ありふれた職業で世界最強  魔王を支える者達   作:グルメ20

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どうも、グルメです。
約半年ぶりになりますが、主人公サイトのお話しになります。
長くなりそうだったので、きりが良い所で切っています。

それでは、どうぞ。


親友(ハジメ)の決意と覚悟を聞いて…スバル初めての変化(へんげ)

当麻(サラ)士郎(クロウ)が勢いよく駆け出すのを見送るとスバルは満身創痍で倒れている親友ハジメに目を向けた。全身焼きただれ、一部骨が露出、右目、左腕は無くなっており、いつの間にか黒髪から銀髪に変わり、身体も一回り大きくなっていた。

そんな劇的に変わった親友の姿を見てスバルは、どこか力のない表情で微笑んでいた。

 

<こいつがお前が言っていた大親友のハジメか?>

 

「うん、そうだよ。俺の命の恩人で大切な親友、そして誰よりも努力家………それが南雲ハジメさ。」

 

そう静かに告げるスバルは今、思っていることを口にした。

 

「レオン、聞いてくれ。俺はこの奈落の底でハジメと再会した時、変わり果てた姿をも見て驚きと恐怖もした…………でもそれよりも‘’ここまで頑張ったんだな‘’ということが凄く伝わったんだ。」

 

<………そうなのか?>

 

「うん………道中で話したけど、寝ていることが多いから親友以外の周りから‘’怠けている‘’と見られがちだけど、そうじゃないんだ。ハジメは‘’自分にとって必要なことの努力‘’は惜しまないんだ。」

 

そう言うスバルはハジメとのあるエピソードを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

ある日、ハジメの家に遊びに行った時のことだ。ハジメの部屋の机は漫画を書く道具が一式そろえられており、書きかけの美少女の画が何枚もあった。プロではない自分が言うのもなんだが、はっきり言って上手いと言えるものではなかった。ハジメ曰く「美少女の画を書くの苦手なんだよね~」と愚痴りながら自分の書いた画と睨めっこしていた。そして、3ヶ月後、再びハジメの家を訪れると部屋には何枚もの美少女の画が貼ってあった。販売しているラノベ表紙に負けない位の完成度だった。

「どうやってこんなに上手くなったんだ?」と尋ねるとハジメは笑いながら「寝る間を惜しんで何回も練習した。今後、将来に必要になるから。」というのだった。それを聞いた俺は「よくやるぜ。」と呆れていたが、その努力は心の底から尊敬していたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だからハジメは生きるために必死に努力したんだと思う。たとえ、仲間とはぐれて一人になろうとも…全身ボロボロになろうとも…右目、左腕をなくそうとも…生きることを諦めずに努力してここに来たんだと思う………俺はそんな親友が誇らしいよ。」

 

<…………………。>

 

レオンはただ静かに耳を傾け、それを告げるスバルの目から一粒の涙がこぼれた。改めてハジメ再会したこと、生きていたことが嬉しくて、涙が、感情が抑えきれなかったのだ。ある程度涙を流した後、腕で涙を拭き取り、しゃがみ込んでハジメに告げた。

 

「ハジメ、後は任せろ。俺がきっちり決着(ケリ)をつけてくる。お前はここでゆっくり休んでいてくれ。」

 

‘’親友達がやっと全員揃ったのだ。こんな所で終われない、皆で生きてここを脱出する。‘’そんな想いで立ち上がり、その場を離れようとするも、

 

ガシッ。

 

スバルの足に何かが掴んだ。振り向くとゼェゼェ…と息を荒くするハジメが這いつくばりながらも必死に足に掴んでいたのだ。

 

「スバル、俺も行く…つれて…け。アイツは…俺の敵だ! 敵は………必ず、殺す!! そう、決めたんだ…。」

 

「ハジメ……。」

 

ハジメの言葉に耳を傾けジッと見つめるスバル。内心、ボロボロの状態で動いていることに驚いたが、それよりも驚いたのは豹変した性格だった。

ハジメから‘’殺す‘’という言葉が出てきた。穏やかで争いを好まない彼からそんな言葉が出るとは思わなかった。それだけではなく彼の目も優しいものから、好戦的な獣ような目つきへと変化していた。まるで目の前にいる人物がハジメじゃないように見えるのだ。

