ありふれた職業で世界最強  魔王を支える者達   作:グルメ20

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どうも、グルメです。
大変遅くなりました。私情で小説を書く時間が無かったり、スランプで書けなくなったり、対馬ゲームにハマって書けなかったりと、色々ありました。本当、すみません。

さて、今回のお話しはレム視点での王国に帰ってきた出来事についてのお話しです。
前回の最後には彼女はクラスメイトに見切りをつけたみたいですが、一体何があったのでしょうか…

それでは、どうぞ。


隠忍自重の崩壊 レム、怒りの決別

レム・クドリャフツェフ

 

温和な性格で彼女が心を許した相手に見せる笑顔は、まるで天使の微笑みのようで学校では三大女神の一人として例えられ、男女問わず人気を誇っている。そんな彼女はスバル達とよく一緒に過ごしてオタクトークで盛り上がり、スバル達が彼女を大切に思う一方でレムもまたスバル達の事を大切に思っていた。

そして、彼らが奈落に落ちてクラスメイト(一部を除いて)の誰もかれもが生きていないと諦める中、彼女だけは生きていると強く信じていた。

 

 

 

 

 

 

そんな彼女の王国に帰ってからの1週間はまさに地獄という日々だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スバル達が奈落に落ちた次の日、散々泣き続けていたのかレムの目はウサギのように目を真っ赤にしており妙子や奈々に心配されながらも高速馬車に乗ってその日のうちに王国へ戻った。

王国に戻るとさっそくスバル達の4人が死んだことを報告、だがイシュタルや国王を含めた王国側の人間は誰1人もスバル達に対して哀悼の意を示す者はいなかった。

さらに次の日から王国側の人間が物陰でこそこそとスバル達を無能だの、役立たず等々、散々誹謗していき、それが聞こえてくるたびにレムは心憂いしくなり、カヅキの暴力事件で誹謗していた者は処分されるもレムの心は晴れることはなかった。

また、その日からレムは生徒一人ひとりに会ってはあの日の出来事について尋ねっていった。

別に犯人を見つけてはそのことで断罪しようとも、責め立てるつもりはなかった。

ただ、真実を明らかにして素直に謝罪し、自分にもクラスメイトにも新たな心の入れ替えが必要だと考えていたからだ。

だが、妙子や奈々、イツキ達の一部の生徒達を除いてほとんどの者は現実逃避するかのように部屋に籠ってはレムの話しに応じず、また、たまたま部屋から出た生徒を見つけて話しを聞こうと迫るも目を背けるように逃げるられるばかり、さらに光輝に限っては「もう、終わったことだ。」「むやみにに嫌なことを思い出させて、皆を困らせるんじゃない! やめるんだ!」と咎められる事となりレムの心に深い傷を残すこととなったがそれでもやめる事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

カヅキの暴力事件で二日間の拘留が解かれたその日の内に光輝にクラス全員、大広間に集まるように言われて向かうとスバル達が奈落の底に落ちる根本的な原因を作った檜山がいた。

檜山は改めてクラスメイト全員に土下座して謝罪、光輝も「彼も反省していることだし、許すべきだ。」という言葉もありクラスメイト大半は檜山の罪を許してしまったのだ。妙子や奈々が簡単に檜山を許されることに違和感を感じる中、レムは…

 

「(どうして…誰も異を唱えないのですか?…どうして……簡単に許されるのですか? 彼が素直に指示を聞き入れていたらあんな事にはならなかった…なのに…どうして…どうして…)」

 

なんのお咎めもなく、簡単に許してしまう光輝とそのクラスメイトにどうしようもない怒りと悲しみが湧いてきた。この後、またもやカヅキがクラスに注目が集まるように盛大に出て行く中、レムもまた誰にも気づかれずにこっそりと別のドアから出た。

王国側が用意していた自分の部屋に戻り、先程の出来事でぐちゃぐちゃの頭に冷静を取り戻すかのようにベッドに顔を埋めてそのまま夕食まで眠りについた。

そして、レムの転機を変える事件が起こったのはその日の夕食時に起こった

 

 

 

 

「あの、皆さん! 聞いてください!」

 

レムの透き通るような声が食事場に響いた。引きこもりの生徒が唯一の楽しみである食事と友人達との談笑が止まり声の主に注目した。レムは全員が注目している事を確認すると再び透き通るような声で告げた。

 

「あの日……みんなで魔法を放ってスバル君達を援護した出来事を今一度…思い出して欲しいのです。怖い思い、死ぬ思いは確かにしました。そして、それをもう一度思い出すのは酷なことだと重々承知です。ですが、みなさんの不安を消すためにも…新たな一歩を踏み出すためにも…事実を明確にするべきだと私は思うのです……………なのでお願いです。魔法を誤射してしまった方は、今ここで正直に名乗りを上げてください。お願いします。」

