ありふれた職業で世界最強  魔王を支える者達   作:グルメ20

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最近、自分が書いている作品が本当に面白いのか? と気になる日々を送っています。
今日は短めですが、それでも楽しんで頂いたら幸いです。

それでは、どうぞ。


親友の手がかりと謎の部屋、そして…再会へ。

レオンと融合を果たしたスバルは「不味い、不味い」と言いながら魔物の肉を喰らって腹を満たし、レオンの記憶の地図を頼りにオルクス大迷宮の()()に向けて歩みを続けていた。脱出するはずなのに上層を目指さず下層に向かうには理由があった。スバルが上層へ登る階段を見つける前に下層へ下りる階段を見つけた時、その近くにあるものを拾ったからだ。

それは19mm程の大きさの金属製の円筒で、この世界に存在しないものでありスバルの世界ではアニメやゲーム、映画に出てくる見覚えがあるものだった。

 

「これは…薬莢?」

 

<やっきょう? なんだそれは? それに前通った時、こんな物は落ちてなかったはず……。>

 

 

スバルが拾った物、それは弾丸を放った後にできる空薬莢だった。

この世界に’’銃’’の武器どころかその概念はない、なのに薬莢が落ちているということは誰かが銃を使っているということになる。当然、俺らの世界の武器なので連れて来られたクラスメイトの誰かが銃を使っているということになるのだが、生憎学生の身分で持つようなものでないし、そもそもスバルがいた国は銃を所持することも許されてないのだ。

じゃあ何故、この迷宮区に空薬莢が落ちているのか…スバルはある仮説を立てた。

 

この薬莢がクラスの誰かが最初から所持していたものでなく誰か作ったものだったら…?

 

誰かが見様見真似で銃を作り出して使っていたとしたら…?

 

そして、俺を含めて4人、銃を作りが可能の人物といえば…?

 

「まさか、ハジメなのか?」

 

思い当たる人物は親友の南雲ハジメしか他ならなかった。

ハジメの天職は錬成師、モノ作りに特化しているし、それに何回か家に遊びに行った時にゲーム制作の資料として、忠実に再現されたモデルガンをいくつか見せてもらったこともあった、それを参考にして銃を作ったとしたら薬莢が落ちている理由に説明がついたのだ。

スバルは南雲ハジメが生きていることを信じて彼が落としていったであろう薬莢を頼りに下層に降りていった。下へ、下へと降りていくとスバルはハジメが’’ここを通ったであろう’’という証拠を見つけた。

それは高さ三メートルの装飾された荘厳な両開きの扉で誰かが入ったのか扉は開け放たれており、また、扉の前で戦闘があったのかサイクロプスの死骸が二体あったのだ。

一見見れば「誰かが入った」ということはすぐに分かる、だが、それが「昔か、最近か?」と聞かれたらすぐには答えられない、スバルも当然答えられない。だが、レオンは「最近」とすぐに答えることができる。何故なら、

 

<たまにここをよく通るが、今まで開いている所は見たことがないぞ。>

 

スバルが扉を見つけた時にレオンがそう話してくれた。これを聞いて「自分で開けて中を確認しようと思わなかったのか?」とスバルが尋ねると、

 

<こんな人の来ない所に頑丈な扉があったらヤバそうなものしか入ってないだろ。それに興味本位で自分が対処出来ないものを解放してしまうのはあまりにも愚かだぞ。>

 

と答え、一切関わろうとしなかったのだ。

とりあえず親友達の生存の手がかりになるものがないか確認するため扉の中に入ると、真っ先に目にやったのは体長5メートル程の巨大なサソリの死骸だった。それだけでなくこのサソリとの戦闘の激しさを物語っているようなサソリを中心に大きなクレーターのようなものが出来ていた。そして、当然のように薬莢も落ちていた。

 

「ハジメはこんなバケモノを一人で倒したのか? というかこんなクレーターを作るような攻撃って一体……」

 

<……………。>

 

スバルは息をのみ込んでサソリの死骸を呆然と見た後、再び周囲を散策するとあるものを見つけた。

 

「何だろう? この中途半端な立方体は…」

 

<……………。>

 

スバルが見つけたものは部屋の中央にあった。きれいな立方体の石だったみたいだが、その前面の中央辺りが熱に溶かされたようにグニャリとへこんでいるのだった。

 

「中央にあるってことは何かお宝か、もしくは武器でもあったのか……そんでもってあのサソリはそれを守る魔物ってことか?」

 

<……………。>

 

