怠い午前の部が終わり昼休みに入った。スバルはいつものメンバー、士郎、当麻を誘ってお弁当を食べていた。何気ない日常会話を三人でしているなか、ふとスバルはハジメの方を見た。
あの後、四時間目まで起きることなく寝ていたハジメはいつの間にか目を覚ましており十秒でチャージ出来るお昼をすまして、もう一眠りしようとしていた。
その時、あることに気づいてハジメに声をかけた。
「お~い、そんなとこで寝ていていいのか?」
「………えっ?」
スバルは気づいていた、ハジメに迫る脅威を。ここは友達として警告はするも、まだ夢の中に入っているのか曖昧な返事を返し、その脅威に気づいていなかった。
「まぁ、お前がそれでいいならそれでいいけどよ……脅威はすぐそこに…………ほら来た。」
そう言いながらスバルは別方向を見た。ハジメもつられてスバルが向いた方向に視線を向けた。その時初めてスバルが言っていたことを理解するのだった。
「南雲君、珍しいね教室にいるの。お弁当よかったら一緒にどうかな?」
そこには自分のお弁当を持って立っている香織の姿があった。再び不穏な空気が教室を満たし始め、ハジメは心の内で悲鳴を上げながらスバルの方を向き「何でもっと言ってくれないんだよ。」と言いたそうな顔でスバルを見た。スバルは口を尖らせ吹けもしない口笛をしながらそっぽ向くのだった。心の中で大きなため息をはいたハジメは、
「あ~誘ってくれてありがとう白崎さん。でも、もう食べ終わったから天之川君と食べたらどうかな?」
そう言って既に終わった自分のお昼を見せた。
「えっ! お昼それだけなの? ダメだよ、ちゃんと食べないと! 私のお弁当、分けてあげるね!」
どうやら目の前の女神はハジメを逃がしてくれないようだ。この発言で更に周りの視線が増していきハジメも「気づいて! 周りの空気に気づいて!」と内心で悲鳴を上げた。
するとここに思わぬ助け舟が出された。
「香織こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだし、せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」
爽やかに笑いながら気障なセリフを吐いて、ハジメと香織に割り込んで来たのは光輝達だ。光輝の登場に口には出さないが内心では「痛々しくて、一言多い」と愚痴をこぼすスバル。
もし、この言葉の相手が普通の女子生徒なら黄色い声が上がっていただろう。だが、相手はハジメの周りの現状が見えてない鈍感と天然が混ざり合った女神。故に光輝のイケメンスマイルやセリフも効果がなく、キョトンとした表情で
「えっ? 何で光輝君の許しがいるの?」
素で光輝に聞き返すのだった。これには思わず雫が「ブフッ」と吹き出し、この話しが聞こえてきた士郎、当麻も口元を抑えて笑いをこらえているのだった。そして、スバルはというと、
「あっははははははははは!!」
周りが注目のするぐらい大笑いしていた、本人曰く「笑える時に笑っておけ」という父の教えを実行しているだけなのだが、あまりにも笑い続けるので光輝も良い顔はせず。眉間に少し皺を寄せてスバルを見るのだった。そして、スバルの笑いが収まった時、何とも言えないゲスい顔で光輝を煽り始めた。
「いや~白崎の言う通りだよ。何で白崎の弁当の中身をあげるのにわざわざ天之川の許可がいるのかな~? 白崎の彼氏じゃあるめぇーし、ねえ何でかな、ねぇ?」
光輝をどこか見下すような顔で質問するスバル、親友のこの姿に、ハジメ、士郎、当麻は「あっ、またいつもの悪い癖だ」と瞬時に思った。どうも、スバルは悪い傾向として相手の弱みやおかしな所などを見つけると煽るようにしつこく質問してくるのだ。最も誰でもという事ではなく一応相手を選んでいるみたいだが…………そして、それを止めるのが大抵、士郎かレムだった。
スバルがウザイ顔で光輝に迫るなか、士郎は「やれやれ」といった感じで立ち上がりスバルに迫ると後頭部にチョップをくらわした。結構痛かったのか頭を抑えるスバル、士郎は「連れが迷惑かけた」と一言スバルの代わりに謝り、裾を引っ張り無理矢理スバルを連れて帰るのだった。そして、皆がスバルに注目している間にハジメはこっそり教室を抜けようとして席から立ち上がった時、
それは起こった。
ハジメの目の前、光輝の足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れたからだ。それは徐々に輝きを増していき一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。たまたま教室にいた担任の愛子先生がとっさに「皆、教室から出て!」と叫ぶのと同時に幾何学模様は爆発するかのように光った。
数分後、光は収まり、いつもの教室が浮かび上がった。だがそこに生徒、担任の姿はどこにもなかった。
後編は少し長くなります。出来たら明日には投稿したいですかね。