 

そう言って頭を深く下げた。レムの切実な訴えに生徒達は様々な反応をした。ある者はあの日の出来事を思い出して顔を暗くする者、そのことで何回も聞かれて迷惑な思いがあったのか無視して食事を続ける者やレムを見てコソコソと話す者など、レムの訴えに応える者はいなかった。

そんな時、バンッと机を叩いて光輝が立ち上がった。

 

「レム、前から言っているはずだ! むやみにあの日のことを思い出させてみんなを不安にさせるのは良くない、と。わからないのか!? それだけじゃない、仮に犯人を見つけたとして、その子はどうなる! もし、思いつめて自殺でもしたら、君は責任をどう取るつもりだい?」

 

光輝の怒涛の言葉にレムも「…それは」と言葉を詰まらせた。だが、ここで光輝は言っていけない事を口にした。

 

「それに()()()()()()()()()()()()彼らを報いるためとは言え、皆を困らせるように犯人捜しをしてはいけない!」

 

「ッ!!?」

 

その言葉に大きなショック受けたレムは顔を隠すように項垂れた。これを見た雫は光輝の発言を咎めようとした矢先、さらにある生徒がとんでもない事を言い出した。

 

 

 

 

「なぁ、本当はレムが誤射したんじゃないのか?」

 

 

 

 

 

 

その言葉でクラスメイト全員が発言した生徒に注目した。発言したのは檜山大介だった。

 

「おい、大介? それはどういう意味だ?」

 

近くに座っていた近藤礼一が尋ねると檜山はレムを疑うような目つきで語りだした。

 

「いやだからさ、散々アイツは俺らの誰かが誤射したって疑っているけどよ…本当はアイツが誤射して責任逃れ、いや…自分が疑われないようにするための偽装工作じゃないか? って話しよ。犯人捜しを率先していたら、まず自分が疑われることはないだろうし。」

 

「…なるほどな。」

 

「えっーマジかよ(笑)」

 

「レム最低だな(笑)」

 

檜山の言葉に近藤は妙に納得し、同じように檜山の近くに座っていた中野と斉藤は面白がるように茶化していた。

これを機にクラスメイトから疑いの声が聞こえてきた。

 

「まさか、レムが!?」

 

「でも、実際レムが犯人なんて思わなかったわね…」

 

「だから、あんなにも必死だったわけか?」

 

「檜山の話も否定はできないな。」

 

「どうなんだレム!?」

 

様々な声が上がる中、その声を否定する者もいた。

 

「おいおいおい…。」

 

「ちょっと、あなた達! やめなさい!」

 

「彼女は真剣です! 変な憶測はやめるべきです!」

 

佐助、雫、厚史が止めるように呼びかけるが疑いの声は一向に止まる気配がなかった。少しずつレムに疑いの目が広がる中、檜山はレムを見つめながら内心ほくそ笑んでいた。

 

「(へ、へへへ。調子に乗っているから…こうなるんだ。毎度毎度、変な目で見てきやがって…これでアイツも、下手に嗅ぎまわらないはず…)」

 

檜山がこのような行動を取ったのには理由があった。

レムがあの日の出来事を尋ねるようになった日、当然檜山の前にも現れて尋ねた。

元々ハジメや当麻をいじめていたのを知っているため、仕方なく檜山と話す時はどこか冷ややかな様子で接していたが、今回の件、檜山が周囲の忠告を無視してトラップにはまり、結果的に4人が落ちる原因を作り出したとして、さらに冷淡に接するようになった。

話す声には感情は無く、目つきもどこか疑いのある目で見てくるようになり、それがたまらず嫌で、内心「いつか真実にたどり着くのでは?」と思うようにもなった。

何とかならないかと考えていると、ちょうどレムが全員がほぼ集まっているこの時に呼びかけをしていたので、これを逆手に取って彼女を孤立させようと思い、とっさの判断で先程のような事を告げたのだった。

予想外のことは自分が想像していた以上にレムに疑いの目が向けられており大成功と思われていたが………………これがとんでもない引き金となる事に彼はまだ知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「……………………。」

 

レムは俯いたまま動くことはなかった。クラスメイトの疑いの声が聞こえてくるなか彼女は親友達のことを振り返っていた。

 

 

ひょんなことからスバルと知り合い、彼をきっかけにハジメ、当麻、士郎、優花達と出会い、交流を深めて楽しい学校生活を送ることができ、今では自分にとってかけがえのない大切な親友となっていた。

