わになった魔法陣を。スバルに駆け寄った時にたまたま見てしまったのだった。
「(スバル君と私の魔法陣……一体何の意味があるのでしょうか? それに、あの時聞いた声…あれはいったい……?)」
レムは自分とスバルにある魔法陣の意味に疑問を感じつつ、このトータスに飛ばされた事を思い出していた。
’’貴女に…力を。どうかあの人と…あの子の力になってあげて……’’
きれいな女性の声だった。当然知り合いにも該当する声はなく、声の主に何者か聞き返そうとした時にいきなり胸元が熱くなり、その熱は全身に広がった。
そして、気づいた時にはトータスについており、胸元を見てみると魔法陣がいつの間にかあったというわけだった。
「(あの人とあの子……いったい誰のこと何でしょうか?)」
色々疑問に残るなか、レムもそろそろ寝ないと明日に響くと思い、胸元を元に戻して自分の部屋に戻るのだった。
時は少し遡って、スバルとレムが約束をしていた時、士郎と当麻は部屋の前までついており、その時ちょうどハジメと話しを終えた香織が出てきたのだった。
「二人ともありがとう。おかげでゆっくりお話しすることができたよ。」
「そうか、それは何より。」
「よかったですね、普段はなかなか話すことが出来ませんからね。」
士郎と当麻がどこか満足そうに答えると、香織はここにスバルがいないことに気づいた。
「あれ? ところで影山君は?」
香織の疑問にどう答えるか、悩む士郎に当麻はサラッと答えた。
「スバル君なら、今、レムさんとお話し中ですよ。」
そう言う当麻に士郎は「おいおい、勝手に話してよいのか?」と少し驚いた顔を当麻に向けていた。
「へえ~そうなんだ。あの二人、仲いいよね、付き合っているのかな?」
「いや、付き合ってないんだよな、これが……。」
「二人からそのようなことは聞いたことありません……思えば二人の出会いも、あまり知りませんね……。」
士郎がスバルとレムが付き合ってないことを告げて、当麻は二人の出会いについてあまり知らないことを告げるのだった。
「ふ~んそっか。今度、時間が出来たらレムに聞いてみようかな……あっ、そろそろ寝ないと。ごめんね、立ち話しなんかしちゃって……明日はお互い頑張ろうね。それじゃあ、おやすみ。」
香織はそう言って背を向けて自分の部屋に帰って行った。内心、スバルとレムの仲を羨ましながら、自分もあの二人のようにハジメと仲よくなれたらな、と想いながら歩いて行くのだった。
「そう言えば何だかんだ言って、白崎さんとまともにしゃべったのこれが初めてだと思います。」
「ああ……そうか。」
当麻のカミングアウトに士郎は返事をしつつ後ろを見ていた。当麻が「どうしたのですか?」と尋ねると、
「いや、さっき変な視線を感じたんだ。今はもうないけど……。」
「そうですか……奇遇ですね。実は言うと僕も白崎さんと話していた時、背中から嫌な感じがしていたのです。」
二人はそう言って一度顔を見合わせた後、二人は再び視線があった方を向いた。
「明日、何もなければいいんだが……。」
「そうですね……。」
士郎と当麻はそう言ったあとに二人はどこか嫌な予感をしつつ、部屋に入っていった。その後、スバルも帰ってきてハジメ、スバル、お互いどんな話しをしたかの攻防があり、四人が静かに就寝するのはもう少し後のことだった。
いかがだったでしょうか?
小説で初めての糖分多めの話を書きました。「こんなん、糖分多めの話しちゃう」という意見がありました頑張る次第です。
さて、見ての通りスバルのカップリングはレムになります。ここからハーレムになることはありません、作者はハーレムより一人の女性を愛する純愛物が好みですので。
ちなみに士郎、当麻にもいずれカップリングの女性がつきます。
士郎×クラスのある女子
当麻×原作ハジメの嫁の一人
次回、いよいよオルクス大迷宮に入って行きます。