 

「……………………。」

 

スバルは黙ってハジメを見つめながら考えた。これからどうするのか…と。ハジメも何かを察したのか何も言うことなくスバルを見た。

目の前にいる男は紛れもなくハジメだ。性格は変わっていようが思想が変わっていようがハジメなのは間違いない。そしてこれから一緒に戦うかどうかだが………

もし仮にこの場所にあの勇者がいたら「そんな身体では無理だ。」とか「無謀だ、戦えるわけない。」など勇者に限らず誰もがそう言い、一般的に戦わせるのをためらうだろう。だが俺はハジメの親友だ。

 

誰よりもハジメのことを理解しようと決めている。

 

誰よりも先に、困っていたら手を差し出そうと決めている。

 

そして、どんなことがあってもハジメの味方であろうと決めている。

 

だから……俺は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかったハジメ、お前のその言葉…………決意と覚悟だということが心で理解出来たッ!」

 

そう言ってスバルは、少しでもハジメの身体が楽になるよう迷宮に入る前に事前に渡されたいた士郎お手製の魔力回復薬と栄養薬を二つハジメに飲ませた後、スバルの肩を借りて支えられるようにハジメは立ったのだ。薬はすぐに効いてきたのか荒々しい呼吸は徐々に落ち着いていった。

 

「二人でやっつけようぜ………ハジメ。」

 

そう言うスバルにハジメは周りの状況、倒すべき敵を確認してから口を開いた。

 

「……………()()じゃない、ここにいる()()で……だろ?」

 

そう不敵な笑みを浮かべるハジメ。

 

「!?…ああ!!」

 

その言葉にスバルも返事で応えると同時にあることを理解した。

確かにハジメは身も心も変わったかもしれない、けれども仲間を思う心、友を思う心は今も変わってないということを。

そのことが嬉しくてたまらないと思いつつもスバルは、ハジメと共に士郎や当麻、また、ユエやサラ、クロウがいる戦場へと走り出した。その時、ハジメは首長竜を倒す作戦をスバルに伝えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士郎(クロウ)当麻(サラ)は首長竜が放つ光弾の雨をかいくぐりながら勝利の鍵を模索していた。現状としてユエが得意とする最上級の魔法、‘’蒼天‘’が勝利の鍵だと二人は睨んでいるがそれには先ず問題があった。

ユエの魔力回復である。

今のユエは魔力が枯渇しており立てるのがやっと、吸血して魔力を回復する必要がある。士郎と当麻、どちらかの血を差し出せばすむ話だ。だが、忘れてはならないのが彼らは人である。ユエの魔力を回復するには半分以上の血を吸血する必要があり、さらに言うと普通の人族の血で魔力が全快するかわからない。血を差し出した者は必ず貧血を起こし動けなくなるだろう。そこを首長竜が見落とすはずもなく、だからといってある程度、動けるくらいに吸血を抑えても威力は期待されない。

その考えが二人にあったのか、ユエに吸血する指示を出さなかった。そして、ユエも二人が人間だということを見抜き、吸血して魔力回復したら動けなくなることを理解していたため吸血することはなかった。「一度引き返すか…。」と士郎(クロウ)当麻(サラ)の頭をよぎった時、いきなり首長竜が攻撃を止め別の方向に目を向けた。

 

「…どういうことだ?」

 

「いったい何が…。」

 

クロウとサラが困惑しつつも同じように首長竜が目を向けた方に見やると、

 

「お~い! こっちだこっち、こっちを見やがれこのウスノロマ竜」

 

スバルが手を振りながら走っており、技能‘’挑発‘’を使い首長竜の意識をこちらに向けていたのだった。

 

<スバル君!?>

 

<あの馬鹿、何やっているんだ!!?>

 

当麻、士郎が困惑する中、スバルは挑発を続けた。何故、こうも危険な事をしているかというと、これは作戦だった。首長竜を倒すための作戦をハジメから聞いたスバルは時間を稼ぐため自ら進んで「俺がおとりになるぜ!」と志願したのだ。少々不安に思ったハジメだが、自信満々の姿に期待を込めてスバルにおとりを任したのだった。