そんな中、いきなり異世界に飛ばされ、事情もままならぬままこの世界の戦争に参加させられる事となり、ステータスプレートという名の能力値で序列をつけられ、その内の3人は無能のレッテル貼られる事となった。

それでもその3人はクラスメイトの足を引っ張らないように人知れず努力を続けてきて、その甲斐あってかオルクス大迷宮で起こった危機に勇敢に立ち向かい、多くのクラスメイトを生還させることとなった。それなのに………

 

 

誰かの放った魔法の誤射で親友達は奈落の底…

 

 

クラスメイトは誰が放った魔法なのか追及せず、真実から目を背けるばかり…

 

 

根本的な原因を作った生徒は罰せられる事なく、簡単に許され…

 

 

王国側もクラスメイトも、誰一人悲嘆する者もいなければ…

 

 

彼らの功績を称える者も、感謝する者もいなかった…

 

 

 

 

 

「(どうして……どうして…ドウシテ…………誰モカレモ、彼ラヲ侮辱スルノ? ドウシテ…私ノ大切ナ人ヲ傷ツケルノ?)」

 

 

思えば思うほど彼らに対するクラスメイトの行いが、周囲の大人達の行いが許せなくなり、怒りが湧いて、真っ白な心にドス黒い何かが染まるような気がした。レムは前髪に隠れてチラッと周囲に目を向けた。

今もクラスメイトは真実に向き合うどころか、一人の男の口車に乗せられて「レムが犯人なのか!?」や「お前がミスをしたのだろ?」と、まるで責任から逃げるように、はたまた押しつけるようにレムに問い詰めていた。

周囲に流され、何も見ようとしない、戯言ばかり言うクラスメイトにレムはあきあきした。そして、光輝が「レム! 檜山が言った事は本当なのか!?」という言葉を起因に、レムはいきなり

 

 

「アハ、アハハハハハハハハハハハハハ―――」

 

天を仰ぐかのように上を見上げて高らかに笑い始めた。その声は狂気に満ちており、まるで何かに取りつかれたように笑い続けた。

 

 

「「「「「ッ!!!????」」」」」

 

レムの行動に驚きと戸惑いを感じて、クラスメイトの喧騒は収まったが、それでもレムは笑う事をやめなかった。笑いを止めないレムに冷静に様子を見る者もいたが、ほとんどのクラスメイトは徐々に恐怖を感じるようになった。

 

「…ッ何がおかしいんだ!? レム!!」

 

光輝もレムの行動にひるんでいたが冷静を取り戻し声を荒げた。するとピタリと笑い声を止めた。だが、レムは顔をあげたままで下ろす事はなく、そのままポツリと話し始めた。

 

「……………何がおかしい? だってそうでしょ? クラスメイトの誰かがきっと素直に話してくれる、誤射した事を謝罪してくれる…今までそう思って信じていました。それなのに…」

 

そう言ってレムはゆっくりと顔を下ろして今の素顔を見せた。

 

「誰も話さない、誰も謝罪しない、悲しむどころか感謝するそぶりも見せない…誰もかれもが我が身可愛さに’’彼らがへまして落ちた’’という事にする始末…ここまで彼らをコケにされたらもう……笑うしかないじゃないですか?」

 

そこには、温厚で微笑みが素敵な彼女とは思えないほどの狂気に満ちた目に恍惚な笑みを浮かべたレムがいた。

その顔を見たクラスメイトは「ひっ…」とどよめぎ声をあげ、何人かの生徒は得体の知れない何かを感じ取ったのか後ずさりするのだった。

 

クラスメイトの動揺を気にせずレムは続けて言った。

 

「あまつさえ、クラスメイトの危機を招いた男はあっさり許されるばかりか、その発言を簡単に信じ込んでしまうなんて……滑稽ですね。」

 

目を細めうっすらと笑みを浮かべながら小馬鹿にするように言うレムに、近藤がテーブルをバンと叩いて立ち上がった。

 

「さっきから偉そうに言っているけどよ、お前も容疑の内の一人だということ分かっているのか!?」

 

犯人扱いされて激昂する近藤、その様子にレムは、

 

「この際にハッキリと言いますけど、私ではありません。仮に、私がへまをして彼らを奈落に落としてしまったら、とっくに事実を伝えて皆さんに謝罪し、早急に救出向かっています。」

 

そう清々しいほどキッパリというレムに近藤はさらに苛立ちを覚えた。そして、少しでも生意気な彼女の出鼻をくじいてやろうと思い、近藤は怒り任せにとんでもない事を言い放った。