「まるでありきたりなRPGの設定だな。」と思っているとさっきからレオンが黙り込んだままに気づいた。

 

「どうしたレオン?」

 

<いや、別に……………とりあえずここには何もないことが分かったんだ。親友を追うために先に急ぐべきではないのか?>

 

「えっ…? ああ、そうだな、先へ急ごう。」

 

レオンに催促されて部屋から出るために歩き出した。何かレオンに無理矢理話を中断させられたような感じだと思いつつ部屋を後にした。

当麻と士郎の手がかりは見つからなかったがハジメは確実に生きている。それを信じてスバルは下層へと降りていった。

 

そして、今現在、スバルはというと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

<さっきの威勢は何処にいったのやら…>

 

「うるせぇー、おめぇ融合してから愚痴しか言わなくなったな!」

 

雑草が生い茂る草むらの中、スバルは全力疾走していた。その後ろには、

 

「「「「「シャアアアアアアアアア!!!」」」」」

 

見た目がティラノサウルスもどきの魔物、ざっと300体に追われていたからだ。

経緯を話すと、樹海のような階層に降り立ったスバルは親友がここを通った形跡を探していると1体のティラノサウルスもどきが襲ってきた。当然、ワンパンで倒すも仲間の死に誘発されたかのように2体目、3体目と出てきた。これを見たレオンはここであることを提案した。

 

<融合で得た能力をこの魔物相手に使ってみろ。やり方は俺が教える。>

 

スバルはレオンと融合をはたして確かに身体的に強くなり能力も受け継いだが、未だどんな能力があるのか知らないでいた。今後のためにここで能力の内容と発動方法を覚えることになり、当然、敵を倒しながら先に進むことになった。

最初のころはスバルにもやる気があり、「よっしゃー! やるぞー!!」と言ってレオンに能力の内容と発動方法を教わりつつ、ティラノサウルスもどきを倒していたが、倒しても倒しても減る様子がなく倒した数が、10、50、100、150と増えていくばかり、おまけに間髪入れずに襲ってくるためいっこうに先に進まないのだ、「これじゃあ日が暮れる所か親友達が死に体になってしまう」そう考えたスバルは200体目が出てきた時、背を向けて走り出したのだ。

 

「うおおおー!!? どこだ? この下の層に行く入り口はどこだ!? 」

 

スバルは自分より高い茂みをかきわけながら走っていると、ふと近くから声が聞こえてきた。

 

()()、急げ! 早く!!」

 

「まっ、待ってください()()君。えっ、師匠? 「もっと走れ!」って。そんな無茶言わないでください!」

 

どこか聞いたことのある声にスバルの身体が震えていた。今までハジメの手がかりはあったが()()()()の手がかりは全くなかったのだ。だから二人を見つけられない、焦りと申し訳なさがあったのだがそれが一気に吹き飛んだ。

 

「この声………もしかして…。」

 

スバルは歓喜に身体を震わせながら最後の茂みをかき分けて平野に出た。そして、その横には、

 

五体満足の士郎と当麻がいた。

 

「スバル? スバルなのか!?」

 

「スバル君、無事だったですね!!」

 

二人はスバルはがいることに驚き、喜びの声を上げた。

 

「士郎…当麻…お前ら生きて………て!?」

 

スバルもスバルで二人が無事に生きていることに喜び、思わず涙がこぼれ落ちそうになったが、二人の後ろにあるものを見て引っ込んだ。

 

 

ざっと100体くらいのティラノサウルスもどきが二人を追いかけているからだ。

 

 

「……………。」

 

それを見たスバルは喜びの笑顔が消え、恨めしそうな顔になり、二人に嚙みついた。

 

「おめぇら! 何めんどくせぇもの引き連れているんだよ!!」

 

「それ、お前えが言うか!? そっくりそのまま返すよバカスバル!!」

 

「もう、せっかくの感動の再会が台無しだよ……ハァ~。」

 

スバルと士郎が言い争い、その様子を見てため息をつく当麻。何ともしっくりとこない感動の(?)再会となった。

 

 




いかがだったでしょうか?
ハジメが銃を使っていたら薬莢の一つや二つは落ちていると思い、スバルが下層に向かう理由にさせてもらいました。再会までもう少しかかりますが…。
士郎と当麻の再会は自分でもあっさりしているな思っています。というのもこれ以外の再会方法が思いつかなかっただけなんですけどね…。

次回、士郎と当麻にも大きな変化がありました。

それではこの辺で、ではまた。

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