 

 

「グオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

 

 

首長竜は叫ぶと完全に標的をスバルに変え光弾の雨を降り注いだ。スバルは止まることなくその雨をかいくぐっった。

 

「まさか身体を張った弾幕ゲーをすることになるとはな……言っとくが俺は避けるのが得意なんだ。小学校でやったドッチボールも最後まで残っていたしな!!」

 

そう言いつつも光弾の数が増え、少しずつスバルの身体を掠めていき徐々に走るスピードも遅くなってきた。それを見た首長竜はハジメを瀕死に追いつめた‘’極光‘’を放った。

 

「ーーーーーッ」

 

スバルはその極光に包まれ、大きな轟音と衝撃波がそれに舞い上がる土煙が士郎と当麻の身体を襲った。

 

<<スバル(君)!!>>

 

士郎と当麻が叫ぶ中、土煙がおさまり辺りが見えるようになった。スバルがいた場所には大きなクレーターが出来ており、彼の姿はなかった。士郎と当麻の頭にはスバルの‘’死‘’が浮かび上がり、心が揺さぶられようとした時、

 

「彼なら大丈夫でしょう。」

 

「ええ、スバル殿にはレオン殿がついています。必ずや生きておられるはず…。」

 

「…! サラ姉、レオンってまさか、あのレオンのこと?」

 

クロウとサラは特に慌てることがなく、ユエも犠牲になった青年を見て顔を歪めていたがレオンがいるとなると、その顔の歪みをおさめた。首長竜の方は挑発したスバルがいないことを確認すると再び標的をユエ達の方に向けようとしたが、

 

ガツン!!

 

「グラァ!?」

 

何かが横切るのと同時に左頬に強い衝撃が走った。横倒れになりそうな所を踏ん張り周囲を見渡すと今度は下の顎辺りに衝撃が走り何かが上った。つかさず上を見るも何もなく今度は右頬に衝撃が走った。そして、次々と上下左右から衝撃が走り、殴られ続けるように首を揺らしていった。

 

<いったい何がどうなっているのですか?>

 

<それよりも当麻見てみろ。何か紫色の線が見えないか? あれは、雷?>

 

当麻と士郎が首を揺らす首長竜に困惑しつつ、士郎は何かに気づいていた。首長竜の周りを紫色の光る軌道が光っては消えを繰り返して走っていたのだ。その軌道をよく見てみると紫色の稲妻に見えた、士郎はつかさずクロウに尋ねた。

 

<クロウ、あれはいったい?>

 

「あれこそレオンの持つ融合紋の真骨頂、融合して取り入れた者を一時的に変化させているのです。」

 

<変化って……つまりスバル君は魔物になっているってこと?>

 

「手っ取り早く言いますとそうなりますね当麻。そして、紫の光からして、あれは……」

 

「…………………雷を纏いし紫電の閃光を走らせて動く鬼、‘’雷鬼‘’ 久々に見た…。」

 

当麻の疑問にサラは答え、ユエはどこか懐かしむように呟いた。それと同時に紫電の電光がユエ達から離れた所に落ちた。

そこに現れたのは全長2メートル程の全身若紫色の皮膚で覆われ、腰のところまで伸びた銀色の頭髪、筋肉質の身体、鋭い手足の爪、そして鬼の象徴と言える大きすぎない二本の漆黒の角。もはや、スバルの面影など残ってはいなかった。

 

「……………………ッ。」

 

首長竜を睨みつけ、構えをする鬼、雷鬼。その姿を今ここに現したのだった。

 

 

 




いかがだったでしょうか?

ハジメの変化を受け入れ、スバルが融合紋の真の力を解放する回でした。一応、雷鬼のイメージは鬼武者2のラストに主人公が変身する鬼のイメージを思ってくれたら幸いです。ちなみに右手に変な武器はついてません、普通の右手ですのであしからずに。

予定として3月中にもう一話を投稿してヒドラ戦を終えたいと思います。

感想もお待ちしています。

それでは、次回お会いしましょう。では、また……。


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