 

「……だったら証拠を見せてみろよ。お前がしてないっていう証拠をなっ!!」

 

「そうだ、そうだ!」

 

「証拠見せろ!」

 

近藤の言葉に便乗するかのように中野と斉藤も声を上げ、檜山は顔には出さなかったが内心「いいぞもっとやれ」と煽り立てていた。

クラスメイトの中にも、レムの言葉に納得してないのかちらほらと声を上げる者も出てきた。どう考えても無理難題に雫や流石に見かねた光輝が止めるように言うが声は止まる事はなかった。

レムはそんな声を無視して辺りを見渡していた、何かを確認するかのように……そのことに気づいてない近藤は威圧的な態度を見せながら口を開いた。

 

「まぁ、証拠なんて無いに等しいもんな? 結局俺達と同じ容疑の一人なんだよ! これに懲りたら大人しく犯人捜しなんか「…ありますよ」 …は?」

 

「証拠なら、ありますよ…最も証拠というよりも、証明になりますが。」

 

 

レムは不敵な笑みを浮かべながら近藤の言葉を遮った。近藤は啞然としていたがすぐに怒りに顔を歪めてレムに迫る勢いで嚙みついた。

 

「て、テメェ、ここにきてまだデタラメ言うのかよ!?」

 

「……出鱈目じゃありませんよ。要はどんな状況下でも正確無比に魔法を当てれば問題ないはずです…そう、()()()()()()()()()…」

 

そう言ってレムは近くにあったステーキナイフをテーブルから手に取って右手で逆手持ちするのだった。

 

「レム、君はいったい何を…?」

 

光輝は眉をひそめて尋ねると、レムは光輝に顔も向けずに不気味な笑みを浮かべながら右手を振り上げた。

 

「それは…こうするためですよッ!!」

 

そう言ってレムはいきなりテーブルに左手をバンと置いて、その上から振り上げていた右手を勢い良く振り下ろし、手の甲にステーキナイフを突き刺した。

 

 

グシャッア!!

 

 

「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」」

 

「「「きゃあああああ!!?」」」

 

レムの予想外の行動に加え、肉が刺さる音、ナイフを刺した所からゆっくり溢れるように出で来る血潮をまじかで見て、男も女も関係なしにクラスメイトは悲鳴を上げてより一層にレムから距離を取った。

 

「ッ!!!!!」

 

当然こんな事をしてレムもタダで済むはずもなく、左手から今まで感じた事がない激痛が身体全身に駆け巡り思わず叫び声を上げたくなったが歯を食いしばりグッとこらえた。’’ここで声を上げれば示しがつかない’’‘’自分は他の生徒と違う‘’そんな想いもあってか必死になって痛みに耐え続けた。

 

「レムッ…あなた…何をして…」

 

手で口元を覆いながら身体を震わせて、なるべく左手を見ないようにしながら雫が尋ねるとレムは獰猛な笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「ハァ、ハァ、…ナニって? それは、ハァ…ハァ…自分を、証明するためですよッ!!」

 

そう言ってレムは再び右手を振り上げてナイフを左手に突き刺した。

 

 

クシャッア!!

 

 

再び肉が割く音に雫は「キャッア!」と小さな悲鳴を上げて数歩後退し、鈴と恵理は顔を真っ青にしてお互いを守るように抱き合い、光輝と龍太郎も恐怖を感じて顔を歪めていた。そして、あれだけの煽っていた近藤、檜山を含めた4人組は腰を抜かして尻餅を付いており、中野、斉藤に関しては恐怖のあまり涙目になっていた。

 

 

「っ!!! ううぅ!!!!」

 

再び左手に激痛が走り、思わず床に崩れそうになったがそれにも耐えて立ち上がり、左手に刺さっていたナイフを抜いてどこかに放り投げた。

どっぺり血がついたステーキナイフがどこかのクラスメイトの前に落ちて、それでさらに悲鳴が上がるがそれも気にせずにレムは左手を掲げた。

左手は自分の血で深紅に染まっており、ナイフの傷口からドクドクと止まることなく溢れていた。見続けたら自分も平然といられなくと思い、なるべく見ないように意識し、ある目標を捉えて低く呟いた。

 

「…風球」

 

サッカーボールくらいの大きさの風の塊がレムの左手に作られて勢い良く飛んでいき、檜山、近藤達の後ろにあった土台に乗っている壺を粉砕、檜山、近藤達は壺の粉塵を纏い、大きくせき込んだ。

 

「風球」

 

レムはそのことも気にせずにそのまま身体ごと右を向けて、何人か固まっているクラスメイトの方に風の塊を放った。

固まっていたクラスメイトはパニックになるが誰一人当たることなく後ろにあった飾りある皿を粉砕、クラスメイトに叫び声が上がった。

 

「風球、風球、風球、風球、風球、風球、風球、風球!、風球!!、風球ッ!!!」

 

「伏せなさい!!」「皆、頭を下げろ!」と雫や光輝の怒号が聞こえてくるなか、レムは事前に把握している目標にどんどん魔法を放ち、この部屋にある家具、壁に掲げられている絵などを粉砕していった。パニックで動き回るクラスメイトに当てる事なく正確無比に、魔法を放つたびに左手に激痛が走るもそれも耐えて、この部屋のインテリアがなくなるまで魔法を打ち続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ……これで…満足ですか?」

 

全てのインテリアを粉砕しつくし、荒い息で呼吸で佇んでいるレム。

 

「「「……………………。」」」」

 

クラスメイトはようやく収まった風球の嵐から少しづつ顔を上げてレムの様子を伺った。そこに立っているのは三大女神と呼ばれる美少女の面影はなく、怒りに顔を歪めた‘’鬼‘’が佇んでおり、その姿を見たクラスメイトの半数は恐怖で身体を震わせているのだった。

レムは共に身体を震わせて寄せている檜山達の所にゆっくり歩みを進めた。

 

「私は…彼らから援護を頼まれ、別れた時から覚悟を決めていました。例え骸が突き立てる剣に斬られようが…迫りくるヘビモスに飛ばされようが…彼らが身体を張り、命をかける以上…私も命ある限り、彼らが戻ってくるまで援護を続けるつもりでした。それなのに…それなのにッ!」

 

ひとりごとのように呟きながら檜山達に近づくレム。檜山が「く、来るな、来るな!?」と拒絶の声を上げても止まることはなく、さらにレムの左手には風球による風の塊が作られており、それが更なる恐怖を呼び起こして檜山達を震えさせた。

そして、あと数歩で檜山達にたどり着くという所で左手を勢い良く掲げて叫んだ。

 

「私が何て言われようが構いません…だけど……身体を張る勇気も、命をかける覚悟もない者が、彼らを侮辱するなぁーーッ!!」

 

「「「「「うわああああああ!!!???」」」」

 

レムは左手を振り下ろし、檜山達は情けない叫び声と共に手で身体を守ろうとするが風球は当たることはなく一歩手前の床に叩き付けられてパコッという音と共に消滅した。怯えて身動き出来ない檜山達を見下すように一瞥した後、背中を向けて歩き出した。

クラスメイトが恐怖の眼差しで見られ光輝の持ち前の正義感でレムの行いを批判する中、そんな事も気にせず部屋の扉に向かい、途中のテーブルにあった白いナプキンをかすめ取り、器用に巻いて左手の傷口から出る血を抑えた。

だが、少々血を流し過ぎたのかレムの身体にふらつきが見られ、今にも倒れそうに思えた雫はレムに駆け寄って手を伸ばした。しかし、

 

パチン!!

 

「あっ……」

 

「…私に、構わないで…ください。」

 

雫の手はレムに払い避けられ拒絶の目を向けられた。雫はそれが怖くて、どこか悲しく見え、やりきれない思いもあったが、今は仕方なく言われた通りに引き下がるのだった。

雫が下がったのを確認したレムはクラスメイトに聞こえる声で宣言した。

 

「本日を持って私はクラスメイトをやめます! …………もう、あなた方と関わる事はないでしょう。」

 

最後の方は静かにそう告げるとレムは扉を開けて食事場を後にした。勝手な行動に光輝は憤慨して後を追って引き止めようとしたが佐助の術で動きを封じられた上、「アンタじゃ無理だし、かえって火に油を注ぐだけ」と言われて、さらにムキになって無理矢理身体を動かそうとした所、雫に「今日はそっとしておきましょ。」とどこか悲しげな表情で言われて、それを見た光輝は渋々と言われた通りに諦めるのだった。

 

 




いかがだったでしょうか?
レムは誰よりもスバルやハジメ達を大切に思っていました。異世界に飛ばされる前からぞんざいな扱いをされている事に不満を募らせ、それが溜まりにたまってその結果がこのような形で爆発する事になりました。
ちなみに補足として、この場にイツキ、妙子や奈々はいません。イツキはカヅキの下に妙子や奈々は優花の様子を見に行っていたためレムの現状を知りませんでした。

もし、あの場に3人が居合わせていたら混沌としていたと思います。


次回、意外な人物が登場。そして、レムは……


感想など随時お待ちしております。

それではこの辺で。では、また……。
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